【翻訳】Will Jonathan - 競技志向と楽しむことの両立
2017年11月27日 翻訳 コメント (5)Balancing Competitiveness and Fun
By Will Jonathan // 18 Nov, 2017
https://www.channelfireball.com/articles/balancing-competitiveness-and-fun/
今回のテーマはとてもありふれたことです。
いつもどこでも話されていることですが、それは競技志向になるプレイヤーほど見失いがちなことでもあります。
それは、楽しむことです。
より高みを目指すプレイヤーほど、ゲームを楽しむことは徐々に超・競技志向へと移り変わってしまいます。何故でしょう?それは競技性が高まり、プライズが豪華になると、人は楽しむことを止め、試合を『より真剣に』受け止め、なんとしても競技の場で戦い抜くための姿勢になってしまうからです。こうなるとゲームを愚直に楽しむことはなくなります。何故ならそのゲームはもう重大で真剣な勝負なのですから!PPTQも、グランプリも、そしてプロツアーですら、あなたはもう楽しむことなんて考えられなくなります。競技の世界で成功するためには一切の甘えを捨てた容赦のない真剣勝負を挑むべきなのです!
……この考え方は色々な意味で間違っています。
正しくはこう……単純なことです。楽しむことこそが、ベストなプレイをする上でも、成功に近づく上でも、不可欠なことなのです。
あなたがゲームを楽しみ、面白く思うことで、自分の力を最大限に発揮しブレなく勝つことが出来るのです。競技性が高まりプライズが豪華になるほど、楽しむことの重要性はより増していきます。問題なのは、この『楽しむこと』と『競技志向になること』は別のものと考えられがちであるということです。
『楽しむこと』と『競技志向になること』は相反するものである、と考える人は多くいます。どちらか片方は切り捨てなければならない、と考える人も。しかし、実際はそうではありません。少なくとも、片方を切り捨てる必要はありません。それどころか、非常に高い競技のフィールドで戦いながらも同時にゲームを楽しむことが出来る人もいるのです。そう、繰り返しますが、競技性と楽しさの両方を味わうことこそが、あなたのプレイヤースキルを最大限に発揮できる方法なのです。
楽しむこととプレイを疎かにすることは明確に違います。その境界線を理解することはとても大事です。何事もバランスです。どちらか一方に偏るべきではありません。
競技志向と楽しむことのバランスを考えるにあたって、0から10までの範囲をつけて考えてみましょう。"0"ではあなたはただの怠け者です。プレイングを考えることもしなければ適当に呪文をプレイするだけです。しかし、"10"だと逆に競技志向過ぎです。あなたはあらゆるゲームに対し神経を張り詰め、真剣になりすぎてしまいます。ゲームを楽しみながらも競技としての心持ちを併せ持った"5"であるべきでしょう。
もしゲームを楽しむようにすると、よりリラックスした気持ちで落ち着いてプレイすることが出来ます。緊張や重圧、不安などに慣れることは中々容易ではありませんよね。例えばただ笑顔を忘れないようにするだけでも、それはあなたがベストなプレイをするための大きな助けとなってくれます。
微笑むことは神経ペプチドの放出を活性化させ、ストレスや緊張を解消してくれます。 神経ペプチドとはニューロン(神経細胞)同士の情報伝達をつかさどる小さな分子のことです。 神経ペプチドはあなたが幸せや悲しみ、怒りや落ち込み、興奮などを感じた時に全身へその感情を伝達します。 中でも良い感情を伝達するドーパミンやエンドルフィン、セロトニンなどは笑顔によって解放されるのです。 これらはあなたの体をリラックスさせるだけでなく、心拍数や血圧を下げることもしてくれます。
常々言っているのですが、プレイヤーは試合の結果にのみ楽しさを求めようとしすぎなのです。
勝った時はそれはもう楽しくプレイできたことでしょう。逆に負けた時はその試合にはもはや楽しめる要素など何も無かったと……おおっと、早合点しないでください!もちろん勝った時が楽しいのは言うまでもありませんし、負けた試合は勝った試合と同様に楽しめるだなんて言うつもりもありません。それが当たり前です。
私が使った言葉はそういう意味ではありません。勝利自体は楽しいものですし、敗北は楽しくないことです。
私が言いたいのは、勝敗という結果自体が『そのゲームを楽しくプレイできたか』を決める要素であるべきではない、ということです。勝利は楽しむための必要条件ではなく、あくまで楽しむための補助なのです。敗北もまた楽しさを根底から台無しにするものではなく、楽しむことのちょっとした障壁にすぎません。ゲームを楽しみ、モチベーションを高めてくれる要因を試合結果に求めてしまうと、あなたは能動的にゲームを楽しむことが出来なくなってしまいます。何故ならゲームを楽しむためには勝利という特定の状況が必要となるからです。
もしゲームを勝利し、この楽しむための要件を満たした時はそれはもうゲームを楽しんだことでしょう。しかし、負けてしまった時はどうなるのでしょうか?勝利という結果自体を楽しむための条件にしているのであれば、どうやってそのゲームを楽しめるというのでしょう?
自明なことです。それでは楽しむことは出来ませんし、楽しんでプレイすることも出来ません。『あなた自身が決めた』、楽しむための条件が満たされていないからです。試合結果――結果が良かったか、悪かったか――とは、一時的なものにすぎないことを忘れてはいけません。結果の善し悪しでマジックを楽しもうとするならば、そこで得られる楽しさもまた、一時的なものにしかならないのです。
ええ、一時的なものであってはならないでしょう。常に楽しんでいるべきです。つまり、楽しむための要素は試合結果といった外的要因ではなく、ゲーム自体にあるべきなのです。
私自身は、勝っても負けてもいつもマジックを楽しんでいます。どうしてか?それは、私はマジックのデザインがとても大好きだからです。呪文を唱え、クリーチャーで攻撃し、あわよくば相手を倒したりすることが好きなのです。勝つための計算をするのも、プレイングを道筋立てて考えるのも大好きです。これらは勝ち負けに関係なく、マジックをする時は常に存在するものです。
ブラッド・ネルソン氏の記事に「心を強くしよう("Mental Mindset" http://www.starcitygames.com/article/29222_Mental-Mindset.html)」という素晴らしいものがあります。その記事では、ゲームの精神面に関連した話題と、なぜそれらが重要なのかが説明されています。 その内容の1つは楽しむことについてでした。ここに彼の説明をそのまま引用しましょう。
では、競技志向と楽しさのバランスを取るために必要なアドバイスをしましょう。
1. あなたがゲームを楽しむためには何が必要なのか分析してみよう。
楽しくゲームをプレイするためには、そもそも何で楽しいのかを考えてみることです。まずはゲームをしていて自分が最も楽しいと思える瞬間は何から生じているのか考えてみましょう。それは結果でしょうか?ゲームそのものでしょうか?そのゲームをする人の輪からでしょうか?それとも大きな目標でしょうか?より強いプレイヤーとの対戦でしょうか?何か好きなデッキタイプがあるのかも?あるいはフォーマット?
自分の楽しさの原動力が何処にあるのか分かったら、今度はゲームをする際にそれらへ着目する優先順位を正しいものにしましょう。もし、あなたが結果を楽しさの原動力としているように感じるならば、それからは脱出して別の原動力を探すべきです。結果という一時的なものにすぎない状態からしか楽しさを見いだせないのは、非常に不安定ですから。
2. 結果ではなく、その試合の流れや質に焦点を当ててみよう。
ChannelFireball.comにアップされているBen Starkによるアモンケットリミテッドの一場面にこんなものがあります。彼はメイン戦をほぼ勝ち確定の状況から、信じられないほど複雑な事象が混じり合った長期戦を経て、最後は負けてしまいました。しかし、彼は全く動揺しませんでした。サイドボーディング中に彼は「うわー、まさか負けるなんて思わなかったよ。さっきのは本当に面白い試合だったなあ」と感想をつぶやくのです。競技マジックをより楽しむための第一歩は、結果に一喜一憂せず、その試合で起こったやりとりや自分のプレイングを見直してみることです。先程も言いましたが、たとえ負けても楽しむことは出来るのです。負け試合にも興味深かった場面や難しかった場面、楽しかった場面があることでしょう。
3. 『競技マジック』をただ一つの競技ではなく、総合的な経験として捉えてみよう。
競技マジックはグランプリやPPTQ、プロツアーに限った話ではありません。その全てがユニークな経験となります。
大会では大切な友人や同じ志を持った人々に囲まれますし、そこで愛するゲームをプレイ出来ること自体が幸せなことでもあります。大規模イベントにはバイヤーやアーティストがいます。会場が大きければ大会後には観光や散策も出来るでしょう。競技マジックを楽しむには、そこで経験すること全てに目を向けてみることです。そこで得られる経験とは大会ただ一つのものに留まりません。競技マジックに参加することは、すなわち競技マジックがとても素晴らしいものであることを祝うことなのです。競技やプロの世界でゲームをプレイするために、競技志向と楽しむことの片方だけを選ぶ必要はありません。私達はそれらの丁度いいバランスを取ることが出来るのです。そうすることで、きっとあなた自身の助けになるでしょう。
By Will Jonathan // 18 Nov, 2017
https://www.channelfireball.com/articles/balancing-competitiveness-and-fun/
(著者紹介) Will Jonathan
スポーツ心理学者・メンタルパフォーマンス指導者。2000年のインベイジョンからマジックを始める。
クライアントにはPGAツアー(プロゴルフ)、メジャーリーグ、UFC(総合格闘技)、オリンピック選手など様々。世界中の様々な大学スポーツチームとも盛んに協議している。
公式HP:https://willjonathan.com/
今回のテーマはとてもありふれたことです。
いつもどこでも話されていることですが、それは競技志向になるプレイヤーほど見失いがちなことでもあります。
それは、楽しむことです。
より高みを目指すプレイヤーほど、ゲームを楽しむことは徐々に超・競技志向へと移り変わってしまいます。何故でしょう?それは競技性が高まり、プライズが豪華になると、人は楽しむことを止め、試合を『より真剣に』受け止め、なんとしても競技の場で戦い抜くための姿勢になってしまうからです。こうなるとゲームを愚直に楽しむことはなくなります。何故ならそのゲームはもう重大で真剣な勝負なのですから!PPTQも、グランプリも、そしてプロツアーですら、あなたはもう楽しむことなんて考えられなくなります。競技の世界で成功するためには一切の甘えを捨てた容赦のない真剣勝負を挑むべきなのです!
……この考え方は色々な意味で間違っています。
正しくはこう……単純なことです。楽しむことこそが、ベストなプレイをする上でも、成功に近づく上でも、不可欠なことなのです。
あなたがゲームを楽しみ、面白く思うことで、自分の力を最大限に発揮しブレなく勝つことが出来るのです。競技性が高まりプライズが豪華になるほど、楽しむことの重要性はより増していきます。問題なのは、この『楽しむこと』と『競技志向になること』は別のものと考えられがちであるということです。
『楽しむこと』と『競技志向になること』は相反するものである、と考える人は多くいます。どちらか片方は切り捨てなければならない、と考える人も。しかし、実際はそうではありません。少なくとも、片方を切り捨てる必要はありません。それどころか、非常に高い競技のフィールドで戦いながらも同時にゲームを楽しむことが出来る人もいるのです。そう、繰り返しますが、競技性と楽しさの両方を味わうことこそが、あなたのプレイヤースキルを最大限に発揮できる方法なのです。
楽しむこととプレイを疎かにすることは明確に違います。その境界線を理解することはとても大事です。何事もバランスです。どちらか一方に偏るべきではありません。
競技志向と楽しむことのバランスを考えるにあたって、0から10までの範囲をつけて考えてみましょう。"0"ではあなたはただの怠け者です。プレイングを考えることもしなければ適当に呪文をプレイするだけです。しかし、"10"だと逆に競技志向過ぎです。あなたはあらゆるゲームに対し神経を張り詰め、真剣になりすぎてしまいます。ゲームを楽しみながらも競技としての心持ちを併せ持った"5"であるべきでしょう。
もしゲームを楽しむようにすると、よりリラックスした気持ちで落ち着いてプレイすることが出来ます。緊張や重圧、不安などに慣れることは中々容易ではありませんよね。例えばただ笑顔を忘れないようにするだけでも、それはあなたがベストなプレイをするための大きな助けとなってくれます。
微笑むことは神経ペプチドの放出を活性化させ、ストレスや緊張を解消してくれます。 神経ペプチドとはニューロン(神経細胞)同士の情報伝達をつかさどる小さな分子のことです。 神経ペプチドはあなたが幸せや悲しみ、怒りや落ち込み、興奮などを感じた時に全身へその感情を伝達します。 中でも良い感情を伝達するドーパミンやエンドルフィン、セロトニンなどは笑顔によって解放されるのです。 これらはあなたの体をリラックスさせるだけでなく、心拍数や血圧を下げることもしてくれます。
常々言っているのですが、プレイヤーは試合の結果にのみ楽しさを求めようとしすぎなのです。
勝った時はそれはもう楽しくプレイできたことでしょう。逆に負けた時はその試合にはもはや楽しめる要素など何も無かったと……おおっと、早合点しないでください!もちろん勝った時が楽しいのは言うまでもありませんし、負けた試合は勝った試合と同様に楽しめるだなんて言うつもりもありません。それが当たり前です。
私が使った言葉はそういう意味ではありません。勝利自体は楽しいものですし、敗北は楽しくないことです。
私が言いたいのは、勝敗という結果自体が『そのゲームを楽しくプレイできたか』を決める要素であるべきではない、ということです。勝利は楽しむための必要条件ではなく、あくまで楽しむための補助なのです。敗北もまた楽しさを根底から台無しにするものではなく、楽しむことのちょっとした障壁にすぎません。ゲームを楽しみ、モチベーションを高めてくれる要因を試合結果に求めてしまうと、あなたは能動的にゲームを楽しむことが出来なくなってしまいます。何故ならゲームを楽しむためには勝利という特定の状況が必要となるからです。
もしゲームを勝利し、この楽しむための要件を満たした時はそれはもうゲームを楽しんだことでしょう。しかし、負けてしまった時はどうなるのでしょうか?勝利という結果自体を楽しむための条件にしているのであれば、どうやってそのゲームを楽しめるというのでしょう?
自明なことです。それでは楽しむことは出来ませんし、楽しんでプレイすることも出来ません。『あなた自身が決めた』、楽しむための条件が満たされていないからです。試合結果――結果が良かったか、悪かったか――とは、一時的なものにすぎないことを忘れてはいけません。結果の善し悪しでマジックを楽しもうとするならば、そこで得られる楽しさもまた、一時的なものにしかならないのです。
ええ、一時的なものであってはならないでしょう。常に楽しんでいるべきです。つまり、楽しむための要素は試合結果といった外的要因ではなく、ゲーム自体にあるべきなのです。
私自身は、勝っても負けてもいつもマジックを楽しんでいます。どうしてか?それは、私はマジックのデザインがとても大好きだからです。呪文を唱え、クリーチャーで攻撃し、あわよくば相手を倒したりすることが好きなのです。勝つための計算をするのも、プレイングを道筋立てて考えるのも大好きです。これらは勝ち負けに関係なく、マジックをする時は常に存在するものです。
ブラッド・ネルソン氏の記事に「心を強くしよう("Mental Mindset" http://www.starcitygames.com/article/29222_Mental-Mindset.html)」という素晴らしいものがあります。その記事では、ゲームの精神面に関連した話題と、なぜそれらが重要なのかが説明されています。 その内容の1つは楽しむことについてでした。ここに彼の説明をそのまま引用しましょう。
マジックはゲームです。忘れていた人もいるとは思いますが、本当に単なるゲームなんです。グランプリは同じ趣味を持った人々が週末に展示場へ集まった楽しいゲームイベントです。友人同士で近場に集まってワイワイ遊ぶことも出来ます。そこにストレスなんてあるわけがありません。
しかし残念なことに、マジックをすることで不要なストレスを溜めてしまう人があまりにも多くいます。彼らはとにかく試合の結果を重視し、試合の後はおろか、始まる前から既にストレスを感じてしまいます。結果だけが全てだと。
これはいけません。本当に、本当にいけない!
マジックはただのゲームです。そもそも楽しむために考案されたものであるはずです。特に目的の無い状況でマジックをして緊張する人なんていません。しかし大会の場では全てが変わってしまうのです。
何かを達成しようとするストレスは様々な状況に対する視点を乱し、優先順位を変化させます。マジックを楽しみながら腕を上げていくよりも先に、勝利ただそれだけを求めようとするのです。ただ勝てば嬉しい。負けたらただ悲しい。
マジックを楽しめない限り、あなたの腕前は一生上達しないでしょう。何事も楽しめていないならば、それを辞めるのが一番です。簡単なことです。しかし辞めたくないけど楽しめてもいないのであれば、マジックに求める優先順位をもう一度考え直してみましょう。あなたはただ勝利のためだけに、マジックをプレイしていませんか?
では、競技志向と楽しさのバランスを取るために必要なアドバイスをしましょう。
1. あなたがゲームを楽しむためには何が必要なのか分析してみよう。
楽しくゲームをプレイするためには、そもそも何で楽しいのかを考えてみることです。まずはゲームをしていて自分が最も楽しいと思える瞬間は何から生じているのか考えてみましょう。それは結果でしょうか?ゲームそのものでしょうか?そのゲームをする人の輪からでしょうか?それとも大きな目標でしょうか?より強いプレイヤーとの対戦でしょうか?何か好きなデッキタイプがあるのかも?あるいはフォーマット?
自分の楽しさの原動力が何処にあるのか分かったら、今度はゲームをする際にそれらへ着目する優先順位を正しいものにしましょう。もし、あなたが結果を楽しさの原動力としているように感じるならば、それからは脱出して別の原動力を探すべきです。結果という一時的なものにすぎない状態からしか楽しさを見いだせないのは、非常に不安定ですから。
2. 結果ではなく、その試合の流れや質に焦点を当ててみよう。
ChannelFireball.comにアップされているBen Starkによるアモンケットリミテッドの一場面にこんなものがあります。彼はメイン戦をほぼ勝ち確定の状況から、信じられないほど複雑な事象が混じり合った長期戦を経て、最後は負けてしまいました。しかし、彼は全く動揺しませんでした。サイドボーディング中に彼は「うわー、まさか負けるなんて思わなかったよ。さっきのは本当に面白い試合だったなあ」と感想をつぶやくのです。競技マジックをより楽しむための第一歩は、結果に一喜一憂せず、その試合で起こったやりとりや自分のプレイングを見直してみることです。先程も言いましたが、たとえ負けても楽しむことは出来るのです。負け試合にも興味深かった場面や難しかった場面、楽しかった場面があることでしょう。
3. 『競技マジック』をただ一つの競技ではなく、総合的な経験として捉えてみよう。
競技マジックはグランプリやPPTQ、プロツアーに限った話ではありません。その全てがユニークな経験となります。
大会では大切な友人や同じ志を持った人々に囲まれますし、そこで愛するゲームをプレイ出来ること自体が幸せなことでもあります。大規模イベントにはバイヤーやアーティストがいます。会場が大きければ大会後には観光や散策も出来るでしょう。競技マジックを楽しむには、そこで経験すること全てに目を向けてみることです。そこで得られる経験とは大会ただ一つのものに留まりません。競技マジックに参加することは、すなわち競技マジックがとても素晴らしいものであることを祝うことなのです。競技やプロの世界でゲームをプレイするために、競技志向と楽しむことの片方だけを選ぶ必要はありません。私達はそれらの丁度いいバランスを取ることが出来るのです。そうすることで、きっとあなた自身の助けになるでしょう。
【翻訳】Reid Duke - ティムールエネルギーデッキガイド
2017年10月16日 翻訳 コメント (3)Standard Temur Energy Deck Guide
By Reid Duke // 12 Oct, 2017
https://www.channelfireball.com/articles/standard-temur-energy-deck-guide/
ティムール・エネルギーはスタンダードにおける最良のデッキと言えるだろう。
これはイクサラン導入以前でも言われていたことだね。そしてローテーションによって他のデッキが大きくパーツを失ったのに対し、このデッキはほぼそのままの形を維持していることがそれに拍車をかけている。
ティムールは名実ともに今世界選手権を席巻したデッキだ。William “Huey” Jensenこと彼がこれを手に大会を独走したのは記憶に新しいだろう。
今回は世界選手権に彼とOwen Turtenwald、そして僕が持ち込んだティムールのリストを解説しようと思う。まあ、リストには特に大きく変わったところは無いけど、ティムールというアーキタイプの強みを最大限に引き出しつつ、環境にいる一部の厄介なカードに対する解答を付け加えた感じの仕上がりだよ。
ティムールを最強たらしめているものとは
・まず《霊気との調和》は多色マナベースを適切に機能させるために不可欠なカードだ。そしてそこから得られるエネルギーは、他のエネルギー・カードをより有効に機能するようにしてくれる。
・ティムールは、赤単に有利なデッキの中でも特に広く使用されているデッキでもある(これはこれまでの僕の主張の中で初めて論争の的になるだろう)。赤単は絶対に無視することが出来ない存在だけど、スタンダードという狭いカードプールにおいては満足のいく対策はし辛いものだよね。そんな中でティムールが有する《つむじ風の巨匠》と軽量火力の束は最高の対策と言える!
要約:
・ティムールのマナベースは2色以上のデッキの中でも最良だ。
・環境随一のパワーカードが集約されたデッキである。
・環境2番手の様々なデッキに対し有利が取れる。
・パーツの取捨選択が多様なミッドレンジデッキであるため、容易に対策することは難しく、サイドボーディング後には更に相性を改善してくるデッキだ。
黒はタッチすべきか?
世界選手権の結果を見るに、世間の解答は「イエス」のようだね。
MOやSCGにおいては、入賞したティムールの半数以上が黒タッチを選択しており、《スカラベの神》と人によってはサイドボードにも黒いカードを潜ませている。
両方のバージョンを試した僕の答えは「ノー」だ。
確かに《スカラベの神》が無かったら勝てなかった試合も多いだろうね。ミラーマッチにおいては尚更だ。
僕はこの議題に対して初めて明言するが、多くのプレイヤーが《霊気との調和》と《霊気拠点》があるから「タッチはし得」であると考えているけど、実際には相応のリスクを背負っていると考えているよ。
より具体的には、タッチ黒バージョンは若干数の試合を色事故によって落としていると思われるんだ。《スカラベの神》ではなく別の5マナカードであったなら勝てたであろう試合を。
赤単がTier1な現環境においては特に顕著だろうね。赤単がティムールに勝つには、ティムール側が重要な局面で色事故を起こしたり、《逆毛ハイドラ》のダブルシンボルに手こずることに大きく依存しているから。
では何故「タッチはし得」と思われているのか?それは《霊気との調和》と《霊気拠点》が5色地形と換算されてしまっているからだけど、実際はそうではないんだ。
まず《霊気との調和》は唱えた時点で1色地形になる。
序盤に沼を探す余裕はあまりないだろう。ともあれあなたは序盤の多色カードのプレイのために2色ないし3色を揃えられはする。《根縛りの岩山》もアンタップイン出来るだろう。うん、それは問題ない。手元に《スカラベの神》がない時はあくまで必要な土地を探せばいいからね。
だけどゲーム後半、トップしてきたそのボムをプレイ出来ないという事態に直面したら……?
《霊気拠点》はずっと直接的な5色地形と見なせる。それでもこの土地に大きく依存するのは良い考えとはいえないね。
霊気拠点に費やす必要のなかったエネルギーが将来的にどう役立つかなんて分かることではないけど、それがソプターであれ+1/+1カウンターであれ、僅差のゲームを決定づける材料には十分成りうるんだ。
また、もし黒にタッチするのであれば1~2枚の《花盛りの湿地》などを付け加えることは悪くない構築と言える。けれども《スカラベの神》を引くまでは沼や《花盛りの湿地》は下位互換地形だ。《根縛りの岩山》はアンタップインし辛くなるし、《つむじ風の巨匠》も唱え辛くなる。
総じて僕は純正ティムールの方が好きだね。ただ、これが4Cバージョンの使用者全体に対する反論というわけではなく、あくまで一つの意見ってことで受け取って欲しいな。僕が確実に正しいなんてことはないからね。
もしあなたがティムールを愛用しているプレイヤーであるならば、是非両方のバージョンを試して検討して欲しいよ。《スカラベの神》は勝利をもたらし、一方で色事故のリスクも抱えていることを十分に加味してね。
メインボード
よくプレイされているエネルギー・カードの殆どは素晴らしく、その中でも4種――《導路の召使い》、《牙長獣の子》、《精製屋のならず者》、そして《蓄霊稲妻》はそのどれもが単体で強力だ。《つむじ風の巨匠》は赤単に対するベストカードであり、赤単が環境の大部分を占めている限り4積みでいいだろうね。《逆毛ハイドラ》も同様に強力であることに変わりなく、可能なら4枚入れておきたい所だったけど、世界選手権ではマナカーブを低めにするために3枚に抑えたんだ。
マナカーブの頂点に何を何枚積むかは個人の好みや黒タッチによるよ。僕はメインボードでは5枚、サイドボードに1、2枚がベストだと思う。僕のリストでは《栄光をもたらすもの》4枚と《慮外な押収》1枚だけど、他の二人は《栄光をもたらすもの》3枚に《慮外な押収》2枚だ。
《慮外な押収》は僕がスタンダードで一番好きなカードの一つだ。ティムールミラーのベストカードであり、《スカラベの神》よりも優れている(ああ、これも論争の的2つ目だね)。2枚入れることは赤単の《熱烈の神、ハゾレト》に対する解答が増えることにもなる。《栄光をもたらすもの》はあらゆるマッチアップで強力な必需品だ。
また殆どのティムールには火力8枚が標準装備だけど、《本質の散乱》という今世界選手権における最良のピースを2枚入れるために7枚へ減らしてある(偉大なるデッキビルダー・Ben Rubinへ敬意を)。
《本質の散乱》はこれまで長きに渡って収録されてきたカードだけど、それほど強いものではなかった。だけど現スタンダードではクリーチャーが主戦力であり、除去よりも打ち消しのほうが有効に効く場合の方が多い。《精製屋のならず者》や《奔流の機械巨人》の強さの源はそのCIP能力にあり、《逆毛ハイドラ》や《ハゾレト》は一度着地してしまえば処理するのは殆ど不可能だ。
《本質の散乱》はこれら全ての脅威に対する解答となり、またティムールの主要な弱点を幾つか補ってくれるカードなんだ。
さらに最終スロットとして、僕達は《ハゾレト》や《スカラベの神》へのワイルドカードとして《暗記+記憶》を選んだ。
練習の中では青白コントロールの《燻蒸》に対して《暗記》モードが勝負を決定づけることもあり(世界選手権ではそもそも白いデッキはいなかったけど)、このカードを選んでみたわけだ。と言っても一番重要なのは、《暗記+記憶》や《本質の散乱》といったインスタント呪文を入れることで、サイド後の《奔流の機械巨人》を有用に使用できるようになっていることかもしれないね。
サイドボード
Ben RubinとHuey(ジェンセン)が《奔流の機械巨人》を使うことを持ちかけてきた時は正直懐疑的だったよ。
だけどプレイしてみたその日から絶大にそれを支持するようになったんだ。世界選手権ではコントロールデッキに対して五分以上の勝負にしてくれたし、何よりも青白副陽デッキに対してはインスタントスピードの強力なカードであり、ミラーマッチにおいては強力かつ重要な6マナ域となってくれる。相手がデッキリストを知らない環境下ではより価値が高くなるだろうね。
一部の独特なサイドボードは青巨人との兼ね合いさ。《天才の片鱗》と《奔流の機械巨人》の組み合わせが強力であることは言うまでもないよね。素撃ちの《片鱗》で6枚目の土地を確保し、その後の機械巨人はその価値を最大限に発揮する(そもそも青巨人を解決できる事自体がいつでも素晴らしい!)。《至高の意思》もまた、青巨人を積極的にプレイ出来るようにする柔軟なカウンターだ。
2枚の《自然への興味》と青巨人を組み合わせることでエンチャントデッキとも戦うことが出来る。本来であればティムールを食うデッキと!一番の仮想的はイクサランリリース後に隆盛した白黒ベースの《選定された行進》デッキだろう。これらのデッキは置物が除去されない限りはやりたい放題となるけど、キーカードを狙い撃ちで除去することが出来れば崩れ始めるんだ。もし今後もこれらのトークンデッキが環境に存在し続けるならば、2枚目の《自然への興味》は《真っ二つ》に変えてより一層メタっていこうと思うよ。
後のサイドボードの役割は単純だ。赤単用の軽量カードにコントロール用の《否認》セット。
他に試そうと思っているのは《魔術遠眼鏡》だ。《真髄の針》カードには多くの用途があるけど、中でも止めることが有用な相手は《キランの真意号》《来世への門》《水没遺跡、アズカンタ》だね。
各マッチアップ
僕はスタンダードにおけるサイドボーディングは単純なものではないと考えているよ。
ほぼ全てのマッチアップで、僕たちは相手が処理しきれない脅威を用意し、逆に相手の脅威に対しても処理できるように解答を用意しようとするものだ。ならば、相手の脅威と解答を正確に知っておくことでサイドボーディングを柔軟に変えていくのは当然だろう?
ここで提示するサイドボーディングの例は、相手のデッキ情報が全くないときに僕が行うサイドボーディングだ。
もし相手の赤単に《栄光をもたらすもの》が3、4枚入っていることが予想されるならば《慮外な押収》の3枚目を入れてもいいし、ミラーマッチで相手がプレインズウォーカーを多数用意しているならば《つむじ風の巨匠》をもっと残すことも出来るだろう。
ミラーマッチ
ティムールvsティムールは典型的なミッドレンジミラーと言えるね。そして典型的なミッドレンジミラーの鍵は、相手より少し太くすることだ。例えば相手のマナカーブの頂点が5枚ならば、こちらは6枚あればいいってことだ。強調しておくけど、あくまで『少し』太くだ。あまり大胆に低速化すると《牙長獣の子》ビートにイカれてしまったり、後手後手に回って結局テンポ負けしてしまうこともある。ティムールのカードを引く手段は決して多くはなく、このマッチアップではテンポが重要な要素となっていることに注意だ。
6マナや7マナのカードを何枚も入れる際にはそのリスクを承知で行って欲しいよ。
《牙長獣の子》は問題なく使用できるカードだけど、簡単に1:1交換されうる、デッキの中で唯一の直接アドバンテージをもたらさないカードだ。なので先手と後手で柔軟に変えられる可変スロットと見なせる。先手で 《牙長獣の子》を抜く人は殆どいないだろうけど、「太く」なるためにはより防御的なプランを取ることは理にかなっている行為でもあるんだ。
赤単
赤単との相性は微差ではあるけど、僕はティムール側が有利だと自信を持って言うよ。
《つむじ風の巨匠》に《逆毛ハイドラ》、そして軽量火力は序盤の猛攻を凌ぐのに素晴らしい働きぶりをする。問題となるのは《熱烈の神、ハゾレト》への解答だ。そもそもこれに解答することは非常に困難だから、《ハゾレト》と《ラムナプの遺跡》に焼き尽くされる前にダメージレースを仕掛けなければならなくなる。すれ違いのダメージレースによって相手に引かせるカードを減らすことが根本的な対抗策と言えるだろうね。課題となるのは攻撃に回すクリーチャーと防御に回すクリーチャーのバランスだろう。
メインボードを過剰に抜きすぎないようにね。赤単は長期戦においても強く、デッキを軽量カードで固めてしまうと相手よりも勝ち筋が細くなって負けてしまうことがある。僕のルールとしては、5マナ域は最低3枚は確保しておくようにしているよ。
青黒コントロール
こちらが上手く噛み合っている時の青黒コンとのマッチアップはミッドレンジ対決のようなものだろうね。相手が《スカラベの神》を探すためにメインでタップアウトするくらいに相手を追い詰められれば何とかなるけど、《アズカンタの探索》がそれを容易に阻んでくる。早期に《アズカンタの探索》を貼られてしまうと、相手はゆったりとコントロールするだけで良くなり、ティムール側はお祈りしながらクリーチャーを出し続けるしかない。
取り敢えず相手には全体除去がほぼ無いので、《つむじ風の巨匠》は非常に頼もしい相棒となるよ。
僕達のデッキリストではこのマッチアップにおいて2つのアプローチがある。
一つ(恐らくこれが良い)はマーフォークやデルバーのように動くこと。最速でクリーチャーを着地させ、後はそれをカウンターで守っていくことだ。
もう一つはコントロールミラーマッチを挑むこと。この場合は《アズカンタの探索》対策として《自然への興味》も入れることになる。このプランを取る場合、出来る限りインスタントを構えられるようにし、相手の《天才の片鱗》はなんとしても打ち消すようにしたい。
青白副陽
このマッチアップのメイン戦を取ることは青黒コントロールのときよりも難しい。だけどサイド後は相性がかなり改善されるよ。相手の除去やフィニッシャーはどれも重く、カウンターが非常に刺さりやすいからね。
《本質の散乱》をどうするかは中々興味深い判断となる。僕の経験では、青白副陽の全てとは言わないけど半数以上がサイド後に《奔流の機械巨人》を入れてくるんだ。《本質の散乱》を1枚は残しておくことが良いリスクヘッジになると思うね。
ここでの《つむじ風の巨匠》は《燻蒸》に対してとても弱い。
《残骸の漂着》を食らうことも念頭に置いておいたほうがよく、その場合は少ないリスクでより多くの基本土地を得られるようにしたい。サイド後なら土地が伸びることはこちらとしても美味しいことだからね。出来るだけ2番手のクリーチャー+ソプタートークン数体で殴るというアタックを仕掛けられると、相手は頭を抱えることになるだろう。
まだまだ先へ
ティムールがスタンダードのベストデッキであることは将来的にも疑う余地は無く、それは同時に最もメタられるデッキになるということだ。
だけどティムールが持つパーツ選択の柔軟さはその波に対しても一歩先を行くことが出来る。このイクサラン環境で勝ち抜きたいならば、ティムールをマスターすることをお薦めするよ!
By Reid Duke // 12 Oct, 2017
https://www.channelfireball.com/articles/standard-temur-energy-deck-guide/
ティムール・エネルギーはスタンダードにおける最良のデッキと言えるだろう。
これはイクサラン導入以前でも言われていたことだね。そしてローテーションによって他のデッキが大きくパーツを失ったのに対し、このデッキはほぼそのままの形を維持していることがそれに拍車をかけている。
ティムールは名実ともに今世界選手権を席巻したデッキだ。William “Huey” Jensenこと彼がこれを手に大会を独走したのは記憶に新しいだろう。
今回は世界選手権に彼とOwen Turtenwald、そして僕が持ち込んだティムールのリストを解説しようと思う。まあ、リストには特に大きく変わったところは無いけど、ティムールというアーキタイプの強みを最大限に引き出しつつ、環境にいる一部の厄介なカードに対する解答を付け加えた感じの仕上がりだよ。
4:《牙長獣の仔/Longtusk Cub》
4:《導路の召使い/Servant of the Conduit》
4:《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》
4:《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》
3:《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》
3:《栄光をもたらすもの/Glorybringer》
2:《マグマのしぶき/Magma Spray》
2:《本質の散乱/Essence Scatter》
1:《削剥/Abrade》
4:《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》
1:《暗記+記憶/Commit+Memory》
4:《霊気との調和/Attune with Aether》
2:《慮外な押収/Confiscation Coup》
1:《島/Island》
2:《山/Mountain》
4:《森/Forest》
4:《霊気拠点/Aether Hub》
4:《植物の聖域/Botanical Sanctum》
3:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
1:《隠れた茂み/Sheltered Thicket》
3:《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
サイドボード
2:《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》
1:《チャンドラの敗北/Chandra’s Defeat》
4:《否認/Negate》
1:《削剥/Abrade》
2:《人工物への興味/Appetite for the Unnatural》
1:《至高の意志/Supreme Will》
1:《天才の片鱗/Glimmer of Genius》
1:《慮外な押収/Confiscation Coup》
1:《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》
1:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》
ティムールを最強たらしめているものとは
・まず《霊気との調和》は多色マナベースを適切に機能させるために不可欠なカードだ。そしてそこから得られるエネルギーは、他のエネルギー・カードをより有効に機能するようにしてくれる。
・ティムールは、赤単に有利なデッキの中でも特に広く使用されているデッキでもある(これはこれまでの僕の主張の中で初めて論争の的になるだろう)。赤単は絶対に無視することが出来ない存在だけど、スタンダードという狭いカードプールにおいては満足のいく対策はし辛いものだよね。そんな中でティムールが有する《つむじ風の巨匠》と軽量火力の束は最高の対策と言える!
要約:
・ティムールのマナベースは2色以上のデッキの中でも最良だ。
・環境随一のパワーカードが集約されたデッキである。
・環境2番手の様々なデッキに対し有利が取れる。
・パーツの取捨選択が多様なミッドレンジデッキであるため、容易に対策することは難しく、サイドボーディング後には更に相性を改善してくるデッキだ。
黒はタッチすべきか?
世界選手権の結果を見るに、世間の解答は「イエス」のようだね。
MOやSCGにおいては、入賞したティムールの半数以上が黒タッチを選択しており、《スカラベの神》と人によってはサイドボードにも黒いカードを潜ませている。
両方のバージョンを試した僕の答えは「ノー」だ。
確かに《スカラベの神》が無かったら勝てなかった試合も多いだろうね。ミラーマッチにおいては尚更だ。
僕はこの議題に対して初めて明言するが、多くのプレイヤーが《霊気との調和》と《霊気拠点》があるから「タッチはし得」であると考えているけど、実際には相応のリスクを背負っていると考えているよ。
より具体的には、タッチ黒バージョンは若干数の試合を色事故によって落としていると思われるんだ。《スカラベの神》ではなく別の5マナカードであったなら勝てたであろう試合を。
赤単がTier1な現環境においては特に顕著だろうね。赤単がティムールに勝つには、ティムール側が重要な局面で色事故を起こしたり、《逆毛ハイドラ》のダブルシンボルに手こずることに大きく依存しているから。
では何故「タッチはし得」と思われているのか?それは《霊気との調和》と《霊気拠点》が5色地形と換算されてしまっているからだけど、実際はそうではないんだ。
まず《霊気との調和》は唱えた時点で1色地形になる。
序盤に沼を探す余裕はあまりないだろう。ともあれあなたは序盤の多色カードのプレイのために2色ないし3色を揃えられはする。《根縛りの岩山》もアンタップイン出来るだろう。うん、それは問題ない。手元に《スカラベの神》がない時はあくまで必要な土地を探せばいいからね。
だけどゲーム後半、トップしてきたそのボムをプレイ出来ないという事態に直面したら……?
《霊気拠点》はずっと直接的な5色地形と見なせる。それでもこの土地に大きく依存するのは良い考えとはいえないね。
霊気拠点に費やす必要のなかったエネルギーが将来的にどう役立つかなんて分かることではないけど、それがソプターであれ+1/+1カウンターであれ、僅差のゲームを決定づける材料には十分成りうるんだ。
また、もし黒にタッチするのであれば1~2枚の《花盛りの湿地》などを付け加えることは悪くない構築と言える。けれども《スカラベの神》を引くまでは沼や《花盛りの湿地》は下位互換地形だ。《根縛りの岩山》はアンタップインし辛くなるし、《つむじ風の巨匠》も唱え辛くなる。
総じて僕は純正ティムールの方が好きだね。ただ、これが4Cバージョンの使用者全体に対する反論というわけではなく、あくまで一つの意見ってことで受け取って欲しいな。僕が確実に正しいなんてことはないからね。
もしあなたがティムールを愛用しているプレイヤーであるならば、是非両方のバージョンを試して検討して欲しいよ。《スカラベの神》は勝利をもたらし、一方で色事故のリスクも抱えていることを十分に加味してね。
メインボード
よくプレイされているエネルギー・カードの殆どは素晴らしく、その中でも4種――《導路の召使い》、《牙長獣の子》、《精製屋のならず者》、そして《蓄霊稲妻》はそのどれもが単体で強力だ。《つむじ風の巨匠》は赤単に対するベストカードであり、赤単が環境の大部分を占めている限り4積みでいいだろうね。《逆毛ハイドラ》も同様に強力であることに変わりなく、可能なら4枚入れておきたい所だったけど、世界選手権ではマナカーブを低めにするために3枚に抑えたんだ。
マナカーブの頂点に何を何枚積むかは個人の好みや黒タッチによるよ。僕はメインボードでは5枚、サイドボードに1、2枚がベストだと思う。僕のリストでは《栄光をもたらすもの》4枚と《慮外な押収》1枚だけど、他の二人は《栄光をもたらすもの》3枚に《慮外な押収》2枚だ。
《慮外な押収》は僕がスタンダードで一番好きなカードの一つだ。ティムールミラーのベストカードであり、《スカラベの神》よりも優れている(ああ、これも論争の的2つ目だね)。2枚入れることは赤単の《熱烈の神、ハゾレト》に対する解答が増えることにもなる。《栄光をもたらすもの》はあらゆるマッチアップで強力な必需品だ。
また殆どのティムールには火力8枚が標準装備だけど、《本質の散乱》という今世界選手権における最良のピースを2枚入れるために7枚へ減らしてある(偉大なるデッキビルダー・Ben Rubinへ敬意を)。
《本質の散乱》はこれまで長きに渡って収録されてきたカードだけど、それほど強いものではなかった。だけど現スタンダードではクリーチャーが主戦力であり、除去よりも打ち消しのほうが有効に効く場合の方が多い。《精製屋のならず者》や《奔流の機械巨人》の強さの源はそのCIP能力にあり、《逆毛ハイドラ》や《ハゾレト》は一度着地してしまえば処理するのは殆ど不可能だ。
《本質の散乱》はこれら全ての脅威に対する解答となり、またティムールの主要な弱点を幾つか補ってくれるカードなんだ。
さらに最終スロットとして、僕達は《ハゾレト》や《スカラベの神》へのワイルドカードとして《暗記+記憶》を選んだ。
練習の中では青白コントロールの《燻蒸》に対して《暗記》モードが勝負を決定づけることもあり(世界選手権ではそもそも白いデッキはいなかったけど)、このカードを選んでみたわけだ。と言っても一番重要なのは、《暗記+記憶》や《本質の散乱》といったインスタント呪文を入れることで、サイド後の《奔流の機械巨人》を有用に使用できるようになっていることかもしれないね。
サイドボード
Ben RubinとHuey(ジェンセン)が《奔流の機械巨人》を使うことを持ちかけてきた時は正直懐疑的だったよ。
だけどプレイしてみたその日から絶大にそれを支持するようになったんだ。世界選手権ではコントロールデッキに対して五分以上の勝負にしてくれたし、何よりも青白副陽デッキに対してはインスタントスピードの強力なカードであり、ミラーマッチにおいては強力かつ重要な6マナ域となってくれる。相手がデッキリストを知らない環境下ではより価値が高くなるだろうね。
一部の独特なサイドボードは青巨人との兼ね合いさ。《天才の片鱗》と《奔流の機械巨人》の組み合わせが強力であることは言うまでもないよね。素撃ちの《片鱗》で6枚目の土地を確保し、その後の機械巨人はその価値を最大限に発揮する(そもそも青巨人を解決できる事自体がいつでも素晴らしい!)。《至高の意思》もまた、青巨人を積極的にプレイ出来るようにする柔軟なカウンターだ。
2枚の《自然への興味》と青巨人を組み合わせることでエンチャントデッキとも戦うことが出来る。本来であればティムールを食うデッキと!一番の仮想的はイクサランリリース後に隆盛した白黒ベースの《選定された行進》デッキだろう。これらのデッキは置物が除去されない限りはやりたい放題となるけど、キーカードを狙い撃ちで除去することが出来れば崩れ始めるんだ。もし今後もこれらのトークンデッキが環境に存在し続けるならば、2枚目の《自然への興味》は《真っ二つ》に変えてより一層メタっていこうと思うよ。
後のサイドボードの役割は単純だ。赤単用の軽量カードにコントロール用の《否認》セット。
他に試そうと思っているのは《魔術遠眼鏡》だ。《真髄の針》カードには多くの用途があるけど、中でも止めることが有用な相手は《キランの真意号》《来世への門》《水没遺跡、アズカンタ》だね。
各マッチアップ
僕はスタンダードにおけるサイドボーディングは単純なものではないと考えているよ。
ほぼ全てのマッチアップで、僕たちは相手が処理しきれない脅威を用意し、逆に相手の脅威に対しても処理できるように解答を用意しようとするものだ。ならば、相手の脅威と解答を正確に知っておくことでサイドボーディングを柔軟に変えていくのは当然だろう?
