【翻訳】優勢時、劣勢時のプレイング - Reid Duke
2015年10月27日 翻訳 コメント (6)PLAYING FROM AHEAD, PLAYING FROM BEHIND
Posted in Level One on March 30, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-ahead-playing-behind-2015-03-30
僅差の試合こそ皆ベストを尽くすものだ。僕も、皆も、マジックも、人生のあらゆる側面でも。激しい競争こそ僕達にベストを尽くさせる。人間がこの地球上で長らく生き残ってきた鍵だ!人類の熱い歴史だ!そうだろう!
……そうだろうか?
よし、別の視点で考えよう。大抵の人は僅差でない試合でこそ最悪を犯す。ダメそうなときほど簡単に諦める。すべてが上手く行っている時ほど人は舐めプに走る。そう、差し迫った事態でベストを尽くすことは(洞窟でサーベルタイガーと命の駆け引きをするような)人にとっては相応しいことだが、マジックプレイヤーにとっては自滅の素なのである。
あなたが劣勢であるとき、あなたはあらゆる勝利のチャンスを掴みに行かなければならない。
あなたが優勢であるとき、堅実にプレイし相手のチャンスを潰さなければならない。
数ある敗北濃厚な試合の内、1つでも逆転が出来るなら、あなたは優れたマジックプレイヤーになる。逆に勝利の可能性を1つでも取りこぼすようなら、大会を勝ち抜くことは出来なくなるだろう。
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劣勢時のプレイ
まず1つ、これまでのプロツアーで最もエキサイティングだったプレイを紹介しよう。
Topdeck of the Century
https://www.youtube.com/watch?v=4t0pzLnSWw0
(解説付き)
【MTG】プロツアー・ホノルル06 Craig Jones 劇的なトップデッキ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4587269
Olivier Ruelと対峙し、バーンも出来るアグレッシブデッキを駆るCraig Jonesは敗北が迫っているのを感じていた。Craigが《黒焦げ》を引いた時の実況を聞いてみよう。一人は相手のクリーチャーを除去すべきと言った。逆にもう一人は本体に撃ちこむという大胆なプランを挙げた。そして王者Jonesは後者を選択し、後の展開は歴史に残った――。
アウツに賭ける
《黒焦げ》をトップしたこの時点では、相手のクリーチャーを焼く方が適切なプレイに見える。しかしCraig Jonesの置かれた状況は非常に悪く、除去したところで状況は改善されない。何ターンかの延命をしても、敗北の道は避けられない。
かの海賊黒髭があなたに船から突き出た板を歩くよう命じてきたら……板の長さなんてどうでもいいだろう?
そしてCraigは残された勝利への道を模索した結果、この瞬間が分水嶺だと踏んだ。勝つ確率は低かったが、確実な敗北よりはマシだ。彼は《黒焦げ》を相手に撃ちこむと、ファイナルドローで《稲妻のらせん》をトップした。これが、自分の『アウツに賭けた』ということだ。
アウツとは勝つために必要なカードまたは状況のことだ。自分が敗北の流れにある時は、思考の焦点をただ正しいプレイをすることから、アウツを考えることへ移さなければならない。自分のアウツが何であるか把握し、それを引くことを前提としたプレイをするんだ。それを引いた時、負けを勝ちにするという最高のアドバンテージを得られる。引けなかったとしても、アウツに賭けなかった時と同じ結果になるだけだ。
別の例で考えてみよう。次のターンに《対立の終結》を引かない限り負けてしまう時、考えられるプレイは4つだ。
これら4つのプレイを検討すると、アウツ、すなわち《対立の終結》を引くために必要なコストは何もない。引かなければ、どの道敗北する。引けば勝つ。問題なのはデッキに入ってる《対立の終結》が4枚か1枚かではなく、それが唯一の勝ち筋ならば、それに沿ったプレイをするべきだということだ。
ゲームを複雑にしよう
