THE BASICS OF CARD ADVANTAGE
Posted in Level One on July 13, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/basics-card-advantage-2015-07-13

http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/

今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。


スペルのコスト

先週の講義で、マナとはマジックの根本的なリソースだと表現したのを覚えているかな。ゲーム内である効果を必要としたら、そのために必要なマナを揃え、望みのスペルを唱えることが必要だ。これは全くもって単純なことだが、それは呪文のキャストに限った話ではない。
ここでちょっと次のカードを考えてみよう。

絡み爪のイトグモ (2)(緑)
クリーチャー — 蜘蛛(Spider)
到達(このクリーチャーは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)
1/4

蜘蛛の網のマントル (1)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+1/+3の修整を受けるとともに到達を持つ。(それは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)

ふいごトカゲ (赤)
クリーチャー — トカゲ(Lizard)
(1)(赤):ふいごトカゲはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
1/1

あなたは相手の飛行をブロックしたい。そこで《絡み爪のイトグモ》を出してもいいし、《蜘蛛の網のマントル》を例えば《ふいごトカゲ》に付けて同じ役割のクリーチャーを作ってもいい。両方とも3マナを払い、タフネス4で到達持ちのクリーチャーを出している。《ふいごトカゲ》に至っては2マナのパンプアップ能力も備えている!支払ったマナの観点のみで見ると、《絡み爪のイトグモ》を出す方は非常に見劣りするだろう。

だが、実際は《絡み爪のイトグモ》を出す方がより効率が良い。そもそも《ふいごトカゲ》や《蜘蛛の網のマントル》はマジックでは弱い部類のカードにあたる。確かにマナ(マジックの根本的リソースである)の観点では、この2つの選択はどちらも同じコストだ。それでも他の根本的リソースの点では、これらの選択肢は大いに異なるんだ。

すなわち、《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイすることは手札から2枚のカードを消費する。一方で《絡み爪のイトグモ》のプレイで消費する手札は1枚にすぎない。

マジックは7枚の初手からスタートし、カードを毎ターン1枚引く。これはマジックであなたが為すべきプレイングに大きな制約をかける。もし僕が《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイし、あなたが《絡み爪のイトグモ》をプレイしたなら、同じ3マナでもあなたの方が僕よりも有利に立つだろう。どちらも効果的なブロッカーを出しているものの、あなたの方が1枚多く手札を温存出来ており、そのおかげで後のゲームでより多くの選択肢をもたらしてくれるだろうからね。



カード・アドバンテージ

カードをリソースとして捉えられないのは軽率だ。それでは呪文を浪費し、すぐに使い果たしてしまうだろう。そうなると後はトップに祈ることしか出来なくなる。逆にカードをリソースとして丁寧に使用すれば、カード1枚1枚の力を最大限に発揮させ、勝利をつかむことが出来るだろう。

カードアドバンテージとはおそらく競技マジックにおける唯一無二にして最も重要な概念だ。試合中のあらゆるプレイングはその思考の過程の中でこのカードアドバンテージの下に決定されている。

この言葉はほぼマジックの誕生と同時に生まれてきたものだ。生みの親であるEric Taylorはこう定義している。「カードアドバンテージとは、プレイヤーがより多くの効果的なカードを対戦相手よりも得ることである」

この定義ではいまいちピンとこないかもしれない……それはカードアドバンテージが様々な形態を取り得るためだ。
では簡単な例から見てみよう。

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追加のカードを引く

これはカードアドバンテージが取る一つの単純な形だ。あなたが《運命編み》を唱えれば2枚のカードを引く。忘れてはならないのが、そのドロー呪文自体は手札から1枚カードを消費しているということだ。《運命編み》がもたらす追加のカードは1枚分である。《ジェイムデ―秘本》は毎ターン追加のカードをくれるが、これもその本体として1枚のカードを必要としている。これを4回起動した時、あなたが得るアドバンテージは3枚分である。これらのカードは確固たるカードアドバンテージを生み出す典型だ。