ここで提示するサイドボーディングの例は、相手のデッキ情報が全くないときに僕が行うサイドボーディングだ。
もし相手の赤単に《栄光をもたらすもの》が3、4枚入っていることが予想されるならば《慮外な押収》の3枚目を入れてもいいし、ミラーマッチで相手がプレインズウォーカーを多数用意しているならば《つむじ風の巨匠》をもっと残すことも出来るだろう。
ミラーマッチ
ティムールvsティムールは典型的なミッドレンジミラーと言えるね。そして典型的なミッドレンジミラーの鍵は、相手より少し太くすることだ。例えば相手のマナカーブの頂点が5枚ならば、こちらは6枚あればいいってことだ。強調しておくけど、あくまで『少し』太くだ。あまり大胆に低速化すると《牙長獣の子》ビートにイカれてしまったり、後手後手に回って結局テンポ負けしてしまうこともある。ティムールのカードを引く手段は決して多くはなく、このマッチアップではテンポが重要な要素となっていることに注意だ。
6マナや7マナのカードを何枚も入れる際にはそのリスクを承知で行って欲しいよ。
Out
-4 《牙長獣の子》
-2 《つむじ風の巨匠》
In
+2 《奔流の機械巨人》
+1 《天才の片鱗》
+1 《慮外な押収》
+1 《至高の意思》
+1 《削剥》
《牙長獣の子》は問題なく使用できるカードだけど、簡単に1:1交換されうる、デッキの中で唯一の直接アドバンテージをもたらさないカードだ。なので先手と後手で柔軟に変えられる可変スロットと見なせる。先手で 《牙長獣の子》を抜く人は殆どいないだろうけど、「太く」なるためにはより防御的なプランを取ることは理にかなっている行為でもあるんだ。
赤単
赤単との相性は微差ではあるけど、僕はティムール側が有利だと自信を持って言うよ。
《つむじ風の巨匠》に《逆毛ハイドラ》、そして軽量火力は序盤の猛攻を凌ぐのに素晴らしい働きぶりをする。問題となるのは《熱烈の神、ハゾレト》への解答だ。そもそもこれに解答することは非常に困難だから、《ハゾレト》と《ラムナプの遺跡》に焼き尽くされる前にダメージレースを仕掛けなければならなくなる。すれ違いのダメージレースによって相手に引かせるカードを減らすことが根本的な対抗策と言えるだろうね。課題となるのは攻撃に回すクリーチャーと防御に回すクリーチャーのバランスだろう。
Out
-1 《暗記+記憶》
-2 《栄光をもたらすもの》
In
+1 《チャンドラの敗北》
+1 《削剥》
+1 《霊気圏の収集艇》
メインボードを過剰に抜きすぎないようにね。赤単は長期戦においても強く、デッキを軽量カードで固めてしまうと相手よりも勝ち筋が細くなって負けてしまうことがある。僕のルールとしては、5マナ域は最低3枚は確保しておくようにしているよ。
青黒コントロール
こちらが上手く噛み合っている時の青黒コンとのマッチアップはミッドレンジ対決のようなものだろうね。相手が《スカラベの神》を探すためにメインでタップアウトするくらいに相手を追い詰められれば何とかなるけど、《アズカンタの探索》がそれを容易に阻んでくる。早期に《アズカンタの探索》を貼られてしまうと、相手はゆったりとコントロールするだけで良くなり、ティムール側はお祈りしながらクリーチャーを出し続けるしかない。
取り敢えず相手には全体除去がほぼ無いので、《つむじ風の巨匠》は非常に頼もしい相棒となるよ。
Out
-4 《蓄霊稲妻》
-2 《マグマのしぶき》
-1 《削剥》
-1 《栄光をもたらすもの》
In
+1 《至高の意思》
+1 《天才の片鱗》
+1 《奔流の機械巨人》
+1 《慮外な押収》
+1 《反逆の先導者、チャンドラ》
+3 《否認》
僕達のデッキリストではこのマッチアップにおいて2つのアプローチがある。
一つ(恐らくこれが良い)はマーフォークやデルバーのように動くこと。最速でクリーチャーを着地させ、後はそれをカウンターで守っていくことだ。
もう一つはコントロールミラーマッチを挑むこと。この場合は《アズカンタの探索》対策として《自然への興味》も入れることになる。このプランを取る場合、出来る限りインスタントを構えられるようにし、相手の《天才の片鱗》はなんとしても打ち消すようにしたい。
青白副陽
このマッチアップのメイン戦を取ることは青黒コントロールのときよりも難しい。だけどサイド後は相性がかなり改善されるよ。相手の除去やフィニッシャーはどれも重く、カウンターが非常に刺さりやすいからね。
Out
-4 《蓄霊稲妻》
-2 《マグマのしぶき》
-1 《削剥》
-2 《慮外な押収》
-1 《つむじ風の巨匠》
-1 《本質の散乱》
In
+1 《至高の意思》
+1 《天才の片鱗》
+2 《奔流の機械巨人》
+2 《自然への興味》
+1 《反逆の先導者、チャンドラ》
+4 《否認》
《本質の散乱》をどうするかは中々興味深い判断となる。僕の経験では、青白副陽の全てとは言わないけど半数以上がサイド後に《奔流の機械巨人》を入れてくるんだ。《本質の散乱》を1枚は残しておくことが良いリスクヘッジになると思うね。
ここでの《つむじ風の巨匠》は《燻蒸》に対してとても弱い。
《残骸の漂着》を食らうことも念頭に置いておいたほうがよく、その場合は少ないリスクでより多くの基本土地を得られるようにしたい。サイド後なら土地が伸びることはこちらとしても美味しいことだからね。出来るだけ2番手のクリーチャー+ソプタートークン数体で殴るというアタックを仕掛けられると、相手は頭を抱えることになるだろう。
まだまだ先へ
ティムールがスタンダードのベストデッキであることは将来的にも疑う余地は無く、それは同時に最もメタられるデッキになるということだ。
だけどティムールが持つパーツ選択の柔軟さはその波に対しても一歩先を行くことが出来る。このイクサラン環境で勝ち抜きたいならば、ティムールをマスターすることをお薦めするよ!
【MOアナウンス】TREASURE CHEST INFORMATION
2016年10月5日 翻訳http://magic.wizards.com/en/MTGO/articles/archive/magic-online/treasure-chest-information-2016-10-03
10/5(水)より構築イベントでリリースされるTreasure Chestsについて、多数のフィードバックを受けました。私達はその内の幾つかに応えます。
詳細
最も多かった反応の一つは、Treasure Chests内の詳しい封入率についてでした。
これを受けて、以下の数値を公開致します。
詳細は以下をご覧ください。
http://magic.wizards.com/en/MTGO/articles/archive/magic-online/treasure-chest-curated-card-list-2016-09-29
Treasure Chestsのトレード
Treasure Chestsをトレード可能にして欲しいという要望も多数ありました。
これを受け、11月の中旬にTreasure Chestsをトレード可能にします。同時に統率者2016とコンスピラシー:王位争奪のカードを専用プールに追加します。
Treasure Chestsを開けるときは常に最新のプールからカードが選ばれます。
私達は他にもトレード可能にするアイテムについて考えています。
完全な詳細はTreasure Chests本実装前にTreasure Chestsの解説ページで公開予定です。
エンジン始動
カラデシュのプレリリースは今年から早めて、10/5(水)から始まりますよ!
ドラフトリーグは12チケット、シールドリーグは24チケットで参加できます。
10/5(水)より構築イベントでリリースされるTreasure Chestsについて、多数のフィードバックを受けました。私達はその内の幾つかに応えます。
詳細
最も多かった反応の一つは、Treasure Chests内の詳しい封入率についてでした。
これを受けて、以下の数値を公開致します。
・Treasure Chestsの全3スロットにおける、Curated Card(専用プール)・モダンリーガルレア・プレイポイント・スタンダードカードの割合
・専用プールにおける各カードの相対封入率
・プレイポイントを獲得した際の、各プレイポイント(10~1000)の相対出現率
詳細は以下をご覧ください。
http://magic.wizards.com/en/MTGO/articles/archive/magic-online/treasure-chest-curated-card-list-2016-09-29
Treasure Chestsのトレード
Treasure Chestsをトレード可能にして欲しいという要望も多数ありました。
これを受け、11月の中旬にTreasure Chestsをトレード可能にします。同時に統率者2016とコンスピラシー:王位争奪のカードを専用プールに追加します。
Treasure Chestsを開けるときは常に最新のプールからカードが選ばれます。
私達は他にもトレード可能にするアイテムについて考えています。
完全な詳細はTreasure Chests本実装前にTreasure Chestsの解説ページで公開予定です。
エンジン始動
カラデシュのプレリリースは今年から早めて、10/5(水)から始まりますよ!
ドラフトリーグは12チケット、シールドリーグは24チケットで参加できます。
【MO要約】ANNOUNCING TREASURE CHESTS
2016年9月30日 翻訳カラデシュから追加導入される新賞品について。
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/magic-digital/announcing-treasure-chests-2016-09-29
Treasure Chestとは
3枚入りの新パックです。トレード不可。
1枚は以下のセットの中からランダムで出現します。
残り2枚はスタンダードのコモンかアンコモンです。これらは稀に上記のセットと入れ替わります。
Treasure Chestを手に入れるには
全ての構築リーグ及びヴィンテージデイリーの賞品に加えられます。
Treasure Chestのトレードは出来ないので、貰ったらさっさと開けちゃいましょう!
賞品への追加は10/5のダウンタイム後からです。
専用プールには何が入ってるか
例えば次のようなカードです。
ええ、このプールにはKaladesh Inventionsが含まれます。
代わりにカラデシュの通常パックからはKaladesh Inventionsは出現しません。
今年度中にコンスピラシー2016のカードも導入予定です。
全てのカードリストは次をご覧ください。
http://magic.wizards.com/en/MTGO/articles/archive/magic-online/treasure-chest-curated-card-list-2016-09-29
賞品構成について
新しい賞品構成は次のとおりです。
また、MOCSプレイオフイベントではTOP8のプレイヤーは25パック、9-50位は10パックのTreasure Chestsを通常の賞品に加えて受け取れます。
より詳しい内容について
Treasure Chestsに含まれるスタンダードのコモン・アンコモンカードは、次の確率で上位賞品にリプレイスされます。
スタンダードコモンカードはアンコモンの2.5倍出現しやすいです。
いずれもfoilは含まれません。
モダンセットのレア・神話レアにはスタンリーガルで無かったカードセット、すなわちモダンマスターズのカードは含まれません。
また、モダンで禁止となっているカードが出現することもあります。
レアは神話レアの2倍出現しやすいです。この割合は神話レア導入前のカードセットのレアにも適応されます。時のらせんのタイムシフト・カードはレア扱いです。
Treasure Chestsにはfoilは含まれませんが、8版及び9版のカードはfoilとなります。
専用プールのカードはそれぞれに出現割合が設定されています。
専用プールから出るカードのレアリティマークは元々のレアリティを印字しており、専用プールでの出現割合を反映しているものではありません。
専用プールからfoilは出現しません。Zendikar ExpeditionsやKaladesh Inventionsもfoilではありません。8版及び9版のみがfoilです。
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/magic-digital/announcing-treasure-chests-2016-09-29
Treasure Chestとは
3枚入りの新パックです。トレード不可。
1枚は以下のセットの中からランダムで出現します。
・専用プール ― Magic R&Dによって選定された、MOにおいて重要と思われるカード
・モダンリーガルセット中にあるレアまたは神話レア
・プレイポイント ― 数はランダム
残り2枚はスタンダードのコモンかアンコモンです。これらは稀に上記のセットと入れ替わります。
Treasure Chestを手に入れるには
全ての構築リーグ及びヴィンテージデイリーの賞品に加えられます。
Treasure Chestのトレードは出来ないので、貰ったらさっさと開けちゃいましょう!
賞品への追加は10/5のダウンタイム後からです。
専用プールには何が入ってるか
例えば次のようなカードです。
・Black Lotus
・リシャーダの港/Rishadan Port
・ヨーグモスの意思/Yawgmoth’s Will
・Underground Sea
・実物提示教育/Show and Tell
・流刑への道/Path to Exile
・タルモゴイフ/Tarmogoyf
・ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil
・Kaladesh Inventions版オパールのモックス/Mox Opal
ええ、このプールにはKaladesh Inventionsが含まれます。
代わりにカラデシュの通常パックからはKaladesh Inventionsは出現しません。
今年度中にコンスピラシー2016のカードも導入予定です。
全てのカードリストは次をご覧ください。
http://magic.wizards.com/en/MTGO/articles/archive/magic-online/treasure-chest-curated-card-list-2016-09-29
賞品構成について
新しい賞品構成は次のとおりです。
Friendly Constructed Leagues
参加費: 8 Event Tickets or 80 Play Points
賞品:
5勝: 80 Play Points, 8 Treasure Chests
4勝: 80 Play Points, 3 Treasure Chests
3勝: 80 Play Points, 1 Treasure Chest
2勝: 40 Play Points
1勝: 20 Play Points
0勝: 10 Play Points
※旧構成
5勝: 150 Play Points, 2 boosters
4勝: 120 Play Points, 1 boosters
3勝: 80 Play Points,
2勝: 40 Play Points
1勝: 20 Play Points
0勝: 10 Play Points
Competitive Constructed Leagues
参加費: 12 Event Tickets or 120 Play Points
賞品:
5勝: 6 boosters, 180 Play Points, and 3 Qualifier Points, 8 Treasure Chests
4勝: 3 boosters, 180 Play Points, and 1 Qualifier Point, 3 Treasure Chests
3勝: 120 Play Points, 1 Treasure Chest
※旧構成
5勝: 10 boosters, 120 Play Points, and 3 Qualifier Points,
4勝: 6 boosters, 120 Play Points, and 1 Qualifier Point,
3勝: 120 Play Points
Vintage Daily Events
参加費: 12 Event Tickets or 120 Play Points
賞品:
4勝: 6 boosters, 180 Play Points, and 3 Qualifier Points, 5 Treasure Chests
3勝: 3 boosters, 180 Play Points, and 1 Qualifier Point, 3 Treasure Chests
※旧構成
4勝: 6 boosters, 360 Play Points, and 3 Qualifier Points
3勝: 3 boosters, 180 Play Points, and 1 Qualifier Point
また、MOCSプレイオフイベントではTOP8のプレイヤーは25パック、9-50位は10パックのTreasure Chestsを通常の賞品に加えて受け取れます。
より詳しい内容について
Treasure Chestsに含まれるスタンダードのコモン・アンコモンカードは、次の確率で上位賞品にリプレイスされます。
・4.5パックに1パックの割合で、1枚のスタンダードコモン・アンコモンが専用プールカードかモダンセットのレア・神話レアへ
・239パックに1パックの割合で、2枚両方のスタンダードコモン・アンコモンカードが専用プールカードかモダンセットのレア・神話レアへ
スタンダードコモンカードはアンコモンの2.5倍出現しやすいです。
いずれもfoilは含まれません。
モダンセットのレア・神話レアにはスタンリーガルで無かったカードセット、すなわちモダンマスターズのカードは含まれません。
また、モダンで禁止となっているカードが出現することもあります。
レアは神話レアの2倍出現しやすいです。この割合は神話レア導入前のカードセットのレアにも適応されます。時のらせんのタイムシフト・カードはレア扱いです。
Treasure Chestsにはfoilは含まれませんが、8版及び9版のカードはfoilとなります。
専用プールのカードはそれぞれに出現割合が設定されています。
専用プールから出るカードのレアリティマークは元々のレアリティを印字しており、専用プールでの出現割合を反映しているものではありません。
専用プールからfoilは出現しません。Zendikar ExpeditionsやKaladesh Inventionsもfoilではありません。8版及び9版のみがfoilです。
【翻訳】Level One - プレイング学Ⅲ:『ケア』の仕方
2016年3月24日 翻訳 コメント (2)※元記事の掲載順に対し前後しています。
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PLAYING SAFE AND PLAYING SCARED
Posted in Level One on August 24, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-safe-and-playing-scared-2015-08-24
次 (未定)
前 http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
このLevel Oneを購読し続けている皆さんは、もうマジックの基礎についてしっかり学んで来たことだろう。デッキ構築とゲームプレイの基本を理解し、初心者が陥りやすいミスとその防ぎ方も勉強済みだ。しかしより強いプレイヤーになりたいなら、まだ知っておかなければならないことがある。今日は『安全なプレイをする』ことと『考えすぎるプレイ』の違いについて講義をしよう。
安全なプレイをすることの恩恵
『安全なプレイ』とは危険を避け、自身に降りかかる脅威から身を守ることだ。
「ここで4体目のクリーチャーを展開することは避けよう。《衰滅》がくるかもしれない」
「さっきのゲームでは相手が《牢獄の管理人、ヒクサス》をプレイしてきた。今相手が平地5枚を立たせているのは凄く怪しいぞ。より警戒してアタックしなければ」
「このマッチアップは取ったも同然だが相手の速攻オールインには注意しないと。守りのために《サテュロスの道探し》はサイドアウトしないでおこう」
安全にプレイすることはゲーム状況が対等な時や有利な時に非常に重要となる技術だ。鉄板強者になるためにはあらゆるアドバンテージを得ていくと共に、相手にワンチャンを与えないようにしなければならない。
有利な状況にあるとき、勝率90%のプレイングをすることと80%のプレイングをすることには大きな差がある。迂闊なプレイをして相手に起死回生のチャンスを与えていると長期スパンでは悪影響を及ぼすに違いない。
考えすぎることのリスク
しかし安全にプレイすることには《邪悪な双子》がいる!『考えすぎている』人ほどよく自分が安全なプレイを心がけていると思っているものだ。この2つのプレイングの違いを学ぶことに努めよう。
「《森の女人像》でブロックはしたくないな。《タイタンの力》を撃たれるかも!」
「相手は《意思の激突》を持ってるかもしれない。タップアウトになるまでは動かないぞ!」
「ここで《鋳造所通りの住人》を温存しておけば、後で《対立の終結》を撃たれても持ち直せるかも……」
考えすぎるリスクの一つは、あなたが恐れるカードを相手が持っていなかった時にそのゲームを落としてしまうかもしれないことだ!
相手の持ちうるパーミッション呪文の全てを考慮することは良いことだが、カードをプレイせずにどうやって勝つと言うんだい?
赤単を使っている時は常に《衰滅》の危険は伴うが、そのためにクリーチャーを出し惜しみしていると代わりに《包囲サイ》にイカれたり相手の除去が間に合ったりしてしまう。
考えすぎるリスクのもう一つは、試合を長引かせて相手に追加のドローをさせてしまうことだ。「こっちがイカれるカードは《龍王アタルカ》だけだ。それだけケアすれば十分!」このような間違った考え方は多い。マジックは思っている以上に複雑なゲームであり、消極的なプレイで相手の手札を増やすと思いもよらぬコンボで死んでしまうこともある。
例題:紙一重な判断
先日、僕は青黒コントロールを握って赤黒ドラゴン相手にライフは低いながらも盤面は押さえていた。僕は《嵐の息吹のドラゴン》や《嵐の憤怒、コラガン》をケアして、2体目の飛行クリーチャーを引くまで《漂う死、シルムガル》をブロッカーのために立たせ続けた。
すると相手は速攻ドラゴンを引かない代わりに《雷破の執政》をブロッカーとして出し、僕はアタックするチャンスを失いその後も相手にドローをさせてしまった。最後はバーン呪文をトップされて負けてしまった!
僕は安全にプレイしたのだろうか?考えすぎた?難しいことだが少なくとも言えることは、あらゆる可能性を考慮していても相手に追加のドローをさせることは大きな……非常に大きな危険になるということだ。
考えすぎずに安全にプレイする方法
まずは今自分が安全にプレイ出来る状況か考えよう。試合がどのように動いているか、このままの状況なら勝てるかどうかを見極めるんだ。
相手は《龍王オジュタイ》に対してダメージレースを挑んでいる?それなら《命運の核心》を撃つのをためらってはいけない。
バーン相手にライフが1?ならば可能な限りアグレッシブに動いて少しでも相手のドローステップを減らそう。
一般的にコントロール相手にスローダウンするのは良くない。皮肉にもパーミッション呪文や全体除去といった考慮しなくてはならないカードをプレイしてくるのはそういったコントロールデッキなのだけど。だがしかし《対立の終結》の被害を抑えようとすることは敗北に繋がる。それこそが『考えすぎなプレイ』であり、『安全にプレイする』こととは異なる。
コントロールデッキはゲームがもつれ込むほど強力なプレイをしてくる。5ターン目に盤面をリセット出来れば返しに再展開されようとも勝ってしまうデッキだ。あなたがラスの返しに《鋳造所通りの住人》と《ゴブリンの群衆追い》を出しても相手が《太陽の勇者、エルズペス》をプレイしてしまえばそれらはもう無意味だ!
もちろんこれらは全て限定的な状況の話だ。場合によってはクリーチャーを1、2体残しておくべき時もある。しかし迷った時はゲームを速やかに終わらせ得る道を取ったほうが良いだろう。プレイが後ろ向きになるほど相手は強力な重いカードを何枚もプレイ出来るのだから。
ではどんな時に安全にプレイすれば良いのだろうか?それは自分が有利な状況で、且つゲームが長引いて欲しい時である。
状況を加味し、安全にプレイしてもいいと分かったら、次にあなたがすべきことは最悪のケースを想定することだ。或いは現状を一変させるであろうより有り得そうなシナリオでもいい。
「相手に除去を引かれてブロッカーを倒されるとダメージレースがマズいな」
そうしたらその危険を最小限に抑えるプレイを考えよう。
「ここはアタックせずにクリーチャーを立てておこう!」
そのプレイのメリット・デメリットも考慮しよう。
「ここでブロッカーを立てておけばひとまず次のターンは何が来ようとも生き延びられる。けど相手には余計な2ターンを与えてしまう。それに一番強いブロッカーが除去されてしまえばチャンプしかできなくなってどの道負けじゃないか……」
プランが決まったら後は実行に移すだけだ。ただし何かが変わったらその都度プレイを考えなおすこと。
直感と向きあおう
安全にプレイすべき状況でついアグレッシブに動いてしまうプレイヤーもいれば、無駄に考えすぎなプレイをついしてしまうプレイヤーもいる。殿堂のZvi Mowshowitzが話してた大事な考えをここに書いておこう。
「あなたの直感と向きあおう。それがアタリかハズレかという問題ではない。『それ』があなたの傾向なんだ。あなたがどの方向に転がりやすいかを知ろう。あなたがコントロールに動く傾向があるなら、選択に迷った時はコントロールでない方法を取ろう。滅茶苦茶アグレッシブに動きがちならひとまず我慢するんだ。そうすることで自分自身から身を守れるだろう」
自分自身を知ることは重要だ。ミスを減らしプレイヤーとしての成長にも繋がる。
これには僕も思い当たることがある。何年か前だったかな……僕は自分が直感的に守備的な判断をしがちであることに気づいたんだ。まあそれ自体は悪いことではなかった。当時も上手くプレイ出来ていたと思う。ただ、自分がミスをする時はそれがアグレッシブすぎるプレイングよりも後ろ向きなプレイングに起因するものであったことのほうが多かった気がするね。つまるところ、僕はしばしば考え過ぎであったんだ。
それ以降、僕はそのことを常に念頭に置いてプレイするようになった。微妙な選択を迫られた時は自分にこう言い聞かせた。「Reid、お前は考え過ぎなことがよくあるんだから今回のもそれなんじゃないか?」ってね。そうすることがプレイングに別段大きな変化をもたらしたわけではないけど、少しながらもより正しい判断が出来るようになったと思うよ。攻撃に転じるべきだと思ったら後ろ向きな考えを捨てて攻撃に、アドバンテージのチャンスは絶対に逃さないようにしよう、とね。
考え過ぎてしまう状況
プレイヤーが考え過ぎなプレイをしてしまうようなシチュエーションはいくつかある。
一つはゲーム状況が変化した時。有利なときと不利な時とでは求められる考え方は異なるものであり、その2つを入れ替えることは容易ではない。
有利だったプレイヤーが突如不利な状況に追い込まれると、考え過ぎるプレイをしてしまうかもしれない。元々有利だったプレイヤーは安全なプレイをする思考であったが、状況が変わると最早その考えで行動は出来ないのだから。
逆の状況ではより顕著となる。あなたがアグロデッキを使い相手をとにかく速く倒したいと急いでいる状況を想像して欲しい。それ自体は殆どのゲームにおいて正しいプランではあるが、ゲームを掌握出来る時もあり、そんな時は安全なプレイをし始めなければならない。例えば相手のライフをギリギリまで追い詰め、手札には相手を焼き切れるバーン呪文があるとき。あなたは勝ちを急ぐあまり、安全にプレイすべきなのにその呪文をすぐさま投げつけてしまうかもしれない……相手は打ち消しのマナを立たせているのに。
他のシチュエーションは、プレイヤーが初めて競技レベルの大会に出た時。僕も同じ経験をしている。
例えばFNMで素晴らしい成績を残しているプレイヤー。彼らは地元のショップで数ヶ月あるいは数年に渡ってプレイし、そこでは最強のプレイヤーになっているだろう。彼らは長期戦では注意深くプレイし相手の隙を伺うことで相手を打ち負かせることを技術と経験から知っている。
そんな草の根プレイヤーがPTQやGPのような場に出た時、彼らの中には自身のプレイスタイルをその場に合わせることが困難な者もいるだろう。今、彼らの目の前に座っている相手は自分と同格か、格上のプレイヤーであり、それに打ち勝つのは今まで通り簡単なことではない。そんな時に考え過ぎなプレイになってしまってチャンスを取りこぼしていると、同格の相手にすらハンデを背負ってしまう。
同じように、相手を自分より上のプレイヤーだと思うことは考え過ぎに繋がる。例えばプロプレイヤーとGPで当たった時、地元の強者と当たった時、あるいは先週のFNMで優勝していた人と当たった時。
そんな時あなたは当たった相手を少々『買い被りすぎ』るかもしれない。相手には一切の隙が無いと思ってしまう。
「相手は絶対《意思の激突》を持ってるに決まってる!」
「相手はあの強者だ……返しに《衰滅》が来ないわけがない!」
現実は違う。どのプレイヤーも等しくただの人間だ。同じデッキでも強者だけがトップの10枚から《衰滅》を確実に引けるわけではないんだ。実際に強者と対戦することになったら、多少なりリスクのある強気な選択をしてみるといいかもしれない。あなたは相手を強者と認知し、状況が移り変わってもミスをしにくいプレイヤーであると考えているだろうから。
安全なプレイと考え過ぎなプレイのバランスを保つことは、ゲーム状況や他の要素に対する率直な評価をすることと同じだ。それでも一番大事なことは僕達は人間であり、時には曖昧な選択もするということである。いつでもブレない思考を持ち、ベストな判断をする方法を学ぼう。ゲームを掌握し続けるために安全なプレイをし、考え過ぎなプレイで相手にチャンスを与え過ぎないことだ。
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PLAYING SAFE AND PLAYING SCARED
Posted in Level One on August 24, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-safe-and-playing-scared-2015-08-24
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このLevel Oneを購読し続けている皆さんは、もうマジックの基礎についてしっかり学んで来たことだろう。デッキ構築とゲームプレイの基本を理解し、初心者が陥りやすいミスとその防ぎ方も勉強済みだ。しかしより強いプレイヤーになりたいなら、まだ知っておかなければならないことがある。今日は『安全なプレイをする』ことと『考えすぎるプレイ』の違いについて講義をしよう。
安全なプレイをすることの恩恵
『安全なプレイ』とは危険を避け、自身に降りかかる脅威から身を守ることだ。
「ここで4体目のクリーチャーを展開することは避けよう。《衰滅》がくるかもしれない」
「さっきのゲームでは相手が《牢獄の管理人、ヒクサス》をプレイしてきた。今相手が平地5枚を立たせているのは凄く怪しいぞ。より警戒してアタックしなければ」
「このマッチアップは取ったも同然だが相手の速攻オールインには注意しないと。守りのために《サテュロスの道探し》はサイドアウトしないでおこう」
安全にプレイすることはゲーム状況が対等な時や有利な時に非常に重要となる技術だ。鉄板強者になるためにはあらゆるアドバンテージを得ていくと共に、相手にワンチャンを与えないようにしなければならない。
有利な状況にあるとき、勝率90%のプレイングをすることと80%のプレイングをすることには大きな差がある。迂闊なプレイをして相手に起死回生のチャンスを与えていると長期スパンでは悪影響を及ぼすに違いない。
考えすぎることのリスク
しかし安全にプレイすることには《邪悪な双子》がいる!『考えすぎている』人ほどよく自分が安全なプレイを心がけていると思っているものだ。この2つのプレイングの違いを学ぶことに努めよう。
「《森の女人像》でブロックはしたくないな。《タイタンの力》を撃たれるかも!」
「相手は《意思の激突》を持ってるかもしれない。タップアウトになるまでは動かないぞ!」
「ここで《鋳造所通りの住人》を温存しておけば、後で《対立の終結》を撃たれても持ち直せるかも……」
考えすぎるリスクの一つは、あなたが恐れるカードを相手が持っていなかった時にそのゲームを落としてしまうかもしれないことだ!
相手の持ちうるパーミッション呪文の全てを考慮することは良いことだが、カードをプレイせずにどうやって勝つと言うんだい?
赤単を使っている時は常に《衰滅》の危険は伴うが、そのためにクリーチャーを出し惜しみしていると代わりに《包囲サイ》にイカれたり相手の除去が間に合ったりしてしまう。
考えすぎるリスクのもう一つは、試合を長引かせて相手に追加のドローをさせてしまうことだ。「こっちがイカれるカードは《龍王アタルカ》だけだ。それだけケアすれば十分!」このような間違った考え方は多い。マジックは思っている以上に複雑なゲームであり、消極的なプレイで相手の手札を増やすと思いもよらぬコンボで死んでしまうこともある。
例題:紙一重な判断
先日、僕は青黒コントロールを握って赤黒ドラゴン相手にライフは低いながらも盤面は押さえていた。僕は《嵐の息吹のドラゴン》や《嵐の憤怒、コラガン》をケアして、2体目の飛行クリーチャーを引くまで《漂う死、シルムガル》をブロッカーのために立たせ続けた。
すると相手は速攻ドラゴンを引かない代わりに《雷破の執政》をブロッカーとして出し、僕はアタックするチャンスを失いその後も相手にドローをさせてしまった。最後はバーン呪文をトップされて負けてしまった!
僕は安全にプレイしたのだろうか?考えすぎた?難しいことだが少なくとも言えることは、あらゆる可能性を考慮していても相手に追加のドローをさせることは大きな……非常に大きな危険になるということだ。
考えすぎずに安全にプレイする方法
まずは今自分が安全にプレイ出来る状況か考えよう。試合がどのように動いているか、このままの状況なら勝てるかどうかを見極めるんだ。
相手は《龍王オジュタイ》に対してダメージレースを挑んでいる?それなら《命運の核心》を撃つのをためらってはいけない。
バーン相手にライフが1?ならば可能な限りアグレッシブに動いて少しでも相手のドローステップを減らそう。
一般的にコントロール相手にスローダウンするのは良くない。皮肉にもパーミッション呪文や全体除去といった考慮しなくてはならないカードをプレイしてくるのはそういったコントロールデッキなのだけど。だがしかし《対立の終結》の被害を抑えようとすることは敗北に繋がる。それこそが『考えすぎなプレイ』であり、『安全にプレイする』こととは異なる。
コントロールデッキはゲームがもつれ込むほど強力なプレイをしてくる。5ターン目に盤面をリセット出来れば返しに再展開されようとも勝ってしまうデッキだ。あなたがラスの返しに《鋳造所通りの住人》と《ゴブリンの群衆追い》を出しても相手が《太陽の勇者、エルズペス》をプレイしてしまえばそれらはもう無意味だ!
もちろんこれらは全て限定的な状況の話だ。場合によってはクリーチャーを1、2体残しておくべき時もある。しかし迷った時はゲームを速やかに終わらせ得る道を取ったほうが良いだろう。プレイが後ろ向きになるほど相手は強力な重いカードを何枚もプレイ出来るのだから。
ではどんな時に安全にプレイすれば良いのだろうか?それは自分が有利な状況で、且つゲームが長引いて欲しい時である。
状況を加味し、安全にプレイしてもいいと分かったら、次にあなたがすべきことは最悪のケースを想定することだ。或いは現状を一変させるであろうより有り得そうなシナリオでもいい。
「相手に除去を引かれてブロッカーを倒されるとダメージレースがマズいな」
そうしたらその危険を最小限に抑えるプレイを考えよう。
「ここはアタックせずにクリーチャーを立てておこう!」
そのプレイのメリット・デメリットも考慮しよう。
「ここでブロッカーを立てておけばひとまず次のターンは何が来ようとも生き延びられる。けど相手には余計な2ターンを与えてしまう。それに一番強いブロッカーが除去されてしまえばチャンプしかできなくなってどの道負けじゃないか……」
プランが決まったら後は実行に移すだけだ。ただし何かが変わったらその都度プレイを考えなおすこと。
直感と向きあおう
安全にプレイすべき状況でついアグレッシブに動いてしまうプレイヤーもいれば、無駄に考えすぎなプレイをついしてしまうプレイヤーもいる。殿堂のZvi Mowshowitzが話してた大事な考えをここに書いておこう。
「あなたの直感と向きあおう。それがアタリかハズレかという問題ではない。『それ』があなたの傾向なんだ。あなたがどの方向に転がりやすいかを知ろう。あなたがコントロールに動く傾向があるなら、選択に迷った時はコントロールでない方法を取ろう。滅茶苦茶アグレッシブに動きがちならひとまず我慢するんだ。そうすることで自分自身から身を守れるだろう」
自分自身を知ることは重要だ。ミスを減らしプレイヤーとしての成長にも繋がる。
これには僕も思い当たることがある。何年か前だったかな……僕は自分が直感的に守備的な判断をしがちであることに気づいたんだ。まあそれ自体は悪いことではなかった。当時も上手くプレイ出来ていたと思う。ただ、自分がミスをする時はそれがアグレッシブすぎるプレイングよりも後ろ向きなプレイングに起因するものであったことのほうが多かった気がするね。つまるところ、僕はしばしば考え過ぎであったんだ。
それ以降、僕はそのことを常に念頭に置いてプレイするようになった。微妙な選択を迫られた時は自分にこう言い聞かせた。「Reid、お前は考え過ぎなことがよくあるんだから今回のもそれなんじゃないか?」ってね。そうすることがプレイングに別段大きな変化をもたらしたわけではないけど、少しながらもより正しい判断が出来るようになったと思うよ。攻撃に転じるべきだと思ったら後ろ向きな考えを捨てて攻撃に、アドバンテージのチャンスは絶対に逃さないようにしよう、とね。
考え過ぎてしまう状況
プレイヤーが考え過ぎなプレイをしてしまうようなシチュエーションはいくつかある。
一つはゲーム状況が変化した時。有利なときと不利な時とでは求められる考え方は異なるものであり、その2つを入れ替えることは容易ではない。
有利だったプレイヤーが突如不利な状況に追い込まれると、考え過ぎるプレイをしてしまうかもしれない。元々有利だったプレイヤーは安全なプレイをする思考であったが、状況が変わると最早その考えで行動は出来ないのだから。
逆の状況ではより顕著となる。あなたがアグロデッキを使い相手をとにかく速く倒したいと急いでいる状況を想像して欲しい。それ自体は殆どのゲームにおいて正しいプランではあるが、ゲームを掌握出来る時もあり、そんな時は安全なプレイをし始めなければならない。例えば相手のライフをギリギリまで追い詰め、手札には相手を焼き切れるバーン呪文があるとき。あなたは勝ちを急ぐあまり、安全にプレイすべきなのにその呪文をすぐさま投げつけてしまうかもしれない……相手は打ち消しのマナを立たせているのに。
他のシチュエーションは、プレイヤーが初めて競技レベルの大会に出た時。僕も同じ経験をしている。
例えばFNMで素晴らしい成績を残しているプレイヤー。彼らは地元のショップで数ヶ月あるいは数年に渡ってプレイし、そこでは最強のプレイヤーになっているだろう。彼らは長期戦では注意深くプレイし相手の隙を伺うことで相手を打ち負かせることを技術と経験から知っている。
そんな草の根プレイヤーがPTQやGPのような場に出た時、彼らの中には自身のプレイスタイルをその場に合わせることが困難な者もいるだろう。今、彼らの目の前に座っている相手は自分と同格か、格上のプレイヤーであり、それに打ち勝つのは今まで通り簡単なことではない。そんな時に考え過ぎなプレイになってしまってチャンスを取りこぼしていると、同格の相手にすらハンデを背負ってしまう。
同じように、相手を自分より上のプレイヤーだと思うことは考え過ぎに繋がる。例えばプロプレイヤーとGPで当たった時、地元の強者と当たった時、あるいは先週のFNMで優勝していた人と当たった時。
そんな時あなたは当たった相手を少々『買い被りすぎ』るかもしれない。相手には一切の隙が無いと思ってしまう。
「相手は絶対《意思の激突》を持ってるに決まってる!」
「相手はあの強者だ……返しに《衰滅》が来ないわけがない!」
現実は違う。どのプレイヤーも等しくただの人間だ。同じデッキでも強者だけがトップの10枚から《衰滅》を確実に引けるわけではないんだ。実際に強者と対戦することになったら、多少なりリスクのある強気な選択をしてみるといいかもしれない。あなたは相手を強者と認知し、状況が移り変わってもミスをしにくいプレイヤーであると考えているだろうから。
安全なプレイと考え過ぎなプレイのバランスを保つことは、ゲーム状況や他の要素に対する率直な評価をすることと同じだ。それでも一番大事なことは僕達は人間であり、時には曖昧な選択もするということである。いつでもブレない思考を持ち、ベストな判断をする方法を学ぼう。ゲームを掌握し続けるために安全なプレイをし、考え過ぎなプレイで相手にチャンスを与え過ぎないことだ。
【翻訳】Level One - プレイング学Ⅰ:テンポかカードアドバンテージか
2016年1月11日 翻訳TEMPO & CARD ADVANTAGE: A DELICATE BALANCE
Posted in Level One on November 17, 2014
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/tempo-card-advantage-delicate-balance-2014-11-17
次 http://nanonium.diarynote.jp/201603241701082532/
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目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
テンポとカードアドバンテージ。Level Oneで扱ったこれらの概念はゲームで最も直接的に影響を及ぼすものだ。マジックのセオリーを議論する中でも最も話題にされ、特に面白い部分でもある。しかしこの『暗号』……これら二つのリソースを扱うガイドラインは未だに誰にも明らかにされていない。プレイヤーにも、ライターにも、研究者にも。
テンポとカードアドバンテージは互いに拮抗しあうものだ。テンポを犠牲にしてカードアドバンテージを取ることもあれば、カードアドバンテージ(またはカードの質)を犠牲にしてテンポを取りにいくこともある。これらの交換はデッキ構築やプレイングに起因する。
この二つのリソース差を書き表し、あらゆる状況全てに適応できる方程式は無い。「ここのテンポはここのアドバンテージと等価交換云々」なんて言えたものではない!どちらがより大事であるか、ゲームの敗北を招きやすいのはどちらの不足かを明確にする事もできない。あなたがすべきことは、1つ1つのマッチアップでテンポとカードアドバンテージの価値がどのように変わっており、どちらに焦点を置くべきかを見極めることである。
さて、マジックの試合段階は2つに区分できる。『ゲーム前半』『ゲーム後半』だ。(語彙不足だけど)
ゲーム前半では、プレイヤーは手札は十分だがマナに限りがあり、盤面を取り合いながら優勢を競うことになる。テンポは確かなアドバンテージとなり、それがもたらすリターンは大きい。
ゲーム後半では状況は整理される。呪文や土地はプレイされ、どちらか一方の優位が築かれているか、対等のままでスローゲームになっているだろう。使えるマナはいくらでもあるがその消費手段は少ない。ゲーム後半にテンポアドバンテージを得ることは難しくなってくるんだ。
この二つの段階の期間と重要性は非常に流動的である。これを見極めるんだ!例えば、遅いことで有名な青白コントロール同型戦だと、ゲーム前半とはどちらかが一早くプレインズウォーカーをプレイすることに成功して、わずかながらのアドバンテージを得ることである。一方で超高速ウィニーミラーでは『ゲーム後半』になる前に勝負そのものがつく!このゲーム段階を見極め、どうプレイすればいいか把握することでカードの上手い使い方が出来ることだろう。
前半戦
前半は前に出るチャンスだ。素早く動いて相手を撹乱し、得たテンポアドバンテージを押し通す事ができれば勝利は簡単だ。大抵はクリーチャーやプレインズウォーカーがこの役目を担うだろう。
デッキが十分に早ければ前半だけでゲームを取りに行くことは容易だ。最も美しい終わり方は相手が持てるカードを全てプレイし切る前に削り切ることだが、前半に得たテンポアドバンテージは別の形となって後半戦でのアドバンテージに変わる。典型的な例はライフ総量だろう。
赤単は速いものだ。相手の初動を待たずして軽いクリーチャーを先に何体も展開する。このテンポアドバンテージは速やかに相手へのダメージに切り替わる。相手(あなたより遅いがカードパワーは高いデッキ)が《対立の終結》や《太陽の勇者、エルズペス》を展開出来るころになったら、ゲームは後半戦だ。相手のあらゆるカードはアドバンテージ源ではあるが、赤単が先に稼いだテンポアドバンテージは14-16点ものダメージに還元済みだろう。そうなったらあとはバーン呪文で相手を焼き切るだけである(いわゆる『リーチ』だ)。
ゲーム前半のテンポアドバンテージは適切な状況下ではカードアドバンテージに還元されることもある。例えば《歓楽者、ゼナゴス》のようなプレインズウォーカー。唱えるのが早ければ早いほど、それは毎ターン2/2サテュロスという形の確固たるカードアドバンテージをもたらしてくれる。後半になるころにはそのプレインズウォーカーは倒されてしまっているかもしれないが、彼はもう大量のダメージを与える形で仕事をこなしており、あなたは残りのライフを他のクリーチャーで削るだけで良い。クリーチャーにも似たような仕事をするものがある。トークンを出せる《ゴブリンの熟練扇動者》や手札を整える《ジェスカイの古老》などだ。
相手より早いデッキのゴールは、前半でテンポを得た後にそのアドバンテージを押し通すことだ。遅いデッキのゴールはペースを保ちつつ、ダメージ(ライフでも、ゲーム展開に関わることなら何でも)を抑え、早めにゲームを『後半戦』に移すことである。
同じ速度同士なら、先に動いた側が後々にアドバンテージを得ることになるだろう。後手で相手のプレイをただ真似るとまず負ける……劣勢で始まり劣勢に終わる。『サーブブレイク(※)』のためには、後手側ではリソースを交換し、ゲーム速度を落とし、相手と(出来るだけ)対等な状況で後半戦に移らなければならない。
※テニスにおいてレシーブをする側がゲームに勝つこと
後半戦
前半戦はマナの制限が焦点だった。手札はあっても場の土地は少なかったわけだが、後半戦ではその縛りが薄れると共に、より広い選択肢が取れるようになる。制限されるものはマナ(とテンポ)に代わってカードアドバンテージやライフ残量などへシフトしていく。
《時を越えた探索》や《苦々しい天啓》はとても質の良いアドバンテージをもたらしてくれる。前半戦ではボードを取るためにクリーチャーや除去のプレイに集中し、後半になってゲーム速度が落ちてからそういったアドバンテージ源となるカードを使うことで、それから得たリソースを思うがままに使うことが出来る。
大抵のデッキは後半になると手札を消費し、トップに頼らざるを得なくなる。自分の速度を落としてでも、持ちうるリソースを効率良く使いきらなければならない。前半では占術で土地や軽いカードをトップに置いてきたとしても、後半ではより持久力のあるカードを求めて同様に速度を落としてでも探しに行くだろう。
それではある2種類の呪文についてその特徴と、それらの使い方は前半戦と後半戦でどう変わってくるのかを見てみよう。
パーミッション呪文
《解消》のようなパーミッション呪文はテンポと大きな関係がある。あなたが盤面で対等かそれ以上に優勢である場合、パーミッション呪文は非常に有効な働きをする。一方、盤面を取られている時は状況を好転させる働きは中々してはくれない。
それにパーミッション呪文は何時でも使えるわけではない。《解消》を撃ちたいときはマナを構えなければならないし、相手が動いてきた時のみそのマナを《解消》へ注ぎ込む事ができる。
前半戦では一度《解消》を構えたら何が来てもカウンターするべきだ。それが想定より低い脅威であったとしても。そうしなければ、構えたマナは無駄になり、明確なテンポロスになってしまう。
逆の立場で、もし相手がカウンターを構えているようなマナの立たせ方をしてきた時は弱めのカードから使っていくのが良いだろう。相手にテンポロスとカウンター消費の2択を迫ることで、続けて強力なカードを通しに行くことが出来る。より良い手段としては、手札からカードを使う代わりに《ラクシャーサの死与え》のような起動型能力や長久・怪物化といった能力にマナを使うことで、相手にカウンター呪文自体を撃たせないというプレイングがある。
後半戦でのパーミッション呪文は少々違ったものになる。最もカウンターしたいカードがプレイされるまで他のカードをわざと通す選択肢が出てくるんだ。もちろんそれが最良であればの話だが。《火口の爪》X=10を回避するために《荒野の後継者》等を1度は通すといった具合だ。
さて、Ben Starkのこのデッキは2つの異なる用途でパーミッション呪文を使うデッキの例だ。メインに《無効化》と、サイドに《軽蔑的な一撃》が積まれている。どちらも2マナのカウンターであるが、その役割は大きく異なっている。
《無効化》はジェスカイの弱点である2ターン目の動きを埋めるカードだ。Stark氏のプランは2枚目の土地を置き相手のあらゆるカードを《無効化》するというものなんだね。序盤に盤面を取られないためのテンポプレイであると言えるだろう。
サイドに取られた《軽蔑的な一撃》はその逆だ。ジェスカイは往々にして《包囲サイ》や《太陽の勇者、エルズペス》のようなダメージソースに対処しなければならないが、それらを消す《軽蔑的な一撃》は序盤を耐え忍んだ後の後半戦になってからようやく機能するカードだ。
バウンス呪文
バウンス呪文は強力なテンポカードである。前半戦のマナが制限されている状況において、クリーチャーをバウンスすることは相手のターンをスキップさせるようなものだ!