アウツに賭けるとは言葉では単純だが、実戦では複雑なものになりがちだ。大抵、勝ち筋がたった1つとは限らない。アウツが複数あるなら、どのアウツが引きやすく、また全てのアウツに賭けるための最良のプレイングをどうすればいいか考えなければならない。
大抵は全てのアウツを考慮することは出来ないくらいゲームが複雑だ。そんなケースでは、特定の勝ち筋を追うことも出来なければ普通にプレイすることもない。僕からのアドバイスは、可能な限り状況をより複雑にすることだ。
複雑化された状況からは更なる選択肢や可能性が生まれる。自分のクリーチャーが0体、相手には2体なら、そこから導かれるのは敗北のみだが、相手が4体、自分が2体なら反撃の余地がある。もしかしたら相手が不用意なフルパンをしてきて、返しで《強大化》や《戦場での猛進》を引くかもしれない。あるいは相手がアタックせず受けに回ったことで幾分かの時間を得た結果、《凍氷破》や《飛鶴の技》をトップ出来るかもしれない。
優勢な時や対等な時、僕は殆どの場合クリーチャーを交換しに行く。一方で劣勢の時は、予期せぬ変化をもたらす複雑な状況を作り出すために、ある程度のダメージをスルーしてでも盤面のクリーチャーを温存する。
相手のミスを誘おう
アウツはただトップしたいカードという意味ではない。対戦相手のプレイングもその1つだ。
あなたは今劣勢にあるが手札には《ラッパの一吹き》がある。ターンを渡し、チャンプブロックで敗北までに僅かな延命を図ることも出来るが……逆に潔くフルアタックするという手もある。相手が的確にブロックしてきたらそれまでだ。返しの攻撃であなたは負ける。しかしもし相手がブロックをミスったならば、《ラッパの一吹き》で脅威を排除しゲームを続行できるだろう。
諦めないこと!
以上を活かすためにも、ライフが0になるまではゲームを投了しないことだ。最後のドローが思っても見なかったソリューションであるかもしれない!相手が半端なプレイをしてしまい盛り返すことだってある。
たとえそれがラストターン、相手のクリーチャーに対し壁もない状況であったとしても、しっかりターンを返して相手に攻撃を宣言させることだ。相手が《必殺の一射》をケアするかもしれないし、ダメージ計算を勘違いして攻撃を止めるかもしれない。なんだって起こりうる!
投了する理由は次の試合に備えて時間をケアするか、まだ見せてない情報を隠したい時だけだ。ゲームが続く限り、何時でも逆転のチャンスは訪れる。投了した瞬間、それらは消え去るのみだ――。
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優勢時のプレイング
さて、劣勢な時の勝算を捨てたプレイは敗北への一途を辿るだけだ。同様に、勝ちパターンに入っている時の舐めプも命取りになる。
優勢時のプレイングについて僕が言えることは、劣勢時の逆と言える。と、言ってもそう単純な話ではないけどね。
相手の思惑を探ろう
自分が勝ちそうなときに考えるべきことは、自分の負け筋だ。劣勢時はアウツを考える一方、優勢時はその状況を覆されかねないカードやプレイングを考えるんだ。そのためには相手の立場に立ち、どんなアウツを望んでいるか検討しよう。相手が投了しないかぎり、相手はあなたを逆転しようとしていることを忘れずに!相手の一歩先を行くんだ。
では、相手は具体的にどう逆転しようとしているのだろう?とにかくダメージを稼ぎ、ラストターンで火力を引きたいのかもしれない。もしそうならば、あなたがすべきことはライフを確実に守ることだ。優勢な時はリソースにも余裕があるだろうから、多少は不利な交換をしてでも相手の勝ち筋を潰しにいくべきだろう。
同様に、相手の切り札が《対立の終結》といった全体除去でありそうなら、先述した自分がアウツに賭けていた時とは全く逆の状況だ。あなたは相手のアウツから身を守らなければならない。相手が《対立の終結》を引かないかぎりは勝てるのだから、相手がそれを引くことを同じように前提とするんだ。クリーチャーの展開は避け、万が一相手にアウツをトップされても再展開出来るようにしよう。
ゲームを単純にしよう
さっきも言ったけど、僕は優勢なときはクリーチャーやリソースを交換しに行く。単純な試合とは対処しやすく、先の展開も読みやすいものだ。そのような状況下では、アドバンテージはアドバンテージとして残りやすい。