もし呪文があなたにカードを1枚引かせること以外に何もしなかった場合、それはすなわちカードアドバンテージをもたらしてはいないことに注意しておこう。例えば《闇の試み》でクリーチャーを守ることが出来なくてもそれは1枚のカードを引かせてはくれるが、あなたはカードを1枚消費し1枚引いたことになる。つまりアドバンテージを得てはいないのだ。

《骨読み》は《運命編み》と似た効果だが、2点のライフコストと占術2が付いている。ライフを失うことと占術はどちらも重要な要素だが、これらを直接比較することは難しい。カードアドバンテージの点では《骨読み》は同じく1枚分のアドバンテージをもたらすが、それまでの過程は個別に考えるべきだろう。

それにカードアドバンテージとはあなたの手札枚数だけに留まらない。盤面にパーマネントを追加することもカードアドバンテージと言える。

ただカードを1枚引くだけではアドバンテージになっていないが、例えば《塔の霊》では話が変わってくる。1枚の追加のカードに加えて盤面にクリーチャーを展開できている。すなわち《運命編み》のように1枚分のカードアドバンテージを得ているんだ。2/2飛行を展開するとともに手札の枚数はそのままを維持できているなんて!

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対戦相手のカードを減らす

定義上、アドバンテージという言葉は対戦相手と比較した時のあなたの状態に働きかける。すなわち対戦相手と比較した際のアドバンテージというものもあるんだ。

《精神腐敗》で対戦相手の手札を2枚落としたとする。呪文を唱える常として、あなたは1枚分の手札を消費した。しかしそのおかげで相手は2枚の手札を失った。あなたと相手は両者とも手札を減らしたが、カードアドバンテージはその比較になる。相手はあなたよりも1枚多くカードを失っており、すなわちあなたは1枚分のカードアドバンテージを『得た』のだ。

アドバンテージの点では相手のパーマネントを攻めることは手札を攻めることに等しい。例えば《衰滅》は相手のクリーチャーを複数同時に処理する効果を持っている。もし相手が3体のクリーチャーを失いあなたもまた1体失ったならば、あなたは2枚分のカード(《衰滅》とそのクリーチャー)を消費し、相手は3枚を失ったことになる。やはりここであなたは1枚分のアドバンテージを得ている。

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質的アドバンテージ

上記のようなカードアドバンテージの数え方はシンプルであると同時に役立ち、すぐにでも活用できる。しかしながら、これだけではマジックの試合の成り行きを語り尽くすことはまず出来ない。

厳密な定義で考えてみよう。《ドラゴンの餌》は2体のクリーチャーを産み出してくれるから、1:2のアドバンテージと見なせるかもしれない。確かに僕が2体の《ふいごトカゲ》でアタックし、あなたがそのゴブリントークン2体でブロックしたならば、僕がカードを2枚消費したことでそれは明確にアドバンテージと見なせるだろう。

だが、この考え方の欠陥は《ドラゴンの餌》と《血の儀式の司祭》を同じアドバンテージとしてカウントできてしまうことにある。

どちらも2体のクリーチャーを生み出すから1枚で2枚分と数えられる。しかし対戦相手である僕が《血の儀式の司祭》を出した瞬間、2/2のクリーチャー1体だけであなたのゴブリントークン達はもはやアタックできなくなっていることが分かるだろうか?そして僕が5/5飛行デーモンだけでゲームを決めるであろうことも。

実戦では、あるカードが効果的に働く一方で別のカードはそうはならない。上記のように《ドラゴンの餌》のような(あるいは不幸にも結果的に試合結果を変えてしまう)カードをカードアドバンテージとしてカウントすることは間違いになることがある。その代わり、価値を定めることが難しいこの『質的アドバンテージ』を考えることは、マジックのカードがどれも同じ価値ではないこと、あるいは時に同じであることを理解するのに繋がる。

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死に札・腐らせるということ

マナフラにイカれたことのある人なら誰でも分かっていることだが、マジックではそれ以上土地を引くことに意味が無くなる状況が起こり得る。必要なプレイをするために十分な土地が揃っている時に引いてくる追加の土地はもはやゲームには全く影響を及ぼさない。

質的アドバンテージを得る方法の一つに、相手のカードを腐らせる、死に札にさせるということがある。これは難しそうに思えるかもしれないが、この記事を読んでいるあなたはきっと既にそれをやったことがあるだろう。デカいクリーチャーを出して相手の小さなクリーチャーを止めること、それだ!