KTKリミテッドでよくある展開はこんなものだ。あなたは2マナ、3マナとクリーチャーをプレイし相手の初動は3マナクリーチャー。あなたはそれを《引き剥がし》でバウンスし、空の相手にダメージを叩き込む。相手は手札は一杯だが土地は3枚のみであり1アクションしか取れない。あなたの後続がしっかり来てくれれば、ゲームを取るのは容易だろう。
盤面を取ることで序盤に得たテンポアドバンテージを押し通す方法は、(他にやることがなければ)バウンスを撃つのが良い。つまり、まずクリーチャーをプレイし、他にプレイするクリーチャーが無くなった(あるいは2アクションとれる)ところで《引き剥がし》を撃つんだ。相手の初動クリーチャーをバウンスすることはゲームの終盤まで影響力を持つ。相手はカードをプレイする手順が1順ズレるからね。
してはいけないのは、相手の後続に対し《引き剥がし》を撃つことだ。相手は他にプレイするカードがなければバウンスされたクリーチャーを出し直すだけであり、あなたはほんの一瞬のテンポアドバンテージを得るだけだ。もちろんそのバウンスによる総攻撃で相手に致命打を与えられるならOKだが、通常は後半にバウンスを撃つことは悪手になりがちである。
殆どのバウンスはディスアドバンテージになるものだ。あなたは手札を消費するが相手のリソースを取り除いているわけではない。後半戦ではよりカードの損失に直結するため、《引き剥がし》をディスアドバンテージすることなく使う方法を探さなければならない。
分かりやすい例だと、オーラのついたクリーチャーをバウンスすることだろう。クリーチャーは戻ってもオーラは戻ってこないからだ。トークンをバウンスすることも同様にロスが無い。
そんな状況でなければ、耐えることが肝心だ!《引き剥がし》を温存することで除去から自分のクリーチャーを守ることも出来る。あなたの《ジェスカイの風物見》に相手が《大蛇の儀式》を撃ってきたのに対応して《引き剥がし》を撃つことで、少々のテンポロスと引き換えに相手の除去とバウンスを交換出来るわけだ。後半戦ではテンポよりもカードディスアドバンテージを如何にして避けるかがより重要となってくる。
《引き剥がし》は戦闘中でも有意な交換をしてくれる。相手の《熊の覚醒》に対応して《引き剥がし》を撃てれば、1:1交換に加えてライフを守ることにもなる!あなたの《氷河の忍び寄り》を相手が2体ブロックしてきたら、片方をバウンスすることで忍び寄りを守るどころかそのままブロッカーを排除できる!
まとめると、後半戦は『耐え』が焦点になる。前半戦は如何に速く展開して相手を追い詰めるかであったが、後半戦になると速度が落ち、耐えながらカードのベストな使い方を模索していくんだ。
マジックの試合は時に後半戦になる前から既に長期戦になることが運命付けられる。そのような試合ではカードアドバンテージを考えることは殆ど問題にはならないかもしれない。だがそうした試合の変化を見極めなければリソースを最大限に使うことは出来ないだろう。相手が辛抱強く、カードアドバンテージを入念に考慮してくる者だった時、あなたはよりディスアドバンテージをしやすくなってしまう。
マジックとは『順応』である。カードのベストな使い方は状況によって変わる。試合毎に何が重要になっているかを定め、それに沿ったプレイをしよう。
Posted in Level One on November 17, 2014
By Reid Duke
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テンポとカードアドバンテージ。Level Oneで扱ったこれらの概念はゲームで最も直接的に影響を及ぼすものだ。マジックのセオリーを議論する中でも最も話題にされ、特に面白い部分でもある。しかしこの『暗号』……これら二つのリソースを扱うガイドラインは未だに誰にも明らかにされていない。プレイヤーにも、ライターにも、研究者にも。
テンポとカードアドバンテージは互いに拮抗しあうものだ。テンポを犠牲にしてカードアドバンテージを取ることもあれば、カードアドバンテージ(またはカードの質)を犠牲にしてテンポを取りにいくこともある。これらの交換はデッキ構築やプレイングに起因する。
この二つのリソース差を書き表し、あらゆる状況全てに適応できる方程式は無い。「ここのテンポはここのアドバンテージと等価交換云々」なんて言えたものではない!どちらがより大事であるか、ゲームの敗北を招きやすいのはどちらの不足かを明確にする事もできない。あなたがすべきことは、1つ1つのマッチアップでテンポとカードアドバンテージの価値がどのように変わっており、どちらに焦点を置くべきかを見極めることである。
さて、マジックの試合段階は2つに区分できる。『ゲーム前半』『ゲーム後半』だ。(語彙不足だけど)
ゲーム前半では、プレイヤーは手札は十分だがマナに限りがあり、盤面を取り合いながら優勢を競うことになる。テンポは確かなアドバンテージとなり、それがもたらすリターンは大きい。
ゲーム後半では状況は整理される。呪文や土地はプレイされ、どちらか一方の優位が築かれているか、対等のままでスローゲームになっているだろう。使えるマナはいくらでもあるがその消費手段は少ない。ゲーム後半にテンポアドバンテージを得ることは難しくなってくるんだ。
この二つの段階の期間と重要性は非常に流動的である。これを見極めるんだ!例えば、遅いことで有名な青白コントロール同型戦だと、ゲーム前半とはどちらかが一早くプレインズウォーカーをプレイすることに成功して、わずかながらのアドバンテージを得ることである。一方で超高速ウィニーミラーでは『ゲーム後半』になる前に勝負そのものがつく!このゲーム段階を見極め、どうプレイすればいいか把握することでカードの上手い使い方が出来ることだろう。
前半戦
前半は前に出るチャンスだ。素早く動いて相手を撹乱し、得たテンポアドバンテージを押し通す事ができれば勝利は簡単だ。大抵はクリーチャーやプレインズウォーカーがこの役目を担うだろう。
デッキが十分に早ければ前半だけでゲームを取りに行くことは容易だ。最も美しい終わり方は相手が持てるカードを全てプレイし切る前に削り切ることだが、前半に得たテンポアドバンテージは別の形となって後半戦でのアドバンテージに変わる。典型的な例はライフ総量だろう。
赤単は速いものだ。相手の初動を待たずして軽いクリーチャーを先に何体も展開する。このテンポアドバンテージは速やかに相手へのダメージに切り替わる。相手(あなたより遅いがカードパワーは高いデッキ)が《対立の終結》や《太陽の勇者、エルズペス》を展開出来るころになったら、ゲームは後半戦だ。相手のあらゆるカードはアドバンテージ源ではあるが、赤単が先に稼いだテンポアドバンテージは14-16点ものダメージに還元済みだろう。そうなったらあとはバーン呪文で相手を焼き切るだけである(いわゆる『リーチ』だ)。
ゲーム前半のテンポアドバンテージは適切な状況下ではカードアドバンテージに還元されることもある。例えば《歓楽者、ゼナゴス》のようなプレインズウォーカー。唱えるのが早ければ早いほど、それは毎ターン2/2サテュロスという形の確固たるカードアドバンテージをもたらしてくれる。後半になるころにはそのプレインズウォーカーは倒されてしまっているかもしれないが、彼はもう大量のダメージを与える形で仕事をこなしており、あなたは残りのライフを他のクリーチャーで削るだけで良い。クリーチャーにも似たような仕事をするものがある。トークンを出せる《ゴブリンの熟練扇動者》や手札を整える《ジェスカイの古老》などだ。
相手より早いデッキのゴールは、前半でテンポを得た後にそのアドバンテージを押し通すことだ。遅いデッキのゴールはペースを保ちつつ、ダメージ(ライフでも、ゲーム展開に関わることなら何でも)を抑え、早めにゲームを『後半戦』に移すことである。
同じ速度同士なら、先に動いた側が後々にアドバンテージを得ることになるだろう。後手で相手のプレイをただ真似るとまず負ける……劣勢で始まり劣勢に終わる。『サーブブレイク(※)』のためには、後手側ではリソースを交換し、ゲーム速度を落とし、相手と(出来るだけ)対等な状況で後半戦に移らなければならない。
※テニスにおいてレシーブをする側がゲームに勝つこと
後半戦
前半戦はマナの制限が焦点だった。手札はあっても場の土地は少なかったわけだが、後半戦ではその縛りが薄れると共に、より広い選択肢が取れるようになる。制限されるものはマナ(とテンポ)に代わってカードアドバンテージやライフ残量などへシフトしていく。
《時を越えた探索》や《苦々しい天啓》はとても質の良いアドバンテージをもたらしてくれる。前半戦ではボードを取るためにクリーチャーや除去のプレイに集中し、後半になってゲーム速度が落ちてからそういったアドバンテージ源となるカードを使うことで、それから得たリソースを思うがままに使うことが出来る。
大抵のデッキは後半になると手札を消費し、トップに頼らざるを得なくなる。自分の速度を落としてでも、持ちうるリソースを効率良く使いきらなければならない。前半では占術で土地や軽いカードをトップに置いてきたとしても、後半ではより持久力のあるカードを求めて同様に速度を落としてでも探しに行くだろう。
それではある2種類の呪文についてその特徴と、それらの使い方は前半戦と後半戦でどう変わってくるのかを見てみよう。
パーミッション呪文
《解消》のようなパーミッション呪文はテンポと大きな関係がある。あなたが盤面で対等かそれ以上に優勢である場合、パーミッション呪文は非常に有効な働きをする。一方、盤面を取られている時は状況を好転させる働きは中々してはくれない。
それにパーミッション呪文は何時でも使えるわけではない。《解消》を撃ちたいときはマナを構えなければならないし、相手が動いてきた時のみそのマナを《解消》へ注ぎ込む事ができる。
前半戦では一度《解消》を構えたら何が来てもカウンターするべきだ。それが想定より低い脅威であったとしても。そうしなければ、構えたマナは無駄になり、明確なテンポロスになってしまう。
逆の立場で、もし相手がカウンターを構えているようなマナの立たせ方をしてきた時は弱めのカードから使っていくのが良いだろう。相手にテンポロスとカウンター消費の2択を迫ることで、続けて強力なカードを通しに行くことが出来る。より良い手段としては、手札からカードを使う代わりに《ラクシャーサの死与え》のような起動型能力や長久・怪物化といった能力にマナを使うことで、相手にカウンター呪文自体を撃たせないというプレイングがある。
後半戦でのパーミッション呪文は少々違ったものになる。最もカウンターしたいカードがプレイされるまで他のカードをわざと通す選択肢が出てくるんだ。もちろんそれが最良であればの話だが。《火口の爪》X=10を回避するために《荒野の後継者》等を1度は通すといった具合だ。
ジェスカイ・ウィンズ - Ben Stark
プロツアー『タルキール覇王譚』
4 《溢れかえる岸辺》
4 《神秘の僧院》
4 《シヴの浅瀬》
2 《戦場の鍛冶場》
2 《島》
2 《平地》
2 《啓蒙の神殿》
2 《天啓の神殿》
1 《マナの合流点》
1 《山》
4 《道の探求者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《カマキリの乗り手》
4 《稲妻の一撃》
4 《マグマの噴流》
3 《無効化》
4 《ジェスカイの魔除け》
4 《かき立てる炎》
2 《龍語りのサルカン》
3 《時を越えた探索》
サイドボード
2 《無効》
2 《消去》
4 《停止の場》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《否認》
3 《オレスコスの王、ブリマーズ》
さて、Ben Starkのこのデッキは2つの異なる用途でパーミッション呪文を使うデッキの例だ。メインに《無効化》と、サイドに《軽蔑的な一撃》が積まれている。どちらも2マナのカウンターであるが、その役割は大きく異なっている。
《無効化》はジェスカイの弱点である2ターン目の動きを埋めるカードだ。Stark氏のプランは2枚目の土地を置き相手のあらゆるカードを《無効化》するというものなんだね。序盤に盤面を取られないためのテンポプレイであると言えるだろう。
サイドに取られた《軽蔑的な一撃》はその逆だ。ジェスカイは往々にして《包囲サイ》や《太陽の勇者、エルズペス》のようなダメージソースに対処しなければならないが、それらを消す《軽蔑的な一撃》は序盤を耐え忍んだ後の後半戦になってからようやく機能するカードだ。
バウンス呪文
バウンス呪文は強力なテンポカードである。前半戦のマナが制限されている状況において、クリーチャーをバウンスすることは相手のターンをスキップさせるようなものだ!
KTKリミテッドでよくある展開はこんなものだ。あなたは2マナ、3マナとクリーチャーをプレイし相手の初動は3マナクリーチャー。あなたはそれを《引き剥がし》でバウンスし、空の相手にダメージを叩き込む。相手は手札は一杯だが土地は3枚のみであり1アクションしか取れない。あなたの後続がしっかり来てくれれば、ゲームを取るのは容易だろう。
盤面を取ることで序盤に得たテンポアドバンテージを押し通す方法は、(他にやることがなければ)バウンスを撃つのが良い。つまり、まずクリーチャーをプレイし、他にプレイするクリーチャーが無くなった(あるいは2アクションとれる)ところで《引き剥がし》を撃つんだ。相手の初動クリーチャーをバウンスすることはゲームの終盤まで影響力を持つ。相手はカードをプレイする手順が1順ズレるからね。
してはいけないのは、相手の後続に対し《引き剥がし》を撃つことだ。相手は他にプレイするカードがなければバウンスされたクリーチャーを出し直すだけであり、あなたはほんの一瞬のテンポアドバンテージを得るだけだ。もちろんそのバウンスによる総攻撃で相手に致命打を与えられるならOKだが、通常は後半にバウンスを撃つことは悪手になりがちである。
殆どのバウンスはディスアドバンテージになるものだ。あなたは手札を消費するが相手のリソースを取り除いているわけではない。後半戦ではよりカードの損失に直結するため、《引き剥がし》をディスアドバンテージすることなく使う方法を探さなければならない。
分かりやすい例だと、オーラのついたクリーチャーをバウンスすることだろう。クリーチャーは戻ってもオーラは戻ってこないからだ。トークンをバウンスすることも同様にロスが無い。
そんな状況でなければ、耐えることが肝心だ!《引き剥がし》を温存することで除去から自分のクリーチャーを守ることも出来る。あなたの《ジェスカイの風物見》に相手が《大蛇の儀式》を撃ってきたのに対応して《引き剥がし》を撃つことで、少々のテンポロスと引き換えに相手の除去とバウンスを交換出来るわけだ。後半戦ではテンポよりもカードディスアドバンテージを如何にして避けるかがより重要となってくる。
《引き剥がし》は戦闘中でも有意な交換をしてくれる。相手の《熊の覚醒》に対応して《引き剥がし》を撃てれば、1:1交換に加えてライフを守ることにもなる!あなたの《氷河の忍び寄り》を相手が2体ブロックしてきたら、片方をバウンスすることで忍び寄りを守るどころかそのままブロッカーを排除できる!
まとめると、後半戦は『耐え』が焦点になる。前半戦は如何に速く展開して相手を追い詰めるかであったが、後半戦になると速度が落ち、耐えながらカードのベストな使い方を模索していくんだ。
マジックの試合は時に後半戦になる前から既に長期戦になることが運命付けられる。そのような試合ではカードアドバンテージを考えることは殆ど問題にはならないかもしれない。だがそうした試合の変化を見極めなければリソースを最大限に使うことは出来ないだろう。相手が辛抱強く、カードアドバンテージを入念に考慮してくる者だった時、あなたはよりディスアドバンテージをしやすくなってしまう。
マジックとは『順応』である。カードのベストな使い方は状況によって変わる。試合毎に何が重要になっているかを定め、それに沿ったプレイをしよう。
【翻訳】Level One - プレイング学Ⅰ:テンポ
2015年12月29日 翻訳 コメント (5)TEMPO
Posted in Level One on July 20, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/tempo-2015-07-20
次 http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
前 http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
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今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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マジック以外で、僕の人生最大の楽しみの一つは音楽だ。小さい時から音楽を習っては来たけど、演奏するよりも聞くことに身を任せることが何より好きだ。
そんな僕が未だに習得していないスキルとはテンポ……どれくらいの速さで演奏するか、ということだ。僕は楽譜や先生、バンド仲間に一々注意を払うたちでは無くてね。ただマイペースに演奏したかったんだ。結局最後には自分の作る雑音自体に耐えられなくなって、音楽のプレイを諦めてマジックのプレイに再び勤しむことにしたわけだ。
僕はそんな過ちを二度と犯したくはない。だからマジックではテンポというものに深く敬意を払っている。マナやカードアドバンテージのように、テンポもまたリソースの一つだ。ただし、それら2つと違って簡単に「数えられる」ものではない。
テンポとはすなわち、盤面への参加状態である。あなたが相手と比較してどれくらいクリーチャー、土地、プレインズウォーカー、アーティファクト、エンチャントをコントロールしており、それらをどのようにして出したか。プレイヤー両者のペース差を表す概念だ。
リソースの面でテンポはマナと深い関係にあり、同様にライフ総量とも(常にではないが)関連する。カードアドバンテージの面では、時にアドバンテージを犠牲にしてテンポを得るか、或いはその逆かの選択をすることになる。例えば《運命編み》を唱えるとカードアドバンテージを得ることが出来るが、盤面の状況には干渉せずにターンを終えることになる。それはすなわちテンポを捨てたということだ。だがテンポアドバンテージを利用してカードアドバンテージを得ることも出来る。十分に盤面を制圧した状態で相手にチャンプブロックを強制させ、ライフを失う代わりにクリーチャーを失わせるようにね。
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マナを効率良く使おう
2週前はマナカーブの概念、様々なコストのカードをバランスよく入れることについて講義したね。マナカーブはテンポの点で重要となる。5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまい、1-4ターン目までのマナは無駄になる。相手が効率よくマナを使ってきたら盤面も、テンポも、ゲームそのものも落としてしまうだろう。
マナはリソースだ。だからそれを無駄にしてテンポを損なってはいけない。各ターンにマナを全て使わないことが多いようなら、それはデッキ構築とプレイングの両方に対する危険信号だ!
さて、相手が《前線の僧侶》を出してきたとする。あなたは2枚目の土地を置くが、プレイできるのは僧侶に対する《魂裂き》のみ……果たしてプレイすべきだろうか?
まあ、複雑な問題ではある。飛行クリーチャーに備えて《魂裂き》をキープしておくだとか、考えられる要素は様々だ。とはいえ、ここで最もテンポを得るプレイングは《魂裂き》をプレイすることだ。マナを効率よく消費し、盤面を取り戻せる。
もし手札に《骨読み》があって次のターンに唱える予定ならどうだろう。《魂裂き》を今プレイしなければ、次にプレイできるチャンスはずっと後になるか、はたまた《骨読み》自体のプレイを先送りする羽目になるかもしれない。呪文のプレイや展開が遅れれば遅れるほど、テンポはどんどん損なわれることになるんだ。それに《骨読み》をプレイした後は、引いてきたクリーチャーや呪文をプレイしに行くだろう。こんな時の《魂裂き》を唱えるチャンスはまさに今なんだ!
あなたの土地
テンポとは盤面を作ることであり、土地を置くことはその一環だ。土地を置くたびに、毎ターン使えるマナが1増える。だからゲームが進むほど各ターンの動きはよりパワフルになるし、テンポも一層激しくなる。同じ理由から、土地を1回置きそびれると大変悲惨なことにもなる。直近のテンポを失うばかりでなく、続くターンでテンポを取り戻す手段も厳しくなるわけだ。
《進化する未開地》で探す土地のように、タップインする土地もある。それらはプレイしたターンにはマナを供給せず、潜在的なテンポロスを抱えている。その代わり、例えば《進化する未開地》は普通に基本土地をプレイするよりも多様な動きができる。ちょうど足りてない色を探したりね。マナを使う必要が無い時の《進化する未開地》のような土地は長期的『投資』になるだろう。タップインランドを使うか否かはあなたのデッキプラン、すなわち最初のターンでのテンポロスに目をつぶれるかの問題になる。
では《葉光らせ》のようなカードはどうだろう?
《葉光らせ》は一旦プレイされれば土地として見ることが出来る。土地のように毎ターンマナを供給し、盤面に残ればそのまま相手にテンポ差を付けられる。ただし土地とは違って、それをプレイするためには予め別のマナが必要になる。繰り返しになるが、マナクリーチャーが噛み合うデッキもあればそうでないデッキもあることを忘れずに。
クリーチャーと主導権(イニシアチブ)
プレイヤーは常に2択を迫られる。能動的に動く(展開し、攻撃したりプランを進めたりする)か、受動的に動く(守り、相手の脅威に解答する)かだ。一番良いのは可能な限り能動的に動くことである。
能動的に動くプレイヤーが主導権を握る。ゲームのペースを自分のものにし、相手に受動的に動くことを強いる。
主導権を握ることは多くのアドバンテージをもたらすだろう。例えば相手に強烈なアタックを仕掛けることは、相手に反撃のチャンスを与えないことにつながる。守りに立つ必要が無いときは、ライフを気にすることもプレインズウォーカーを守る必要も無い。攻撃は最大の防御だ!
相手を守らせることは相手を追い込むことになる。例えば相手の重要なブロッカーを排除できれば大きなテンポとダメージを稼ぐ事ができるだろう。ブロッカーが生きていたとしても、アタックする側は大抵マナを戦闘中自由に使えるが、ブロックする側はブロッカーの展開等でタップアウトしているものだ。《剛力化》や《力強い跳躍》のようなコンバットトリックを最も上手く使えるだろうね。
クリーチャーは出たターンには攻撃できないから、攻撃したいプレイヤーにとっての初動は大事になる。逆に守りに重きをおく(相手と同等のテンポであれば良い)プレイヤーによってクリーチャーは場に出るだけでテンポを作る。なので戦場に出た時の誘発型能力や速攻のような能力はテンポの面で大変素晴らしい働きをすることになる。
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除去と除去(仮)
除去呪文はテンポアドバンテージを得る素晴らしい手段だ。相手のブロッカーを排除して攻撃を続行したり、アタッカーを排除してミスの要因を減らしつつ自身を守ったり出来る。
《不浄な飢え》はシンプルでまごうことなき除去呪文だ。相手がクリーチャーを出し、あなたが返しの自分のターンでそのまま《不浄な飢え》を撃ったなら、テンポアドバンテージを得ることはおそらく出来ないだろう(もちろん1:1交換なのでカードアドバンテージも得てはいない)。
《不浄な飢え》の欠点はそのコストの重さにある。
軽いクリーチャーを大量に展開し、相手がその全てに解答する前に勝利することは完璧なテンポ重視戦略と言える。《不浄な飢え》は5マナであり、そんな戦略相手には2マナ3マナのクリーチャーと交換したところでどうしようもないだろう。
軽めのクリーチャーを積むことはカードパワーの低下を招き、相手と対等な勝負が出来なくなるが、そんな勝負をする必要はない!もし5ターン目までに4,5体ものクリーチャーを展開し、相手がその1体に《不浄な飢え》を撃ってきたとしても、既にテンポは十分取っているからそのまま押しきれるだろう。一旦テンポを取ってしまえば、状況が一変しないかぎりアドバンテージを別な形で得ることが出来るんだ。この例では残りのクリーチャーによる膨大なダメージでね。
より除去が効果的な場面を考えてみよう。あなたはテンポを確立し《不浄な飢え》を持っているとする。早めに展開した軽量クリーチャー達で盤面も十分だ。崖っぷちの相手は《永遠警備の歩哨》をプレイし、盤面とライフの両方を守りに来た。あなたは返しでそれを除去し、全てのクリーチャーでフルアタック出来る。
これはテンポアドバンテージを守る(押し通す)完璧な例だ。言い換えると、先に得たテンポを確実なアドバンテージへつなげるということだ。相手が守りに入っている時はいかに自分のテンポアドバンテージを利用するかが鍵となる。除去呪文はテンポアドバンテージを押し通す素晴らしい方法だ。クリーチャーと違って速やかに盤面に効果を発揮してくれる。
《不浄な飢え》は1:1交換のためカードアドバンテージはもたらさない。《分散》のようなバウンス呪文はディスアドバンテージにすらなる。バウンスはカードを消費する一方、相手に戻ったクリーチャーはゲーム内で再び使えるリソースであり続けるのだ。しかし《分散》も《不浄な飢え》も時に全く同じ効果を盤面に与える。《分散》は2マナと軽く、テンポ重視のプランならより強力なツールになるだろう……もちろんカードアドバンテージと引き換えに。
あなたには4体のクリーチャー、相手には《永遠警備の歩哨》1体の時に《不浄な飢え》と《分散》がもたらす効果は同じだ。どちらも勝利につながる!《永遠警備の歩哨》が相手の墓地ではなく手札にあろうと、勝ってしまえば関係ない。そうでなければ相手は再び6マナ(多分そのターン使える全てのマナ)を使って歩哨を出し、それ以外のカードを負ける前に使い切れるか次第になるだろう。
今はもう廃れたが、昔のカードアドバンテージの基準は、敗北したプレイヤーの手札に残っているカード枚数だったくらいだ!
バウンス呪文が効果を発揮する状況は3つだ。1つ、既に取ったテンポアドバンテージを押し通すとき(テンポアドバンテージを利用して相手のライフを攻めることでアドバンテージを確立する)。2つ、相手の(例えば)6マナクリーチャーをバウンスし、相手にもう一度《永遠警備の歩哨》を出させることでこちらが使ったマナ以上のマナを相手に費やさせるとき(こちらは余ったマナで追加のクリーチャーを展開し更にテンポアドバンテージを取れる)。3つ、相手が手札を大量に抱えながらもマナが足りなくて全て消化しきれていない時(相手は更にマナを必要とするカードを抱えることになる)。
テンポの価値がゲーム展開に及ぼす影響を理解するのは難しい。故にテンポはマジックにおける重要な概念の一つになっている。プレイヤーが両者ともテンポアドバンテージを押し通す事ができない状況はいくらでもある。例えばお互いにクリーチャーが並んでどちらも有効なアタックがしにくい時。あるいはロングゲームになってどちらもマナが大量にあり、テンポアドの意味が薄れている時だ。相手の《永遠警備の歩哨》に《分散》を撃ってもアタックに行けなかったら?相手は返しに十分なマナから歩哨を出し直す。バウンスした瞬間は一時的なテンポアドバンテージを取りはするが、あなたはそのアドバンテージを押し通すことが出来ない。最終的に状況は元に戻る……あなたが《分散》を失ったことを除いて。
このような状況の時はテンポの面から一旦離れて、カードアドバンテージ等へ目を向けたほうがいいだろう。
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テンポはたった1ターン後でさえもゲーム展開を左右する。テンポを得ることは素晴らしいアドバンテージをもたらしうるが、時にはそれ以外の側面に目を向けることも必要となる。この両方を覚えておこう。
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By Reid Duke
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前 http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
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今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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マジック以外で、僕の人生最大の楽しみの一つは音楽だ。小さい時から音楽を習っては来たけど、演奏するよりも聞くことに身を任せることが何より好きだ。
そんな僕が未だに習得していないスキルとはテンポ……どれくらいの速さで演奏するか、ということだ。僕は楽譜や先生、バンド仲間に一々注意を払うたちでは無くてね。ただマイペースに演奏したかったんだ。結局最後には自分の作る雑音自体に耐えられなくなって、音楽のプレイを諦めてマジックのプレイに再び勤しむことにしたわけだ。
僕はそんな過ちを二度と犯したくはない。だからマジックではテンポというものに深く敬意を払っている。マナやカードアドバンテージのように、テンポもまたリソースの一つだ。ただし、それら2つと違って簡単に「数えられる」ものではない。
テンポとはすなわち、盤面への参加状態である。あなたが相手と比較してどれくらいクリーチャー、土地、プレインズウォーカー、アーティファクト、エンチャントをコントロールしており、それらをどのようにして出したか。プレイヤー両者のペース差を表す概念だ。
リソースの面でテンポはマナと深い関係にあり、同様にライフ総量とも(常にではないが)関連する。カードアドバンテージの面では、時にアドバンテージを犠牲にしてテンポを得るか、或いはその逆かの選択をすることになる。例えば《運命編み》を唱えるとカードアドバンテージを得ることが出来るが、盤面の状況には干渉せずにターンを終えることになる。それはすなわちテンポを捨てたということだ。だがテンポアドバンテージを利用してカードアドバンテージを得ることも出来る。十分に盤面を制圧した状態で相手にチャンプブロックを強制させ、ライフを失う代わりにクリーチャーを失わせるようにね。
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マナを効率良く使おう
2週前はマナカーブの概念、様々なコストのカードをバランスよく入れることについて講義したね。マナカーブはテンポの点で重要となる。5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまい、1-4ターン目までのマナは無駄になる。相手が効率よくマナを使ってきたら盤面も、テンポも、ゲームそのものも落としてしまうだろう。
マナはリソースだ。だからそれを無駄にしてテンポを損なってはいけない。各ターンにマナを全て使わないことが多いようなら、それはデッキ構築とプレイングの両方に対する危険信号だ!
さて、相手が《前線の僧侶》を出してきたとする。あなたは2枚目の土地を置くが、プレイできるのは僧侶に対する《魂裂き》のみ……果たしてプレイすべきだろうか?
まあ、複雑な問題ではある。飛行クリーチャーに備えて《魂裂き》をキープしておくだとか、考えられる要素は様々だ。とはいえ、ここで最もテンポを得るプレイングは《魂裂き》をプレイすることだ。マナを効率よく消費し、盤面を取り戻せる。
もし手札に《骨読み》があって次のターンに唱える予定ならどうだろう。《魂裂き》を今プレイしなければ、次にプレイできるチャンスはずっと後になるか、はたまた《骨読み》自体のプレイを先送りする羽目になるかもしれない。呪文のプレイや展開が遅れれば遅れるほど、テンポはどんどん損なわれることになるんだ。それに《骨読み》をプレイした後は、引いてきたクリーチャーや呪文をプレイしに行くだろう。こんな時の《魂裂き》を唱えるチャンスはまさに今なんだ!
あなたの土地
テンポとは盤面を作ることであり、土地を置くことはその一環だ。土地を置くたびに、毎ターン使えるマナが1増える。だからゲームが進むほど各ターンの動きはよりパワフルになるし、テンポも一層激しくなる。同じ理由から、土地を1回置きそびれると大変悲惨なことにもなる。直近のテンポを失うばかりでなく、続くターンでテンポを取り戻す手段も厳しくなるわけだ。
《進化する未開地》で探す土地のように、タップインする土地もある。それらはプレイしたターンにはマナを供給せず、潜在的なテンポロスを抱えている。その代わり、例えば《進化する未開地》は普通に基本土地をプレイするよりも多様な動きができる。ちょうど足りてない色を探したりね。マナを使う必要が無い時の《進化する未開地》のような土地は長期的『投資』になるだろう。タップインランドを使うか否かはあなたのデッキプラン、すなわち最初のターンでのテンポロスに目をつぶれるかの問題になる。
では《葉光らせ》のようなカードはどうだろう?
《葉光らせ》は一旦プレイされれば土地として見ることが出来る。土地のように毎ターンマナを供給し、盤面に残ればそのまま相手にテンポ差を付けられる。ただし土地とは違って、それをプレイするためには予め別のマナが必要になる。繰り返しになるが、マナクリーチャーが噛み合うデッキもあればそうでないデッキもあることを忘れずに。
クリーチャーと主導権(イニシアチブ)
プレイヤーは常に2択を迫られる。能動的に動く(展開し、攻撃したりプランを進めたりする)か、受動的に動く(守り、相手の脅威に解答する)かだ。一番良いのは可能な限り能動的に動くことである。
能動的に動くプレイヤーが主導権を握る。ゲームのペースを自分のものにし、相手に受動的に動くことを強いる。
主導権を握ることは多くのアドバンテージをもたらすだろう。例えば相手に強烈なアタックを仕掛けることは、相手に反撃のチャンスを与えないことにつながる。守りに立つ必要が無いときは、ライフを気にすることもプレインズウォーカーを守る必要も無い。攻撃は最大の防御だ!
相手を守らせることは相手を追い込むことになる。例えば相手の重要なブロッカーを排除できれば大きなテンポとダメージを稼ぐ事ができるだろう。ブロッカーが生きていたとしても、アタックする側は大抵マナを戦闘中自由に使えるが、ブロックする側はブロッカーの展開等でタップアウトしているものだ。《剛力化》や《力強い跳躍》のようなコンバットトリックを最も上手く使えるだろうね。
クリーチャーは出たターンには攻撃できないから、攻撃したいプレイヤーにとっての初動は大事になる。逆に守りに重きをおく(相手と同等のテンポであれば良い)プレイヤーによってクリーチャーは場に出るだけでテンポを作る。なので戦場に出た時の誘発型能力や速攻のような能力はテンポの面で大変素晴らしい働きをすることになる。
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除去と除去(仮)
除去呪文はテンポアドバンテージを得る素晴らしい手段だ。相手のブロッカーを排除して攻撃を続行したり、アタッカーを排除してミスの要因を減らしつつ自身を守ったり出来る。
《不浄な飢え》はシンプルでまごうことなき除去呪文だ。相手がクリーチャーを出し、あなたが返しの自分のターンでそのまま《不浄な飢え》を撃ったなら、テンポアドバンテージを得ることはおそらく出来ないだろう(もちろん1:1交換なのでカードアドバンテージも得てはいない)。
《不浄な飢え》の欠点はそのコストの重さにある。
軽いクリーチャーを大量に展開し、相手がその全てに解答する前に勝利することは完璧なテンポ重視戦略と言える。《不浄な飢え》は5マナであり、そんな戦略相手には2マナ3マナのクリーチャーと交換したところでどうしようもないだろう。
軽めのクリーチャーを積むことはカードパワーの低下を招き、相手と対等な勝負が出来なくなるが、そんな勝負をする必要はない!もし5ターン目までに4,5体ものクリーチャーを展開し、相手がその1体に《不浄な飢え》を撃ってきたとしても、既にテンポは十分取っているからそのまま押しきれるだろう。一旦テンポを取ってしまえば、状況が一変しないかぎりアドバンテージを別な形で得ることが出来るんだ。この例では残りのクリーチャーによる膨大なダメージでね。
より除去が効果的な場面を考えてみよう。あなたはテンポを確立し《不浄な飢え》を持っているとする。早めに展開した軽量クリーチャー達で盤面も十分だ。崖っぷちの相手は《永遠警備の歩哨》をプレイし、盤面とライフの両方を守りに来た。あなたは返しでそれを除去し、全てのクリーチャーでフルアタック出来る。
これはテンポアドバンテージを守る(押し通す)完璧な例だ。言い換えると、先に得たテンポを確実なアドバンテージへつなげるということだ。相手が守りに入っている時はいかに自分のテンポアドバンテージを利用するかが鍵となる。除去呪文はテンポアドバンテージを押し通す素晴らしい方法だ。クリーチャーと違って速やかに盤面に効果を発揮してくれる。
《不浄な飢え》は1:1交換のためカードアドバンテージはもたらさない。《分散》のようなバウンス呪文はディスアドバンテージにすらなる。バウンスはカードを消費する一方、相手に戻ったクリーチャーはゲーム内で再び使えるリソースであり続けるのだ。しかし《分散》も《不浄な飢え》も時に全く同じ効果を盤面に与える。《分散》は2マナと軽く、テンポ重視のプランならより強力なツールになるだろう……もちろんカードアドバンテージと引き換えに。
あなたには4体のクリーチャー、相手には《永遠警備の歩哨》1体の時に《不浄な飢え》と《分散》がもたらす効果は同じだ。どちらも勝利につながる!《永遠警備の歩哨》が相手の墓地ではなく手札にあろうと、勝ってしまえば関係ない。そうでなければ相手は再び6マナ(多分そのターン使える全てのマナ)を使って歩哨を出し、それ以外のカードを負ける前に使い切れるか次第になるだろう。
今はもう廃れたが、昔のカードアドバンテージの基準は、敗北したプレイヤーの手札に残っているカード枚数だったくらいだ!
バウンス呪文が効果を発揮する状況は3つだ。1つ、既に取ったテンポアドバンテージを押し通すとき(テンポアドバンテージを利用して相手のライフを攻めることでアドバンテージを確立する)。2つ、相手の(例えば)6マナクリーチャーをバウンスし、相手にもう一度《永遠警備の歩哨》を出させることでこちらが使ったマナ以上のマナを相手に費やさせるとき(こちらは余ったマナで追加のクリーチャーを展開し更にテンポアドバンテージを取れる)。3つ、相手が手札を大量に抱えながらもマナが足りなくて全て消化しきれていない時(相手は更にマナを必要とするカードを抱えることになる)。
テンポの価値がゲーム展開に及ぼす影響を理解するのは難しい。故にテンポはマジックにおける重要な概念の一つになっている。プレイヤーが両者ともテンポアドバンテージを押し通す事ができない状況はいくらでもある。例えばお互いにクリーチャーが並んでどちらも有効なアタックがしにくい時。あるいはロングゲームになってどちらもマナが大量にあり、テンポアドの意味が薄れている時だ。相手の《永遠警備の歩哨》に《分散》を撃ってもアタックに行けなかったら?相手は返しに十分なマナから歩哨を出し直す。バウンスした瞬間は一時的なテンポアドバンテージを取りはするが、あなたはそのアドバンテージを押し通すことが出来ない。最終的に状況は元に戻る……あなたが《分散》を失ったことを除いて。
このような状況の時はテンポの面から一旦離れて、カードアドバンテージ等へ目を向けたほうがいいだろう。
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テンポはたった1ターン後でさえもゲーム展開を左右する。テンポを得ることは素晴らしいアドバンテージをもたらしうるが、時にはそれ以外の側面に目を向けることも必要となる。この両方を覚えておこう。
【翻訳】Level One - プレイング学Ⅰ:戦闘概論
2015年12月22日 翻訳 コメント (4)ATTACKING AND BLOCKING
Posted in Level One on July 27, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/attacking-and-blocking-2015-07-27
次 http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
前 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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読者諸君、この数週は基礎的でつまらない記事によく耐えてきた!だがマナベースの構築を覚えただけでは、あなたはまだマジックというものを完全に学んではいない。『ターミネーター』をラブストーリーとしては見に行かないだろう?さあ、ここからはアクションシーンの時間だ。この記事がLevel Oneにとっての銃撃戦であり、カーチェイスであり、爆発シーンとなる!
戦闘だ!
安っぽいアクション映画は時間の無駄に思うかな?(僕は好きだ!) 戦いや追跡シーンは映画の本筋には関わらない?だけど同じことをマジックに言ってはいけないよ。確かに基礎をマスターするのは重要だ。だが時には戦闘をしなければならず、それを完遂しなければ何にもならない。マジックとは結局、目の前にいる対戦相手を蹴散らすのが全てなんだ。
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クリーチャーで戦おう
最初に覚えておきたいのは、常に受けよりも攻めに回るべしということだ。
戦闘で極端に受動的になってしまうのはよくあるミスだ。今戦闘に参加すべきでないのはどのクリーチャーか?戦闘には常にある種の恐怖がつきまとう。アタックしたらクリーチャーを失ってしまうのではないか?ブロックして相手がコンバットトリックを持っていたら?でもブロックしないとライフが危険水域になってしまう……こんな感じでね。
だが勝つためには大胆に行かなければならない。クリーチャーを戦闘に参加させていかないと彼らの価値はまさに《垂直落下》してしまう。
よくある例を出そう。あなたが《絡み爪のイトグモ》をコントロールしているにもかかわらず相手は《前線の僧侶》でアタックしてきた。もしかしたら相手は《力強い跳躍》を構えているかもしれないし、ブロックされた後に《焦熱の衝動》を撃ちこんでくるかもしれない。だけど防御的なカードである《絡み爪のイトグモ》をデッキに入れているのは何のためだろう?もちろんブロックするためだ!ブロックしてクリーチャーを失う羽目にはなるかもしれないが、それを恐れていつまでもブロックしなかったら元も子もない!本当に特別な理由がない限りは、こんなシチュエーションではブロックしに行った方が良いんだ。
極端に受けに回ることは適当にプレイすることと同様にしてはいけない!