具体的に互いのリソースが少ない状況で、アドバンテージがどう広がっていくのか考えよう。相手はマリガンして5枚スタートとする。ゲームの5ターン目、相手は9枚に対しあなたは11枚。一見これは大差ではない。しかし戦闘で1体、除去でもう1体、さらに《思考囲い》でもう1枚を交換すると、互いのリソースは減りに減り、あなたは8枚、相手は6枚だ。こうなるとあなたのアドバンテージは確固たるものになり、試合結果により影響することになるだろう。
“スロー・ローリング”を恐れない
『スロー・ローリング』とはマジックの奇妙な考えの一つだ。すなわちスロー・ロールするというのは、ゲームを決めるカードをすぐ使わずに、必要以上に保持したままにすることだ。例えばあなたのライフが3の時に僕が《稲妻の一撃》を引いた時、僕はあなたにそれをすぐ撃ちこむことも出来るし、『スロー・ローリング』することも出来る。
もし勝者がスロー・ロールすると、相手をより痛めつけることになるという考えがある。スローロールした相手を不快に思う人もいる。僕にとってそれはおかしな話であり、マジック・コミュニティに蔓延る癌だと思う。
もちろん、スローロールには相手を怒らせようなんていう意図は全くない。スローロールされて怒っているプレイヤーが1万人いたとしても、その対戦相手の内たった一人でも果たして実際に怒らせようとしてスローロールしていたのか怪しいくらいだ。
スローロールを不快に思うのは実に馬鹿らしいし、スローロールすることで相手を不快にさせる可能性を考えるのもナンセンスだ。率直に言って、ゲームを速やかに終わらせること自体が間違っている!
オーケー、僕は《稲妻の一撃》を引き、あなたのライフは3。ふむ、僕は今すぐゲームを決められそうだね。だけどそう上手くいくだろうか?あなたはカウンターを持っているかも?ライフゲインしてくるかも?実はあなたの場にある2体の《クルフィックスの狩猟者》と《吹きさらしの荒野》を僕は失念しているかも?相手の逆転は絶対に許せることではない。ゲームを決められる時でもあなたは常に時間をかけながら最良のプレイをするべきだ。
『スロー・ロール』なんて言葉は忘れよう。最終ターンのプランニングに時間を掛けることをためらわないことだ。僕だってためらったことはないよ。それで相手が怒ってきても、あなたに落ち度はない。マジックのゴールはベストを尽くすことであり、勝つためのあらゆる手段を講じるべきだ。相手に敬意を払い、紳士的なプレイを心がければ、相手がスローロールなんかに怒る道理はないさ。
スロー・ロールに否定的な人を目一杯思いやったらこんな言葉になるだろう。「僕は勝ちそうだけど、入念に考えているんだ」と。言うまでもないことだけどね。自分のゲームだけに集中し、必要なことを行うんだ。
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集中を切らさない
『集中』とはマジックの上達に最も重要なスキルであると、僕の最初のLevel One記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11)で書いていたね。集中は現状を把握し、ミスを最小限に抑え、勝利に必要なものを導くものだ。
有利になりすぎたり、不利になりすぎたりするとプレイヤーは集中を切らしやすい。集中が切れそうになってたら、何とかして取り戻すんだ。集中しアウツを考えることはマジックの重要なスキルであり、ゲームを安全かつ効率的に終わらせる事ができる。
ああ、誰でも大逆転は好きだ。そのためのスキルを駆使し、大逆転を目指そう!
Posted in Level One on March 30, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-ahead-playing-behind-2015-03-30
僅差の試合こそ皆ベストを尽くすものだ。僕も、皆も、マジックも、人生のあらゆる側面でも。激しい競争こそ僕達にベストを尽くさせる。人間がこの地球上で長らく生き残ってきた鍵だ!人類の熱い歴史だ!そうだろう!
……そうだろうか?