ひとたび《ファリカの信奉者》を出してしまえば相手は1/1や2/2ではアタックできなくなってしまう。つまり《ファリカの信奉者》が相手の小粒を全て腐らせているということになる。これは質的アドバンテージとも見れる。

相手が《精神腐敗》や《夜の罠》をデッキに入れているなら、手札を使い切るという戦略が有効に働く。そうしてしまえば相手がそのうち引いてきたそれらのカードを腐らせられるだろう。

デッキ構築中にも同じことが出来る。《粉々》を警戒したいならデッキからアーティファクトを全部抜いてしまえばいい。それだけで途端に《粉々》は死に札だ!

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死に札のリスクを減らす

一方で、死に札を避けたり、死にそうなカードの使い道を見つけることで質的アドバンテージを得ることも可能だ。

ゲームがズルズルと長引いている時。そうだね、例えば15ターン目でも20ターン目でもいい。どちらのプレイヤーも土地を並ぶに並べ、最早完全に死に札になっている。Johnnyはその後も引き込む土地に頭を抱えているが、Jennyは《印章持ちのヒトデ》の占術によっていらない土地や弱いカードをボトムに送り、より効果的なカードを引こうとしている。

この例では《印章持ちのヒトデ》は定義的にはJennyに何のカードアドバンテージももたらしてはおらず、単に次に引くカードを変えているだけだ。それでもこれは死に札を避けることで質的アドバンテージをもたらしていると見れる。

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弱いカード・強烈なカード

あるカードがあるカードよりも格上である、と言っただけではマジックの試合というものをチラッと覗いただけに過ぎない。《ふいごトカゲ》は殆どあらゆるカードの下位に属する一例だ。すなわち《ふいごトカゲ》は『弱いカード』にあたる。マナコストは安いが、大抵は横に追いやられてしまうからだ。

定義的な観点では《ドラゴンの餌》は2枚分の効果だ。しかし一方が《ドラゴンの餌》をプレイしもう一方が《シヴ山のドラゴン》をプレイしたら、果たしてどちらが勝つだろうかな?この例で《シヴ山のドラゴン》は『強烈なカード』と言える。ゲームの流れが不明瞭なところに登場することで速やかにゲームを決めてしまえるカードだ。

強烈なカードに重きを置くこともまた、質的アドバンテージを稼ぐ手段になる。

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カードアドバンテージを稼ぐのが上手いプレイヤーが常に勝利するわけではない。相手の場に《シヴ山のドラゴン》がいる状況で《運命編み》をひたすらプレイし続けるプレイヤーが《ふいごトカゲ》と《ドラゴンの餌》しか引かなかったら、アドバンテージなんてものは全く意味を成さない。

重要なのは、カードアドバンテージの裏に隠れた論理を理解し、単純な交換を行う中でアドバンテージを数えられるようになることだ。しかし時には枚数より質的アドバンテージがより重要になっていることを認識することも必要となる。

競技マジックは大抵余裕の無い鮮烈な試合となる。2:1交換によるアドバンテージや相手のカードを腐らせることで得た僅かなリソースが勝敗を簡単に分けたりする。カードアドバンテージは試合プランや論理を考える核に位置づけられるものだ。今後、このLevel Oneを読む際にはこの概念に何度も出会うことだろう。ひとまず今日の所は、これがあなたにとって有益なイントロになることを……復習組の人にはより深い概念になることを……願うとしよう。

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