お互いに1体づつのクリーチャーがいるなら、まずはアタックしよう。そしてそうされたら、可能な限りブロックしよう。
相手が《ドゥイネンの精鋭》でアタックしてきて、その時あなたも《ドゥイネンの精鋭》をコントロールしていたとする。これはブロックしに行くべきであり、そうすることで平等な交換をしつつ2点のライフを守ることが出来る。返しに反撃するためにブロックしない事もできるが、相手がより大きいクリーチャーを出してきたらどうする?何事も無く交換が終わっても攻撃される側であるかぎりあなたはビハインドを背負っていることになるんだ。
クリーチャーは、『毎ターン』戦闘に参加できるという事自体に価値があると言える。もしあなたが《ドゥイネンの精鋭》をアタックにもブロックにも回さなかったら各ターン毎にその価値を捨ててしまっていることになるんだ。ブロックせずに反撃しようとすることも、それは半ターン分の価値を無駄にしている。(マジックにおいてプレイヤーは互いにターン数を共有してはおらず、後手の時に相手の行動と同じことをするのは大抵負けに繋がる)
相手の《ドゥイネンの精鋭》がアタックしてきたら《ドゥイネンの精鋭》でブロックが板だ。
では逆の状況の時、どうしてアタックしに行くべきだと思う?それはつまりね……相手はブロックしないかもしれないからだ。相手は《大群の力》を怖がるかもしれないし、単純にミスるかもしれない。例え10回中9回はブロックされるとしても、残りの1回はタダでダメージを与えられるわけだ。こうした『殴り得』な機会を常に逃さないようにすることで、長期スパンでは勝つ試合をきっと増やせるだろう。
より現実的な話をすると、《ドゥイネンの精鋭》といったカードは試合の何処かで結局交換材料にされる。そういった交換は早めにやっておかないと、後々ミスの素になってしまう。アタックせずにターンを返したら、きっと相手はアタックしてくるからそれをブロックする……ブロックすること自体は正解だが、その前がミスそのものだ。それこそもし相手が《大群の力》を持っていたらどうする?あるいは除去によってそのブロッカーが排除されてしまったら?
時には交換を行わないシチュエーションもある。《ジョラーガの祈祷》を持っているからそれに備えて残しておくといった具合だ。そうでなければ、相手にいいようにされない内にこうした交換を行っていこう。
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ブラフ
ブラフがマジックに占める割合はそう多くはない。ただカードを実直にプレイし相手を誤魔化さなくても上手くいくものだ。とはいえ、出来るときにしない理由はないよね?
最もよくあるブラフは、ゲームの序盤に自分の小さいクリーチャーで相手の大きなクリーチャーにアタックしに行くというものだ。僕が《森林群れの狼》で《キテオンの不正規軍》めがけてアタックしてきたらさてどうしよう?まあ僕は《剛力化》を持ってない限りそんなアタックはしないだろう。だが或いは……?
このシチュエーションにおける明確な答えは無い。それこそがポイントだ。どちらのプレイヤーもリスクとリターンを考えると共に、相手がいかに大胆不敵かを見極めようとする。
では手札には何もコンバットトリックを抱えていない時の僕の立場で考えてみよう。ブラフが失敗して《森林群れの狼》を失うことの損失はどれくらいだろう?果たしてそのアタックは成功して2点のダメージを与える価値に見合っているだろうか?あなたがブロックしてくる確率は?
今度はあなたの立場で考えよう。《キテオンの不正規軍》という強力なカードが今後のゲーム展開でもたらす恩恵はどれだけあるだろう?この戦闘でそれが倒されても問題ないのだろうか?それともそれを見越してのブラフなのか?
簡単な答えはない。僕からアドバイスできることは経験に基づくセオリーの断片だけだ。
大抵そのアタックはブラフではないし、大抵はブロックしないほうがいい。
僕が初対面の対戦相手と同じシチュエーションに出くわしたとしたら、《剛力化》を見越して《キテオンの不正規軍》でブロックはしないだろう。問題となるのは逆の立場の時だ。もしリスクを取らずとも勝利できそうな強力なカードを持っていたら、多分ブラフ攻撃はしない。逆に試合が僅差になりそうで、何処かでダメージを稼いでおく必要があるならアタックしに行くだろう。そしてもし相手がブロックしてきたら「マジかー」ってぼやくだろうね。
セミブラフ
プレッシャーのかかる試合では、サイズの小さいクリーチャーで大きなクリーチャーにアタックしに行くなんてあからさまなブラフは憚られる。しかしプレイヤーがよくやるのはセミブラフだ。相手がブロックしないことを願ってアタックし、ブロックされても大きな痛手にはならないこと、それがセミブラフである。
《ドゥイネンの精鋭》で相手のそれにアタックしに行くのもセミブラフだ。相手がブロックせず2点を受けてくれれば良し。もしブロックしてきたら……ふーんなるほど、互いにパワーの同じクリーチャーを交換することになった。遅かれ早かれいずれは行うであろう交換を。
あるいは止めの火力でブロッカーを除去できるかもしれない。《森林群れの狼》で《勇者の守護神》めがけてアタックし相手がブロックしてきたら、天に召される哀れな狼への慰めに《焦熱の衝動》で《勇者の守護神》も道連れにさせてやろう。あまり良い交換ではないが、負けに直結する程ではないだろうしね。
時にはコンバットトリックでバックアップすることもできる。他にマナを使う予定があってもね。本当は《ロウクスのやっかいもの》を展開しに行きたいけど、相手が《勇者の守護神》で《森林群れの狼》をブロックしてきたなら《剛力化》で守ると同時に除去することが出来る!……《ロウクスのやっかいもの》は1ターン待つ必要があるけど。付け加えておくと、相手が展開よりもコンバットトリックを最優先に使おうとしている状況とはすなわち、あなたは受けの側にいるということになる。
具体的な例は置いておくとして、ブラフとセミブラフの概念を知っておくことでクリーチャーをよりアグレッシブに使っていけるだろう。アグレッシブにアタックするたび、相手がブロックしないチャンスが生まれる。そしてアグレッシブにブロックするたび、相手のブラフやセミブラフを看破するチャンスが出来る。
戦闘フェイズ
《剛力化》《力強い跳躍》《大群の力》……コンバットトリックは撃つタイミングが非常に重要だ。タイミングを見誤ることは致命的にもなりうる。逆にここぞという時まで隠し通すことが出来た時のリターンは計り知れない。この点を中心に、戦闘フェイズで起こることについて話そう。
この記事まで読み進めてくれているということは、もう基礎に関する部分は受講済みだろう。だが『悪魔は細部に宿る』。まずはその点について触れていこう。
優先権を持っているということはすなわち行動できるということだ……何かしてもいいし、しなくてもいい。簡単に説明すると、何か(呪文キャスト、能力起動、アタック指定、ブロック指定、ターンステップの移行)が起こった時、それぞれのプレイヤーは優先権を得る。両者とも(スタックが空になるまで)何もしなければ、ターンステップは進み再び同じ流れとなる。優先権を持っている時の殆どは何もしないだろうし、特に優先権のパスを事細かに行わなければゲームはテンポよく進行する。自分がいつ優先権を得るのか、そしてスタックが混雑している時にそれがどう解決されていくのか、これらを覚えておくことは単純に役立つだろう。
ここで重要な事は、相手がドローし、土地を置き、「ゴー」と言ったら、相手は残りのそのターンをスキップしたことになるが、厳密にはアップキープ・戦闘フェイズ・終了フェイズはそれぞれ発生しているので、あなたは好きなタイミングで行動を起こせるということだ。最も簡潔にターンが終了しても、その間では優先権が何回も何回も発生している。それ自体はどちらかが行動を起こすまで問題にならないけど。
現在のターンプレイヤーを『アクティブプレイヤー』と呼ぶ。各ステップやフェイズの最初にアクティブプレイヤーは優先権を得る。アクティブプレイヤーが何もしなければノンアクティブプレイヤーに優先権が回り、ノンアクティブプレイヤーも何もしなければターンは次のステップやフェイズに移行する。(呪文や能力を起動した直後でも、そのプレイヤーがまず初めに優先権を得る。そのため特殊なケースではあるが、例えあなたがアクティブプレイヤーで無くても自分自身の行動に対しまず先に『対応』することが出来る。)
戦闘フェイズの各ステップは次のとおりだ。
各ステップをまともに全て消化していくなんてことをしていては、ゲームは遅延するし退屈極まりないが、その代わりに各ステップの流れを押さえておけばその都度応用をきかせる事ができるだろう。戦闘が複雑になっている時は速度を落として、プレイヤーそれぞれにいつ・何が起こるのか把握するよう努めよう。
ここで大事なポイントは、アクティブプレイヤーがまず先に動かなければならないということだ。もしアクティブプレイヤーが優先権をパスし、ノンアクティブプレイヤーもパスしたら、アクティブプレイヤーが《剛力化》を唱えるチャンスはもう無いんだ。故に最後に行動できるというのはノンアクティブプレイヤーが持つアドバンテージの一つだ。相手が何をしたいのか知り得た状態で行動できるんだからね。
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コンバットトリック
コンバットトリックは非常に有用なツールになりうるが、使い所を間違えないことだ。上手く使えた時のアドバンテージは莫大なものになるが、間違えた時のリスクも甚だしい。
相手の土地がたくさん立っている時はコンバットトリックを使うことは最小限にとどめよう。《闇の試み》を唱えようとしたら対応して《不浄な飢え》を撃たれた場合、状況は一気に暗転することになる。相手は1:2交換に加えて、除去をしながらあなたのマナを無駄にさせるというテンポアドバンテージも得るのだ。
自分の目的を達成させた時のコンバットトリックは優秀だが、使うことを相手に強制された時のリスクは計り知れない。
そのため、コンバットトリックを使うことを前提にしたブロックは控えるべきだろう。相手のマナは立っているだろうからね。相手がタップアウト(土地が全てタップ状態)ならば《剛力化》は素晴らしい仕事をするだろうが、そうでない時は相手の除去がないことを祈りながら撃つ羽目になる……それは大変好ましくはない。
お互いの土地が立っておりいつでもコンバットトリックを撃てる状況にあるときは最も慎重に戦闘を行わなければならない。今一度、最初に行動しなければならないのはアクティブプレイヤーであることを確認しておこう。最も行動前に情報を把握できるノンアクティブプレイヤーが有利にある。
コンバットトリックが内包するもう一つのリスクは、あなたがそれを撃つクリーチャーを持っていない時だ。デッキには常に十分なクリーチャーを入れよう。クリーチャーは引き過ぎるなんてことはないが、逆に引けない時の恐ろしさは分かるだろう?クリーチャーを引けなかったり、引いても相手に処理されてしまった時のコンバットトリックカードはただただ腐ってしまう。
良い手札に1枚のコンバットトリックというのはまさに完璧な使い方ができるだろう。しかし微妙な手札に何枚もコンバットトリックがあるときは、あまり良くない状況であってもそれを使わざるを得なくなる。
そうしたシチュエーションを避けるためにもコンバットトリックを積む際はよく検討しよう。コンバットトリックは積めば積むほど、それを微妙な時に使わざるを得ない機会も増えることになる。オリジンのコンバットトリックには強力なものも多いね。ドラフトでアグレッシブ緑白を組めた時はコンバットトリックを4枚くらい積んでもいいかもしれない。但し殆どのリミテッドデッキにおいては、コンバットトリックを3枚以上積むことには注意が必要だ。
戦闘ではクリーチャーをアグレッシブに使っていこう。クリーチャーはまさにそのために存在するのだ!コンバットトリックは安全かつ効果的に使おう。そして相手には使うことを強制させてやろう。《迅速な報い》や《不浄な飢え》を構えながらね。戦闘をマスターすることの恩恵とはすなわち、相手よりもクリーチャーや呪文の価値を高めることだ。戦闘で気持よく勝負を決めに行こう!
Posted in Level One on July 27, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/attacking-and-blocking-2015-07-27
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目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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読者諸君、この数週は基礎的でつまらない記事によく耐えてきた!だがマナベースの構築を覚えただけでは、あなたはまだマジックというものを完全に学んではいない。『ターミネーター』をラブストーリーとしては見に行かないだろう?さあ、ここからはアクションシーンの時間だ。この記事がLevel Oneにとっての銃撃戦であり、カーチェイスであり、爆発シーンとなる!
戦闘だ!
安っぽいアクション映画は時間の無駄に思うかな?(僕は好きだ!) 戦いや追跡シーンは映画の本筋には関わらない?だけど同じことをマジックに言ってはいけないよ。確かに基礎をマスターするのは重要だ。だが時には戦闘をしなければならず、それを完遂しなければ何にもならない。マジックとは結局、目の前にいる対戦相手を蹴散らすのが全てなんだ。
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クリーチャーで戦おう
最初に覚えておきたいのは、常に受けよりも攻めに回るべしということだ。
戦闘で極端に受動的になってしまうのはよくあるミスだ。今戦闘に参加すべきでないのはどのクリーチャーか?戦闘には常にある種の恐怖がつきまとう。アタックしたらクリーチャーを失ってしまうのではないか?ブロックして相手がコンバットトリックを持っていたら?でもブロックしないとライフが危険水域になってしまう……こんな感じでね。
だが勝つためには大胆に行かなければならない。クリーチャーを戦闘に参加させていかないと彼らの価値はまさに《垂直落下》してしまう。
よくある例を出そう。あなたが《絡み爪のイトグモ》をコントロールしているにもかかわらず相手は《前線の僧侶》でアタックしてきた。もしかしたら相手は《力強い跳躍》を構えているかもしれないし、ブロックされた後に《焦熱の衝動》を撃ちこんでくるかもしれない。だけど防御的なカードである《絡み爪のイトグモ》をデッキに入れているのは何のためだろう?もちろんブロックするためだ!ブロックしてクリーチャーを失う羽目にはなるかもしれないが、それを恐れていつまでもブロックしなかったら元も子もない!本当に特別な理由がない限りは、こんなシチュエーションではブロックしに行った方が良いんだ。
極端に受けに回ることは適当にプレイすることと同様にしてはいけない!
お互いに1体づつのクリーチャーがいるなら、まずはアタックしよう。そしてそうされたら、可能な限りブロックしよう。
相手が《ドゥイネンの精鋭》でアタックしてきて、その時あなたも《ドゥイネンの精鋭》をコントロールしていたとする。これはブロックしに行くべきであり、そうすることで平等な交換をしつつ2点のライフを守ることが出来る。返しに反撃するためにブロックしない事もできるが、相手がより大きいクリーチャーを出してきたらどうする?何事も無く交換が終わっても攻撃される側であるかぎりあなたはビハインドを背負っていることになるんだ。
クリーチャーは、『毎ターン』戦闘に参加できるという事自体に価値があると言える。もしあなたが《ドゥイネンの精鋭》をアタックにもブロックにも回さなかったら各ターン毎にその価値を捨ててしまっていることになるんだ。ブロックせずに反撃しようとすることも、それは半ターン分の価値を無駄にしている。(マジックにおいてプレイヤーは互いにターン数を共有してはおらず、後手の時に相手の行動と同じことをするのは大抵負けに繋がる)
相手の《ドゥイネンの精鋭》がアタックしてきたら《ドゥイネンの精鋭》でブロックが板だ。
では逆の状況の時、どうしてアタックしに行くべきだと思う?それはつまりね……相手はブロックしないかもしれないからだ。相手は《大群の力》を怖がるかもしれないし、単純にミスるかもしれない。例え10回中9回はブロックされるとしても、残りの1回はタダでダメージを与えられるわけだ。こうした『殴り得』な機会を常に逃さないようにすることで、長期スパンでは勝つ試合をきっと増やせるだろう。
より現実的な話をすると、《ドゥイネンの精鋭》といったカードは試合の何処かで結局交換材料にされる。そういった交換は早めにやっておかないと、後々ミスの素になってしまう。アタックせずにターンを返したら、きっと相手はアタックしてくるからそれをブロックする……ブロックすること自体は正解だが、その前がミスそのものだ。それこそもし相手が《大群の力》を持っていたらどうする?あるいは除去によってそのブロッカーが排除されてしまったら?
時には交換を行わないシチュエーションもある。《ジョラーガの祈祷》を持っているからそれに備えて残しておくといった具合だ。そうでなければ、相手にいいようにされない内にこうした交換を行っていこう。
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ブラフ
ブラフがマジックに占める割合はそう多くはない。ただカードを実直にプレイし相手を誤魔化さなくても上手くいくものだ。とはいえ、出来るときにしない理由はないよね?
最もよくあるブラフは、ゲームの序盤に自分の小さいクリーチャーで相手の大きなクリーチャーにアタックしに行くというものだ。僕が《森林群れの狼》で《キテオンの不正規軍》めがけてアタックしてきたらさてどうしよう?まあ僕は《剛力化》を持ってない限りそんなアタックはしないだろう。だが或いは……?
このシチュエーションにおける明確な答えは無い。それこそがポイントだ。どちらのプレイヤーもリスクとリターンを考えると共に、相手がいかに大胆不敵かを見極めようとする。
では手札には何もコンバットトリックを抱えていない時の僕の立場で考えてみよう。ブラフが失敗して《森林群れの狼》を失うことの損失はどれくらいだろう?果たしてそのアタックは成功して2点のダメージを与える価値に見合っているだろうか?あなたがブロックしてくる確率は?
今度はあなたの立場で考えよう。《キテオンの不正規軍》という強力なカードが今後のゲーム展開でもたらす恩恵はどれだけあるだろう?この戦闘でそれが倒されても問題ないのだろうか?それともそれを見越してのブラフなのか?
簡単な答えはない。僕からアドバイスできることは経験に基づくセオリーの断片だけだ。
大抵そのアタックはブラフではないし、大抵はブロックしないほうがいい。
僕が初対面の対戦相手と同じシチュエーションに出くわしたとしたら、《剛力化》を見越して《キテオンの不正規軍》でブロックはしないだろう。問題となるのは逆の立場の時だ。もしリスクを取らずとも勝利できそうな強力なカードを持っていたら、多分ブラフ攻撃はしない。逆に試合が僅差になりそうで、何処かでダメージを稼いでおく必要があるならアタックしに行くだろう。そしてもし相手がブロックしてきたら「マジかー」ってぼやくだろうね。
セミブラフ
プレッシャーのかかる試合では、サイズの小さいクリーチャーで大きなクリーチャーにアタックしに行くなんてあからさまなブラフは憚られる。しかしプレイヤーがよくやるのはセミブラフだ。相手がブロックしないことを願ってアタックし、ブロックされても大きな痛手にはならないこと、それがセミブラフである。
《ドゥイネンの精鋭》で相手のそれにアタックしに行くのもセミブラフだ。相手がブロックせず2点を受けてくれれば良し。もしブロックしてきたら……ふーんなるほど、互いにパワーの同じクリーチャーを交換することになった。遅かれ早かれいずれは行うであろう交換を。
あるいは止めの火力でブロッカーを除去できるかもしれない。《森林群れの狼》で《勇者の守護神》めがけてアタックし相手がブロックしてきたら、天に召される哀れな狼への慰めに《焦熱の衝動》で《勇者の守護神》も道連れにさせてやろう。あまり良い交換ではないが、負けに直結する程ではないだろうしね。
時にはコンバットトリックでバックアップすることもできる。他にマナを使う予定があってもね。本当は《ロウクスのやっかいもの》を展開しに行きたいけど、相手が《勇者の守護神》で《森林群れの狼》をブロックしてきたなら《剛力化》で守ると同時に除去することが出来る!……《ロウクスのやっかいもの》は1ターン待つ必要があるけど。付け加えておくと、相手が展開よりもコンバットトリックを最優先に使おうとしている状況とはすなわち、あなたは受けの側にいるということになる。
具体的な例は置いておくとして、ブラフとセミブラフの概念を知っておくことでクリーチャーをよりアグレッシブに使っていけるだろう。アグレッシブにアタックするたび、相手がブロックしないチャンスが生まれる。そしてアグレッシブにブロックするたび、相手のブラフやセミブラフを看破するチャンスが出来る。
戦闘フェイズ
《剛力化》《力強い跳躍》《大群の力》……コンバットトリックは撃つタイミングが非常に重要だ。タイミングを見誤ることは致命的にもなりうる。逆にここぞという時まで隠し通すことが出来た時のリターンは計り知れない。この点を中心に、戦闘フェイズで起こることについて話そう。
この記事まで読み進めてくれているということは、もう基礎に関する部分は受講済みだろう。だが『悪魔は細部に宿る』。まずはその点について触れていこう。
優先権を持っているということはすなわち行動できるということだ……何かしてもいいし、しなくてもいい。簡単に説明すると、何か(呪文キャスト、能力起動、アタック指定、ブロック指定、ターンステップの移行)が起こった時、それぞれのプレイヤーは優先権を得る。両者とも(スタックが空になるまで)何もしなければ、ターンステップは進み再び同じ流れとなる。優先権を持っている時の殆どは何もしないだろうし、特に優先権のパスを事細かに行わなければゲームはテンポよく進行する。自分がいつ優先権を得るのか、そしてスタックが混雑している時にそれがどう解決されていくのか、これらを覚えておくことは単純に役立つだろう。
ここで重要な事は、相手がドローし、土地を置き、「ゴー」と言ったら、相手は残りのそのターンをスキップしたことになるが、厳密にはアップキープ・戦闘フェイズ・終了フェイズはそれぞれ発生しているので、あなたは好きなタイミングで行動を起こせるということだ。最も簡潔にターンが終了しても、その間では優先権が何回も何回も発生している。それ自体はどちらかが行動を起こすまで問題にならないけど。
現在のターンプレイヤーを『アクティブプレイヤー』と呼ぶ。各ステップやフェイズの最初にアクティブプレイヤーは優先権を得る。アクティブプレイヤーが何もしなければノンアクティブプレイヤーに優先権が回り、ノンアクティブプレイヤーも何もしなければターンは次のステップやフェイズに移行する。(呪文や能力を起動した直後でも、そのプレイヤーがまず初めに優先権を得る。そのため特殊なケースではあるが、例えあなたがアクティブプレイヤーで無くても自分自身の行動に対しまず先に『対応』することが出来る。)
戦闘フェイズの各ステップは次のとおりだ。
戦闘開始ステップ
アクティブプレイヤーはメインフェイズを終え、土地はもう置けないしインスタント以外のカードのプレイも出来ない。《眠りへの誘い》のようなスペルで相手のクリーチャーをタップさせられるタイミングはここまでである。
---------------------------------------------------------------------
攻撃クリーチャー指定ステップ
まずアクティブプレイヤーが攻撃クリーチャーを指定し、タップする。優先権はまだ発生せず、相手の攻撃を止めることは出来ない。《跳ねる混成体》のような瞬速クリーチャーで突然のブロッカーを用意するのはこのステップになる。
---------------------------------------------------------------------
ブロック・クリーチャー指定ステップ
まずノンアクティブプレイヤーがブロッカーを指定する。指定が終わるとアクティブプレイヤーが優先権を先に得るので、ここが《剛力化》のようなコンバットトリックを撃てるタイミングになる。アクティブプレイヤーが何らかの行動を起こすなりして、解決のために優先権をパスしたら、ノンアクティブプレイヤーは『対応』してコンバットトリックや《迅速な報い》などの除去を撃てるようになる。ノンアクティブプレイヤーが『対応』した場合は、再びアクティブプレイヤーに優先権が回り更に『対応』でき、どちらかが何もしなくなるまでこの応酬は続く。
---------------------------------------------------------------------
戦闘ダメージステップ
戦闘ダメージが与えられる。ライフも増減し、死亡するクリーチャーは墓地に置かれる。その後で、与ダメージや死亡によって誘発する能力がスタックに置かれる。
---------------------------------------------------------------------
戦闘終了ステップ
戦闘が終わる前に行動できる最後のチャンスがここである。まあここで何かをするのは滅多にないだろうが。
各ステップをまともに全て消化していくなんてことをしていては、ゲームは遅延するし退屈極まりないが、その代わりに各ステップの流れを押さえておけばその都度応用をきかせる事ができるだろう。戦闘が複雑になっている時は速度を落として、プレイヤーそれぞれにいつ・何が起こるのか把握するよう努めよう。
ここで大事なポイントは、アクティブプレイヤーがまず先に動かなければならないということだ。もしアクティブプレイヤーが優先権をパスし、ノンアクティブプレイヤーもパスしたら、アクティブプレイヤーが《剛力化》を唱えるチャンスはもう無いんだ。故に最後に行動できるというのはノンアクティブプレイヤーが持つアドバンテージの一つだ。相手が何をしたいのか知り得た状態で行動できるんだからね。
---------------------------------------------------------------------------
コンバットトリック
コンバットトリックは非常に有用なツールになりうるが、使い所を間違えないことだ。上手く使えた時のアドバンテージは莫大なものになるが、間違えた時のリスクも甚だしい。
相手の土地がたくさん立っている時はコンバットトリックを使うことは最小限にとどめよう。《闇の試み》を唱えようとしたら対応して《不浄な飢え》を撃たれた場合、状況は一気に暗転することになる。相手は1:2交換に加えて、除去をしながらあなたのマナを無駄にさせるというテンポアドバンテージも得るのだ。
自分の目的を達成させた時のコンバットトリックは優秀だが、使うことを相手に強制された時のリスクは計り知れない。
そのため、コンバットトリックを使うことを前提にしたブロックは控えるべきだろう。相手のマナは立っているだろうからね。相手がタップアウト(土地が全てタップ状態)ならば《剛力化》は素晴らしい仕事をするだろうが、そうでない時は相手の除去がないことを祈りながら撃つ羽目になる……それは大変好ましくはない。
お互いの土地が立っておりいつでもコンバットトリックを撃てる状況にあるときは最も慎重に戦闘を行わなければならない。今一度、最初に行動しなければならないのはアクティブプレイヤーであることを確認しておこう。最も行動前に情報を把握できるノンアクティブプレイヤーが有利にある。
コンバットトリックが内包するもう一つのリスクは、あなたがそれを撃つクリーチャーを持っていない時だ。デッキには常に十分なクリーチャーを入れよう。クリーチャーは引き過ぎるなんてことはないが、逆に引けない時の恐ろしさは分かるだろう?クリーチャーを引けなかったり、引いても相手に処理されてしまった時のコンバットトリックカードはただただ腐ってしまう。
良い手札に1枚のコンバットトリックというのはまさに完璧な使い方ができるだろう。しかし微妙な手札に何枚もコンバットトリックがあるときは、あまり良くない状況であってもそれを使わざるを得なくなる。
そうしたシチュエーションを避けるためにもコンバットトリックを積む際はよく検討しよう。コンバットトリックは積めば積むほど、それを微妙な時に使わざるを得ない機会も増えることになる。オリジンのコンバットトリックには強力なものも多いね。ドラフトでアグレッシブ緑白を組めた時はコンバットトリックを4枚くらい積んでもいいかもしれない。但し殆どのリミテッドデッキにおいては、コンバットトリックを3枚以上積むことには注意が必要だ。
戦闘ではクリーチャーをアグレッシブに使っていこう。クリーチャーはまさにそのために存在するのだ!コンバットトリックは安全かつ効果的に使おう。そして相手には使うことを強制させてやろう。《迅速な報い》や《不浄な飢え》を構えながらね。戦闘をマスターすることの恩恵とはすなわち、相手よりもクリーチャーや呪文の価値を高めることだ。戦闘で気持よく勝負を決めに行こう!
【翻訳】Level One - カードアドバンテージ概論
2015年12月16日 翻訳THE BASICS OF CARD ADVANTAGE
Posted in Level One on July 13, 2015
By Reid Duke
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前 http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
スペルのコスト
先週の講義で、マナとはマジックの根本的なリソースだと表現したのを覚えているかな。ゲーム内である効果を必要としたら、そのために必要なマナを揃え、望みのスペルを唱えることが必要だ。これは全くもって単純なことだが、それは呪文のキャストに限った話ではない。
ここでちょっと次のカードを考えてみよう。
あなたは相手の飛行をブロックしたい。そこで《絡み爪のイトグモ》を出してもいいし、《蜘蛛の網のマントル》を例えば《ふいごトカゲ》に付けて同じ役割のクリーチャーを作ってもいい。両方とも3マナを払い、タフネス4で到達持ちのクリーチャーを出している。《ふいごトカゲ》に至っては2マナのパンプアップ能力も備えている!支払ったマナの観点のみで見ると、《絡み爪のイトグモ》を出す方は非常に見劣りするだろう。
だが、実際は《絡み爪のイトグモ》を出す方がより効率が良い。そもそも《ふいごトカゲ》や《蜘蛛の網のマントル》はマジックでは弱い部類のカードにあたる。確かにマナ(マジックの根本的リソースである)の観点では、この2つの選択はどちらも同じコストだ。それでも他の根本的リソースの点では、これらの選択肢は大いに異なるんだ。
すなわち、《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイすることは手札から2枚のカードを消費する。一方で《絡み爪のイトグモ》のプレイで消費する手札は1枚にすぎない。
マジックは7枚の初手からスタートし、カードを毎ターン1枚引く。これはマジックであなたが為すべきプレイングに大きな制約をかける。もし僕が《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイし、あなたが《絡み爪のイトグモ》をプレイしたなら、同じ3マナでもあなたの方が僕よりも有利に立つだろう。どちらも効果的なブロッカーを出しているものの、あなたの方が1枚多く手札を温存出来ており、そのおかげで後のゲームでより多くの選択肢をもたらしてくれるだろうからね。
カード・アドバンテージ
カードをリソースとして捉えられないのは軽率だ。それでは呪文を浪費し、すぐに使い果たしてしまうだろう。そうなると後はトップに祈ることしか出来なくなる。逆にカードをリソースとして丁寧に使用すれば、カード1枚1枚の力を最大限に発揮させ、勝利をつかむことが出来るだろう。
カードアドバンテージとはおそらく競技マジックにおける唯一無二にして最も重要な概念だ。試合中のあらゆるプレイングはその思考の過程の中でこのカードアドバンテージの下に決定されている。
この言葉はほぼマジックの誕生と同時に生まれてきたものだ。生みの親であるEric Taylorはこう定義している。「カードアドバンテージとは、プレイヤーがより多くの効果的なカードを対戦相手よりも得ることである」
この定義ではいまいちピンとこないかもしれない……それはカードアドバンテージが様々な形態を取り得るためだ。
では簡単な例から見てみよう。
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追加のカードを引く
これはカードアドバンテージが取る一つの単純な形だ。あなたが《運命編み》を唱えれば2枚のカードを引く。忘れてはならないのが、そのドロー呪文自体は手札から1枚カードを消費しているということだ。《運命編み》がもたらす追加のカードは1枚分である。《ジェイムデ―秘本》は毎ターン追加のカードをくれるが、これもその本体として1枚のカードを必要としている。これを4回起動した時、あなたが得るアドバンテージは3枚分である。これらのカードは確固たるカードアドバンテージを生み出す典型だ。
もし呪文があなたにカードを1枚引かせること以外に何もしなかった場合、それはすなわちカードアドバンテージをもたらしてはいないことに注意しておこう。例えば《闇の試み》でクリーチャーを守ることが出来なくてもそれは1枚のカードを引かせてはくれるが、あなたはカードを1枚消費し1枚引いたことになる。つまりアドバンテージを得てはいないのだ。
《骨読み》は《運命編み》と似た効果だが、2点のライフコストと占術2が付いている。ライフを失うことと占術はどちらも重要な要素だが、これらを直接比較することは難しい。カードアドバンテージの点では《骨読み》は同じく1枚分のアドバンテージをもたらすが、それまでの過程は個別に考えるべきだろう。
それにカードアドバンテージとはあなたの手札枚数だけに留まらない。盤面にパーマネントを追加することもカードアドバンテージと言える。
ただカードを1枚引くだけではアドバンテージになっていないが、例えば《塔の霊》では話が変わってくる。1枚の追加のカードに加えて盤面にクリーチャーを展開できている。すなわち《運命編み》のように1枚分のカードアドバンテージを得ているんだ。2/2飛行を展開するとともに手札の枚数はそのままを維持できているなんて!
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対戦相手のカードを減らす
定義上、アドバンテージという言葉は対戦相手と比較した時のあなたの状態に働きかける。すなわち対戦相手と比較した際のアドバンテージというものもあるんだ。
《精神腐敗》で対戦相手の手札を2枚落としたとする。呪文を唱える常として、あなたは1枚分の手札を消費した。しかしそのおかげで相手は2枚の手札を失った。あなたと相手は両者とも手札を減らしたが、カードアドバンテージはその比較になる。相手はあなたよりも1枚多くカードを失っており、すなわちあなたは1枚分のカードアドバンテージを『得た』のだ。
アドバンテージの点では相手のパーマネントを攻めることは手札を攻めることに等しい。例えば《衰滅》は相手のクリーチャーを複数同時に処理する効果を持っている。もし相手が3体のクリーチャーを失いあなたもまた1体失ったならば、あなたは2枚分のカード(《衰滅》とそのクリーチャー)を消費し、相手は3枚を失ったことになる。やはりここであなたは1枚分のアドバンテージを得ている。
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質的アドバンテージ
上記のようなカードアドバンテージの数え方はシンプルであると同時に役立ち、すぐにでも活用できる。しかしながら、これだけではマジックの試合の成り行きを語り尽くすことはまず出来ない。
厳密な定義で考えてみよう。《ドラゴンの餌》は2体のクリーチャーを産み出してくれるから、1:2のアドバンテージと見なせるかもしれない。確かに僕が2体の《ふいごトカゲ》でアタックし、あなたがそのゴブリントークン2体でブロックしたならば、僕がカードを2枚消費したことでそれは明確にアドバンテージと見なせるだろう。
だが、この考え方の欠陥は《ドラゴンの餌》と《血の儀式の司祭》を同じアドバンテージとしてカウントできてしまうことにある。
どちらも2体のクリーチャーを生み出すから1枚で2枚分と数えられる。しかし対戦相手である僕が《血の儀式の司祭》を出した瞬間、2/2のクリーチャー1体だけであなたのゴブリントークン達はもはやアタックできなくなっていることが分かるだろうか?そして僕が5/5飛行デーモンだけでゲームを決めるであろうことも。
実戦では、あるカードが効果的に働く一方で別のカードはそうはならない。上記のように《ドラゴンの餌》のような(あるいは不幸にも結果的に試合結果を変えてしまう)カードをカードアドバンテージとしてカウントすることは間違いになることがある。その代わり、価値を定めることが難しいこの『質的アドバンテージ』を考えることは、マジックのカードがどれも同じ価値ではないこと、あるいは時に同じであることを理解するのに繋がる。
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死に札・腐らせるということ
マナフラにイカれたことのある人なら誰でも分かっていることだが、マジックではそれ以上土地を引くことに意味が無くなる状況が起こり得る。必要なプレイをするために十分な土地が揃っている時に引いてくる追加の土地はもはやゲームには全く影響を及ぼさない。
質的アドバンテージを得る方法の一つに、相手のカードを腐らせる、死に札にさせるということがある。これは難しそうに思えるかもしれないが、この記事を読んでいるあなたはきっと既にそれをやったことがあるだろう。デカいクリーチャーを出して相手の小さなクリーチャーを止めること、それだ!
ひとたび《ファリカの信奉者》を出してしまえば相手は1/1や2/2ではアタックできなくなってしまう。つまり《ファリカの信奉者》が相手の小粒を全て腐らせているということになる。これは質的アドバンテージとも見れる。
相手が《精神腐敗》や《夜の罠》をデッキに入れているなら、手札を使い切るという戦略が有効に働く。そうしてしまえば相手がそのうち引いてきたそれらのカードを腐らせられるだろう。
デッキ構築中にも同じことが出来る。《粉々》を警戒したいならデッキからアーティファクトを全部抜いてしまえばいい。それだけで途端に《粉々》は死に札だ!
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死に札のリスクを減らす
一方で、死に札を避けたり、死にそうなカードの使い道を見つけることで質的アドバンテージを得ることも可能だ。
ゲームがズルズルと長引いている時。そうだね、例えば15ターン目でも20ターン目でもいい。どちらのプレイヤーも土地を並ぶに並べ、最早完全に死に札になっている。Johnnyはその後も引き込む土地に頭を抱えているが、Jennyは《印章持ちのヒトデ》の占術によっていらない土地や弱いカードをボトムに送り、より効果的なカードを引こうとしている。
この例では《印章持ちのヒトデ》は定義的にはJennyに何のカードアドバンテージももたらしてはおらず、単に次に引くカードを変えているだけだ。それでもこれは死に札を避けることで質的アドバンテージをもたらしていると見れる。
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弱いカード・強烈なカード
あるカードがあるカードよりも格上である、と言っただけではマジックの試合というものをチラッと覗いただけに過ぎない。《ふいごトカゲ》は殆どあらゆるカードの下位に属する一例だ。すなわち《ふいごトカゲ》は『弱いカード』にあたる。マナコストは安いが、大抵は横に追いやられてしまうからだ。
定義的な観点では《ドラゴンの餌》は2枚分の効果だ。しかし一方が《ドラゴンの餌》をプレイしもう一方が《シヴ山のドラゴン》をプレイしたら、果たしてどちらが勝つだろうかな?この例で《シヴ山のドラゴン》は『強烈なカード』と言える。ゲームの流れが不明瞭なところに登場することで速やかにゲームを決めてしまえるカードだ。
強烈なカードに重きを置くこともまた、質的アドバンテージを稼ぐ手段になる。
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カードアドバンテージを稼ぐのが上手いプレイヤーが常に勝利するわけではない。相手の場に《シヴ山のドラゴン》がいる状況で《運命編み》をひたすらプレイし続けるプレイヤーが《ふいごトカゲ》と《ドラゴンの餌》しか引かなかったら、アドバンテージなんてものは全く意味を成さない。
重要なのは、カードアドバンテージの裏に隠れた論理を理解し、単純な交換を行う中でアドバンテージを数えられるようになることだ。しかし時には枚数より質的アドバンテージがより重要になっていることを認識することも必要となる。
競技マジックは大抵余裕の無い鮮烈な試合となる。2:1交換によるアドバンテージや相手のカードを腐らせることで得た僅かなリソースが勝敗を簡単に分けたりする。カードアドバンテージは試合プランや論理を考える核に位置づけられるものだ。今後、このLevel Oneを読む際にはこの概念に何度も出会うことだろう。ひとまず今日の所は、これがあなたにとって有益なイントロになることを……復習組の人にはより深い概念になることを……願うとしよう。
Posted in Level One on July 13, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/basics-card-advantage-2015-07-13
次 http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
前 http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
スペルのコスト
先週の講義で、マナとはマジックの根本的なリソースだと表現したのを覚えているかな。ゲーム内である効果を必要としたら、そのために必要なマナを揃え、望みのスペルを唱えることが必要だ。これは全くもって単純なことだが、それは呪文のキャストに限った話ではない。
ここでちょっと次のカードを考えてみよう。
絡み爪のイトグモ (2)(緑)
クリーチャー — 蜘蛛(Spider)
到達(このクリーチャーは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)
1/4
蜘蛛の網のマントル (1)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+1/+3の修整を受けるとともに到達を持つ。(それは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)
ふいごトカゲ (赤)
クリーチャー — トカゲ(Lizard)
(1)(赤):ふいごトカゲはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
1/1
あなたは相手の飛行をブロックしたい。そこで《絡み爪のイトグモ》を出してもいいし、《蜘蛛の網のマントル》を例えば《ふいごトカゲ》に付けて同じ役割のクリーチャーを作ってもいい。両方とも3マナを払い、タフネス4で到達持ちのクリーチャーを出している。《ふいごトカゲ》に至っては2マナのパンプアップ能力も備えている!支払ったマナの観点のみで見ると、《絡み爪のイトグモ》を出す方は非常に見劣りするだろう。
だが、実際は《絡み爪のイトグモ》を出す方がより効率が良い。そもそも《ふいごトカゲ》や《蜘蛛の網のマントル》はマジックでは弱い部類のカードにあたる。確かにマナ(マジックの根本的リソースである)の観点では、この2つの選択はどちらも同じコストだ。それでも他の根本的リソースの点では、これらの選択肢は大いに異なるんだ。
すなわち、《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイすることは手札から2枚のカードを消費する。一方で《絡み爪のイトグモ》のプレイで消費する手札は1枚にすぎない。
マジックは7枚の初手からスタートし、カードを毎ターン1枚引く。これはマジックであなたが為すべきプレイングに大きな制約をかける。もし僕が《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイし、あなたが《絡み爪のイトグモ》をプレイしたなら、同じ3マナでもあなたの方が僕よりも有利に立つだろう。どちらも効果的なブロッカーを出しているものの、あなたの方が1枚多く手札を温存出来ており、そのおかげで後のゲームでより多くの選択肢をもたらしてくれるだろうからね。
カード・アドバンテージ
カードをリソースとして捉えられないのは軽率だ。それでは呪文を浪費し、すぐに使い果たしてしまうだろう。そうなると後はトップに祈ることしか出来なくなる。逆にカードをリソースとして丁寧に使用すれば、カード1枚1枚の力を最大限に発揮させ、勝利をつかむことが出来るだろう。
カードアドバンテージとはおそらく競技マジックにおける唯一無二にして最も重要な概念だ。試合中のあらゆるプレイングはその思考の過程の中でこのカードアドバンテージの下に決定されている。
この言葉はほぼマジックの誕生と同時に生まれてきたものだ。生みの親であるEric Taylorはこう定義している。「カードアドバンテージとは、プレイヤーがより多くの効果的なカードを対戦相手よりも得ることである」
この定義ではいまいちピンとこないかもしれない……それはカードアドバンテージが様々な形態を取り得るためだ。
では簡単な例から見てみよう。
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追加のカードを引く
これはカードアドバンテージが取る一つの単純な形だ。あなたが《運命編み》を唱えれば2枚のカードを引く。忘れてはならないのが、そのドロー呪文自体は手札から1枚カードを消費しているということだ。《運命編み》がもたらす追加のカードは1枚分である。《ジェイムデ―秘本》は毎ターン追加のカードをくれるが、これもその本体として1枚のカードを必要としている。これを4回起動した時、あなたが得るアドバンテージは3枚分である。これらのカードは確固たるカードアドバンテージを生み出す典型だ。
もし呪文があなたにカードを1枚引かせること以外に何もしなかった場合、それはすなわちカードアドバンテージをもたらしてはいないことに注意しておこう。例えば《闇の試み》でクリーチャーを守ることが出来なくてもそれは1枚のカードを引かせてはくれるが、あなたはカードを1枚消費し1枚引いたことになる。つまりアドバンテージを得てはいないのだ。
《骨読み》は《運命編み》と似た効果だが、2点のライフコストと占術2が付いている。ライフを失うことと占術はどちらも重要な要素だが、これらを直接比較することは難しい。カードアドバンテージの点では《骨読み》は同じく1枚分のアドバンテージをもたらすが、それまでの過程は個別に考えるべきだろう。
それにカードアドバンテージとはあなたの手札枚数だけに留まらない。盤面にパーマネントを追加することもカードアドバンテージと言える。
ただカードを1枚引くだけではアドバンテージになっていないが、例えば《塔の霊》では話が変わってくる。1枚の追加のカードに加えて盤面にクリーチャーを展開できている。すなわち《運命編み》のように1枚分のカードアドバンテージを得ているんだ。2/2飛行を展開するとともに手札の枚数はそのままを維持できているなんて!