よし、別の視点で考えよう。大抵の人は僅差でない試合でこそ最悪を犯す。ダメそうなときほど簡単に諦める。すべてが上手く行っている時ほど人は舐めプに走る。そう、差し迫った事態でベストを尽くすことは(洞窟でサーベルタイガーと命の駆け引きをするような)人にとっては相応しいことだが、マジックプレイヤーにとっては自滅の素なのである。
あなたが劣勢であるとき、あなたはあらゆる勝利のチャンスを掴みに行かなければならない。
あなたが優勢であるとき、堅実にプレイし相手のチャンスを潰さなければならない。
数ある敗北濃厚な試合の内、1つでも逆転が出来るなら、あなたは優れたマジックプレイヤーになる。逆に勝利の可能性を1つでも取りこぼすようなら、大会を勝ち抜くことは出来なくなるだろう。
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劣勢時のプレイ
まず1つ、これまでのプロツアーで最もエキサイティングだったプレイを紹介しよう。
Topdeck of the Century
https://www.youtube.com/watch?v=4t0pzLnSWw0
(解説付き)
【MTG】プロツアー・ホノルル06 Craig Jones 劇的なトップデッキ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4587269
Olivier Ruelと対峙し、バーンも出来るアグレッシブデッキを駆るCraig Jonesは敗北が迫っているのを感じていた。Craigが《黒焦げ》を引いた時の実況を聞いてみよう。一人は相手のクリーチャーを除去すべきと言った。逆にもう一人は本体に撃ちこむという大胆なプランを挙げた。そして王者Jonesは後者を選択し、後の展開は歴史に残った――。
アウツに賭ける
《黒焦げ》をトップしたこの時点では、相手のクリーチャーを焼く方が適切なプレイに見える。しかしCraig Jonesの置かれた状況は非常に悪く、除去したところで状況は改善されない。何ターンかの延命をしても、敗北の道は避けられない。
かの海賊黒髭があなたに船から突き出た板を歩くよう命じてきたら……板の長さなんてどうでもいいだろう?
そしてCraigは残された勝利への道を模索した結果、この瞬間が分水嶺だと踏んだ。勝つ確率は低かったが、確実な敗北よりはマシだ。彼は《黒焦げ》を相手に撃ちこむと、ファイナルドローで《稲妻のらせん》をトップした。これが、自分の『アウツに賭けた』ということだ。
アウツとは勝つために必要なカードまたは状況のことだ。自分が敗北の流れにある時は、思考の焦点をただ正しいプレイをすることから、アウツを考えることへ移さなければならない。自分のアウツが何であるか把握し、それを引くことを前提としたプレイをするんだ。それを引いた時、負けを勝ちにするという最高のアドバンテージを得られる。引けなかったとしても、アウツに賭けなかった時と同じ結果になるだけだ。
別の例で考えてみよう。次のターンに《対立の終結》を引かない限り負けてしまう時、考えられるプレイは4つだ。
A. 普通にプレイする。《対立の終結》は引けなかった。敗北。
B. 次のターンに《対立の終結》を引くと仮定する。そのために必要な最も「正しい」プレイをする。クリーチャーは出さず、相手の4/4をチャンプブロックする。結局《対立の終結》は引けず敗北。
C. 普通にプレイする。《対立の終結》を引く。盤面は対等になるが、ディスアドをしライフも失う。結果は不確定だが、おそらく敗北する。
D. 次のターンに《対立の終結》を引く仮定でプレイする。《対立の終結》を引く。盤面は対等になり、ライフは持ち、手札には後続のクリーチャー。きっと勝利する。
これら4つのプレイを検討すると、アウツ、すなわち《対立の終結》を引くために必要なコストは何もない。引かなければ、どの道敗北する。引けば勝つ。問題なのはデッキに入ってる《対立の終結》が4枚か1枚かではなく、それが唯一の勝ち筋ならば、それに沿ったプレイをするべきだということだ。
ゲームを複雑にしよう
アウツに賭けるとは言葉では単純だが、実戦では複雑なものになりがちだ。大抵、勝ち筋がたった1つとは限らない。アウツが複数あるなら、どのアウツが引きやすく、また全てのアウツに賭けるための最良のプレイングをどうすればいいか考えなければならない。
大抵は全てのアウツを考慮することは出来ないくらいゲームが複雑だ。そんなケースでは、特定の勝ち筋を追うことも出来なければ普通にプレイすることもない。僕からのアドバイスは、可能な限り状況をより複雑にすることだ。
複雑化された状況からは更なる選択肢や可能性が生まれる。自分のクリーチャーが0体、相手には2体なら、そこから導かれるのは敗北のみだが、相手が4体、自分が2体なら反撃の余地がある。もしかしたら相手が不用意なフルパンをしてきて、返しで《強大化》や《戦場での猛進》を引くかもしれない。あるいは相手がアタックせず受けに回ったことで幾分かの時間を得た結果、《凍氷破》や《飛鶴の技》をトップ出来るかもしれない。
優勢な時や対等な時、僕は殆どの場合クリーチャーを交換しに行く。一方で劣勢の時は、予期せぬ変化をもたらす複雑な状況を作り出すために、ある程度のダメージをスルーしてでも盤面のクリーチャーを温存する。
相手のミスを誘おう
アウツはただトップしたいカードという意味ではない。対戦相手のプレイングもその1つだ。
あなたは今劣勢にあるが手札には《ラッパの一吹き》がある。ターンを渡し、チャンプブロックで敗北までに僅かな延命を図ることも出来るが……逆に潔くフルアタックするという手もある。相手が的確にブロックしてきたらそれまでだ。返しの攻撃であなたは負ける。しかしもし相手がブロックをミスったならば、《ラッパの一吹き》で脅威を排除しゲームを続行できるだろう。
諦めないこと!
以上を活かすためにも、ライフが0になるまではゲームを投了しないことだ。最後のドローが思っても見なかったソリューションであるかもしれない!相手が半端なプレイをしてしまい盛り返すことだってある。
たとえそれがラストターン、相手のクリーチャーに対し壁もない状況であったとしても、しっかりターンを返して相手に攻撃を宣言させることだ。相手が《必殺の一射》をケアするかもしれないし、ダメージ計算を勘違いして攻撃を止めるかもしれない。なんだって起こりうる!
投了する理由は次の試合に備えて時間をケアするか、まだ見せてない情報を隠したい時だけだ。ゲームが続く限り、何時でも逆転のチャンスは訪れる。投了した瞬間、それらは消え去るのみだ――。
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優勢時のプレイング
さて、劣勢な時の勝算を捨てたプレイは敗北への一途を辿るだけだ。同様に、勝ちパターンに入っている時の舐めプも命取りになる。
優勢時のプレイングについて僕が言えることは、劣勢時の逆と言える。と、言ってもそう単純な話ではないけどね。
相手の思惑を探ろう
自分が勝ちそうなときに考えるべきことは、自分の負け筋だ。劣勢時はアウツを考える一方、優勢時はその状況を覆されかねないカードやプレイングを考えるんだ。そのためには相手の立場に立ち、どんなアウツを望んでいるか検討しよう。相手が投了しないかぎり、相手はあなたを逆転しようとしていることを忘れずに!相手の一歩先を行くんだ。
では、相手は具体的にどう逆転しようとしているのだろう?とにかくダメージを稼ぎ、ラストターンで火力を引きたいのかもしれない。もしそうならば、あなたがすべきことはライフを確実に守ることだ。優勢な時はリソースにも余裕があるだろうから、多少は不利な交換をしてでも相手の勝ち筋を潰しにいくべきだろう。
同様に、相手の切り札が《対立の終結》といった全体除去でありそうなら、先述した自分がアウツに賭けていた時とは全く逆の状況だ。あなたは相手のアウツから身を守らなければならない。相手が《対立の終結》を引かないかぎりは勝てるのだから、相手がそれを引くことを同じように前提とするんだ。クリーチャーの展開は避け、万が一相手にアウツをトップされても再展開出来るようにしよう。
ゲームを単純にしよう
さっきも言ったけど、僕は優勢なときはクリーチャーやリソースを交換しに行く。単純な試合とは対処しやすく、先の展開も読みやすいものだ。そのような状況下では、アドバンテージはアドバンテージとして残りやすい。