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対戦相手のカードを減らす
定義上、アドバンテージという言葉は対戦相手と比較した時のあなたの状態に働きかける。すなわち対戦相手と比較した際のアドバンテージというものもあるんだ。
《精神腐敗》で対戦相手の手札を2枚落としたとする。呪文を唱える常として、あなたは1枚分の手札を消費した。しかしそのおかげで相手は2枚の手札を失った。あなたと相手は両者とも手札を減らしたが、カードアドバンテージはその比較になる。相手はあなたよりも1枚多くカードを失っており、すなわちあなたは1枚分のカードアドバンテージを『得た』のだ。
アドバンテージの点では相手のパーマネントを攻めることは手札を攻めることに等しい。例えば《衰滅》は相手のクリーチャーを複数同時に処理する効果を持っている。もし相手が3体のクリーチャーを失いあなたもまた1体失ったならば、あなたは2枚分のカード(《衰滅》とそのクリーチャー)を消費し、相手は3枚を失ったことになる。やはりここであなたは1枚分のアドバンテージを得ている。
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質的アドバンテージ
上記のようなカードアドバンテージの数え方はシンプルであると同時に役立ち、すぐにでも活用できる。しかしながら、これだけではマジックの試合の成り行きを語り尽くすことはまず出来ない。
厳密な定義で考えてみよう。《ドラゴンの餌》は2体のクリーチャーを産み出してくれるから、1:2のアドバンテージと見なせるかもしれない。確かに僕が2体の《ふいごトカゲ》でアタックし、あなたがそのゴブリントークン2体でブロックしたならば、僕がカードを2枚消費したことでそれは明確にアドバンテージと見なせるだろう。
だが、この考え方の欠陥は《ドラゴンの餌》と《血の儀式の司祭》を同じアドバンテージとしてカウントできてしまうことにある。
どちらも2体のクリーチャーを生み出すから1枚で2枚分と数えられる。しかし対戦相手である僕が《血の儀式の司祭》を出した瞬間、2/2のクリーチャー1体だけであなたのゴブリントークン達はもはやアタックできなくなっていることが分かるだろうか?そして僕が5/5飛行デーモンだけでゲームを決めるであろうことも。
実戦では、あるカードが効果的に働く一方で別のカードはそうはならない。上記のように《ドラゴンの餌》のような(あるいは不幸にも結果的に試合結果を変えてしまう)カードをカードアドバンテージとしてカウントすることは間違いになることがある。その代わり、価値を定めることが難しいこの『質的アドバンテージ』を考えることは、マジックのカードがどれも同じ価値ではないこと、あるいは時に同じであることを理解するのに繋がる。
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死に札・腐らせるということ
マナフラにイカれたことのある人なら誰でも分かっていることだが、マジックではそれ以上土地を引くことに意味が無くなる状況が起こり得る。必要なプレイをするために十分な土地が揃っている時に引いてくる追加の土地はもはやゲームには全く影響を及ぼさない。
質的アドバンテージを得る方法の一つに、相手のカードを腐らせる、死に札にさせるということがある。これは難しそうに思えるかもしれないが、この記事を読んでいるあなたはきっと既にそれをやったことがあるだろう。デカいクリーチャーを出して相手の小さなクリーチャーを止めること、それだ!
ひとたび《ファリカの信奉者》を出してしまえば相手は1/1や2/2ではアタックできなくなってしまう。つまり《ファリカの信奉者》が相手の小粒を全て腐らせているということになる。これは質的アドバンテージとも見れる。
相手が《精神腐敗》や《夜の罠》をデッキに入れているなら、手札を使い切るという戦略が有効に働く。そうしてしまえば相手がそのうち引いてきたそれらのカードを腐らせられるだろう。
デッキ構築中にも同じことが出来る。《粉々》を警戒したいならデッキからアーティファクトを全部抜いてしまえばいい。それだけで途端に《粉々》は死に札だ!
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死に札のリスクを減らす
一方で、死に札を避けたり、死にそうなカードの使い道を見つけることで質的アドバンテージを得ることも可能だ。
ゲームがズルズルと長引いている時。そうだね、例えば15ターン目でも20ターン目でもいい。どちらのプレイヤーも土地を並ぶに並べ、最早完全に死に札になっている。Johnnyはその後も引き込む土地に頭を抱えているが、Jennyは《印章持ちのヒトデ》の占術によっていらない土地や弱いカードをボトムに送り、より効果的なカードを引こうとしている。
この例では《印章持ちのヒトデ》は定義的にはJennyに何のカードアドバンテージももたらしてはおらず、単に次に引くカードを変えているだけだ。それでもこれは死に札を避けることで質的アドバンテージをもたらしていると見れる。
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弱いカード・強烈なカード
あるカードがあるカードよりも格上である、と言っただけではマジックの試合というものをチラッと覗いただけに過ぎない。《ふいごトカゲ》は殆どあらゆるカードの下位に属する一例だ。すなわち《ふいごトカゲ》は『弱いカード』にあたる。マナコストは安いが、大抵は横に追いやられてしまうからだ。
定義的な観点では《ドラゴンの餌》は2枚分の効果だ。しかし一方が《ドラゴンの餌》をプレイしもう一方が《シヴ山のドラゴン》をプレイしたら、果たしてどちらが勝つだろうかな?この例で《シヴ山のドラゴン》は『強烈なカード』と言える。ゲームの流れが不明瞭なところに登場することで速やかにゲームを決めてしまえるカードだ。
強烈なカードに重きを置くこともまた、質的アドバンテージを稼ぐ手段になる。
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カードアドバンテージを稼ぐのが上手いプレイヤーが常に勝利するわけではない。相手の場に《シヴ山のドラゴン》がいる状況で《運命編み》をひたすらプレイし続けるプレイヤーが《ふいごトカゲ》と《ドラゴンの餌》しか引かなかったら、アドバンテージなんてものは全く意味を成さない。
重要なのは、カードアドバンテージの裏に隠れた論理を理解し、単純な交換を行う中でアドバンテージを数えられるようになることだ。しかし時には枚数より質的アドバンテージがより重要になっていることを認識することも必要となる。
競技マジックは大抵余裕の無い鮮烈な試合となる。2:1交換によるアドバンテージや相手のカードを腐らせることで得た僅かなリソースが勝敗を簡単に分けたりする。カードアドバンテージは試合プランや論理を考える核に位置づけられるものだ。今後、このLevel Oneを読む際にはこの概念に何度も出会うことだろう。ひとまず今日の所は、これがあなたにとって有益なイントロになることを……復習組の人にはより深い概念になることを……願うとしよう。
【翻訳】Level One - マナ概論
2015年12月9日 翻訳 コメント (2)THE BASICS OF MANA
Posted in Level One on July 6, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/basics-mana-2015-07-06
次 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
前 http://nanonium.diarynote.jp/201512070659241659/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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どのマジックプレイヤーも試合は同じ流れでスタートする。土地を置くことからだ。マナとはマジックの根本的なリソースの一つであり、これが無ければゲームを始めることなどできない。
マナは試合の中心に位置するが、その重要性は試合を始める前から既に影響し始めている。すなわち、マナはデッキ構築の重要な鍵でもある。適切なマナが無ければ呪文を唱えることはできないし、デッキのマナベースが適切であって初めてクリーチャーや呪文を積むことが出来るんだ。
マナベース
マナベースとは土地と、マナを生み出すカード(《葉光らせ》や《ニッサの巡礼》)のことだ。マナベースはシンプルに(リミテッドの白単なら平地17枚で)作ることもできれば、非常に複雑にもなる。多色のカードを使う場合、様々な多色土地に加えてアーティファクトやクリーチャー、呪文等で間接的にマナを出したりする。
簡単且つ完璧なマナベースを構築する方法は残念ながら無い。僕が教えられることは各自で調整する必要もあれば、全く役に立たないかもしれない……。それでも出発点を示すことは出来ると思うよ。
何枚の土地を入れるか
一般的に土地はデッキ枚数の40%をちょっと超える程度が良いと言われている。すなわち40枚デッキなら17-18枚、60枚なら24-25枚だ。この理論は多くのプレイヤー達によって実践的に確かめられてきたことだ。これに従っておけばひとまず構築で大きな間違いを犯すことはないだろう。細かい調整を必要とする要素はたくさんあるが。
土地以外でマナを出す手段について考えよう。《葉光らせ》のようなマナクリーチャーはデッキの必要土地枚数に大きく貢献してくれそうだね?
しかしその変換……《葉光らせ》を土地1枚分と考えること……は、諸処の理由から1:1対応するものではない。まず1つに、あなたは必要な土地を確保出来てないかぎりそれをプレイすることはできない。2つ目、《葉光らせ》は土地と違って簡単に除去されてしまう。3つ目、あなたはマナ加速のために何の気なしにマナクリーチャーを入れるけど、それでも最初の数ターンは確実に土地をプレイする必要がある。なのでそれらのカードは直接土地にカウントされるべきではないが、例えばリミテッドで2枚の《葉光らせ》を持って土地18枚の代わりに17枚にすることは適切であると言えるだろうね。
同様に重要な問題となるのは、簡単な話、あなたのデッキの平均コストはどの程度かということだ。もしあなたのデッキの呪文が4マナ以下であれば、7マナや8マナを必要とするプレイヤーと同じ枚数の土地を入れるべきではないよね。
色マナ
より難しい問題となるのは、必要な色マナの配分をどうするかである。単色デッキなら全く考えることはないが、3色やそれ以上の色をプレイするとなると事は単純ではなくなる。
大抵、マジックではパワーと安定性の小さな駆け引きが求められる。色を増やせばその分対応できる範囲は広がるし、土地が順調であればドローの質はより高まる。だが多色デッキでは色事故による安定性(もしくは安心度)の低下が付き物だ。
このパワーと安定性のバランスは中々に複雑だ。そのマナベースを考える際に重要な問題はこれである。「どのようにして揃えるか?」
簡単のため基本土地のみのケースで考えてみよう。
基本土地のみの場合、一般的には2色にするのが最もパワーと安定性のバランスが取れる。単色は全くもって素晴らしい選択だが、使いたい2色目のカードがあったら是非2色にすべきだろう。2色なら大抵は(常にではない。それでも殆どのプレイヤーが納得できる割合で)事故ることなくカードをプレイできる。2色以上となると、ここで問題に直面することになる。
もっとも、これは一番シンプルなケースである。デッキビルダーとは大工のような者だ。より良い道具が使えれば、大工はより複雑な設計をこなせる。非基本地形や土地以外のマナカードの大きな恩恵よって、あなたは多色デッキをプレイできる。
《隕石》《進化する未開地》《コイロスの洞窟》《シヴの浅瀬》など、複数の色マナを出せるこれらのカードを使えるならば、3色デッキを選択することも可能だ。4色以上となるとより熟練した構築が求められる。2色や3色のマナベースを十分に構築出来る腕が無ければお勧めはしないよ。
多色デッキをプレイするときでも、安定性を求めるにあたって主要な色は1色ないし2色に絞るべきだ。例えばシールドで赤黒の構築に《取り憑かれたスカーブ》を2枚入れたい時、デッキの青色源は3~4枚程度にして良い。毎回《取り憑かれたスカーブ》を引くわけではないからね。もし青マナが出ない事故が起きたとしても、その手札1枚だけならそこまで絶望的にはならないだろうさ。こういった構築は俗に『色をタッチする』と言われる。
均等3色のデッキをプレイすることは不可能ではないが難しい。一度事故ってしまうと持ち直すのは容易ではない。ここで出発点となる指針をまとめよう。
・40枚デッキで初手に確実に欲しい色の土地は最低でも9~10枚は入れよう。(11枚なら十分)
・60枚デッキなら最低15~16枚だ。(17~18枚なら十分)
マナカーブ
マナの問題は土地の枚数や種類を決めただけでは終わらない。使うカードやデッキ全体の構築が関わってくる問題だ。
マナカーブとは各カードのマナコストのバランスである。軽いカードや重いカードの。重いカードを多く入れると『高いマナカーブ』になり、軽いカードだらけなら『低いマナカーブ』となる。
5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまう!逆に1マナの弱いカードだけでは1ターン目以降のプレイはベストなものとは言えなくなってしまうだろう。各マナコストのカードをそれぞれ入れることには大きな意味があるんだ。
http://media.wizards.com/2015/images/daily/LO20150706_ManaCurve.png
他と同様に、マナカーブは厳密な計算から作られるものではない。各マナコストの最適枚数を計算する完璧な法則は無く、いずれもデッキ次第である。どんなカードが入っているか?勝つためのゲームプランは?各ターンに相手がしてくるであろう動きは?
マナカーブの概念はどんなデッキ構築にも関わってくるが、最も明確にイメージ出来るのは高速ビートデッキだろう。素早くクリーチャーを展開し一気にダメージを与えるというゲームプランを取るならば、初めの1-2ターン目が肝になる。デッキによっては1マナのクリーチャーを12枚や14枚、時にはそれ以上入れたりもする!
繰り返すが、マナカーブはどのような戦略を取るか次第だ。高速ビートをしないのであれば、大量の1-2マナクリーチャーは逆に強力なカードの枚数が減ることでデッキ全体のパワーを落としてしまう。ゲームの初めに何らかのアクションは取る必要があるが、そのために必要な明確な枚数は分からない。そんな時は相手の速さを検討しよう。1ターン目から防御に回る必要がある?それとも初動3ターン目からでも間に合う?
マナスクリューとマナフラッド
マジックを始めたプレイヤーの全員がこの悲しい概念を知ることになる。『マナスクリュー』とは必要な分の土地を引けないことであり、『マナフラッド』は逆に引き過ぎることである。これはどんなデッキにも……競技プレイヤーでも起こることだ。マジックの宿命である。
だけどそう気に病まないことだ!確かにあるゲームでマナスクリューを起こした時は腹が立つし楽しくもないけど、その分ほかのゲームではしっかり土地を引いているものだ。
マナスクリューやマナフラッドを起こした時の対処法は構築と実際のプレイングの両方に存在する。マナカーブを整えることからそれは始まるが、他にも使える小技がある。
マナフラッドのダメージを和らげるためには『マナシンク』を入れることだ。マナシンクとは、そのカード自体のコストは高くなく、ゲーム後半にマナを費やせる能力を持っているカードのことだ。
ゲームが長引くと土地を8枚や9枚、それ以上引くことになる。他に呪文を引けたらそれをプレイした方がいいが、土地を引き続けた場合でもマナシンクがあればそこにマナを使えるんだ。
もしゲームプランがマナスクリューを出来るだけしないことであれば、相手の重いカードと交換出来る能力を内蔵した軽いカードを採用するのが良いだろう。
土地事故の問題はゲーム上よくある問題であることはしっかり認識しておこう。事故に一々振り回されないことだ。初心者が陥りやすい問題として、土地事故を起こすたびに本来の適切な土地枚数に更に土地を追加したり減らしたりする。短期の土地不調に惑わされず、理性的な判断をしよう。幾つもの試合を経て構造上の欠点に気づいて初めて、調整に移るべきだ。
実戦例
(※出典元のデッキリストが消失しているため割愛します。)
マナベースとマナカーブを整えることで、マジックで最も危険な罠に嵌まらずに済むだろう。マナの問題を解決すれば、土地と喧嘩する代わりに成功への一歩になる!
Posted in Level One on July 6, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/basics-mana-2015-07-06
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前 http://nanonium.diarynote.jp/201512070659241659/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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どのマジックプレイヤーも試合は同じ流れでスタートする。土地を置くことからだ。マナとはマジックの根本的なリソースの一つであり、これが無ければゲームを始めることなどできない。
マナは試合の中心に位置するが、その重要性は試合を始める前から既に影響し始めている。すなわち、マナはデッキ構築の重要な鍵でもある。適切なマナが無ければ呪文を唱えることはできないし、デッキのマナベースが適切であって初めてクリーチャーや呪文を積むことが出来るんだ。
マナベース
マナベースとは土地と、マナを生み出すカード(《葉光らせ》や《ニッサの巡礼》)のことだ。マナベースはシンプルに(リミテッドの白単なら平地17枚で)作ることもできれば、非常に複雑にもなる。多色のカードを使う場合、様々な多色土地に加えてアーティファクトやクリーチャー、呪文等で間接的にマナを出したりする。
簡単且つ完璧なマナベースを構築する方法は残念ながら無い。僕が教えられることは各自で調整する必要もあれば、全く役に立たないかもしれない……。それでも出発点を示すことは出来ると思うよ。
何枚の土地を入れるか
一般的に土地はデッキ枚数の40%をちょっと超える程度が良いと言われている。すなわち40枚デッキなら17-18枚、60枚なら24-25枚だ。この理論は多くのプレイヤー達によって実践的に確かめられてきたことだ。これに従っておけばひとまず構築で大きな間違いを犯すことはないだろう。細かい調整を必要とする要素はたくさんあるが。
土地以外でマナを出す手段について考えよう。《葉光らせ》のようなマナクリーチャーはデッキの必要土地枚数に大きく貢献してくれそうだね?
しかしその変換……《葉光らせ》を土地1枚分と考えること……は、諸処の理由から1:1対応するものではない。まず1つに、あなたは必要な土地を確保出来てないかぎりそれをプレイすることはできない。2つ目、《葉光らせ》は土地と違って簡単に除去されてしまう。3つ目、あなたはマナ加速のために何の気なしにマナクリーチャーを入れるけど、それでも最初の数ターンは確実に土地をプレイする必要がある。なのでそれらのカードは直接土地にカウントされるべきではないが、例えばリミテッドで2枚の《葉光らせ》を持って土地18枚の代わりに17枚にすることは適切であると言えるだろうね。
同様に重要な問題となるのは、簡単な話、あなたのデッキの平均コストはどの程度かということだ。もしあなたのデッキの呪文が4マナ以下であれば、7マナや8マナを必要とするプレイヤーと同じ枚数の土地を入れるべきではないよね。
色マナ
より難しい問題となるのは、必要な色マナの配分をどうするかである。単色デッキなら全く考えることはないが、3色やそれ以上の色をプレイするとなると事は単純ではなくなる。
大抵、マジックではパワーと安定性の小さな駆け引きが求められる。色を増やせばその分対応できる範囲は広がるし、土地が順調であればドローの質はより高まる。だが多色デッキでは色事故による安定性(もしくは安心度)の低下が付き物だ。
このパワーと安定性のバランスは中々に複雑だ。そのマナベースを考える際に重要な問題はこれである。「どのようにして揃えるか?」
簡単のため基本土地のみのケースで考えてみよう。
基本土地のみの場合、一般的には2色にするのが最もパワーと安定性のバランスが取れる。単色は全くもって素晴らしい選択だが、使いたい2色目のカードがあったら是非2色にすべきだろう。2色なら大抵は(常にではない。それでも殆どのプレイヤーが納得できる割合で)事故ることなくカードをプレイできる。2色以上となると、ここで問題に直面することになる。
もっとも、これは一番シンプルなケースである。デッキビルダーとは大工のような者だ。より良い道具が使えれば、大工はより複雑な設計をこなせる。非基本地形や土地以外のマナカードの大きな恩恵よって、あなたは多色デッキをプレイできる。
《隕石》《進化する未開地》《コイロスの洞窟》《シヴの浅瀬》など、複数の色マナを出せるこれらのカードを使えるならば、3色デッキを選択することも可能だ。4色以上となるとより熟練した構築が求められる。2色や3色のマナベースを十分に構築出来る腕が無ければお勧めはしないよ。
多色デッキをプレイするときでも、安定性を求めるにあたって主要な色は1色ないし2色に絞るべきだ。例えばシールドで赤黒の構築に《取り憑かれたスカーブ》を2枚入れたい時、デッキの青色源は3~4枚程度にして良い。毎回《取り憑かれたスカーブ》を引くわけではないからね。もし青マナが出ない事故が起きたとしても、その手札1枚だけならそこまで絶望的にはならないだろうさ。こういった構築は俗に『色をタッチする』と言われる。
均等3色のデッキをプレイすることは不可能ではないが難しい。一度事故ってしまうと持ち直すのは容易ではない。ここで出発点となる指針をまとめよう。
・40枚デッキで初手に確実に欲しい色の土地は最低でも9~10枚は入れよう。(11枚なら十分)
・60枚デッキなら最低15~16枚だ。(17~18枚なら十分)
マナカーブ
マナの問題は土地の枚数や種類を決めただけでは終わらない。使うカードやデッキ全体の構築が関わってくる問題だ。
マナカーブとは各カードのマナコストのバランスである。軽いカードや重いカードの。重いカードを多く入れると『高いマナカーブ』になり、軽いカードだらけなら『低いマナカーブ』となる。
5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまう!逆に1マナの弱いカードだけでは1ターン目以降のプレイはベストなものとは言えなくなってしまうだろう。各マナコストのカードをそれぞれ入れることには大きな意味があるんだ。
http://media.wizards.com/2015/images/daily/LO20150706_ManaCurve.png
他と同様に、マナカーブは厳密な計算から作られるものではない。各マナコストの最適枚数を計算する完璧な法則は無く、いずれもデッキ次第である。どんなカードが入っているか?勝つためのゲームプランは?各ターンに相手がしてくるであろう動きは?
マナカーブの概念はどんなデッキ構築にも関わってくるが、最も明確にイメージ出来るのは高速ビートデッキだろう。素早くクリーチャーを展開し一気にダメージを与えるというゲームプランを取るならば、初めの1-2ターン目が肝になる。デッキによっては1マナのクリーチャーを12枚や14枚、時にはそれ以上入れたりもする!
繰り返すが、マナカーブはどのような戦略を取るか次第だ。高速ビートをしないのであれば、大量の1-2マナクリーチャーは逆に強力なカードの枚数が減ることでデッキ全体のパワーを落としてしまう。ゲームの初めに何らかのアクションは取る必要があるが、そのために必要な明確な枚数は分からない。そんな時は相手の速さを検討しよう。1ターン目から防御に回る必要がある?それとも初動3ターン目からでも間に合う?
マナスクリューとマナフラッド
マジックを始めたプレイヤーの全員がこの悲しい概念を知ることになる。『マナスクリュー』とは必要な分の土地を引けないことであり、『マナフラッド』は逆に引き過ぎることである。これはどんなデッキにも……競技プレイヤーでも起こることだ。マジックの宿命である。
だけどそう気に病まないことだ!確かにあるゲームでマナスクリューを起こした時は腹が立つし楽しくもないけど、その分ほかのゲームではしっかり土地を引いているものだ。
マナスクリューやマナフラッドを起こした時の対処法は構築と実際のプレイングの両方に存在する。マナカーブを整えることからそれは始まるが、他にも使える小技がある。
マナフラッドのダメージを和らげるためには『マナシンク』を入れることだ。マナシンクとは、そのカード自体のコストは高くなく、ゲーム後半にマナを費やせる能力を持っているカードのことだ。
ゲームが長引くと土地を8枚や9枚、それ以上引くことになる。他に呪文を引けたらそれをプレイした方がいいが、土地を引き続けた場合でもマナシンクがあればそこにマナを使えるんだ。
もしゲームプランがマナスクリューを出来るだけしないことであれば、相手の重いカードと交換出来る能力を内蔵した軽いカードを採用するのが良いだろう。
土地事故の問題はゲーム上よくある問題であることはしっかり認識しておこう。事故に一々振り回されないことだ。初心者が陥りやすい問題として、土地事故を起こすたびに本来の適切な土地枚数に更に土地を追加したり減らしたりする。短期の土地不調に惑わされず、理性的な判断をしよう。幾つもの試合を経て構造上の欠点に気づいて初めて、調整に移るべきだ。
実戦例
(※出典元のデッキリストが消失しているため割愛します。)
マナベースとマナカーブを整えることで、マジックで最も危険な罠に嵌まらずに済むだろう。マナの問題を解決すれば、土地と喧嘩する代わりに成功への一歩になる!
【翻訳】Level One - マジックとは何か?
2015年12月7日 翻訳 コメント (5)WHAT IS MAGIC?
Posted in Level One on August 11, 2014
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11
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目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
「で、マジックって何?」みんなこう聞いてくる。
『みんな』とはあなたがよくご存知の人々だ。親、祖父母、伯母さん、伯父さん、姪、甥、彼女、彼氏、同僚、赤の他人……みんなだ。
まあそう聞かれるのも当たり前で、何故ならマジック・ザ・ギャザリングは率直に言って他のあらゆるものと異なっているからだ。みんなはチェスを知っているけど、マジックはチェスとは全く違う。みんなはブリッジのようなカードゲームを知っているけど、やはりマジックはそれらとは相異なる。ゲーマーにとっても、マジックの端々を理解することは難しい。大多数の『みんな』にとって、マジックは全く違う世界なのだ。
「で、マジックって何?」オーケー。今回と、そして今後連載していく記事に渡ってこの質問に答えていこうと思う。
では思い切って言おう。マジックはこの地球で最も偉大なゲームだ!何故ならマジック・ザ・ギャザリングはあらゆる側面で人々のニーズに答えられるからだ。コレクター、デッキビルダー、ゲーム理論派、芸術……そしてもちろんプレイヤー。特にこのプレイヤーにはとてもマッチしたゲームだ。僕のような毎日プレイする者にとっても、僕の知人達のような1-2年に1回プレイする程度の人にとっても。
おっと、この流れだと僕自身の紹介をしなきゃね。僕の名前はReid Duke。5歳の頃からかれこれ19年マジックをしている。さっきのあらゆるニーズのタイプ――プレイヤーであり、デッキビルダーであり、コレクターであり、そしてマジックの世界を愛する者だ。今はプレイヤー及びライターを専門にしているよ。
断っておくと、この記事ではマジックの背景ストーリーやイラスト、収集に関することについてはあまり触れない。けれども僕の記事は、いつか競技レベルの大会に出ることを視野に入れている人も含む初心者から上級者、あらゆる人に役立つと思っている。あなたのLevelをマジックの基礎的な部分からPTQのような競技レベルにまで到達させることが目標だ。さあ、ここから始めよう。
ひとまず面倒な話は抜きにして、マジックをプレイすることについて話そうか。
マジックをマジックたらしめているものとは?
厳密な回答ではないけど、もし立食パーティーとかでこう聞かれてそれに一言で答えるとしたら、こう言うだろう。「そうだね、チェスとカードゲームの中間って感じかな」
マジックにはチェスと共通する点があり、またマジック自身を特徴づける相違点もある。両者とも1対1の対人戦略ゲームだ。クリーチャーはチェスの駒にあたり、呪文は駒をサポートするもう一つの道具として見れる。そして両方とも戦略的思考や長い目で見たプランニング、オープニング(序盤の定石的プレイ)への意識を必要とする。しかし、チェスは盤面の情報が全て明らかなのに対し、マジックには不確定な部分が含まれている。
非同一性
マジックの試合は大変変化に富んでいるが、中でも最も顕著な要素はすなわち、自分や相手が次に引くカードが分からないということだ。
チェスでは何手も先の動きを読む。マジックでもそれは同じだが、加えて何種類もの可能性を考慮しなければならない。次に土地を引いた時はどうしよう?それがクリーチャーだったら?相手があなたのブロッカーを除去するカードを引いた時は?正確に先を読むことが出来ないゲームには更なる複雑性が加わってくる。
たとえ1人プレイヤーが分身して2人になり同じデッキを使って対戦したとしても、試合内容は毎回異なることになるだろう。そのためマジックにおけるオープニングを覚えることは困難だ。ゲームが始まるまで、序盤にすべきことは正確には分からない。僕はチェスなら第1手目で必ずナイトを動かすが、マジックでは毎回初手に『ナイト』が来るわけではない!それにナイトをどう動かすかは相手の駒次第だが、マジックでは相手がどんな『駒』を持っているかも分からない。
不完全情報
マジックにはこの非同一性に加えて、相手が手札やライブラリーにどんなカードを持っているか分からないという不確定性もある。相手が除去を持っている時とそうでない時とでプレイングの是非は変わるものだ。あなたは手札で最もパワフルな呪文を唱えてもいいが、相手が《雲散霧消》を持っているなら控えたほうが良いだろう。こう聞くと運要素だらけの類推ゲームのようだけど、実際のところ最良のプレイングをするための手段はいくつもある。
マジックをするのに必要なスキルは?
『カードゲームをする』スキル
非同一性や不完全情報性の側面では、マジック(スタンダードのデッキ)はブリッジのようなカードゲームと共通する点がある。映画のWild Bill Hickokなら他のカウボーイのまつ毛がほんのちょっと動いたのを見て、手にスペードのエースと8のツーペアを抱えていることをピタリと察知出来るかもしれない。(※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89)そんな読みは(少なくとも僕が知るかぎりは)空想の産物だ。まあ現実でも相手の手札を動作などの様々な要素から精密に読むことは出来るかもしれないが、そんな超能力はマジックや他の不完全情報ゲームで上手くなるために必要とはされないよ。
僕の経験上、マジックのプレイヤーが重要な局面でのブラフの後に命を奪い合うような対立が起こったことはない。同様に、特定のカードを引く確率を電卓を出して正確に計算しようと思うこともめったに無い。もしあなたが相手の心を読めるウィザードならそれは最高だろう!もしあなたがフォン・ノイマンばりに超スピードで正確な暗算ができる数学者ならそれは試合で大変役立つものだ!たまたまそんなスキルが備わっていたら、確かにそれはプレイヤーとしての資質を高めてくれるだろう。けれども、マジックでもっとも重要なスキルとはそういったものではないと思うよ。
マジックにおいて不確定要素を予測しようとすることは厳密な科学をするとかではなく、あくまで可能性の存在を意識できるかという問題なんだ。そう、必要な分の土地を引けないゲームもある。必要以上に引くときもある。相手が《肉は塵に》をデッキの根幹にあたるクリーチャーに撃ってくる試合もあれば撃ってこない時もある。そういった不確定性はマジックの背景として常につきまとうものだ。それがポイントだ!あなたがやるべきは、全てをコントロールすることは出来ないということを認識するだけで良いんだ。
『チェスをする』スキル
マジックで真っ先に習得すべきスキルとは、ただ自分のカードを上手くプレイすることだけだ。確かに真にマジックをマスターするためには相手を読むことやあらゆる可能性を考慮することも重要だけど、それらのスキルは後から……より後から付いてくるものさ。まずは自分の手札を最大限に使い果たすことを覚えよう。すなわち、『カードゲームの部分(試合の非同一性、不完全性)』は取り敢えず意識しておくだけで、まずは『チェスの部分(盤面や公開情報)』に集中しよう。
この連載記事では上手にカードをプレイする方法の中でも、より実践的なものを記していく予定だ。ただ今回だけは、マジックのプレイングで最も、第一番に重要なスキルについて話させて欲しい。
集中
別の言葉だと『熟慮』や『ゲームへの参加』になるかな。これは生まれつきの才能とは違うものだ。この記事を読んだなら、あなたはきっと次にマジックをプレイする時にこう心がけられるようになる。ちょっとだけ速度を落とし、動揺を抑え、相手のターン中にもボーっとせずに思考を止めないこと。
マジックが上手くなりたいなら、集中こそが最も重要だ。馬鹿みたいなミスを減らし、勝利の可能性を高めてくれる。そして相手がどんなカードを読むヒントも与えてくれる。何より、プレイングを学ぶ速度がグンと上昇するだろう。集中していれば何が起こっているのかすぐに理解できるようになり、何が正解で何が間違いなのかを正しく認識できるんだ。
まとめとして、マジック上達のために養うべきスキルをもう一度リストアップしよう。
『チェススキル』
・基本的戦略思考。どうすれば勝てる?どうやって負けないようにする?
・チャンスを探す。今の相手はアタックされると厳しそう?今こそダメージを与えておくべき?
・耐え。今はまだアタックしてはいけない?我慢することが時には最良となる。大きく動きたいから大きく動くなんてことはしないように。
・複数の筋道で考える。この曲面はダメージレース向きだろうか?それならそのレースを制するにはどうしようか?
『カードゲームスキル』
・非同一という要素。あなたは天才数学者である必要はない。数を数えることが出来れば十分だ。トップを上手い具合にコントロールすることは出来ない。あらゆるトップに即したプレイをするんだ。
・非公開情報を考えよう。あなたはマインドリーダーでなくて良い。相手のハンドを全て読めなくてもいいんだ。その代わりそこにはいくつかのヒントがあるだろう。最も有り得そうなシチュエーションはなんだろう?そしてそれに対応した最もベストなプレイングはなんだろう?
・集中!常にゲームに参加しよう。盤面で見えているものを全て頭に入れておこう。そして少し落ち着いて、適当にプレイしないこと。
「で、マジックって何?」以上がこの質問に対する簡単な回答だ。来週は今回からより発展的な内容を扱おうと思うから、要チェックだ!ではその時まで。ちょっとだけ落ち着いて、ちょっとだけ深く考えて、集中を忘れずにね!
Posted in Level One on August 11, 2014
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11
次 http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
「で、マジックって何?」みんなこう聞いてくる。
『みんな』とはあなたがよくご存知の人々だ。親、祖父母、伯母さん、伯父さん、姪、甥、彼女、彼氏、同僚、赤の他人……みんなだ。
まあそう聞かれるのも当たり前で、何故ならマジック・ザ・ギャザリングは率直に言って他のあらゆるものと異なっているからだ。みんなはチェスを知っているけど、マジックはチェスとは全く違う。みんなはブリッジのようなカードゲームを知っているけど、やはりマジックはそれらとは相異なる。ゲーマーにとっても、マジックの端々を理解することは難しい。大多数の『みんな』にとって、マジックは全く違う世界なのだ。
「で、マジックって何?」オーケー。今回と、そして今後連載していく記事に渡ってこの質問に答えていこうと思う。
では思い切って言おう。マジックはこの地球で最も偉大なゲームだ!何故ならマジック・ザ・ギャザリングはあらゆる側面で人々のニーズに答えられるからだ。コレクター、デッキビルダー、ゲーム理論派、芸術……そしてもちろんプレイヤー。特にこのプレイヤーにはとてもマッチしたゲームだ。僕のような毎日プレイする者にとっても、僕の知人達のような1-2年に1回プレイする程度の人にとっても。
おっと、この流れだと僕自身の紹介をしなきゃね。僕の名前はReid Duke。5歳の頃からかれこれ19年マジックをしている。さっきのあらゆるニーズのタイプ――プレイヤーであり、デッキビルダーであり、コレクターであり、そしてマジックの世界を愛する者だ。今はプレイヤー及びライターを専門にしているよ。
断っておくと、この記事ではマジックの背景ストーリーやイラスト、収集に関することについてはあまり触れない。けれども僕の記事は、いつか競技レベルの大会に出ることを視野に入れている人も含む初心者から上級者、あらゆる人に役立つと思っている。あなたのLevelをマジックの基礎的な部分からPTQのような競技レベルにまで到達させることが目標だ。さあ、ここから始めよう。
ひとまず面倒な話は抜きにして、マジックをプレイすることについて話そうか。
マジックをマジックたらしめているものとは?
厳密な回答ではないけど、もし立食パーティーとかでこう聞かれてそれに一言で答えるとしたら、こう言うだろう。「そうだね、チェスとカードゲームの中間って感じかな」
マジックにはチェスと共通する点があり、またマジック自身を特徴づける相違点もある。両者とも1対1の対人戦略ゲームだ。クリーチャーはチェスの駒にあたり、呪文は駒をサポートするもう一つの道具として見れる。そして両方とも戦略的思考や長い目で見たプランニング、オープニング(序盤の定石的プレイ)への意識を必要とする。しかし、チェスは盤面の情報が全て明らかなのに対し、マジックには不確定な部分が含まれている。
非同一性
マジックの試合は大変変化に富んでいるが、中でも最も顕著な要素はすなわち、自分や相手が次に引くカードが分からないということだ。
チェスでは何手も先の動きを読む。マジックでもそれは同じだが、加えて何種類もの可能性を考慮しなければならない。次に土地を引いた時はどうしよう?それがクリーチャーだったら?相手があなたのブロッカーを除去するカードを引いた時は?正確に先を読むことが出来ないゲームには更なる複雑性が加わってくる。
たとえ1人プレイヤーが分身して2人になり同じデッキを使って対戦したとしても、試合内容は毎回異なることになるだろう。そのためマジックにおけるオープニングを覚えることは困難だ。ゲームが始まるまで、序盤にすべきことは正確には分からない。僕はチェスなら第1手目で必ずナイトを動かすが、マジックでは毎回初手に『ナイト』が来るわけではない!それにナイトをどう動かすかは相手の駒次第だが、マジックでは相手がどんな『駒』を持っているかも分からない。
不完全情報
マジックにはこの非同一性に加えて、相手が手札やライブラリーにどんなカードを持っているか分からないという不確定性もある。相手が除去を持っている時とそうでない時とでプレイングの是非は変わるものだ。あなたは手札で最もパワフルな呪文を唱えてもいいが、相手が《雲散霧消》を持っているなら控えたほうが良いだろう。こう聞くと運要素だらけの類推ゲームのようだけど、実際のところ最良のプレイングをするための手段はいくつもある。
マジックをするのに必要なスキルは?
『カードゲームをする』スキル
非同一性や不完全情報性の側面では、マジック(スタンダードのデッキ)はブリッジのようなカードゲームと共通する点がある。映画のWild Bill Hickokなら他のカウボーイのまつ毛がほんのちょっと動いたのを見て、手にスペードのエースと8のツーペアを抱えていることをピタリと察知出来るかもしれない。(※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89)そんな読みは(少なくとも僕が知るかぎりは)空想の産物だ。まあ現実でも相手の手札を動作などの様々な要素から精密に読むことは出来るかもしれないが、そんな超能力はマジックや他の不完全情報ゲームで上手くなるために必要とはされないよ。
僕の経験上、マジックのプレイヤーが重要な局面でのブラフの後に命を奪い合うような対立が起こったことはない。同様に、特定のカードを引く確率を電卓を出して正確に計算しようと思うこともめったに無い。もしあなたが相手の心を読めるウィザードならそれは最高だろう!もしあなたがフォン・ノイマンばりに超スピードで正確な暗算ができる数学者ならそれは試合で大変役立つものだ!たまたまそんなスキルが備わっていたら、確かにそれはプレイヤーとしての資質を高めてくれるだろう。けれども、マジックでもっとも重要なスキルとはそういったものではないと思うよ。
マジックにおいて不確定要素を予測しようとすることは厳密な科学をするとかではなく、あくまで可能性の存在を意識できるかという問題なんだ。そう、必要な分の土地を引けないゲームもある。必要以上に引くときもある。相手が《肉は塵に》をデッキの根幹にあたるクリーチャーに撃ってくる試合もあれば撃ってこない時もある。そういった不確定性はマジックの背景として常につきまとうものだ。それがポイントだ!あなたがやるべきは、全てをコントロールすることは出来ないということを認識するだけで良いんだ。
『チェスをする』スキル
マジックで真っ先に習得すべきスキルとは、ただ自分のカードを上手くプレイすることだけだ。確かに真にマジックをマスターするためには相手を読むことやあらゆる可能性を考慮することも重要だけど、それらのスキルは後から……より後から付いてくるものさ。まずは自分の手札を最大限に使い果たすことを覚えよう。すなわち、『カードゲームの部分(試合の非同一性、不完全性)』は取り敢えず意識しておくだけで、まずは『チェスの部分(盤面や公開情報)』に集中しよう。
この連載記事では上手にカードをプレイする方法の中でも、より実践的なものを記していく予定だ。ただ今回だけは、マジックのプレイングで最も、第一番に重要なスキルについて話させて欲しい。
集中
別の言葉だと『熟慮』や『ゲームへの参加』になるかな。これは生まれつきの才能とは違うものだ。この記事を読んだなら、あなたはきっと次にマジックをプレイする時にこう心がけられるようになる。ちょっとだけ速度を落とし、動揺を抑え、相手のターン中にもボーっとせずに思考を止めないこと。
マジックが上手くなりたいなら、集中こそが最も重要だ。馬鹿みたいなミスを減らし、勝利の可能性を高めてくれる。そして相手がどんなカードを読むヒントも与えてくれる。何より、プレイングを学ぶ速度がグンと上昇するだろう。集中していれば何が起こっているのかすぐに理解できるようになり、何が正解で何が間違いなのかを正しく認識できるんだ。
まとめとして、マジック上達のために養うべきスキルをもう一度リストアップしよう。
『チェススキル』
・基本的戦略思考。どうすれば勝てる?どうやって負けないようにする?
・チャンスを探す。今の相手はアタックされると厳しそう?今こそダメージを与えておくべき?
・耐え。今はまだアタックしてはいけない?我慢することが時には最良となる。大きく動きたいから大きく動くなんてことはしないように。
・複数の筋道で考える。この曲面はダメージレース向きだろうか?それならそのレースを制するにはどうしようか?
『カードゲームスキル』
・非同一という要素。あなたは天才数学者である必要はない。数を数えることが出来れば十分だ。トップを上手い具合にコントロールすることは出来ない。あらゆるトップに即したプレイをするんだ。
・非公開情報を考えよう。あなたはマインドリーダーでなくて良い。相手のハンドを全て読めなくてもいいんだ。その代わりそこにはいくつかのヒントがあるだろう。最も有り得そうなシチュエーションはなんだろう?そしてそれに対応した最もベストなプレイングはなんだろう?
・集中!常にゲームに参加しよう。盤面で見えているものを全て頭に入れておこう。そして少し落ち着いて、適当にプレイしないこと。
「で、マジックって何?」以上がこの質問に対する簡単な回答だ。来週は今回からより発展的な内容を扱おうと思うから、要チェックだ!ではその時まで。ちょっとだけ落ち着いて、ちょっとだけ深く考えて、集中を忘れずにね!
【翻訳】Level One - 目次
2015年12月7日 翻訳 コメント (4)LEVEL ONE: THE FULL COURSE
Posted in Level One on October 5, 2015
By Wizards of the Coast
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/level-one-full-course-2015-10-05
Duke教授の授業はこれにて終了となります。講義『Level One』は、マジック上達の秘訣を教えるというシラバスの通りこれまでDukeによって教えられてきましたが、休止されます。
しかしながら、Duke教授が2014年8月から教えてきたことを全ての生徒が聴講してきたわけではないことは分かっています。あれから丁度1年、多くの方がプレイヤーとして更なる向上を望んでいることでしょう。
それを受けて、これまでのシラバスの各講義を全てまとめました。皆さんはReidが調整した各コンセプトの講義を見直すことが出来ます。あなたは既に上級者ですか?それならご自身がブラッシュアップしたい項目をどうぞ。この星で最も優れたプレイヤーの一人から学べることに限りはありません!
また来週には、これら全ての記事をマジック小説と同様にeBookでも閲覧できるようにします。それまでは下記の記事からどうぞ。
Ⅰ. 基礎
a. マジックとは? http://nanonium.diarynote.jp/201512070659241659/
b. マナ概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
c. カードアドバンテージ概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
Ⅱ. プレイング学Ⅰ
a. 戦闘概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
b. テンポ http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
c. テンポかカードアドバンテージか http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
d. 一貫戦術
Ⅲ. デッキ・アーキタイプ
a. アグロデッキ
b. コントロールデッキ
c. ミッドレンジデッキ
Ⅳ. プレイング学Ⅱ
a. 全体除去
b. パーミッション呪文
c. クリーチャー土地
d. 対称的効果
e. 脅威と回答
f. 必然性
g. 役割割当
h. ダメージレース
i. マリガン学Ⅰ
j. 優先順位
k. 先手・後手
Ⅴ. プレイング学Ⅲ
a. 投資学
b. 準備論
c. 優勢時、劣勢時のプレイング http://nanonium.diarynote.jp/201510280025305956/
d. 何が起こるか把握せよ
e. マリガン学Ⅲ - 構築編
f. 『ケア』の仕方 http://nanonium.diarynote.jp/201603241701082532/
g. 唱えるタイミング
h. 柔軟性
Ⅵ. リミテッド
a. シールド
b. ドラフト学Ⅰ - 基礎
c. リミテッドのサイドボード
d. ドラフト学Ⅱ - シグナル
e. ドラフト学Ⅲ
f. ドラフト学Ⅳ - 実戦
g. マリガン学Ⅱ - リミテッド編
Ⅶ. デッキ構築
a. マナ基盤の構築
b. フォーマット概論
c. サイドボード
d. サイドプラン
e. デッキ選択のすゝめ http://nanonium.diarynote.jp/201511071355567330/
f. メタゲーム
Ⅷ. その他
a. グランプリ学Ⅰ
b. グランプリ学II
c. 優れたプレイヤーになるために
Ⅸ. 用語集
Posted in Level One on October 5, 2015
By Wizards of the Coast
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/level-one-full-course-2015-10-05
Duke教授の授業はこれにて終了となります。講義『Level One』は、マジック上達の秘訣を教えるというシラバスの通りこれまでDukeによって教えられてきましたが、休止されます。
しかしながら、Duke教授が2014年8月から教えてきたことを全ての生徒が聴講してきたわけではないことは分かっています。あれから丁度1年、多くの方がプレイヤーとして更なる向上を望んでいることでしょう。
それを受けて、これまでのシラバスの各講義を全てまとめました。皆さんはReidが調整した各コンセプトの講義を見直すことが出来ます。あなたは既に上級者ですか?それならご自身がブラッシュアップしたい項目をどうぞ。この星で最も優れたプレイヤーの一人から学べることに限りはありません!