具体的に互いのリソースが少ない状況で、アドバンテージがどう広がっていくのか考えよう。相手はマリガンして5枚スタートとする。ゲームの5ターン目、相手は9枚に対しあなたは11枚。一見これは大差ではない。しかし戦闘で1体、除去でもう1体、さらに《思考囲い》でもう1枚を交換すると、互いのリソースは減りに減り、あなたは8枚、相手は6枚だ。こうなるとあなたのアドバンテージは確固たるものになり、試合結果により影響することになるだろう。
“スロー・ローリング”を恐れない
『スロー・ローリング』とはマジックの奇妙な考えの一つだ。すなわちスロー・ロールするというのは、ゲームを決めるカードをすぐ使わずに、必要以上に保持したままにすることだ。例えばあなたのライフが3の時に僕が《稲妻の一撃》を引いた時、僕はあなたにそれをすぐ撃ちこむことも出来るし、『スロー・ローリング』することも出来る。
もし勝者がスロー・ロールすると、相手をより痛めつけることになるという考えがある。スローロールした相手を不快に思う人もいる。僕にとってそれはおかしな話であり、マジック・コミュニティに蔓延る癌だと思う。
もちろん、スローロールには相手を怒らせようなんていう意図は全くない。スローロールされて怒っているプレイヤーが1万人いたとしても、その対戦相手の内たった一人でも果たして実際に怒らせようとしてスローロールしていたのか怪しいくらいだ。
スローロールを不快に思うのは実に馬鹿らしいし、スローロールすることで相手を不快にさせる可能性を考えるのもナンセンスだ。率直に言って、ゲームを速やかに終わらせること自体が間違っている!
オーケー、僕は《稲妻の一撃》を引き、あなたのライフは3。ふむ、僕は今すぐゲームを決められそうだね。だけどそう上手くいくだろうか?あなたはカウンターを持っているかも?ライフゲインしてくるかも?実はあなたの場にある2体の《クルフィックスの狩猟者》と《吹きさらしの荒野》を僕は失念しているかも?相手の逆転は絶対に許せることではない。ゲームを決められる時でもあなたは常に時間をかけながら最良のプレイをするべきだ。
『スロー・ロール』なんて言葉は忘れよう。最終ターンのプランニングに時間を掛けることをためらわないことだ。僕だってためらったことはないよ。それで相手が怒ってきても、あなたに落ち度はない。マジックのゴールはベストを尽くすことであり、勝つためのあらゆる手段を講じるべきだ。相手に敬意を払い、紳士的なプレイを心がければ、相手がスローロールなんかに怒る道理はないさ。
スロー・ロールに否定的な人を目一杯思いやったらこんな言葉になるだろう。「僕は勝ちそうだけど、入念に考えているんだ」と。言うまでもないことだけどね。自分のゲームだけに集中し、必要なことを行うんだ。
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集中を切らさない
『集中』とはマジックの上達に最も重要なスキルであると、僕の最初のLevel One記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11)で書いていたね。集中は現状を把握し、ミスを最小限に抑え、勝利に必要なものを導くものだ。
有利になりすぎたり、不利になりすぎたりするとプレイヤーは集中を切らしやすい。集中が切れそうになってたら、何とかして取り戻すんだ。集中しアウツを考えることはマジックの重要なスキルであり、ゲームを安全かつ効率的に終わらせる事ができる。
ああ、誰でも大逆転は好きだ。そのためのスキルを駆使し、大逆転を目指そう!
コメント
デューク東郷に対する愛も伝わってきたよ…(侮辱
冗談はさておき、為になったよー
自分も参考にして頑張ろうと思いました。
スローローリングはルアーの巻き方のテクニックで、ある一定のタナをゆっくり巻いて、魚のアタリを待ち構えるような釣り方。魚(大体はブラックバス)の活性が高くないときにこういう釣り方をする事が多い。自分もよくやってた。
ありがとうございます。今後リミテッドをするときは特に念頭に置いておきたいですね。
>tApさん
中学生並みの感想ありがとうございます!
>ポニョさん
おー本業のコメントありがたいです!
なるほど、相手の方から動きに行かせるといった技術ですか。確かにリアルだと嫌う人もいそうです。
週末お会いしましょう~。
元の記事がちょうど今知りたい内容でした。もちろん、翻訳も丁寧であるため読みやすく、私にとって大助かりでした。
できるだけ需要の有りそうな記事を訳そうと思っているので、こちらこそ宜しくお願いします。