また来週には、これら全ての記事をマジック小説と同様にeBookでも閲覧できるようにします。それまでは下記の記事からどうぞ。
Ⅰ. 基礎
a. マジックとは? http://nanonium.diarynote.jp/201512070659241659/
b. マナ概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
c. カードアドバンテージ概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
Ⅱ. プレイング学Ⅰ
a. 戦闘概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
b. テンポ http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
c. テンポかカードアドバンテージか http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
d. 一貫戦術
Ⅲ. デッキ・アーキタイプ
a. アグロデッキ
b. コントロールデッキ
c. ミッドレンジデッキ
Ⅳ. プレイング学Ⅱ
a. 全体除去
b. パーミッション呪文
c. クリーチャー土地
d. 対称的効果
e. 脅威と回答
f. 必然性
g. 役割割当
h. ダメージレース
i. マリガン学Ⅰ
j. 優先順位
k. 先手・後手
Ⅴ. プレイング学Ⅲ
a. 投資学
b. 準備論
c. 優勢時、劣勢時のプレイング http://nanonium.diarynote.jp/201510280025305956/
d. 何が起こるか把握せよ
e. マリガン学Ⅲ - 構築編
f. 『ケア』の仕方 http://nanonium.diarynote.jp/201603241701082532/
g. 唱えるタイミング
h. 柔軟性
Ⅵ. リミテッド
a. シールド
b. ドラフト学Ⅰ - 基礎
c. リミテッドのサイドボード
d. ドラフト学Ⅱ - シグナル
e. ドラフト学Ⅲ
f. ドラフト学Ⅳ - 実戦
g. マリガン学Ⅱ - リミテッド編
Ⅶ. デッキ構築
a. マナ基盤の構築
b. フォーマット概論
c. サイドボード
d. サイドプラン
e. デッキ選択のすゝめ http://nanonium.diarynote.jp/201511071355567330/
f. メタゲーム
Ⅷ. その他
a. グランプリ学Ⅰ
b. グランプリ学II
c. 優れたプレイヤーになるために
Ⅸ. 用語集
【翻訳】デッキ選択のすゝめ - Reid Duke
2015年11月7日 翻訳 コメント (2)CHOOSING YOUR DECK
Posted in Level One on June 8, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/choosing-your-deck-2015-06-08
皆がマジックについて僕に最も質問してくることは何だと思う?
「来週のデッキは何を選んだらいいですか?」
ああ、これにもっとシンプルで上手い回答が出来たら!
実際のところ、デッキ選択というものは非常に難しい。僕達を最も悩まし、夜通し苦労させてくれるものだ。良い回答は未だ見つかってないけども、今回はこの問題について考えていこう。
完コピか自作か
『ネットデッキング(WEBで見たリストをコピーすること)』への忌避は晴れないものだ。もしあなたがカジュアル勢なら、どんなデッキ選択をするのも自由だ。
しかし競技マジックの世界ではネットデッキングが当たり前であり、例えそれが受け入れられずとも備える必要がある。一から新しいデッキを作ることは十分称賛に値することだが、ネットデッキングは決して侮れるものではない。
結果を残したデッキをコピーすることにはたくさんのメリットがある。まず初めに、当たり前のことだろうけど、コピー元のデッキが既に結果を残していることが保証されている。それにネットから得たデッキには、それを調整した数多の人の努力が詰まっているんだ。
例えばスタンの赤単。非常に多くの人がプレイしているそれには、その人数だけの経験や考えが集まっている。最も調度良いと思われる土地の枚数、最も勝利をもたらすであろう個々のカード選択、最もメタにあっているであろうサイドボードとなっているわけだ。その中のどれかに正解が一つだけあるわけではないが、良いレシピはそれだけ良い結果を残すと共に、その強さの特徴は次の赤単へと受け継がれる。まさにダーウィンの《適者生存》だ!
あるアーキタイプを一度コピーした瞬間、あなたは調整に費やすであろう膨大な量の時間と体力を抑え、別の準備に充てることができる。例えばもし既に赤単を選んでいるなら、デッキ調整の時間をデッキ回しの方に向けられるだろう。
一からデッキを作ることは非常に難しい試みだ。世界クラスのプレイヤーでさえ、完全にデッキ構築を理解している者は限られる。1つの良いデッキまでには9つの糞デッキがあるとは良く言うものだが、構築には創造力、直観、粘り強さ、労力、そしてこれらの下で成功する訓練が必要だ。端的に言って、新しくデッキを作ろうとした時点で、あなたはディスアドバンテージを背負うことになる。
あ、でもこれは決してデッキを自作するなと言ってるわけではないよ!素晴らしいデッキを作ることが出来れば、それは誰にも知られず、対策もされていないという大きなアドバンテージとなる。あなたが何をプレイしてくるのか相手には全く分からないだろうさ。
それに何と言っても、デッキ構築は優れたプレイヤーに近づく方法の1つでもある。試合展開を見越してあらゆる観点の下でデッキを作ることが出来れば、試合中の状況分析力は上がり、何が勝利を導き、何のために敗北してしまったかということへの理解が深まることだろう。
くれぐれもデッキを自作することに固執しないように。特に調整時間が限られている時にはね。と言っても、デッキ構築は本当に良い練習になり、価値のある経験になる。時間が空いたらトライすることをお勧めするよ。
メタに合ったデッキ
先週はメタゲームというものに関する記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/metagame-2015-06-01)を書いた。もしあなたが『正しく』メタゲームを読むことが出来れば、最大の脅威に備えた最も鋭いデッキを選び、作り、調整出来るだろうね。
青黒コンがトップメタと踏んだ時に相手の初動が《欺瞞の神殿》だったらまさに最高のシチュエーションだろう。あなたは相手に備え、相手は備えていない時の優位性は中々覆されるものではない。
但し、メタを読むことの不確定さについて思い出しておこう。通常、メタというものは非常に変化に富む。そして大抵、あなたのメタ読みは(ほんの少しでも)外れるものだ。仮にピタリと読めたとしても、実際のペアリングでそれら仮想敵と丁度良く当たるかなんてことは全くわからない!
実力のあるデッキ
相手をとにかく成すがままにしたい?オーケー、それなら『実力』のあるデッキを使おう。『実力』とはまた不明瞭な言葉だけど、つまりはフォーマットやメタを度外視してそのデッキ(またはカード)がどれだけ強いかということだ。僕の考えでは、デッキの実力とはすなわち「異なるフォーマットで、無数の異なる相手の異なるデッキにそのデッキはどれだけ活躍できるか?」という言葉に集約できる。
例えば緑信心はとても高い実力を持っている。速く、爆発力があり、自分の土俵を持ち、普通のデッキのプランとは郡を抜いている。しかしメタに《対立の終結》や《命運の核心》、《危険な櫃》が溢れているようならそのデッキ選択は間違いとなる。
状況によって『実力』によるデッキ選択は正解となるし、時には考えない事のほうが良い。ここは加減がモノを言う。
---------------------------------------------------------------------
積極的なゲームプラン
『積極的に動く』とはすなわち、相手の動きに合わせるのではなく自分のゴールに向けて行動するということだ。とにかくアグレッシブに動き、ゲームを速やかに終わらせに行くという意味だね。
メタというものは複雑で分かりにくいから、自分自身のゲームプランに集中することは大きなアドバンテージであり、そのプランを押し通すことが出来ればまず勝てる。存在する全ての相手に対する回答を用意しておくほうがずっと難しいものだよ。試合が長引くほど、間違いを犯す可能性も増える。
あなたのデッキがどんなにゆっくりでコントロールなデッキであったとしても、積極的に動いていこう。《龍王オジュタイ》はその好例だ。小さなアドバンテージを元に勝利の盤面を作り上げていくそれは、一度動き出してしまえば止まることはない!
---------------------------------------------------------------------
必然性(いずれ勝つ)
一方、必然性(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/inevitability-2014-12-08)もまた見逃すことは出来ない。必然性とは、勝負は時間の問題になっているという概念だ。
あなたに必然性があるとき、あなたがすべきことはとにかく長く生き残ることになる。大抵は防御に回るほうが攻撃するよりも簡単だ。
しかし最も怖いシチュエーションは、自分に必然性があると勘違いすることだ。それを避けるためにも積極的なプランを取ることは大事になる。
エスパードラゴンは他のどのデッキよりも必然性に優れた点で非常に完成されたデッキだ。それでいてドラゴン達によって積極的なプランを取りにいくことも出来る。
サイドボードの本質
構築初心者がよく陥りやすいミスは、サイドボードを軽視してしまうことだ。例えば赤単は、メイン戦を極めて取りやすいためにとても乗りやすいデッキだ。しかし相手のアブザンやエスパーが《悲哀まみれ》や《ファリカの療法》をサイドインしてきて初めて全容を把握することになる。
サイド後の試合をどれだけ持ち直せるかは、デッキの売りの1つになるだろう。ミッドレンジデッキは往々にしてサイド後に本領を発揮する。サイドボードの選択は多岐に渡り、柔軟さに富むため、対戦相手の攻撃を困難にさせる。通常、自分の戦略をより突き通す(スーサイドにアグロする、コントロールに徹する、一貫した戦術を取る)と、サイドボードを作るのも容易になるものだ。
そのデッキ、楽しんでる?
こういう真面目な戦術記事でこんなことを言うのもおかしな話かもしれないけど、とても大事なことだと僕は考えているよ。デッキを楽しみ、情熱を注いでいるなら、きっとそのデッキで上手なプレイングが出来るようになる。逆に好きになれないデッキや信用出来ないものを無理に使っていくと……想像に難くはない。
好きなデッキは簡単に集中できるし、ひたむきに調整できる。それに伴いデッキをより理解し、改良にも繋がる。
もしデッキが気に入らないと、やる気も出ないし腕は停滞してしまう。あまりデッキをいじろうとはしないし、信用も置けないから無理にマリガンしたりミスプレイをしてしまう。
同じデッキを使おう
デッキ選択における真に重要な要素はこれだろう。「どれだけ上手く使える?」
これはデッキを楽しむこととは切っても切れない関係にあるけど、楽しむことよりも大事だ。今までそのデッキを使ったことがあるかい?なら上手く使える?練習はしてきた?似たデッキを他のフォーマットで使ったことは?
どのデッキを選択するかよりも、そのデッキを上手く使えるかの方が大抵は重要だ。僕は強いデッキを下手に扱うよりも、弱くても上手く使える方を選ぶね。
僕が思うに、構築力を付けるための最大の秘訣は、同じデッキを何回も大会で使うことだ。あなたはデッキにより親しみ、より熟練し、勝敗の分析が出来るようになり、より良いサイドボードを作ることで、洗練されたデッキを構築できる。
これらの大部分は家で練習することでも十分賄えるが、大会に出て様々な相手と対戦することは、実際にそうするしか無い。メタを読むことと同じくらい、様々な相手を想定して備えることも大切だよ。デッキをマスターした暁には、不慮の相手に遭遇してもより素早くそれに対応していくことが出来るだろう。
デッキをマスターすることは、一からデッキを作ることのようにプレイヤースキルを磨く最高の手段だ。一つのデッキをマスター出来れば、他のデッキやフォーマットへの理解に役立つだろうさ。
長年の僕のキャリアで、最も成功を収めることが出来た時は、幾重ものトーナメントで1つのデッキを使い続けた時だった。あなたがこれまでずっと使ってきたデッキに致命的な欠陥があることに気づいてしまったとしても、デッキをみだりに変えるよりはそのデッキを使い続けることを是非とも勧めるよ!
大会で結果を残すには、ベストなデッキを選択する必要は無いんだ。その代わり、あなたに合った、あなたのプレイヤーとしてのポテンシャルを引き出してくれる相棒を見つけよう。自分の選択についてよく考え、断固とした信念を持ってそのデッキに取り組もう。そして何時でも、そのデッキを楽しもう!
Posted in Level One on June 8, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/choosing-your-deck-2015-06-08
皆がマジックについて僕に最も質問してくることは何だと思う?
「来週のデッキは何を選んだらいいですか?」
ああ、これにもっとシンプルで上手い回答が出来たら!
実際のところ、デッキ選択というものは非常に難しい。僕達を最も悩まし、夜通し苦労させてくれるものだ。良い回答は未だ見つかってないけども、今回はこの問題について考えていこう。
完コピか自作か
『ネットデッキング(WEBで見たリストをコピーすること)』への忌避は晴れないものだ。もしあなたがカジュアル勢なら、どんなデッキ選択をするのも自由だ。
しかし競技マジックの世界ではネットデッキングが当たり前であり、例えそれが受け入れられずとも備える必要がある。一から新しいデッキを作ることは十分称賛に値することだが、ネットデッキングは決して侮れるものではない。
結果を残したデッキをコピーすることにはたくさんのメリットがある。まず初めに、当たり前のことだろうけど、コピー元のデッキが既に結果を残していることが保証されている。それにネットから得たデッキには、それを調整した数多の人の努力が詰まっているんだ。
例えばスタンの赤単。非常に多くの人がプレイしているそれには、その人数だけの経験や考えが集まっている。最も調度良いと思われる土地の枚数、最も勝利をもたらすであろう個々のカード選択、最もメタにあっているであろうサイドボードとなっているわけだ。その中のどれかに正解が一つだけあるわけではないが、良いレシピはそれだけ良い結果を残すと共に、その強さの特徴は次の赤単へと受け継がれる。まさにダーウィンの《適者生存》だ!
あるアーキタイプを一度コピーした瞬間、あなたは調整に費やすであろう膨大な量の時間と体力を抑え、別の準備に充てることができる。例えばもし既に赤単を選んでいるなら、デッキ調整の時間をデッキ回しの方に向けられるだろう。
一からデッキを作ることは非常に難しい試みだ。世界クラスのプレイヤーでさえ、完全にデッキ構築を理解している者は限られる。1つの良いデッキまでには9つの糞デッキがあるとは良く言うものだが、構築には創造力、直観、粘り強さ、労力、そしてこれらの下で成功する訓練が必要だ。端的に言って、新しくデッキを作ろうとした時点で、あなたはディスアドバンテージを背負うことになる。
あ、でもこれは決してデッキを自作するなと言ってるわけではないよ!素晴らしいデッキを作ることが出来れば、それは誰にも知られず、対策もされていないという大きなアドバンテージとなる。あなたが何をプレイしてくるのか相手には全く分からないだろうさ。
それに何と言っても、デッキ構築は優れたプレイヤーに近づく方法の1つでもある。試合展開を見越してあらゆる観点の下でデッキを作ることが出来れば、試合中の状況分析力は上がり、何が勝利を導き、何のために敗北してしまったかということへの理解が深まることだろう。
くれぐれもデッキを自作することに固執しないように。特に調整時間が限られている時にはね。と言っても、デッキ構築は本当に良い練習になり、価値のある経験になる。時間が空いたらトライすることをお勧めするよ。
メタに合ったデッキ
先週はメタゲームというものに関する記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/metagame-2015-06-01)を書いた。もしあなたが『正しく』メタゲームを読むことが出来れば、最大の脅威に備えた最も鋭いデッキを選び、作り、調整出来るだろうね。
青黒コンがトップメタと踏んだ時に相手の初動が《欺瞞の神殿》だったらまさに最高のシチュエーションだろう。あなたは相手に備え、相手は備えていない時の優位性は中々覆されるものではない。
但し、メタを読むことの不確定さについて思い出しておこう。通常、メタというものは非常に変化に富む。そして大抵、あなたのメタ読みは(ほんの少しでも)外れるものだ。仮にピタリと読めたとしても、実際のペアリングでそれら仮想敵と丁度良く当たるかなんてことは全くわからない!
実力のあるデッキ
相手をとにかく成すがままにしたい?オーケー、それなら『実力』のあるデッキを使おう。『実力』とはまた不明瞭な言葉だけど、つまりはフォーマットやメタを度外視してそのデッキ(またはカード)がどれだけ強いかということだ。僕の考えでは、デッキの実力とはすなわち「異なるフォーマットで、無数の異なる相手の異なるデッキにそのデッキはどれだけ活躍できるか?」という言葉に集約できる。
例えば緑信心はとても高い実力を持っている。速く、爆発力があり、自分の土俵を持ち、普通のデッキのプランとは郡を抜いている。しかしメタに《対立の終結》や《命運の核心》、《危険な櫃》が溢れているようならそのデッキ選択は間違いとなる。
状況によって『実力』によるデッキ選択は正解となるし、時には考えない事のほうが良い。ここは加減がモノを言う。
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積極的なゲームプラン
『積極的に動く』とはすなわち、相手の動きに合わせるのではなく自分のゴールに向けて行動するということだ。とにかくアグレッシブに動き、ゲームを速やかに終わらせに行くという意味だね。
メタというものは複雑で分かりにくいから、自分自身のゲームプランに集中することは大きなアドバンテージであり、そのプランを押し通すことが出来ればまず勝てる。存在する全ての相手に対する回答を用意しておくほうがずっと難しいものだよ。試合が長引くほど、間違いを犯す可能性も増える。
あなたのデッキがどんなにゆっくりでコントロールなデッキであったとしても、積極的に動いていこう。《龍王オジュタイ》はその好例だ。小さなアドバンテージを元に勝利の盤面を作り上げていくそれは、一度動き出してしまえば止まることはない!
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必然性(いずれ勝つ)
一方、必然性(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/inevitability-2014-12-08)もまた見逃すことは出来ない。必然性とは、勝負は時間の問題になっているという概念だ。
あなたに必然性があるとき、あなたがすべきことはとにかく長く生き残ることになる。大抵は防御に回るほうが攻撃するよりも簡単だ。
しかし最も怖いシチュエーションは、自分に必然性があると勘違いすることだ。それを避けるためにも積極的なプランを取ることは大事になる。
エスパードラゴンは他のどのデッキよりも必然性に優れた点で非常に完成されたデッキだ。それでいてドラゴン達によって積極的なプランを取りにいくことも出来る。
サイドボードの本質
構築初心者がよく陥りやすいミスは、サイドボードを軽視してしまうことだ。例えば赤単は、メイン戦を極めて取りやすいためにとても乗りやすいデッキだ。しかし相手のアブザンやエスパーが《悲哀まみれ》や《ファリカの療法》をサイドインしてきて初めて全容を把握することになる。
サイド後の試合をどれだけ持ち直せるかは、デッキの売りの1つになるだろう。ミッドレンジデッキは往々にしてサイド後に本領を発揮する。サイドボードの選択は多岐に渡り、柔軟さに富むため、対戦相手の攻撃を困難にさせる。通常、自分の戦略をより突き通す(スーサイドにアグロする、コントロールに徹する、一貫した戦術を取る)と、サイドボードを作るのも容易になるものだ。
そのデッキ、楽しんでる?
こういう真面目な戦術記事でこんなことを言うのもおかしな話かもしれないけど、とても大事なことだと僕は考えているよ。デッキを楽しみ、情熱を注いでいるなら、きっとそのデッキで上手なプレイングが出来るようになる。逆に好きになれないデッキや信用出来ないものを無理に使っていくと……想像に難くはない。
好きなデッキは簡単に集中できるし、ひたむきに調整できる。それに伴いデッキをより理解し、改良にも繋がる。
もしデッキが気に入らないと、やる気も出ないし腕は停滞してしまう。あまりデッキをいじろうとはしないし、信用も置けないから無理にマリガンしたりミスプレイをしてしまう。
同じデッキを使おう
デッキ選択における真に重要な要素はこれだろう。「どれだけ上手く使える?」
これはデッキを楽しむこととは切っても切れない関係にあるけど、楽しむことよりも大事だ。今までそのデッキを使ったことがあるかい?なら上手く使える?練習はしてきた?似たデッキを他のフォーマットで使ったことは?
どのデッキを選択するかよりも、そのデッキを上手く使えるかの方が大抵は重要だ。僕は強いデッキを下手に扱うよりも、弱くても上手く使える方を選ぶね。
僕が思うに、構築力を付けるための最大の秘訣は、同じデッキを何回も大会で使うことだ。あなたはデッキにより親しみ、より熟練し、勝敗の分析が出来るようになり、より良いサイドボードを作ることで、洗練されたデッキを構築できる。
これらの大部分は家で練習することでも十分賄えるが、大会に出て様々な相手と対戦することは、実際にそうするしか無い。メタを読むことと同じくらい、様々な相手を想定して備えることも大切だよ。デッキをマスターした暁には、不慮の相手に遭遇してもより素早くそれに対応していくことが出来るだろう。
デッキをマスターすることは、一からデッキを作ることのようにプレイヤースキルを磨く最高の手段だ。一つのデッキをマスター出来れば、他のデッキやフォーマットへの理解に役立つだろうさ。
長年の僕のキャリアで、最も成功を収めることが出来た時は、幾重ものトーナメントで1つのデッキを使い続けた時だった。あなたがこれまでずっと使ってきたデッキに致命的な欠陥があることに気づいてしまったとしても、デッキをみだりに変えるよりはそのデッキを使い続けることを是非とも勧めるよ!
大会で結果を残すには、ベストなデッキを選択する必要は無いんだ。その代わり、あなたに合った、あなたのプレイヤーとしてのポテンシャルを引き出してくれる相棒を見つけよう。自分の選択についてよく考え、断固とした信念を持ってそのデッキに取り組もう。そして何時でも、そのデッキを楽しもう!
【翻訳】優勢時、劣勢時のプレイング - Reid Duke
2015年10月27日 翻訳 コメント (6)PLAYING FROM AHEAD, PLAYING FROM BEHIND
Posted in Level One on March 30, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-ahead-playing-behind-2015-03-30
僅差の試合こそ皆ベストを尽くすものだ。僕も、皆も、マジックも、人生のあらゆる側面でも。激しい競争こそ僕達にベストを尽くさせる。人間がこの地球上で長らく生き残ってきた鍵だ!人類の熱い歴史だ!そうだろう!
……そうだろうか?
よし、別の視点で考えよう。大抵の人は僅差でない試合でこそ最悪を犯す。ダメそうなときほど簡単に諦める。すべてが上手く行っている時ほど人は舐めプに走る。そう、差し迫った事態でベストを尽くすことは(洞窟でサーベルタイガーと命の駆け引きをするような)人にとっては相応しいことだが、マジックプレイヤーにとっては自滅の素なのである。
あなたが劣勢であるとき、あなたはあらゆる勝利のチャンスを掴みに行かなければならない。
あなたが優勢であるとき、堅実にプレイし相手のチャンスを潰さなければならない。
数ある敗北濃厚な試合の内、1つでも逆転が出来るなら、あなたは優れたマジックプレイヤーになる。逆に勝利の可能性を1つでも取りこぼすようなら、大会を勝ち抜くことは出来なくなるだろう。
---------------------------------------------------------------------
劣勢時のプレイ
まず1つ、これまでのプロツアーで最もエキサイティングだったプレイを紹介しよう。
Topdeck of the Century
https://www.youtube.com/watch?v=4t0pzLnSWw0
(解説付き)
【MTG】プロツアー・ホノルル06 Craig Jones 劇的なトップデッキ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4587269
Olivier Ruelと対峙し、バーンも出来るアグレッシブデッキを駆るCraig Jonesは敗北が迫っているのを感じていた。Craigが《黒焦げ》を引いた時の実況を聞いてみよう。一人は相手のクリーチャーを除去すべきと言った。逆にもう一人は本体に撃ちこむという大胆なプランを挙げた。そして王者Jonesは後者を選択し、後の展開は歴史に残った――。
アウツに賭ける
《黒焦げ》をトップしたこの時点では、相手のクリーチャーを焼く方が適切なプレイに見える。しかしCraig Jonesの置かれた状況は非常に悪く、除去したところで状況は改善されない。何ターンかの延命をしても、敗北の道は避けられない。
かの海賊黒髭があなたに船から突き出た板を歩くよう命じてきたら……板の長さなんてどうでもいいだろう?
そしてCraigは残された勝利への道を模索した結果、この瞬間が分水嶺だと踏んだ。勝つ確率は低かったが、確実な敗北よりはマシだ。彼は《黒焦げ》を相手に撃ちこむと、ファイナルドローで《稲妻のらせん》をトップした。これが、自分の『アウツに賭けた』ということだ。
アウツとは勝つために必要なカードまたは状況のことだ。自分が敗北の流れにある時は、思考の焦点をただ正しいプレイをすることから、アウツを考えることへ移さなければならない。自分のアウツが何であるか把握し、それを引くことを前提としたプレイをするんだ。それを引いた時、負けを勝ちにするという最高のアドバンテージを得られる。引けなかったとしても、アウツに賭けなかった時と同じ結果になるだけだ。
別の例で考えてみよう。次のターンに《対立の終結》を引かない限り負けてしまう時、考えられるプレイは4つだ。
これら4つのプレイを検討すると、アウツ、すなわち《対立の終結》を引くために必要なコストは何もない。引かなければ、どの道敗北する。引けば勝つ。問題なのはデッキに入ってる《対立の終結》が4枚か1枚かではなく、それが唯一の勝ち筋ならば、それに沿ったプレイをするべきだということだ。
ゲームを複雑にしよう
アウツに賭けるとは言葉では単純だが、実戦では複雑なものになりがちだ。大抵、勝ち筋がたった1つとは限らない。アウツが複数あるなら、どのアウツが引きやすく、また全てのアウツに賭けるための最良のプレイングをどうすればいいか考えなければならない。
大抵は全てのアウツを考慮することは出来ないくらいゲームが複雑だ。そんなケースでは、特定の勝ち筋を追うことも出来なければ普通にプレイすることもない。僕からのアドバイスは、可能な限り状況をより複雑にすることだ。
複雑化された状況からは更なる選択肢や可能性が生まれる。自分のクリーチャーが0体、相手には2体なら、そこから導かれるのは敗北のみだが、相手が4体、自分が2体なら反撃の余地がある。もしかしたら相手が不用意なフルパンをしてきて、返しで《強大化》や《戦場での猛進》を引くかもしれない。あるいは相手がアタックせず受けに回ったことで幾分かの時間を得た結果、《凍氷破》や《飛鶴の技》をトップ出来るかもしれない。
優勢な時や対等な時、僕は殆どの場合クリーチャーを交換しに行く。一方で劣勢の時は、予期せぬ変化をもたらす複雑な状況を作り出すために、ある程度のダメージをスルーしてでも盤面のクリーチャーを温存する。
相手のミスを誘おう
アウツはただトップしたいカードという意味ではない。対戦相手のプレイングもその1つだ。
あなたは今劣勢にあるが手札には《ラッパの一吹き》がある。ターンを渡し、チャンプブロックで敗北までに僅かな延命を図ることも出来るが……逆に潔くフルアタックするという手もある。相手が的確にブロックしてきたらそれまでだ。返しの攻撃であなたは負ける。しかしもし相手がブロックをミスったならば、《ラッパの一吹き》で脅威を排除しゲームを続行できるだろう。
諦めないこと!
以上を活かすためにも、ライフが0になるまではゲームを投了しないことだ。最後のドローが思っても見なかったソリューションであるかもしれない!相手が半端なプレイをしてしまい盛り返すことだってある。
たとえそれがラストターン、相手のクリーチャーに対し壁もない状況であったとしても、しっかりターンを返して相手に攻撃を宣言させることだ。相手が《必殺の一射》をケアするかもしれないし、ダメージ計算を勘違いして攻撃を止めるかもしれない。なんだって起こりうる!
投了する理由は次の試合に備えて時間をケアするか、まだ見せてない情報を隠したい時だけだ。ゲームが続く限り、何時でも逆転のチャンスは訪れる。投了した瞬間、それらは消え去るのみだ――。
---------------------------------------------------------------------
優勢時のプレイング
さて、劣勢な時の勝算を捨てたプレイは敗北への一途を辿るだけだ。同様に、勝ちパターンに入っている時の舐めプも命取りになる。
優勢時のプレイングについて僕が言えることは、劣勢時の逆と言える。と、言ってもそう単純な話ではないけどね。
相手の思惑を探ろう
自分が勝ちそうなときに考えるべきことは、自分の負け筋だ。劣勢時はアウツを考える一方、優勢時はその状況を覆されかねないカードやプレイングを考えるんだ。そのためには相手の立場に立ち、どんなアウツを望んでいるか検討しよう。相手が投了しないかぎり、相手はあなたを逆転しようとしていることを忘れずに!相手の一歩先を行くんだ。
では、相手は具体的にどう逆転しようとしているのだろう?とにかくダメージを稼ぎ、ラストターンで火力を引きたいのかもしれない。もしそうならば、あなたがすべきことはライフを確実に守ることだ。優勢な時はリソースにも余裕があるだろうから、多少は不利な交換をしてでも相手の勝ち筋を潰しにいくべきだろう。
同様に、相手の切り札が《対立の終結》といった全体除去でありそうなら、先述した自分がアウツに賭けていた時とは全く逆の状況だ。あなたは相手のアウツから身を守らなければならない。相手が《対立の終結》を引かないかぎりは勝てるのだから、相手がそれを引くことを同じように前提とするんだ。クリーチャーの展開は避け、万が一相手にアウツをトップされても再展開出来るようにしよう。
ゲームを単純にしよう
さっきも言ったけど、僕は優勢なときはクリーチャーやリソースを交換しに行く。単純な試合とは対処しやすく、先の展開も読みやすいものだ。そのような状況下では、アドバンテージはアドバンテージとして残りやすい。
具体的に互いのリソースが少ない状況で、アドバンテージがどう広がっていくのか考えよう。相手はマリガンして5枚スタートとする。ゲームの5ターン目、相手は9枚に対しあなたは11枚。一見これは大差ではない。しかし戦闘で1体、除去でもう1体、さらに《思考囲い》でもう1枚を交換すると、互いのリソースは減りに減り、あなたは8枚、相手は6枚だ。こうなるとあなたのアドバンテージは確固たるものになり、試合結果により影響することになるだろう。
“スロー・ローリング”を恐れない
『スロー・ローリング』とはマジックの奇妙な考えの一つだ。すなわちスロー・ロールするというのは、ゲームを決めるカードをすぐ使わずに、必要以上に保持したままにすることだ。例えばあなたのライフが3の時に僕が《稲妻の一撃》を引いた時、僕はあなたにそれをすぐ撃ちこむことも出来るし、『スロー・ローリング』することも出来る。
もし勝者がスロー・ロールすると、相手をより痛めつけることになるという考えがある。スローロールした相手を不快に思う人もいる。僕にとってそれはおかしな話であり、マジック・コミュニティに蔓延る癌だと思う。
もちろん、スローロールには相手を怒らせようなんていう意図は全くない。スローロールされて怒っているプレイヤーが1万人いたとしても、その対戦相手の内たった一人でも果たして実際に怒らせようとしてスローロールしていたのか怪しいくらいだ。
スローロールを不快に思うのは実に馬鹿らしいし、スローロールすることで相手を不快にさせる可能性を考えるのもナンセンスだ。率直に言って、ゲームを速やかに終わらせること自体が間違っている!
オーケー、僕は《稲妻の一撃》を引き、あなたのライフは3。ふむ、僕は今すぐゲームを決められそうだね。だけどそう上手くいくだろうか?あなたはカウンターを持っているかも?ライフゲインしてくるかも?実はあなたの場にある2体の《クルフィックスの狩猟者》と《吹きさらしの荒野》を僕は失念しているかも?相手の逆転は絶対に許せることではない。ゲームを決められる時でもあなたは常に時間をかけながら最良のプレイをするべきだ。
『スロー・ロール』なんて言葉は忘れよう。最終ターンのプランニングに時間を掛けることをためらわないことだ。僕だってためらったことはないよ。それで相手が怒ってきても、あなたに落ち度はない。マジックのゴールはベストを尽くすことであり、勝つためのあらゆる手段を講じるべきだ。相手に敬意を払い、紳士的なプレイを心がければ、相手がスローロールなんかに怒る道理はないさ。
スロー・ロールに否定的な人を目一杯思いやったらこんな言葉になるだろう。「僕は勝ちそうだけど、入念に考えているんだ」と。言うまでもないことだけどね。自分のゲームだけに集中し、必要なことを行うんだ。
---------------------------------------------------------------------
集中を切らさない
『集中』とはマジックの上達に最も重要なスキルであると、僕の最初のLevel One記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11)で書いていたね。集中は現状を把握し、ミスを最小限に抑え、勝利に必要なものを導くものだ。
有利になりすぎたり、不利になりすぎたりするとプレイヤーは集中を切らしやすい。集中が切れそうになってたら、何とかして取り戻すんだ。集中しアウツを考えることはマジックの重要なスキルであり、ゲームを安全かつ効率的に終わらせる事ができる。
ああ、誰でも大逆転は好きだ。そのためのスキルを駆使し、大逆転を目指そう!
Posted in Level One on March 30, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-ahead-playing-behind-2015-03-30
僅差の試合こそ皆ベストを尽くすものだ。僕も、皆も、マジックも、人生のあらゆる側面でも。激しい競争こそ僕達にベストを尽くさせる。人間がこの地球上で長らく生き残ってきた鍵だ!人類の熱い歴史だ!そうだろう!
……そうだろうか?
よし、別の視点で考えよう。大抵の人は僅差でない試合でこそ最悪を犯す。ダメそうなときほど簡単に諦める。すべてが上手く行っている時ほど人は舐めプに走る。そう、差し迫った事態でベストを尽くすことは(洞窟でサーベルタイガーと命の駆け引きをするような)人にとっては相応しいことだが、マジックプレイヤーにとっては自滅の素なのである。
あなたが劣勢であるとき、あなたはあらゆる勝利のチャンスを掴みに行かなければならない。
あなたが優勢であるとき、堅実にプレイし相手のチャンスを潰さなければならない。
数ある敗北濃厚な試合の内、1つでも逆転が出来るなら、あなたは優れたマジックプレイヤーになる。逆に勝利の可能性を1つでも取りこぼすようなら、大会を勝ち抜くことは出来なくなるだろう。
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劣勢時のプレイ
まず1つ、これまでのプロツアーで最もエキサイティングだったプレイを紹介しよう。
Topdeck of the Century
https://www.youtube.com/watch?v=4t0pzLnSWw0
(解説付き)
【MTG】プロツアー・ホノルル06 Craig Jones 劇的なトップデッキ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4587269
Olivier Ruelと対峙し、バーンも出来るアグレッシブデッキを駆るCraig Jonesは敗北が迫っているのを感じていた。Craigが《黒焦げ》を引いた時の実況を聞いてみよう。一人は相手のクリーチャーを除去すべきと言った。逆にもう一人は本体に撃ちこむという大胆なプランを挙げた。そして王者Jonesは後者を選択し、後の展開は歴史に残った――。
アウツに賭ける
《黒焦げ》をトップしたこの時点では、相手のクリーチャーを焼く方が適切なプレイに見える。しかしCraig Jonesの置かれた状況は非常に悪く、除去したところで状況は改善されない。何ターンかの延命をしても、敗北の道は避けられない。
かの海賊黒髭があなたに船から突き出た板を歩くよう命じてきたら……板の長さなんてどうでもいいだろう?
そしてCraigは残された勝利への道を模索した結果、この瞬間が分水嶺だと踏んだ。勝つ確率は低かったが、確実な敗北よりはマシだ。彼は《黒焦げ》を相手に撃ちこむと、ファイナルドローで《稲妻のらせん》をトップした。これが、自分の『アウツに賭けた』ということだ。
アウツとは勝つために必要なカードまたは状況のことだ。自分が敗北の流れにある時は、思考の焦点をただ正しいプレイをすることから、アウツを考えることへ移さなければならない。自分のアウツが何であるか把握し、それを引くことを前提としたプレイをするんだ。それを引いた時、負けを勝ちにするという最高のアドバンテージを得られる。引けなかったとしても、アウツに賭けなかった時と同じ結果になるだけだ。
別の例で考えてみよう。次のターンに《対立の終結》を引かない限り負けてしまう時、考えられるプレイは4つだ。
A. 普通にプレイする。《対立の終結》は引けなかった。敗北。
B. 次のターンに《対立の終結》を引くと仮定する。そのために必要な最も「正しい」プレイをする。クリーチャーは出さず、相手の4/4をチャンプブロックする。結局《対立の終結》は引けず敗北。
C. 普通にプレイする。《対立の終結》を引く。盤面は対等になるが、ディスアドをしライフも失う。結果は不確定だが、おそらく敗北する。
D. 次のターンに《対立の終結》を引く仮定でプレイする。《対立の終結》を引く。盤面は対等になり、ライフは持ち、手札には後続のクリーチャー。きっと勝利する。
これら4つのプレイを検討すると、アウツ、すなわち《対立の終結》を引くために必要なコストは何もない。引かなければ、どの道敗北する。引けば勝つ。問題なのはデッキに入ってる《対立の終結》が4枚か1枚かではなく、それが唯一の勝ち筋ならば、それに沿ったプレイをするべきだということだ。
ゲームを複雑にしよう
アウツに賭けるとは言葉では単純だが、実戦では複雑なものになりがちだ。大抵、勝ち筋がたった1つとは限らない。アウツが複数あるなら、どのアウツが引きやすく、また全てのアウツに賭けるための最良のプレイングをどうすればいいか考えなければならない。
大抵は全てのアウツを考慮することは出来ないくらいゲームが複雑だ。そんなケースでは、特定の勝ち筋を追うことも出来なければ普通にプレイすることもない。僕からのアドバイスは、可能な限り状況をより複雑にすることだ。
複雑化された状況からは更なる選択肢や可能性が生まれる。自分のクリーチャーが0体、相手には2体なら、そこから導かれるのは敗北のみだが、相手が4体、自分が2体なら反撃の余地がある。もしかしたら相手が不用意なフルパンをしてきて、返しで《強大化》や《戦場での猛進》を引くかもしれない。あるいは相手がアタックせず受けに回ったことで幾分かの時間を得た結果、《凍氷破》や《飛鶴の技》をトップ出来るかもしれない。
優勢な時や対等な時、僕は殆どの場合クリーチャーを交換しに行く。一方で劣勢の時は、予期せぬ変化をもたらす複雑な状況を作り出すために、ある程度のダメージをスルーしてでも盤面のクリーチャーを温存する。
相手のミスを誘おう
アウツはただトップしたいカードという意味ではない。対戦相手のプレイングもその1つだ。
あなたは今劣勢にあるが手札には《ラッパの一吹き》がある。ターンを渡し、チャンプブロックで敗北までに僅かな延命を図ることも出来るが……逆に潔くフルアタックするという手もある。相手が的確にブロックしてきたらそれまでだ。返しの攻撃であなたは負ける。しかしもし相手がブロックをミスったならば、《ラッパの一吹き》で脅威を排除しゲームを続行できるだろう。
諦めないこと!
以上を活かすためにも、ライフが0になるまではゲームを投了しないことだ。最後のドローが思っても見なかったソリューションであるかもしれない!相手が半端なプレイをしてしまい盛り返すことだってある。
たとえそれがラストターン、相手のクリーチャーに対し壁もない状況であったとしても、しっかりターンを返して相手に攻撃を宣言させることだ。相手が《必殺の一射》をケアするかもしれないし、ダメージ計算を勘違いして攻撃を止めるかもしれない。なんだって起こりうる!
投了する理由は次の試合に備えて時間をケアするか、まだ見せてない情報を隠したい時だけだ。ゲームが続く限り、何時でも逆転のチャンスは訪れる。投了した瞬間、それらは消え去るのみだ――。
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優勢時のプレイング
さて、劣勢な時の勝算を捨てたプレイは敗北への一途を辿るだけだ。同様に、勝ちパターンに入っている時の舐めプも命取りになる。
優勢時のプレイングについて僕が言えることは、劣勢時の逆と言える。と、言ってもそう単純な話ではないけどね。
相手の思惑を探ろう
自分が勝ちそうなときに考えるべきことは、自分の負け筋だ。劣勢時はアウツを考える一方、優勢時はその状況を覆されかねないカードやプレイングを考えるんだ。そのためには相手の立場に立ち、どんなアウツを望んでいるか検討しよう。相手が投了しないかぎり、相手はあなたを逆転しようとしていることを忘れずに!相手の一歩先を行くんだ。
では、相手は具体的にどう逆転しようとしているのだろう?とにかくダメージを稼ぎ、ラストターンで火力を引きたいのかもしれない。もしそうならば、あなたがすべきことはライフを確実に守ることだ。優勢な時はリソースにも余裕があるだろうから、多少は不利な交換をしてでも相手の勝ち筋を潰しにいくべきだろう。
同様に、相手の切り札が《対立の終結》といった全体除去でありそうなら、先述した自分がアウツに賭けていた時とは全く逆の状況だ。あなたは相手のアウツから身を守らなければならない。相手が《対立の終結》を引かないかぎりは勝てるのだから、相手がそれを引くことを同じように前提とするんだ。クリーチャーの展開は避け、万が一相手にアウツをトップされても再展開出来るようにしよう。
ゲームを単純にしよう
さっきも言ったけど、僕は優勢なときはクリーチャーやリソースを交換しに行く。単純な試合とは対処しやすく、先の展開も読みやすいものだ。そのような状況下では、アドバンテージはアドバンテージとして残りやすい。
具体的に互いのリソースが少ない状況で、アドバンテージがどう広がっていくのか考えよう。相手はマリガンして5枚スタートとする。ゲームの5ターン目、相手は9枚に対しあなたは11枚。一見これは大差ではない。しかし戦闘で1体、除去でもう1体、さらに《思考囲い》でもう1枚を交換すると、互いのリソースは減りに減り、あなたは8枚、相手は6枚だ。こうなるとあなたのアドバンテージは確固たるものになり、試合結果により影響することになるだろう。
“スロー・ローリング”を恐れない
『スロー・ローリング』とはマジックの奇妙な考えの一つだ。すなわちスロー・ロールするというのは、ゲームを決めるカードをすぐ使わずに、必要以上に保持したままにすることだ。例えばあなたのライフが3の時に僕が《稲妻の一撃》を引いた時、僕はあなたにそれをすぐ撃ちこむことも出来るし、『スロー・ローリング』することも出来る。
もし勝者がスロー・ロールすると、相手をより痛めつけることになるという考えがある。スローロールした相手を不快に思う人もいる。僕にとってそれはおかしな話であり、マジック・コミュニティに蔓延る癌だと思う。
もちろん、スローロールには相手を怒らせようなんていう意図は全くない。スローロールされて怒っているプレイヤーが1万人いたとしても、その対戦相手の内たった一人でも果たして実際に怒らせようとしてスローロールしていたのか怪しいくらいだ。
スローロールを不快に思うのは実に馬鹿らしいし、スローロールすることで相手を不快にさせる可能性を考えるのもナンセンスだ。率直に言って、ゲームを速やかに終わらせること自体が間違っている!
オーケー、僕は《稲妻の一撃》を引き、あなたのライフは3。ふむ、僕は今すぐゲームを決められそうだね。だけどそう上手くいくだろうか?あなたはカウンターを持っているかも?ライフゲインしてくるかも?実はあなたの場にある2体の《クルフィックスの狩猟者》と《吹きさらしの荒野》を僕は失念しているかも?相手の逆転は絶対に許せることではない。ゲームを決められる時でもあなたは常に時間をかけながら最良のプレイをするべきだ。
『スロー・ロール』なんて言葉は忘れよう。最終ターンのプランニングに時間を掛けることをためらわないことだ。僕だってためらったことはないよ。それで相手が怒ってきても、あなたに落ち度はない。マジックのゴールはベストを尽くすことであり、勝つためのあらゆる手段を講じるべきだ。相手に敬意を払い、紳士的なプレイを心がければ、相手がスローロールなんかに怒る道理はないさ。
スロー・ロールに否定的な人を目一杯思いやったらこんな言葉になるだろう。「僕は勝ちそうだけど、入念に考えているんだ」と。言うまでもないことだけどね。自分のゲームだけに集中し、必要なことを行うんだ。
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集中を切らさない
『集中』とはマジックの上達に最も重要なスキルであると、僕の最初のLevel One記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11)で書いていたね。集中は現状を把握し、ミスを最小限に抑え、勝利に必要なものを導くものだ。
有利になりすぎたり、不利になりすぎたりするとプレイヤーは集中を切らしやすい。集中が切れそうになってたら、何とかして取り戻すんだ。集中しアウツを考えることはマジックの重要なスキルであり、ゲームを安全かつ効率的に終わらせる事ができる。
ああ、誰でも大逆転は好きだ。そのためのスキルを駆使し、大逆転を目指そう!
【翻訳】ドロー後に狩猟者を倒しちゃダメ! - Reid Duke
2015年4月28日 翻訳 コメント (5)Don’t Kill the Courser in Your Opponent’s Draw Step!
By Reid Duke // 26 Apr, 2015
http://www.channelfireball.com/articles/dont-kill-the-courser-in-your-opponents-draw-step/
時は1993年7月――テーブルに座った彼は《灰色熊》に《稲妻》を撃つタイミングを伺っている。そして相手のターンに撃った時、《巨大化》によって彼は5点のアタックを受けていた。この瞬間から、誤ったタイミングに除去を撃つマジックの痛ましい歴史が始まったのである……
《クルフィックスの狩猟者》がいる今のスタンダードではこれが頻繁に見受けられる。トップが見えるという状況はシンプルだが、公開情報の把握やゲームプランニングをより複雑にする。そしてこのよくある状況に際し正しく対処出来ている場面は滅多に見られない。今この記事を書いている僕自身でさえよくヘマをする。
一旦初心に帰ろう。初心者は自分のメインフェイズに特に熟考することもなく相手の《クルフィックスの狩猟者》に《英雄の破滅》を撃つ。慣れてくると相手のドローステップに撃つだろう。そうすることで相手のトップを確認すると共に、例えトップが土地であったとしても相手はそれをすぐプレイすることはできなくなる。でも本当にこれは正しいのだろうか?
相手のドローステップに狩猟者を殺すのは悪手だ――自分のメインフェイズに殺すことよりも悪手だ。何故なら現スタンダードにおいて、次の相手のトップが分かることは自分よりも相手にとってのメリットのほうがずっと大きいからだ。
狩猟者が入ったデッキには大体フェッチランドや占術ランド、《サテュロスの道探し》、ドローソース、シャッフル手段、占術付きスペル、その他ライブラリー破壊カードがある。相手のトップが分かっても自分にできることは些細なものだが、相手はそれらのカードによってトップを容易に操作できてしまう。相手のトップを確認できる反面、相手には実用的なアドバンテージを与えてしまうんだ。
例:
相手のドロー後、トップには《ラノワールの荒原》。それを確認して相手の狩猟者に《英雄の破滅》。その後相手は《サテュロスの道探し》をキャストし、確実に土地を手に入れて更にトップをリフレッシュ。
トップが《女王スズメバチ》だったら?相手は《サテュロスの道探し》を唱えずにパワフルなトップをキープするだろう。
セオリーを言うとすれば、狩猟者は自分のメインフェイズに殺すことだ。
ドローステップに殺すべき例外は2つ。
1つは、相手がライブラリー操作カードを持っていないことが確実にわかっている時だ。フェッチランドがプレイされていないかよく確認しておこう!そして相手のトップ情報が相手よりも自分にとって有益に働くのかどうかよく考えよう。もし相手のトップが《包囲サイ》だったら、次の3点ドレインが保証されているおかげで相手はあなたにとってよろしくないアタックをしてくるかもしれない。このケースだと、相手にトップの情報を与えることは明確にデメリットとなる。
2つ目は、その段階ではまだ狩猟者を処理すべきかどうか判断がつかず、相手のトップ次第であるとき。例えば試合状況はほぼイーブン、ライフは相手の出したサイによって17。相手の場にはそのサイと狩猟者があり、どちらを処理すべきか迷っている。もしトップが土地だったら狩猟者を、トップが2枚目のサイだったらより強力なアタッカーであるサイを除去するだろう。
鍵となるのは(当たり前だけど)よく考え、微妙な点についても考慮することだ。大抵、相手のトップの情報は自分よりも相手にとって有益となる場合が多い。しかしそれが本当かどうかは自分で判断するんだ。取るに足らないようなプレイングであっても決して注意を怠らないように!
By Reid Duke // 26 Apr, 2015
http://www.channelfireball.com/articles/dont-kill-the-courser-in-your-opponents-draw-step/
時は1993年7月――テーブルに座った彼は《灰色熊》に《稲妻》を撃つタイミングを伺っている。そして相手のターンに撃った時、《巨大化》によって彼は5点のアタックを受けていた。この瞬間から、誤ったタイミングに除去を撃つマジックの痛ましい歴史が始まったのである……
《クルフィックスの狩猟者》がいる今のスタンダードではこれが頻繁に見受けられる。トップが見えるという状況はシンプルだが、公開情報の把握やゲームプランニングをより複雑にする。そしてこのよくある状況に際し正しく対処出来ている場面は滅多に見られない。今この記事を書いている僕自身でさえよくヘマをする。
一旦初心に帰ろう。初心者は自分のメインフェイズに特に熟考することもなく相手の《クルフィックスの狩猟者》に《英雄の破滅》を撃つ。慣れてくると相手のドローステップに撃つだろう。そうすることで相手のトップを確認すると共に、例えトップが土地であったとしても相手はそれをすぐプレイすることはできなくなる。でも本当にこれは正しいのだろうか?
相手のドローステップに狩猟者を殺すのは悪手だ――自分のメインフェイズに殺すことよりも悪手だ。何故なら現スタンダードにおいて、次の相手のトップが分かることは自分よりも相手にとってのメリットのほうがずっと大きいからだ。
狩猟者が入ったデッキには大体フェッチランドや占術ランド、《サテュロスの道探し》、ドローソース、シャッフル手段、占術付きスペル、その他ライブラリー破壊カードがある。相手のトップが分かっても自分にできることは些細なものだが、相手はそれらのカードによってトップを容易に操作できてしまう。相手のトップを確認できる反面、相手には実用的なアドバンテージを与えてしまうんだ。
例:
相手のドロー後、トップには《ラノワールの荒原》。それを確認して相手の狩猟者に《英雄の破滅》。その後相手は《サテュロスの道探し》をキャストし、確実に土地を手に入れて更にトップをリフレッシュ。
トップが《女王スズメバチ》だったら?相手は《サテュロスの道探し》を唱えずにパワフルなトップをキープするだろう。
セオリーを言うとすれば、狩猟者は自分のメインフェイズに殺すことだ。
ドローステップに殺すべき例外は2つ。
1つは、相手がライブラリー操作カードを持っていないことが確実にわかっている時だ。フェッチランドがプレイされていないかよく確認しておこう!そして相手のトップ情報が相手よりも自分にとって有益に働くのかどうかよく考えよう。もし相手のトップが《包囲サイ》だったら、次の3点ドレインが保証されているおかげで相手はあなたにとってよろしくないアタックをしてくるかもしれない。このケースだと、相手にトップの情報を与えることは明確にデメリットとなる。
2つ目は、その段階ではまだ狩猟者を処理すべきかどうか判断がつかず、相手のトップ次第であるとき。例えば試合状況はほぼイーブン、ライフは相手の出したサイによって17。相手の場にはそのサイと狩猟者があり、どちらを処理すべきか迷っている。もしトップが土地だったら狩猟者を、トップが2枚目のサイだったらより強力なアタッカーであるサイを除去するだろう。
鍵となるのは(当たり前だけど)よく考え、微妙な点についても考慮することだ。大抵、相手のトップの情報は自分よりも相手にとって有益となる場合が多い。しかしそれが本当かどうかは自分で判断するんだ。取るに足らないようなプレイングであっても決して注意を怠らないように!
【翻訳】サイドボーディングに関する5つの迷信 - Jacob Wilson
2015年2月16日 翻訳PT運命再編でTOP8にも入ったJacob Wilsonによる記事です。
5 Myths About Sideboarding
By Jacob Wilson // 3 Feb, 2015
http://www.channelfireball.com/home/force-of-wilson-5-myths-about-sideboarding/
1.アグロデッキのサイドボーディングはデッキを強化する
サイドボーディングはあなたのデッキを最も悪化させる機会である。簡単に言うと、サイドからデッキに入れるカードとはすなわち、本来ならメインデッキから抜くべきカードであるはずだ。
一般的にメインデッキはパワフルなカードを満載にした一貫性のある形にし、サイドボードはそれに対応したニッチなカードを用意する。しかし、もしあなたが自分のデッキや環境に不慣れであるならば、サイドボードを過剰に入れてしまうかもしれない。デッキの脅威を減らして、より相手に刺さるカードを入れる……これはコントロールに立つ時やサイド以外に相手の脅威への解答が無いときは適切といえる。故に、アグロデッキにはサイドボードから解答を入れることが適切である場合とそうでない場合がある。
コントロールに立つ:これはアグロのミラーマッチでよくある。デッキを防御的にするとき、それはロングゲームを目指すということであり、そのためにはサイドボードにロングゲーム用のよりカードパワーの高いものが必要だ。ここでアブザンアグロミラーを想定しよう。あなたのサイド後のデッキには《砂塵破》と《太陽の勇者、エルズペス》が入っている。これらはメインデッキとはあまり噛み合わないが、長期戦においてはピッタリだ。
解答のない脅威:例えばRTRブロックでの赤単VSエスパーコントロール。エスパー側には《ヴィズコーパの血男爵》以外にクリーチャーは入っていない。しかし赤単にとって多少の脅威を抜いてでも《ミジウムの迫撃砲》を入れることは正しい。赤単はコントロールに立とうなんて思わないが、《ヴィズコーパの血男爵》の刺さり具合を加味すると《ミジウムの迫撃砲》はどうしても必要になる。大抵の場合、アグレッシブなデッキはゲームプランを曲げるようなカードをサイドボードから入れることは出来ない。そもそもそういったデッキのコンセプトは、相手の使う高額カードのアドバンテージを狭めるというものであるはずだ。1体の《苛まれし英雄》を4枚の《英雄の破滅》や《残忍な切断》でバックアップするよりも2枚の《苛まれし英雄》に1枚の《血に染まりし勇者》達を2枚の除去で支援する方がずっと上手くいくだろう。
ここではアグロデッキがサイドボードを入れるべき状況について2つを提示してみた。大抵の場合はこれを守ることでサイドボーディングを必要最小限に行えるだろう。そしてアグロデッキは通常、カード間のシナジーを必要とするから、この考えはコンボデッキにも応用できる。
2.《外科的摘出》と《頭蓋の摘出》は素晴らしい
単一のカードによってのみコンボが回るデッキにとって『摘出』タイプのカードは大変刺さりやすい。そんな相手を除いて、摘出カードは入れるべきではない。コンボデッキでもない相手に対し《外科的摘出》を入れる人を見る度にいたたまれない気持ちになってしまうよ。それにモダンの双子のようなデッキに対し《記憶殺し》を入れるのも有効とはいえない。双子デッキはたとえコンボパーツを抜かれたとしても《ヴェンディリオン三人衆》や《嵐の神、ケラノス》のようなゲームを勝つ上で十分な代替戦力を有している。レガシーで私のデルバーデッキが《外科的摘出》や《根絶》を撃たれた回数は数えきれない。わざわざハンドを1枚切ってまで《思案》を抜くことが果たして有効といえるだろうか?手始めにデッキに『摘出』カードを入れないようにしてみるといいだろう。
3.リミテッドにおけるサイドボーディングは有効ではない
多くのプレイヤーは、勝ち組を含めて、リミテッドにおけるサイドボーディングを全く持って軽視している。
サイドボードをドラフトしよう!遅番で《軍用ビヒモス》と《暴風》が流れてきたら?《軍用ビヒモス》は平凡なカードであり、一方で《暴風》は状況次第で価値が変わる。もしその時点でプレイアブルなパーツを十分(22~24枚ほど)確保していたら、サイドボードとしてピックすることを検討しよう。
サイド後土地を減らす:リミテッドにおいて土地を減らしたい要素はいくつかある。消耗戦においては1枚の無打牌を引くか引かないかが勝負を分つことがある。あまり効果のない重いカードを複数減らす時には土地も1枚減らしたほうがいい。またあなたが1ゲームを取った後は大抵相手は先手を取る。……後手の時だけが土地を1、2枚減らせる唯一の機会だ。
色を切り替える:デッキの色を完全に変えることはシールドにおいて考慮に値する。貰ったプールで最適なデッキが出来た後で、試合の合間にでも別のデッキを考えてみよう。1ゲーム目を遅いスゥルタイで制したら、2ゲーム目は素早いボロスに切り替えて相手の意表を突くんだ。相手がサイド後にロングゲームで有効な《従順な復活》や《奈落の総ざらい》を入れていたら効果てきめんだろう。
色の切り替えをサイドボーディングのルール(適正な時間内にデッキを無作為化する)に基づいて実際に行うためには予め代替デッキを用意しておく必要がある。
もしデッキが正しく緊密に作られているならば、サイド後にニッチなカードを入れたり土地を抜くことがないよう私は強く警告する。
4.対戦相手の脅威に対しぶっ刺さる解答を常に入れる
もし相手がアーティファクトを使っていたら、サイドから《粉砕》を入れるべきだろうか?相手に刺さるカードがサイドにあったら全部入れるのはもっともらしい。しかしそれは状況次第だ。前項で私はアグロデッキのサイドボーディングは最小限でいいことを既に述べた。どんなデッキであってもこの罠に引っかかってはいけない。
スタンダードのアブザンミッドレンジVSシディシウィップを考えてみよう。
あなたはアブザンをプレイしておりシディシウィップの数多くの脅威に晒された。そしてたっぷり用意してきたサイドボードを入れようとする。《消去》2枚、《胆汁病》3枚。《悲哀まみれ》2枚、
《対立の終結》2枚……そして抜くのは《森の女人像》4枚、《真面目な訪問者、ソリン》2枚、《風番いのロック》1枚、《太陽の勇者、エルズペス》2枚。
サイドインしたこれらは確かに特定の状況では効果的だ。しかしその代償として複数のプレインズウォーカーが犠牲となっている。アブザンミッドレンジはデリケートなマナバランスに除去とフィニッシャーで成り立っているデッキだ。なるほど、確かに殆どの試合において相手のゲームプランをもみ消して行くことは出来るかもしれない。だが、最後はどうする?前環境の青白コンなどはそういったゲームの長期化に対する素晴らしい解答、《スフィンクスの啓示》を持っていた。しかしアブザンにはそんなカードはない。一度攻勢に入ったらそのまま勝ちに繋げられるようにプレインズウォーカーは複数ないし全部残すことを推奨する。
5.サイドプランニングは有効である/有害である
予めサイドプランを考えてくることが有用かは人によって異なる。理想的には、プレイヤーは広い心を持って個々の試合でそれに対応した最適なサイドボーディングが出来ればいい。実際の所、想定されるアーキタイプ毎のサイドプランを考えて行くことは大抵の人にとっては有益に働くだろう。そして自分のデッキや環境を理解するに従って、想定していたデッキと対戦相手のデッキやプレイスタイルとの違いに気づいた時にはサイドプランをより拡張していけるだろう。
今回私が説明した迷信に関してのあなたの考えや、あなただけが知っていることについて話を聞けると嬉しいよ。
ここまで読んでくれてありがとう!
-Jacob Wilson
※編集者注:本記事ではゲーム間のサイドボーディングに割り当てられる時間について旧ルールに基づいて書かれています。
5 Myths About Sideboarding
By Jacob Wilson // 3 Feb, 2015
http://www.channelfireball.com/home/force-of-wilson-5-myths-about-sideboarding/
1.アグロデッキのサイドボーディングはデッキを強化する
サイドボーディングはあなたのデッキを最も悪化させる機会である。簡単に言うと、サイドからデッキに入れるカードとはすなわち、本来ならメインデッキから抜くべきカードであるはずだ。
一般的にメインデッキはパワフルなカードを満載にした一貫性のある形にし、サイドボードはそれに対応したニッチなカードを用意する。しかし、もしあなたが自分のデッキや環境に不慣れであるならば、サイドボードを過剰に入れてしまうかもしれない。デッキの脅威を減らして、より相手に刺さるカードを入れる……これはコントロールに立つ時やサイド以外に相手の脅威への解答が無いときは適切といえる。故に、アグロデッキにはサイドボードから解答を入れることが適切である場合とそうでない場合がある。
コントロールに立つ:これはアグロのミラーマッチでよくある。デッキを防御的にするとき、それはロングゲームを目指すということであり、そのためにはサイドボードにロングゲーム用のよりカードパワーの高いものが必要だ。ここでアブザンアグロミラーを想定しよう。あなたのサイド後のデッキには《砂塵破》と《太陽の勇者、エルズペス》が入っている。これらはメインデッキとはあまり噛み合わないが、長期戦においてはピッタリだ。
解答のない脅威:例えばRTRブロックでの赤単VSエスパーコントロール。エスパー側には《ヴィズコーパの血男爵》以外にクリーチャーは入っていない。しかし赤単にとって多少の脅威を抜いてでも《ミジウムの迫撃砲》を入れることは正しい。赤単はコントロールに立とうなんて思わないが、《ヴィズコーパの血男爵》の刺さり具合を加味すると《ミジウムの迫撃砲》はどうしても必要になる。大抵の場合、アグレッシブなデッキはゲームプランを曲げるようなカードをサイドボードから入れることは出来ない。そもそもそういったデッキのコンセプトは、相手の使う高額カードのアドバンテージを狭めるというものであるはずだ。1体の《苛まれし英雄》を4枚の《英雄の破滅》や《残忍な切断》でバックアップするよりも2枚の《苛まれし英雄》に1枚の《血に染まりし勇者》達を2枚の除去で支援する方がずっと上手くいくだろう。
ここではアグロデッキがサイドボードを入れるべき状況について2つを提示してみた。大抵の場合はこれを守ることでサイドボーディングを必要最小限に行えるだろう。そしてアグロデッキは通常、カード間のシナジーを必要とするから、この考えはコンボデッキにも応用できる。
2.《外科的摘出》と《頭蓋の摘出》は素晴らしい
単一のカードによってのみコンボが回るデッキにとって『摘出』タイプのカードは大変刺さりやすい。そんな相手を除いて、摘出カードは入れるべきではない。コンボデッキでもない相手に対し《外科的摘出》を入れる人を見る度にいたたまれない気持ちになってしまうよ。それにモダンの双子のようなデッキに対し《記憶殺し》を入れるのも有効とはいえない。双子デッキはたとえコンボパーツを抜かれたとしても《ヴェンディリオン三人衆》や《嵐の神、ケラノス》のようなゲームを勝つ上で十分な代替戦力を有している。レガシーで私のデルバーデッキが《外科的摘出》や《根絶》を撃たれた回数は数えきれない。わざわざハンドを1枚切ってまで《思案》を抜くことが果たして有効といえるだろうか?手始めにデッキに『摘出』カードを入れないようにしてみるといいだろう。
3.リミテッドにおけるサイドボーディングは有効ではない
多くのプレイヤーは、勝ち組を含めて、リミテッドにおけるサイドボーディングを全く持って軽視している。
サイドボードをドラフトしよう!遅番で《軍用ビヒモス》と《暴風》が流れてきたら?《軍用ビヒモス》は平凡なカードであり、一方で《暴風》は状況次第で価値が変わる。もしその時点でプレイアブルなパーツを十分(22~24枚ほど)確保していたら、サイドボードとしてピックすることを検討しよう。
サイド後土地を減らす:リミテッドにおいて土地を減らしたい要素はいくつかある。消耗戦においては1枚の無打牌を引くか引かないかが勝負を分つことがある。あまり効果のない重いカードを複数減らす時には土地も1枚減らしたほうがいい。またあなたが1ゲームを取った後は大抵相手は先手を取る。……後手の時だけが土地を1、2枚減らせる唯一の機会だ。
色を切り替える:デッキの色を完全に変えることはシールドにおいて考慮に値する。貰ったプールで最適なデッキが出来た後で、試合の合間にでも別のデッキを考えてみよう。1ゲーム目を遅いスゥルタイで制したら、2ゲーム目は素早いボロスに切り替えて相手の意表を突くんだ。相手がサイド後にロングゲームで有効な《従順な復活》や《奈落の総ざらい》を入れていたら効果てきめんだろう。
色の切り替えをサイドボーディングのルール(適正な時間内にデッキを無作為化する)に基づいて実際に行うためには予め代替デッキを用意しておく必要がある。
もしデッキが正しく緊密に作られているならば、サイド後にニッチなカードを入れたり土地を抜くことがないよう私は強く警告する。
4.対戦相手の脅威に対しぶっ刺さる解答を常に入れる
もし相手がアーティファクトを使っていたら、サイドから《粉砕》を入れるべきだろうか?相手に刺さるカードがサイドにあったら全部入れるのはもっともらしい。しかしそれは状況次第だ。前項で私はアグロデッキのサイドボーディングは最小限でいいことを既に述べた。どんなデッキであってもこの罠に引っかかってはいけない。
スタンダードのアブザンミッドレンジVSシディシウィップを考えてみよう。
あなたはアブザンをプレイしておりシディシウィップの数多くの脅威に晒された。そしてたっぷり用意してきたサイドボードを入れようとする。《消去》2枚、《胆汁病》3枚。《悲哀まみれ》2枚、
《対立の終結》2枚……そして抜くのは《森の女人像》4枚、《真面目な訪問者、ソリン》2枚、《風番いのロック》1枚、《太陽の勇者、エルズペス》2枚。
サイドインしたこれらは確かに特定の状況では効果的だ。しかしその代償として複数のプレインズウォーカーが犠牲となっている。アブザンミッドレンジはデリケートなマナバランスに除去とフィニッシャーで成り立っているデッキだ。なるほど、確かに殆どの試合において相手のゲームプランをもみ消して行くことは出来るかもしれない。だが、最後はどうする?前環境の青白コンなどはそういったゲームの長期化に対する素晴らしい解答、《スフィンクスの啓示》を持っていた。しかしアブザンにはそんなカードはない。一度攻勢に入ったらそのまま勝ちに繋げられるようにプレインズウォーカーは複数ないし全部残すことを推奨する。
5.サイドプランニングは有効である/有害である
予めサイドプランを考えてくることが有用かは人によって異なる。理想的には、プレイヤーは広い心を持って個々の試合でそれに対応した最適なサイドボーディングが出来ればいい。実際の所、想定されるアーキタイプ毎のサイドプランを考えて行くことは大抵の人にとっては有益に働くだろう。そして自分のデッキや環境を理解するに従って、想定していたデッキと対戦相手のデッキやプレイスタイルとの違いに気づいた時にはサイドプランをより拡張していけるだろう。
今回私が説明した迷信に関してのあなたの考えや、あなただけが知っていることについて話を聞けると嬉しいよ。
ここまで読んでくれてありがとう!
-Jacob Wilson
※編集者注:本記事ではゲーム間のサイドボーディングに割り当てられる時間について旧ルールに基づいて書かれています。
http://cardboard-crack.com/post/109085877621/keeping-it-simple
最低でも変異と予示のどちらかはトークンが必要だから面倒さはあるよなあ。
「KTK+FRFドラフトの準備をしてきたよ。プレイマットにスリーブ、ライフ管理用のメモにペン……
それに変異トークン、予示トークン、裏向きカードを出した順番マーカー用のダイス、包囲サイクル用のカウンター」
「とてもお手軽ドラフトとは言えないわね」
「龍紀伝で3種類目の裏向きカードが来たら発狂しそう」
最低でも変異と予示のどちらかはトークンが必要だから面倒さはあるよなあ。
【翻訳】PV’s Playhouse – 上級者が犯すミス5ヶ条
2014年12月23日 翻訳 コメント (10)PV’s Playhouse – The Top 5 Mistakes Good Players Make
By Paulo Vitor Damo da Rosa // 17 Dec, 2014
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-the-top-5-mistakes-good-players-make/
やあ!
マジックは複雑で、ミスの1つや2つは簡単に起こしてしまうものだ。経験が浅いほどミスはよりしやすいが、どんなに慣れても絶対にミスをしない境地には辿り着けない。僕が競技マジックに勤しむようになった頃に読んだGabriel Nassifによると、彼は1ゲームにつき少なくとも1回は大きなミスをし、それを励みにするそうだ。しかも依然として直っていないんだってね。
誰でもマジックを始めたての頃は基礎もままならず多くのミスをする。これはプレイヤーとして熟達していくに連れて直っていくが、熟達したプレイヤーほど過剰に相手を『読んで』しまって、初心者よりも結果的に多くのミスをしてしまうんだ。
ミスその1-あらゆる要素をコントロール出来ると思ってしまう。
競技マジック志向になると誰もが自分の運の無さを嘆く。土地事故、相手の神引き、ダブマリ、などなど……。そんな状況にいざ対峙すると、皆その不運に気を取られ、勝率を少しでも向上できる手段があっても見落としてしまう。
成長していくに連れて、今まで見落としてきたプレイングに気付くだろう。ああそうさ、さっき4枚目の土地を引けなかったばっかりに負けてしまったけど、2ターン目に別のプレイをしていれば1ターン余分に生き残ってそれを引けたかもしれない。相手が長期戦で強いカードを何枚も引いたようなら自分もそんなカードをデッキに入れればいい。僕達はそういった敗北から自分の弱点を知り、修正していくものだ。それが上手いプレイヤーになるための第一歩さ。
じゃあ問題は何かって?その第一歩を踏み出しすぎることだ。僕達はあらゆるもの全てをコントロールしようとするが、そんなことは出来ない。空振りに終わるだけだ。多くの戦術記事はよく、「もし君が負けたら、それにはなにかミスがあるから、それが起こった原因を探してみよう」と言う。確かに励みになる言葉だ。もし敗北が本当に自分自身のミスによるものであれば、それを修正し、そんな記事を書けるような謙虚で現実的なプレイヤーになれるだろう。だけど、それは常に正しくはない。
マジックには偶然性が付き物だ。プレイアブルでないハンドを2回も貰いダブマリすることになり、2枚目の土地を引けずに負けてしまうことは普通にある。ではその敗北のどこに落ち度があるだろうか?
一番大切なこと。たまに不運でもないのに負けることがあるが、そこにミスがあったとは限らないのだ。全て正しいプレイをしても負けることもある。しかしその負けを過剰に正当化しようとすると、それは将来のミスに繋がる恐れがある。マジックで負けるなんて当たり前だ。2人で対戦したら1人は必ず負ける。その2人がどんなに優れてたプレイヤーで引きが完璧であったとしても、それでもやはり1人は負けてしまうんだ。
大切なことなので2回言うけど、「全てをコントロールすることは出来ない」!これを理解し、ただ1つの敗北から自分を責めないことだ。理由もなく負ける、それはよくあることなんだ。
負けてしまってもそれは君の責任ではない。正しいプレイをしても負けることはある。負けとはマジックというゲームの一部であり、そこに特別な理由なんて無い。ツイていたって負けるときは負ける。世界の強豪ですら勝率は70%を下回る。『最強のプレイヤー』なんてものがいたとしても、75%にも届くか怪しいね。
どうか、自分に厳しくしすぎないことだ。何とかして勝率を向上できるプレイングを探し当てることも大事だが、それと同じくらい、自分自身ではどうしようもない部分がマジックにはあることを理解するのも大事だ。
ミスその2-構築戦で後手を選ぶ。
先手を取るのは自然なことだ。初心者も十中八九先手を選ぶだろう。そして経験を積んでいくと後手の重要性に気付いていく。例えばテンポではなくカードアドバンテージで勝てるシールドでね。
やがて彼らは後手を選ぶようになるだろう……少々過剰なまでに。「後手選択は上級者の基本」とでも言うかのように。
僕の考えでは構築戦で後手を選ぶ戦術はもう過去の遺物だ。ソーサリーやインスタントが強かった昔は確かに有効だったが、今はクリーチャーやプレインズウォーカーといったパーマネントのカードパワーが上昇しており、その戦術が通用するようなゲームではなくなっている。
《稲妻》は1ターン目であろうと2ターン目であろうと3点入れる。もし3/3が2ターン目にいたら同じく3点を入れられるが、1ターン目にいたら6点だ。プレインズウォーカーは早く出せばより多くのアドバンテージをもたらす。後手に回って相手の行動に逐一対処を迫られるなんて御免だね。コントロールミラーなら尚更だ。
プロプレイヤーがミスって後手を選んだ場面を僕は2つ覚えている。1つはSam BlackがPTフィラデルフィアの準決勝でJosh Utter-Leytonと対決した時にやらかした。彼は《猛火の群れ》感染を、JoshはCFB製ズーだったが、Samは後手を選んだんだ。(※参考:http://coverage.mtg-jp.com/ptphi11/article/000584/)
そのマッチアップにおいて彼の想定するサイドボーディングは《呪文滑り》等を入れることであった。試合は消耗戦になりやすく、故に彼は後手を取りそれらをより多く引くことを欲した訳だ。……だが、彼は先手を取ることで得られるテンポアドバンテージとドブンの価値を見落としていた。Samが《墨蛾の生息地》をコントロールしているときにJoshが取れる策はただクリーチャーを展開することのみであり、Samには妨害を受けずに楽々と勝利できる可能性があったし、2ターン目に《荒廃の工作員》をプレイしたなら返しでJoshはそいつの除去に全力を注がなければならない。もしJoshが先手なら、彼が先にクリーチャーをプレイ出来るというメリットによってそれらの脅威は無に帰す。例えば《荒廃の工作員》を除去して3点のアタック、或いは《荒廃の工作員》を除去して6点。更に追加のパワー3クリーチャープレイ。カードを多く引けることよりもずっと大きなアドバンテージだ。
もう1つの場面は青黒コントロールを駆るGuillaume Wafo-TapaがCaw-Bladeと対峙した時だ。彼も後手を選び、その理由もやはり消耗戦におけるカードアドバンテージだった。僕はその選択はミスだと思う。何故なら《戦隊の鷹》は彼にとって大きな脅威となるはずであり、《マナ漏出》はそれへの最適な回答になる。しかし後手を選ぶと2ターン目の鷹に対処出来なくなってしまうのだ。
さて恐らく大抵の人は構築戦で先手を選びがちだろう。それは往々にして正しい選択であり、稀に悪手となることはあっても致命的なミスにはならない。そして、どちらが先手かで勝率が大きく変わるマッチアップ―65%対35%が35%対65%になるような―そんなマッチアップで後手を取ったらそれは致命的になる。相手に蹂躙される前にそのミスから持ち直す猶予は……極僅かだ。
一方、後手の強みは些細なものだ。例え後手を取るべき試合で誤って先手を取ってしまったとしてもせいぜい勝率が52%対48%から48%対52%に変わる程度だろう。それに後手を取るべき試合とは長期化するものであり、後手で得たアドバンテージもロングゲームでは薄まっていく。僕だって最後に構築戦で後手を取るべき試合があったのはいつだったか覚えてないよ。だから、迷ったなら先手を取るべきだ。
ミスその3-土地をプレイしない。
ブラフの概念が無い初心者は手札に残った土地を全てプレイする。しかし経験を重ねるに連れて、手札に土地を抱え込むことが大抵ブラフとして機能することに気付く。……そして更に熟達していくと、土地を抱え込みすぎたがために負けてしまう試合をいくつも経験するだろう。
負けてしまう原因は2つ。1つは、思っていた以上にマナを要求される場面があったということだ。シディシウィップを使っているところを想像して欲しい。場の土地は11枚、手札に残ったのは土地2枚のみ。諸君は12枚目の土地なんてプレイする必要はないと考える。……だが、次に《エレボスの鞭》を引いた時、それがミスであったと気付くだろう。鞭をプレイし(計4マナ)、《サテュロスの道探し》を釣り(計8マナ)、墓地に落ちた《イニストラードの魂》の能力を起動(計13マナ)出来れば最高の動きだ。これは12枚目の土地を前のターンにプレイしていなかったら出来ないムーブだ。
他にも、《宝船の巡航》デッキなら土地を全てプレイしておけば、トップした巡航で複数のスペルやはたまた追加の巡航を引き、それらを即プレイに持ち込めるかもしれない。
ここで言いたいことは、土地を抱え込み相手に『何かを持っている』と思わせるよりも、次のターンにカードを満足にプレイできる可能性があるなら、後者を取るほうが勝利への貢献度は高いということだ。
2つ目の原因はブラフに対する過大評価だ。ハンドが土地であることは大体看破されてしまうものだよ。11マナもあるのに2枚も手札に残したまま《包囲サイ》に一方的に殴られている時、相手はそれが《再利用の賢者》2枚だと思うかい?何かゲームプランを変えてくれるとでも?
勿論、「土地は全てプレイしろ」と言ってるわけじゃない。それはマナの使い道(mana sinks)があるときと無い時でケースバイケース。もしそれが無い時なら手札の最後の土地を温存するのは大抵正解だ。それはいつでもプレイできるからね。土地をプレイする時は一考しよう。
ミスその4-相手を読み過ぎる。
誰でも初めは自分のことで手一杯で、相手の行動一つ一つに注意を払いはしないだろう。そしてプレイヤーとして成長するに連れて僕達は相手を読もうとする。相手の行動にどんな理由があるのかを推察しようとする。
その読みは終いには妄想へと変貌するかもしれない。「ふむ、相手は《破滅の刃》をこれに撃ってきた。ということは、アレやアレにアレを持っているに違いない。」そして彼がドレも持っていないことが分かると「はぁぁ?訳がわからないよ!」……ビデオマッチだったら僕はきっとそうぼやくだろうね。実際、自分の考えと相手の考えは異なるものだ。相手の考えが正解で自分の考えは間違いなんて時もよくある!
君が4/2でアタックし、僕は2/2があるにも関わらずそれをスルーしたとしよう。それは大抵、僕は君に対しダメージレースを挑めると思っているというサインになる。君が2/2でアタックし僕が4/2でそれを止めた時、僕はロングゲームを考えている。しかし僕以外の人は他の理由でブロックするかもしれない。ジャイグロを引かれる前にブロックしたかったからとか、狂喜達成を恐れたからとか、4/2よりもライフを取ったからとか。
相手の考えが正解であれ間違いであれ、自分の考えとは異なる可能性を常に心に留めておこう。
より大事なこと。もし僕がLSVと対戦し、彼が2/2で僕の4/2をブロックしなかった時、僕は特別な理由を考えるだろう。彼がダメージレースをしたい可能性に加え、オーラを2/2につけたい、あるいは僕の4/2を《精神の制御》したい可能性を。とにかくそのセオリー外の選択には何らかの理由があると。
じゃあ、もしそれがFNMの一場面だったら?相手がダメージレースをしたい可能性は勿論考慮するが、単に僕がジャイグロを持っていると考え、その2/2を失いたくないと思ったのかもしれない。LSVならジャイグロと2/2をトレードすることは快く受け入れるだろうが、皆がLSVと同じように考えるわけじゃない。
最後に、この章の完璧なまとめとしてCardboard Crack(http://cardboard-crack.com/post/104383096138/i-block)の漫画の一コマを。
相手の行動に理由を考えるのは基本ではあるが、相手が自分とは違うように考えうるということは、どちらの考えが正解かに関わらず忘れないように。
ミスその5-身内との調整。
身内調整は大きなチーム内で行うものほど価値がある。小規模の大会内や様々な知人と行う調整は別段この章で言うような支障にはならないが、近年は大きなチームがプロツアーの常連になりつつあり、プロツアー出場者の半分以上が何らかのチームに所属しているだろうから、身内調整の問題はよりプロを悩ませているだろう。
すなわち身内調整によって、僕らはチーム内で結論づけられた行動や選択を対戦相手もまた行うと確信してしまうかもしれないんだ。
調整相手がずっとアブザンだったら、それに勝ち続けることでアブザンは環境に合ってないデッキだと思うかもしれないし、調整相手のジェスカイが《静翼のグリフ》を4積みしたら、それがジェスカイの主流だと思い込んで自分はデッキから《包囲サイ》や《女王スズメバチ》を抜いてビート方向に練り直すかもしれない。
この間のプロツアーでは初めから《ジェスカイの隆盛》コンボをチーム内で調整したわけだけど、僕達はまさにその問題に苦しめられたよ。隆盛コンボはチーム内の他のデッキに良く勝てて、すると皆はサイドにカウンターや《消去》、挙句は《精神染み》まで積み始めたんだ。こうなると皆は隆盛コンボを使いたくなくなった。プロツアーはサイドに消去や精神染みが積まれるのが当たり前になると思ったから。それと同時に隆盛コンボにはサイド後も勝ち目がない緑単系のデッキも減ってしまった。
結果的には、隆盛コンボの使用者は僕達の想定よりもずっと少なく、同様にアンチ隆盛コンボのサイドボードも多くは取られていなかった。隆盛コンボを恐れてデッキを変えたチームメイトは後悔しただろうし、サイドに消去を大量に取った者もその使用機会には恵まれなかっただろう。(皮肉にも今は優良なサイドボードとなっている。隆盛ではなく鞭のために。)いや、隆盛コンボをプレイすればよかったと言いたい訳ではない(そんなに活躍はしなかったし)、だけど隆盛デッキのサイドボードは他のデッキのサイドボードに比べてずっと腐りやすかったはずだ。隆盛コンボへのヘイトはそう高いものではなく、メインのままでも十分戦えただろうから。
身内で調整する時は身内のデッキに焦点を当てすぎないことだ。皆が自分と同じように考えるわけじゃない。どのデッキや構築がベストか、皆が同じ道を辿るわけではないんだ。大事なことなのでry
もし自分が身内の特定のデッキに固執していると感じたら、一歩下がって、第三者の視点に立って改めて考えてみることだね。
さて、今日言いたいことはここまで。楽しんでもらえると嬉しいよ。ではまた来週!
PV
By Paulo Vitor Damo da Rosa // 17 Dec, 2014
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-the-top-5-mistakes-good-players-make/
やあ!
マジックは複雑で、ミスの1つや2つは簡単に起こしてしまうものだ。経験が浅いほどミスはよりしやすいが、どんなに慣れても絶対にミスをしない境地には辿り着けない。僕が競技マジックに勤しむようになった頃に読んだGabriel Nassifによると、彼は1ゲームにつき少なくとも1回は大きなミスをし、それを励みにするそうだ。しかも依然として直っていないんだってね。
誰でもマジックを始めたての頃は基礎もままならず多くのミスをする。これはプレイヤーとして熟達していくに連れて直っていくが、熟達したプレイヤーほど過剰に相手を『読んで』しまって、初心者よりも結果的に多くのミスをしてしまうんだ。
ミスその1-あらゆる要素をコントロール出来ると思ってしまう。
競技マジック志向になると誰もが自分の運の無さを嘆く。土地事故、相手の神引き、ダブマリ、などなど……。そんな状況にいざ対峙すると、皆その不運に気を取られ、勝率を少しでも向上できる手段があっても見落としてしまう。
成長していくに連れて、今まで見落としてきたプレイングに気付くだろう。ああそうさ、さっき4枚目の土地を引けなかったばっかりに負けてしまったけど、2ターン目に別のプレイをしていれば1ターン余分に生き残ってそれを引けたかもしれない。相手が長期戦で強いカードを何枚も引いたようなら自分もそんなカードをデッキに入れればいい。僕達はそういった敗北から自分の弱点を知り、修正していくものだ。それが上手いプレイヤーになるための第一歩さ。
じゃあ問題は何かって?その第一歩を踏み出しすぎることだ。僕達はあらゆるもの全てをコントロールしようとするが、そんなことは出来ない。空振りに終わるだけだ。多くの戦術記事はよく、「もし君が負けたら、それにはなにかミスがあるから、それが起こった原因を探してみよう」と言う。確かに励みになる言葉だ。もし敗北が本当に自分自身のミスによるものであれば、それを修正し、そんな記事を書けるような謙虚で現実的なプレイヤーになれるだろう。だけど、それは常に正しくはない。
マジックには偶然性が付き物だ。プレイアブルでないハンドを2回も貰いダブマリすることになり、2枚目の土地を引けずに負けてしまうことは普通にある。ではその敗北のどこに落ち度があるだろうか?
一番大切なこと。たまに不運でもないのに負けることがあるが、そこにミスがあったとは限らないのだ。全て正しいプレイをしても負けることもある。しかしその負けを過剰に正当化しようとすると、それは将来のミスに繋がる恐れがある。マジックで負けるなんて当たり前だ。2人で対戦したら1人は必ず負ける。その2人がどんなに優れてたプレイヤーで引きが完璧であったとしても、それでもやはり1人は負けてしまうんだ。
大切なことなので2回言うけど、「全てをコントロールすることは出来ない」!これを理解し、ただ1つの敗北から自分を責めないことだ。理由もなく負ける、それはよくあることなんだ。
負けてしまってもそれは君の責任ではない。正しいプレイをしても負けることはある。負けとはマジックというゲームの一部であり、そこに特別な理由なんて無い。ツイていたって負けるときは負ける。世界の強豪ですら勝率は70%を下回る。『最強のプレイヤー』なんてものがいたとしても、75%にも届くか怪しいね。
どうか、自分に厳しくしすぎないことだ。何とかして勝率を向上できるプレイングを探し当てることも大事だが、それと同じくらい、自分自身ではどうしようもない部分がマジックにはあることを理解するのも大事だ。
ミスその2-構築戦で後手を選ぶ。
先手を取るのは自然なことだ。初心者も十中八九先手を選ぶだろう。そして経験を積んでいくと後手の重要性に気付いていく。例えばテンポではなくカードアドバンテージで勝てるシールドでね。
やがて彼らは後手を選ぶようになるだろう……少々過剰なまでに。「後手選択は上級者の基本」とでも言うかのように。
僕の考えでは構築戦で後手を選ぶ戦術はもう過去の遺物だ。ソーサリーやインスタントが強かった昔は確かに有効だったが、今はクリーチャーやプレインズウォーカーといったパーマネントのカードパワーが上昇しており、その戦術が通用するようなゲームではなくなっている。
《稲妻》は1ターン目であろうと2ターン目であろうと3点入れる。もし3/3が2ターン目にいたら同じく3点を入れられるが、1ターン目にいたら6点だ。プレインズウォーカーは早く出せばより多くのアドバンテージをもたらす。後手に回って相手の行動に逐一対処を迫られるなんて御免だね。コントロールミラーなら尚更だ。
プロプレイヤーがミスって後手を選んだ場面を僕は2つ覚えている。1つはSam BlackがPTフィラデルフィアの準決勝でJosh Utter-Leytonと対決した時にやらかした。彼は《猛火の群れ》感染を、JoshはCFB製ズーだったが、Samは後手を選んだんだ。(※参考:http://coverage.mtg-jp.com/ptphi11/article/000584/)
そのマッチアップにおいて彼の想定するサイドボーディングは《呪文滑り》等を入れることであった。試合は消耗戦になりやすく、故に彼は後手を取りそれらをより多く引くことを欲した訳だ。……だが、彼は先手を取ることで得られるテンポアドバンテージとドブンの価値を見落としていた。Samが《墨蛾の生息地》をコントロールしているときにJoshが取れる策はただクリーチャーを展開することのみであり、Samには妨害を受けずに楽々と勝利できる可能性があったし、2ターン目に《荒廃の工作員》をプレイしたなら返しでJoshはそいつの除去に全力を注がなければならない。もしJoshが先手なら、彼が先にクリーチャーをプレイ出来るというメリットによってそれらの脅威は無に帰す。例えば《荒廃の工作員》を除去して3点のアタック、或いは《荒廃の工作員》を除去して6点。更に追加のパワー3クリーチャープレイ。カードを多く引けることよりもずっと大きなアドバンテージだ。
もう1つの場面は青黒コントロールを駆るGuillaume Wafo-TapaがCaw-Bladeと対峙した時だ。彼も後手を選び、その理由もやはり消耗戦におけるカードアドバンテージだった。僕はその選択はミスだと思う。何故なら《戦隊の鷹》は彼にとって大きな脅威となるはずであり、《マナ漏出》はそれへの最適な回答になる。しかし後手を選ぶと2ターン目の鷹に対処出来なくなってしまうのだ。
さて恐らく大抵の人は構築戦で先手を選びがちだろう。それは往々にして正しい選択であり、稀に悪手となることはあっても致命的なミスにはならない。そして、どちらが先手かで勝率が大きく変わるマッチアップ―65%対35%が35%対65%になるような―そんなマッチアップで後手を取ったらそれは致命的になる。相手に蹂躙される前にそのミスから持ち直す猶予は……極僅かだ。
一方、後手の強みは些細なものだ。例え後手を取るべき試合で誤って先手を取ってしまったとしてもせいぜい勝率が52%対48%から48%対52%に変わる程度だろう。それに後手を取るべき試合とは長期化するものであり、後手で得たアドバンテージもロングゲームでは薄まっていく。僕だって最後に構築戦で後手を取るべき試合があったのはいつだったか覚えてないよ。だから、迷ったなら先手を取るべきだ。
ミスその3-土地をプレイしない。
ブラフの概念が無い初心者は手札に残った土地を全てプレイする。しかし経験を重ねるに連れて、手札に土地を抱え込むことが大抵ブラフとして機能することに気付く。……そして更に熟達していくと、土地を抱え込みすぎたがために負けてしまう試合をいくつも経験するだろう。
負けてしまう原因は2つ。1つは、思っていた以上にマナを要求される場面があったということだ。シディシウィップを使っているところを想像して欲しい。場の土地は11枚、手札に残ったのは土地2枚のみ。諸君は12枚目の土地なんてプレイする必要はないと考える。……だが、次に《エレボスの鞭》を引いた時、それがミスであったと気付くだろう。鞭をプレイし(計4マナ)、《サテュロスの道探し》を釣り(計8マナ)、墓地に落ちた《イニストラードの魂》の能力を起動(計13マナ)出来れば最高の動きだ。これは12枚目の土地を前のターンにプレイしていなかったら出来ないムーブだ。
他にも、《宝船の巡航》デッキなら土地を全てプレイしておけば、トップした巡航で複数のスペルやはたまた追加の巡航を引き、それらを即プレイに持ち込めるかもしれない。
ここで言いたいことは、土地を抱え込み相手に『何かを持っている』と思わせるよりも、次のターンにカードを満足にプレイできる可能性があるなら、後者を取るほうが勝利への貢献度は高いということだ。
2つ目の原因はブラフに対する過大評価だ。ハンドが土地であることは大体看破されてしまうものだよ。11マナもあるのに2枚も手札に残したまま《包囲サイ》に一方的に殴られている時、相手はそれが《再利用の賢者》2枚だと思うかい?何かゲームプランを変えてくれるとでも?
勿論、「土地は全てプレイしろ」と言ってるわけじゃない。それはマナの使い道(mana sinks)があるときと無い時でケースバイケース。もしそれが無い時なら手札の最後の土地を温存するのは大抵正解だ。それはいつでもプレイできるからね。土地をプレイする時は一考しよう。
ミスその4-相手を読み過ぎる。
誰でも初めは自分のことで手一杯で、相手の行動一つ一つに注意を払いはしないだろう。そしてプレイヤーとして成長するに連れて僕達は相手を読もうとする。相手の行動にどんな理由があるのかを推察しようとする。
その読みは終いには妄想へと変貌するかもしれない。「ふむ、相手は《破滅の刃》をこれに撃ってきた。ということは、アレやアレにアレを持っているに違いない。」そして彼がドレも持っていないことが分かると「はぁぁ?訳がわからないよ!」……ビデオマッチだったら僕はきっとそうぼやくだろうね。実際、自分の考えと相手の考えは異なるものだ。相手の考えが正解で自分の考えは間違いなんて時もよくある!
君が4/2でアタックし、僕は2/2があるにも関わらずそれをスルーしたとしよう。それは大抵、僕は君に対しダメージレースを挑めると思っているというサインになる。君が2/2でアタックし僕が4/2でそれを止めた時、僕はロングゲームを考えている。しかし僕以外の人は他の理由でブロックするかもしれない。ジャイグロを引かれる前にブロックしたかったからとか、狂喜達成を恐れたからとか、4/2よりもライフを取ったからとか。
相手の考えが正解であれ間違いであれ、自分の考えとは異なる可能性を常に心に留めておこう。
より大事なこと。もし僕がLSVと対戦し、彼が2/2で僕の4/2をブロックしなかった時、僕は特別な理由を考えるだろう。彼がダメージレースをしたい可能性に加え、オーラを2/2につけたい、あるいは僕の4/2を《精神の制御》したい可能性を。とにかくそのセオリー外の選択には何らかの理由があると。
じゃあ、もしそれがFNMの一場面だったら?相手がダメージレースをしたい可能性は勿論考慮するが、単に僕がジャイグロを持っていると考え、その2/2を失いたくないと思ったのかもしれない。LSVならジャイグロと2/2をトレードすることは快く受け入れるだろうが、皆がLSVと同じように考えるわけじゃない。
最後に、この章の完璧なまとめとしてCardboard Crack(http://cardboard-crack.com/post/104383096138/i-block)の漫画の一コマを。
※簡易訳
「アタックだ」
「ブロックするよ」
「ブロックすんの!?さっきまで僕は攻撃後に土地を置いていたのに今のターンは攻撃前に置いた。それはつまり《胆汁病》をプレイ出来るようにするためさ。実際は胆汁病を持ってなかったけど、それを考えると今のはブロックすべきじゃないよ!おかげでこっちは一方的にやられちゃったじゃないか!どうしてそんなブロックしようと思ったんだ!?」
「え、インスタントって戦闘中にもプレイ出来るの?」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」
相手の行動に理由を考えるのは基本ではあるが、相手が自分とは違うように考えうるということは、どちらの考えが正解かに関わらず忘れないように。
ミスその5-身内との調整。
身内調整は大きなチーム内で行うものほど価値がある。小規模の大会内や様々な知人と行う調整は別段この章で言うような支障にはならないが、近年は大きなチームがプロツアーの常連になりつつあり、プロツアー出場者の半分以上が何らかのチームに所属しているだろうから、身内調整の問題はよりプロを悩ませているだろう。
すなわち身内調整によって、僕らはチーム内で結論づけられた行動や選択を対戦相手もまた行うと確信してしまうかもしれないんだ。
調整相手がずっとアブザンだったら、それに勝ち続けることでアブザンは環境に合ってないデッキだと思うかもしれないし、調整相手のジェスカイが《静翼のグリフ》を4積みしたら、それがジェスカイの主流だと思い込んで自分はデッキから《包囲サイ》や《女王スズメバチ》を抜いてビート方向に練り直すかもしれない。
この間のプロツアーでは初めから《ジェスカイの隆盛》コンボをチーム内で調整したわけだけど、僕達はまさにその問題に苦しめられたよ。隆盛コンボはチーム内の他のデッキに良く勝てて、すると皆はサイドにカウンターや《消去》、挙句は《精神染み》まで積み始めたんだ。こうなると皆は隆盛コンボを使いたくなくなった。プロツアーはサイドに消去や精神染みが積まれるのが当たり前になると思ったから。それと同時に隆盛コンボにはサイド後も勝ち目がない緑単系のデッキも減ってしまった。
結果的には、隆盛コンボの使用者は僕達の想定よりもずっと少なく、同様にアンチ隆盛コンボのサイドボードも多くは取られていなかった。隆盛コンボを恐れてデッキを変えたチームメイトは後悔しただろうし、サイドに消去を大量に取った者もその使用機会には恵まれなかっただろう。(皮肉にも今は優良なサイドボードとなっている。隆盛ではなく鞭のために。)いや、隆盛コンボをプレイすればよかったと言いたい訳ではない(そんなに活躍はしなかったし)、だけど隆盛デッキのサイドボードは他のデッキのサイドボードに比べてずっと腐りやすかったはずだ。隆盛コンボへのヘイトはそう高いものではなく、メインのままでも十分戦えただろうから。
身内で調整する時は身内のデッキに焦点を当てすぎないことだ。皆が自分と同じように考えるわけじゃない。どのデッキや構築がベストか、皆が同じ道を辿るわけではないんだ。大事なことなのでry
もし自分が身内の特定のデッキに固執していると感じたら、一歩下がって、第三者の視点に立って改めて考えてみることだね。
さて、今日言いたいことはここまで。楽しんでもらえると嬉しいよ。ではまた来週!
PV
【翻訳】DECK TECH:キブラーティムール
2014年10月21日 翻訳 コメント (3)DECK TECH: TEMUR WITH KIBLER
Frank Karsten
October 19, 2014
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpla14/decktechtemur
プロツアー殿堂のBrian KiblerはティムールアグロでGPロサンゼルス1日目をトップの成績で終えました。「いやあ久しぶりだ!《生命散らしのゾンビ》が完全に退場してくれた今こそ勝てる時さ!」彼は《凶暴な拳刃》で相手にトドメを刺し成績を9-0にすると声高にそう言いました。
2日目は不幸にも最初の2戦を落としてしまいましたが、それでも彼の最新の構築センスとそのカードチョイスには期待がかかるばかりです。参考までに、以下が彼のレシピです。
このデッキに至った経緯を教えてくれますか?
「あー、これまでも緑の氏族は全部、何度も何度も回ってきたんだ」キブラーは答えました。
「初めに作ったティムールは今よりもマナ加速をするモンスターズだったけど、あまり出来は良くなかった。《嵐の息吹のドラゴン》はジェスカイ相手にはとても弱くて、相手が《かき立てる炎》入りデッキの時はどんなにマナをそのフライヤーにつぎ込んでも無意味でしかなかった。」
「そんなこんなでマナクリとドラゴンを殺されまくって負け散らかした後、このデッキをよりアグレッシブにした訳だ。マナクリ自体は殴れる奴を残している。《加護のサテュロス》でマス除去のアタッカーにも出来る奴をね。代わりに《森の女人像》は解雇したし、《嵐の息吹のドラゴン》も減らして《荒野の後継者》を採用した。こいつがこのデッキの一番良い転換点で、お陰で押されてる盤面では弱い《ティムールの魔除け》がずっと使いやすくなったね。」
このようなマナを効率的に使うデッキで重要なことは何ですか?
「どのフォーマットでも結局はマナを使うものであって、そんな中でマナを手早く、上手く使用する方法はいつでもあるものさ」キブラーは説明します。
「テンポは多くのマッチでとても大切だ。その例で《荒野の後継者》は2ターン目に出しても強いし、後引きしても腐らない。」
このデッキにおける《火口の爪》の役割を教えてください。
「《火口の爪》はこのデッキで最も強力なカードの1つだね。《ショック》にもなるし《火の玉》以上にもなる。多分X=0で撃った回数が一番多いかな。3ターン目に《凶暴な拳刃》をプレイすると共に相手のクリーチャーを焼ける動きはテンポを容易に取り戻せて滅茶苦茶強いよ。」
プロツアーの時とレシピに変更はありましたか?
「《嵐の息吹のドラゴン》は全てサイドボードに落とした。《かき立てる炎》ですぐ死んでしまう5マナのクリーチャーなんて全然良くないからね。代わりに《灰雲のフェニックス》と《龍語りのサルカン》を入れた。それにプロツアーでは《ジェスカイの隆盛》コンボを警戒しすぎていて、4枚の《頑固な否認》に《破壊的な享楽》を1枚積んでいたけど今では《軽蔑的な一撃》にしているよ。」
このデッキにとって理想的な引きは何ですか?
「《ヤヴィマヤの沿岸》、《山》、《エルフの神秘家》、そして4枚の《凶暴な拳刃》がベストな初手だ。もちろん拳刃に速攻を持たせるためにあと1枚土地を引く必要があるけど。このデッキで最強のクリーチャーは拳刃だ。超強いし、不利な1:1交換も決してしない。《狩人狩り》の良い相棒でもある。」
私達がまだ見ていないかもしれない面白いプレイングは何ですか?
「3ターン目に特にすることがなかったら、《灰雲のフェニックス》を変異で出したり《加護のサテュロス》を素出しだ。こいつらは4、5ターン目ににプレイするのが理想的ではあるけど、一番大切なのは使えるマナを使うことだ。長期戦は望めないから、とにかく早く相手にダメージを与えることだね。そうすれば最後は《火口の爪》を相手に叩き込んでゲームセットさ。」
ティムールを使っている皆さんは、きっとこのデッキに更なる進化を与えてくれることでしょう!
Frank Karsten
October 19, 2014
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpla14/decktechtemur
プロツアー殿堂のBrian KiblerはティムールアグロでGPロサンゼルス1日目をトップの成績で終えました。「いやあ久しぶりだ!《生命散らしのゾンビ》が完全に退場してくれた今こそ勝てる時さ!」彼は《凶暴な拳刃》で相手にトドメを刺し成績を9-0にすると声高にそう言いました。
2日目は不幸にも最初の2戦を落としてしまいましたが、それでも彼の最新の構築センスとそのカードチョイスには期待がかかるばかりです。参考までに、以下が彼のレシピです。
クリーチャー:26
4:《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4:《荒野の後継者/Heir of the Wilds》
4:《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic》
4:《凶暴な拳刃/Savage Knuckleblade》
3:《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix》
3:《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》
4:《加護のサテュロス/Boon Satyr》
呪文:11
3:《稲妻の一撃/Lightning Strike》
3:《ティムールの魔除け/Temur Charm》
4:《火口の爪/Crater’s Claws》
1:《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
土地:23
2:《山/Mountain》
3:《森/Forest》
3:《マナの合流点/Mana Confluence》
2:《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
4:《開拓地の野営地/Frontier Bivouac》
4:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
1:《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
サイドボード:15
2:《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
2:《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw》
2:《マグマのしぶき/Magma Spray》
3:《頑固な否認/Stubborn Denial》
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
3:《狩人狩り/Hunt the Hunter》
1:《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
このデッキに至った経緯を教えてくれますか?
「あー、これまでも緑の氏族は全部、何度も何度も回ってきたんだ」キブラーは答えました。
「初めに作ったティムールは今よりもマナ加速をするモンスターズだったけど、あまり出来は良くなかった。《嵐の息吹のドラゴン》はジェスカイ相手にはとても弱くて、相手が《かき立てる炎》入りデッキの時はどんなにマナをそのフライヤーにつぎ込んでも無意味でしかなかった。」
「そんなこんなでマナクリとドラゴンを殺されまくって負け散らかした後、このデッキをよりアグレッシブにした訳だ。マナクリ自体は殴れる奴を残している。《加護のサテュロス》でマス除去のアタッカーにも出来る奴をね。代わりに《森の女人像》は解雇したし、《嵐の息吹のドラゴン》も減らして《荒野の後継者》を採用した。こいつがこのデッキの一番良い転換点で、お陰で押されてる盤面では弱い《ティムールの魔除け》がずっと使いやすくなったね。」
このようなマナを効率的に使うデッキで重要なことは何ですか?
「どのフォーマットでも結局はマナを使うものであって、そんな中でマナを手早く、上手く使用する方法はいつでもあるものさ」キブラーは説明します。
「テンポは多くのマッチでとても大切だ。その例で《荒野の後継者》は2ターン目に出しても強いし、後引きしても腐らない。」
このデッキにおける《火口の爪》の役割を教えてください。
「《火口の爪》はこのデッキで最も強力なカードの1つだね。《ショック》にもなるし《火の玉》以上にもなる。多分X=0で撃った回数が一番多いかな。3ターン目に《凶暴な拳刃》をプレイすると共に相手のクリーチャーを焼ける動きはテンポを容易に取り戻せて滅茶苦茶強いよ。」
プロツアーの時とレシピに変更はありましたか?
「《嵐の息吹のドラゴン》は全てサイドボードに落とした。《かき立てる炎》ですぐ死んでしまう5マナのクリーチャーなんて全然良くないからね。代わりに《灰雲のフェニックス》と《龍語りのサルカン》を入れた。それにプロツアーでは《ジェスカイの隆盛》コンボを警戒しすぎていて、4枚の《頑固な否認》に《破壊的な享楽》を1枚積んでいたけど今では《軽蔑的な一撃》にしているよ。」
このデッキにとって理想的な引きは何ですか?
「《ヤヴィマヤの沿岸》、《山》、《エルフの神秘家》、そして4枚の《凶暴な拳刃》がベストな初手だ。もちろん拳刃に速攻を持たせるためにあと1枚土地を引く必要があるけど。このデッキで最強のクリーチャーは拳刃だ。超強いし、不利な1:1交換も決してしない。《狩人狩り》の良い相棒でもある。」
私達がまだ見ていないかもしれない面白いプレイングは何ですか?
「3ターン目に特にすることがなかったら、《灰雲のフェニックス》を変異で出したり《加護のサテュロス》を素出しだ。こいつらは4、5ターン目ににプレイするのが理想的ではあるけど、一番大切なのは使えるマナを使うことだ。長期戦は望めないから、とにかく早く相手にダメージを与えることだね。そうすれば最後は《火口の爪》を相手に叩き込んでゲームセットさ。」
ティムールを使っている皆さんは、きっとこのデッキに更なる進化を与えてくれることでしょう!
Choosing the Right Clan: Khans of Tarkir Prerelease Primer
Melissa DeTora
9/17/2014 10:01:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=12054
タルキール覇王譚のプレリリースを目前に控えた今日は、各氏族のカードに加えて、特にプレリリースでどの色・氏族を選んだらいいかを議論しようと思うわ。
タルキールのプレリリースは今までとちょっと異なっているわね。これまでのプレリリースでは自分が選んだ色やギルドに対応した専用プレリリース・パックに通常パック5つ、それにプロモカードが1枚入っていたわ。例えば赤を選んだ人は赤のプレリリース・パックに加えてみんなが同じプロモカードを貰っていたでしょ。でも、今回のタルキール・プレリリースでは専用プロモに代わって各氏族に8種類のプロモカードが用意されているわ!しかも何のプロモが出るかは開けるまでのお楽しみよ!
この仕様はとってもいい方式だと思うの。プレリリースで作ったデッキや、それを使ったゲームはより特別で楽しいものになるでしょうね。
これまではどんなプロモが入っているか事前に知らされていたから、相手の色に合わせてボムを常に警戒してプレイすることが出来たわ。だけど、それもまたプレリリース・パックのバランスを崩してきたの。
ニクスへの旅・プレリリースの時はみんなが《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》入りの白を選びたがっていたわね。英雄的と授与には大きなシナジーがあるし、加えて飛行と絆魂というシールド戦では特に強力な2つの能力を持っているんだもの。殆どのコモン除去を寄せ付けないタフネス4という数字も驚異的。白以外を選ぶなんてナンセンスだったわ。
ニクスへの旅プレリリースでの白の圧倒的人気からも、やっぱりみんな白を選んだみたいね。毎試合《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》に対抗するために《パーフォロスの激怒/Rage of Purphoros》みたいな使いにくい除去をメインデッキに入れるのは苦痛だったわ。少なくとも、私の地元のお店では金曜深夜からのプレリリースで白はすぐに無くなっちゃって、その週末は一々戦車兵に悩まされることはなかったけどね。(誰かが通常パックからそれを剥いた時を除いて。)
M15・プレリリースでも似た問題があったわね。白がベストカラーではなくてワーストカラーの青があった点で異なるけど。《気紛れな詐称者/Mercurial Pretender》は本当に弱いプロモで、《毅然たる大天使/Resolute Archangel 》や《寛大な拷問者/Indulgent Tormentor》、《包囲ドラゴン/Siege Dragon》があるのに青なんてとても選べたものじゃなかったわ。私の地元のお店でもプレリリース週末の日曜夜には青だけが残っていて、予約をしていた人以外は青を選ばざるを得なかったの。賭けてもいいけど、《気紛れな詐称者/Mercurial Pretender》をデッキに入れた人はいなかったでしょうね。
でも!今回のプレリリースはこれまでよりずっと、ずーっと良い仕様だわ!何が入っているかは分からない代わりに、通常パックを開けるよりもワクワクするサプライズが詰まっているんだもの。プロモカードだって何が選ばれているのか分からないんだから、楽しみで仕方ないわ!
プレリリース・パックには選んだ色に代わって選んだ氏族のカードがたくさん入っているでしょうね。これまでのプレリリースでは選んだ色でデッキを作るのが困難だったこともあったわ(※訳注:他色のレアが強い等)。Timmy(=パワーカード好き)が緑を選んでも専用パックがゴミだったら彼のプレリはあまり楽しい思い出にはならないでしょうね。だけど今回の氏族パックは対応するトライランドや戦旗のような色マナソース・カードが入ってると思うわ。きっと自分の選んだ氏族でデッキを組めるでしょうね。
専用パックの話は置いといて、ここからはシールドにおける各楔色の優劣を考えてみるわ。レアの話はしないわよ。だってパックに一番多く入っているのはコモンやアンコモンでしょ?言うまでもないけれど、選んだ色に対応した強いレアを剥いたからって、柔軟なコモンカード無しにはゲームに勝つことは出来ないわよ。
アブザン
アブザンの固有能力は長久。ソーサリータイミングで自軍のクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せるものね。攻撃やブロックに参加できなくなるという点で私はあまり好きな能力ではないけど、ゲームが長期化すれば序盤に長久起動の代償としてダメージを受けても最後はきっと有利に立てるでしょうね。
アブザンには+1/+1カウンターに関連した能力もあるわ。多くのアブザンのクリーチャーは+1/+1カウンターが乗っていることで得られる能力を有しているの。コンバットトリックや緑のスペルにはカウンターを乗せるものが多数あって、それらはクリーチャーに『+1/+1カウンター能力』があるかどうかで並の効果で終わったり、或いはとんでもないアドバンテージに変わる可能性があるわ。例えば《マー=エクの夜刃/Mer-Ek Nightblade》はリミテッドでは素晴らしいクリーチャーね。接死は強力な能力だし、《増え続ける成長/Incremental Growth》や《アイノクの盟族/Ainok Bond-Kin》、《牙守りの隊長/Tuskguard Captain》と組み合わせれば戦闘で相手が悶絶すること請け合いよ。《抵抗の妙技/Feat of Resistance》もアブザンの優秀なコンバットトリック呪文ね。軽めな上に+1/+1カウンター能力次第では一石二鳥だわ。
総合的に見ると、アブザンの能力は悠長だけども一旦起動すれば強固なクリーチャーが出来上がる、というところね。もしアブザンを選ぶなら《荒野の後継者/Heir of the Wilds》や《煙の語り部/Smoke Teller》、《ティムールの軍馬/Temur Charger》のような軽いクリーチャーを他の氏族よりも多めに取るべきよ。2/2熊がそうであるように、毎ターン長久を起動する隙を埋めるためのブロッカーとしてね。
それにアブザンは大量のマナを欲する氏族でもあるの。毎ターン能力を起動することは、3ターン目に3マナカードを、4ターン目に4マナカードを、とマナカーブ通りにプレイする動きを妨げるでしょうね。1ターンにカードをプレイした上で能力を起動するためには土地の枚数はとても大事になってくるわ。土地を18枚入れるのを恐れないことね。
ジェスカイ
私はリミテッドではよく白青赤デッキを組んでいるわ。強力な飛行クリーチャーを有する青と白に除去の赤。でも、ジェスカイはリミテッドにおける従来の白青t赤デッキに比べて少し弱いように見えるの。
ジェスカイの固有能力は果敢ね。果敢持ちのクリーチャーは素だと弱めだけどノンクリーチャースペルを唱えるだけで何回でも強化出来るわ。問題なのはそのまま、果敢持ちのクリーチャー自体は弱めだということなの。2マナ1/3や5マナ4/2のようなサイズなのよ。他にも、シールドにおけるデッキは大部分がクリーチャーで構成されるから、果敢を上手く使える保証はないの。
ジェスカイを選ぶなら、出来上がったデッキに他の氏族や無所属のカードがたくさん入ってしまっても驚いてはいけないわ。コモン・アンコモンも他の氏族に比べると弱いんだもの。もちろん多色カードには強力なジェスカイのカードがあるけれど、その殆どはレアや神話レア。プレリリースでは殆どコモンカードで構築することになるでしょうね。ジェスカイを選んで色の合った強力なレアを何枚も引くことは当てにしないほうがいいわ。
マルドゥ
一方でマルドゥはシールドでとっても強いデッキが作れると思うわね。速度で攻めこむ戦略に加えて強力なプールが貰えれば、低速な相手を蹂躙出来るに違いないわ。マルドゥの固有能力である強襲は魅力的で好感が持てるわね。普通はクリーチャーを出す前に攻撃するから強襲は誘発させやすいもの。強襲を達成すれば爆アド間違いなし!
強襲を達成しやすくするためには、デッキに軽めの攻撃的なクリーチャーを大量に入れるのが重要になるわ。この氏族で一番好きなクリーチャーは《マルドゥの悪刃/Mardu Hateblade》ね。これは1マナだけど接死のおかげで相手はブロックしにくいもの。ブロックされなければそれだけで十分だし、ブロックされても黒1マナだけで1:1交換が出来るわ。どちらにしても強襲は達成出来るというわけね。《武器を手に/Take Up Arms》や《軍族童の突発/Hordeling Outburst》のようなトークン生成スペルもこの氏族のデッキにはぴったりね。強襲のためならトークンでチャンプアタックしても全然良いわよね。
マルドゥのカードはどれも魅力的よ。ミニ《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》である《マルドゥの心臓貫き/Mardu Heart-Piercer》や、マナフィルターとしても使える《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》もどきの《マルドゥの戦叫び/Mardu Warshrieker》とか。《尻込み/Falter》や《脅しつけ/Threaten》効果との組み合わせも強襲と相性がいいわね。マルドゥはどの氏族よりも一番アグレッシブだわ。
スゥルタイ
スゥルタイはとても面白そうな氏族ね。スゥルタイのメイン戦略は墓地をリソースとして利用すること。《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》や《境界の偵察/Scout the Borders》、《苦々しい天啓/Bitter Revelation》を使ってクリーチャーを釣ったり探査カードをすぐにプレイ出来るでしょうね。探査カードは素で唱えるには重すぎるけど、最小コストで唱えることが出来ればそれはもう素晴らしいわ。スゥルタイを選んだら探査カードは是非入れまくるといいわね。
スゥルタイの最も肝心な特徴はカードアドバンテージよ。スゥルタイが最もアドを取れるドローカードを使用できるわ。より多くのカードにアクセスすることはより多くのカードを使って墓地に落とす事ができるのだから、探査との相性も良好ね。
また、スゥルタイのサブテーマは生け贄。タフネス4以上のクリーチャーが死ぬ度に誘発する能力を持つカードがいくつかあるから、《シディシのペット/Sidisi’s Pet》や《スゥルタイの剥ぎ取り/Sultai Flayer》のような軽めでタフネスの高いクリーチャーを使うことになるでしょうね。生け贄は墓地を肥やすことに繋がるからここでも探査との相性が出てくるわね。積極的に活用していきましょう。
探査カードを採用するなら、ゲーム後半できっとマナが余るでしょうね。例えば《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》を1マナでプレイして、《残忍な切断/Murderous Cut》を2、3マナでプレイし、後はカウンターやコンバットトリック、変異などにマナを充てられるわ。プレイに必要なマナを誤魔化して、より重いスペルをプレイ可能にするのがスゥルタイならではね。
ティムール
ティムールは固有能力の獰猛とパワフルなクリーチャーが互いに噛み合った氏族よね。巨大なクリーチャーで相手を押し潰すには最適でしょう。赤青緑カラーは常にテンポを大事にするカラーで、これはタルキールリミテッドでも例外ではないわ。軽めの強力な生物に加えてコンバットトリックやバーンスペル、アドの取れる呪文、更には巨大なファッティをフィニッシャーとして送り出せるでしょうね。
このクランのカードでお気に入りなのは(リミテッドも含めて)《氷羽のエイヴン/Icefeather Aven》よ。変異の中でも完璧なデザインね。2マナ2/2の回避能力持ちとして運用してもいいし、後ほど変異でプレイしてテンポアドを取るのもいいわ。
ティムールのクリーチャーは他の氏族と比べると巨大でマナ効率の良いクリーチャーが多いわね。《松歩き/Pine Walker》は変異能力込みで使いやすい5/5だし《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》はとても軽い変異コストを持っているわ。ティムールの巨大クリーチャー達がいれば獰猛を達成するのは容易いでしょうね。
それにティムールには即死コンボがあるわ。それは他の氏族のカードの組み合わせになるけど、ジェスカイの《龍流派の双子/Dragon-Style Twins》とスゥルタイの《強大化/Become Immense》よ。果敢も込みで10/10の二段攻撃!相手がティムールで《龍流派の双子/Dragon-Style Twins》を持っていることが分かったら、一応用心することね。
4色目にタッチ
プレリリースでは4色目どころか5色目にタッチしたくなるでしょうね。私からのアドバイスは、「無理がなさそうならタッチ」とだけ。もしマルドゥをやっていて緑にタッチしたいなら、《花咲く砂地/Blossoming Sands》《岩だらけの高地/Rugged Highlands》《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》あたりの土地があればやってもよさそうね。森は絶対に入れないけど。既に3色でデッキを組んでいるんだから、そこで森を引いては致命的になりかねないもの。可能であればタッチ4色は避けたいけど、必要であれば私は躊躇わないわ。タッチしたい欲求は分かるけど、そのためにタップインランドを増やすことはデッキ全体の速度が遅くなって高速アグロデッキに分が悪くなる点だけは忘れないようにね。
そんなこんなで、私のタルキール氏族ランキングは次の通りよ。
1.マルドゥ
2.ティムール
3.スゥルタイ
4.アブザン
5.ジェスカイ
プレリリースのプロモカードが何なのかは分からなく、各氏族のランキング付けが難しいのは良い仕様だと思うわね。おかげでプレリリースでの氏族の選択に正解は無いから、自分のプレイスタイルに合った氏族を選ぶといいわ。
タルキール・プレリリースでは幸運を。そしてフェッチランドをいっぱい!
Melissa DeTora
@MelissaDeTora on twitter
www.facebook.com/melissa.detora on Facebook
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シールド戦に備えて此方の記事もどうぞ。
http://nanonium.diarynote.jp/201408290419033005/
Melissa DeTora
9/17/2014 10:01:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=12054
タルキール覇王譚のプレリリースを目前に控えた今日は、各氏族のカードに加えて、特にプレリリースでどの色・氏族を選んだらいいかを議論しようと思うわ。
タルキールのプレリリースは今までとちょっと異なっているわね。これまでのプレリリースでは自分が選んだ色やギルドに対応した専用プレリリース・パックに通常パック5つ、それにプロモカードが1枚入っていたわ。例えば赤を選んだ人は赤のプレリリース・パックに加えてみんなが同じプロモカードを貰っていたでしょ。でも、今回のタルキール・プレリリースでは専用プロモに代わって各氏族に8種類のプロモカードが用意されているわ!しかも何のプロモが出るかは開けるまでのお楽しみよ!
この仕様はとってもいい方式だと思うの。プレリリースで作ったデッキや、それを使ったゲームはより特別で楽しいものになるでしょうね。
これまではどんなプロモが入っているか事前に知らされていたから、相手の色に合わせてボムを常に警戒してプレイすることが出来たわ。だけど、それもまたプレリリース・パックのバランスを崩してきたの。
ニクスへの旅・プレリリースの時はみんなが《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》入りの白を選びたがっていたわね。英雄的と授与には大きなシナジーがあるし、加えて飛行と絆魂というシールド戦では特に強力な2つの能力を持っているんだもの。殆どのコモン除去を寄せ付けないタフネス4という数字も驚異的。白以外を選ぶなんてナンセンスだったわ。
ニクスへの旅プレリリースでの白の圧倒的人気からも、やっぱりみんな白を選んだみたいね。毎試合《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》に対抗するために《パーフォロスの激怒/Rage of Purphoros》みたいな使いにくい除去をメインデッキに入れるのは苦痛だったわ。少なくとも、私の地元のお店では金曜深夜からのプレリリースで白はすぐに無くなっちゃって、その週末は一々戦車兵に悩まされることはなかったけどね。(誰かが通常パックからそれを剥いた時を除いて。)
M15・プレリリースでも似た問題があったわね。白がベストカラーではなくてワーストカラーの青があった点で異なるけど。《気紛れな詐称者/Mercurial Pretender》は本当に弱いプロモで、《毅然たる大天使/Resolute Archangel 》や《寛大な拷問者/Indulgent Tormentor》、《包囲ドラゴン/Siege Dragon》があるのに青なんてとても選べたものじゃなかったわ。私の地元のお店でもプレリリース週末の日曜夜には青だけが残っていて、予約をしていた人以外は青を選ばざるを得なかったの。賭けてもいいけど、《気紛れな詐称者/Mercurial Pretender》をデッキに入れた人はいなかったでしょうね。
でも!今回のプレリリースはこれまでよりずっと、ずーっと良い仕様だわ!何が入っているかは分からない代わりに、通常パックを開けるよりもワクワクするサプライズが詰まっているんだもの。プロモカードだって何が選ばれているのか分からないんだから、楽しみで仕方ないわ!
プレリリース・パックには選んだ色に代わって選んだ氏族のカードがたくさん入っているでしょうね。これまでのプレリリースでは選んだ色でデッキを作るのが困難だったこともあったわ(※訳注:他色のレアが強い等)。Timmy(=パワーカード好き)が緑を選んでも専用パックがゴミだったら彼のプレリはあまり楽しい思い出にはならないでしょうね。だけど今回の氏族パックは対応するトライランドや戦旗のような色マナソース・カードが入ってると思うわ。きっと自分の選んだ氏族でデッキを組めるでしょうね。
専用パックの話は置いといて、ここからはシールドにおける各楔色の優劣を考えてみるわ。レアの話はしないわよ。だってパックに一番多く入っているのはコモンやアンコモンでしょ?言うまでもないけれど、選んだ色に対応した強いレアを剥いたからって、柔軟なコモンカード無しにはゲームに勝つことは出来ないわよ。
アブザン
アブザンの固有能力は長久。ソーサリータイミングで自軍のクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せるものね。攻撃やブロックに参加できなくなるという点で私はあまり好きな能力ではないけど、ゲームが長期化すれば序盤に長久起動の代償としてダメージを受けても最後はきっと有利に立てるでしょうね。
アブザンには+1/+1カウンターに関連した能力もあるわ。多くのアブザンのクリーチャーは+1/+1カウンターが乗っていることで得られる能力を有しているの。コンバットトリックや緑のスペルにはカウンターを乗せるものが多数あって、それらはクリーチャーに『+1/+1カウンター能力』があるかどうかで並の効果で終わったり、或いはとんでもないアドバンテージに変わる可能性があるわ。例えば《マー=エクの夜刃/Mer-Ek Nightblade》はリミテッドでは素晴らしいクリーチャーね。接死は強力な能力だし、《増え続ける成長/Incremental Growth》や《アイノクの盟族/Ainok Bond-Kin》、《牙守りの隊長/Tuskguard Captain》と組み合わせれば戦闘で相手が悶絶すること請け合いよ。《抵抗の妙技/Feat of Resistance》もアブザンの優秀なコンバットトリック呪文ね。軽めな上に+1/+1カウンター能力次第では一石二鳥だわ。
総合的に見ると、アブザンの能力は悠長だけども一旦起動すれば強固なクリーチャーが出来上がる、というところね。もしアブザンを選ぶなら《荒野の後継者/Heir of the Wilds》や《煙の語り部/Smoke Teller》、《ティムールの軍馬/Temur Charger》のような軽いクリーチャーを他の氏族よりも多めに取るべきよ。2/2熊がそうであるように、毎ターン長久を起動する隙を埋めるためのブロッカーとしてね。
それにアブザンは大量のマナを欲する氏族でもあるの。毎ターン能力を起動することは、3ターン目に3マナカードを、4ターン目に4マナカードを、とマナカーブ通りにプレイする動きを妨げるでしょうね。1ターンにカードをプレイした上で能力を起動するためには土地の枚数はとても大事になってくるわ。土地を18枚入れるのを恐れないことね。
ジェスカイ
私はリミテッドではよく白青赤デッキを組んでいるわ。強力な飛行クリーチャーを有する青と白に除去の赤。でも、ジェスカイはリミテッドにおける従来の白青t赤デッキに比べて少し弱いように見えるの。
ジェスカイの固有能力は果敢ね。果敢持ちのクリーチャーは素だと弱めだけどノンクリーチャースペルを唱えるだけで何回でも強化出来るわ。問題なのはそのまま、果敢持ちのクリーチャー自体は弱めだということなの。2マナ1/3や5マナ4/2のようなサイズなのよ。他にも、シールドにおけるデッキは大部分がクリーチャーで構成されるから、果敢を上手く使える保証はないの。
ジェスカイを選ぶなら、出来上がったデッキに他の氏族や無所属のカードがたくさん入ってしまっても驚いてはいけないわ。コモン・アンコモンも他の氏族に比べると弱いんだもの。もちろん多色カードには強力なジェスカイのカードがあるけれど、その殆どはレアや神話レア。プレリリースでは殆どコモンカードで構築することになるでしょうね。ジェスカイを選んで色の合った強力なレアを何枚も引くことは当てにしないほうがいいわ。
マルドゥ
一方でマルドゥはシールドでとっても強いデッキが作れると思うわね。速度で攻めこむ戦略に加えて強力なプールが貰えれば、低速な相手を蹂躙出来るに違いないわ。マルドゥの固有能力である強襲は魅力的で好感が持てるわね。普通はクリーチャーを出す前に攻撃するから強襲は誘発させやすいもの。強襲を達成すれば爆アド間違いなし!
強襲を達成しやすくするためには、デッキに軽めの攻撃的なクリーチャーを大量に入れるのが重要になるわ。この氏族で一番好きなクリーチャーは《マルドゥの悪刃/Mardu Hateblade》ね。これは1マナだけど接死のおかげで相手はブロックしにくいもの。ブロックされなければそれだけで十分だし、ブロックされても黒1マナだけで1:1交換が出来るわ。どちらにしても強襲は達成出来るというわけね。《武器を手に/Take Up Arms》や《軍族童の突発/Hordeling Outburst》のようなトークン生成スペルもこの氏族のデッキにはぴったりね。強襲のためならトークンでチャンプアタックしても全然良いわよね。
マルドゥのカードはどれも魅力的よ。ミニ《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》である《マルドゥの心臓貫き/Mardu Heart-Piercer》や、マナフィルターとしても使える《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》もどきの《マルドゥの戦叫び/Mardu Warshrieker》とか。《尻込み/Falter》や《脅しつけ/Threaten》効果との組み合わせも強襲と相性がいいわね。マルドゥはどの氏族よりも一番アグレッシブだわ。
スゥルタイ
スゥルタイはとても面白そうな氏族ね。スゥルタイのメイン戦略は墓地をリソースとして利用すること。《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming》や《境界の偵察/Scout the Borders》、《苦々しい天啓/Bitter Revelation》を使ってクリーチャーを釣ったり探査カードをすぐにプレイ出来るでしょうね。探査カードは素で唱えるには重すぎるけど、最小コストで唱えることが出来ればそれはもう素晴らしいわ。スゥルタイを選んだら探査カードは是非入れまくるといいわね。
スゥルタイの最も肝心な特徴はカードアドバンテージよ。スゥルタイが最もアドを取れるドローカードを使用できるわ。より多くのカードにアクセスすることはより多くのカードを使って墓地に落とす事ができるのだから、探査との相性も良好ね。
また、スゥルタイのサブテーマは生け贄。タフネス4以上のクリーチャーが死ぬ度に誘発する能力を持つカードがいくつかあるから、《シディシのペット/Sidisi’s Pet》や《スゥルタイの剥ぎ取り/Sultai Flayer》のような軽めでタフネスの高いクリーチャーを使うことになるでしょうね。生け贄は墓地を肥やすことに繋がるからここでも探査との相性が出てくるわね。積極的に活用していきましょう。
探査カードを採用するなら、ゲーム後半できっとマナが余るでしょうね。例えば《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》を1マナでプレイして、《残忍な切断/Murderous Cut》を2、3マナでプレイし、後はカウンターやコンバットトリック、変異などにマナを充てられるわ。プレイに必要なマナを誤魔化して、より重いスペルをプレイ可能にするのがスゥルタイならではね。
ティムール
ティムールは固有能力の獰猛とパワフルなクリーチャーが互いに噛み合った氏族よね。巨大なクリーチャーで相手を押し潰すには最適でしょう。赤青緑カラーは常にテンポを大事にするカラーで、これはタルキールリミテッドでも例外ではないわ。軽めの強力な生物に加えてコンバットトリックやバーンスペル、アドの取れる呪文、更には巨大なファッティをフィニッシャーとして送り出せるでしょうね。
このクランのカードでお気に入りなのは(リミテッドも含めて)《氷羽のエイヴン/Icefeather Aven》よ。変異の中でも完璧なデザインね。2マナ2/2の回避能力持ちとして運用してもいいし、後ほど変異でプレイしてテンポアドを取るのもいいわ。
ティムールのクリーチャーは他の氏族と比べると巨大でマナ効率の良いクリーチャーが多いわね。《松歩き/Pine Walker》は変異能力込みで使いやすい5/5だし《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》はとても軽い変異コストを持っているわ。ティムールの巨大クリーチャー達がいれば獰猛を達成するのは容易いでしょうね。
それにティムールには即死コンボがあるわ。それは他の氏族のカードの組み合わせになるけど、ジェスカイの《龍流派の双子/Dragon-Style Twins》とスゥルタイの《強大化/Become Immense》よ。果敢も込みで10/10の二段攻撃!相手がティムールで《龍流派の双子/Dragon-Style Twins》を持っていることが分かったら、一応用心することね。
4色目にタッチ
プレリリースでは4色目どころか5色目にタッチしたくなるでしょうね。私からのアドバイスは、「無理がなさそうならタッチ」とだけ。もしマルドゥをやっていて緑にタッチしたいなら、《花咲く砂地/Blossoming Sands》《岩だらけの高地/Rugged Highlands》《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》あたりの土地があればやってもよさそうね。森は絶対に入れないけど。既に3色でデッキを組んでいるんだから、そこで森を引いては致命的になりかねないもの。可能であればタッチ4色は避けたいけど、必要であれば私は躊躇わないわ。タッチしたい欲求は分かるけど、そのためにタップインランドを増やすことはデッキ全体の速度が遅くなって高速アグロデッキに分が悪くなる点だけは忘れないようにね。
そんなこんなで、私のタルキール氏族ランキングは次の通りよ。
1.マルドゥ
2.ティムール
3.スゥルタイ
4.アブザン
5.ジェスカイ
プレリリースのプロモカードが何なのかは分からなく、各氏族のランキング付けが難しいのは良い仕様だと思うわね。おかげでプレリリースでの氏族の選択に正解は無いから、自分のプレイスタイルに合った氏族を選ぶといいわ。
タルキール・プレリリースでは幸運を。そしてフェッチランドをいっぱい!
Melissa DeTora
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シールド戦に備えて此方の記事もどうぞ。
http://nanonium.diarynote.jp/201408290419033005/
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