【翻訳】Level One - プレイング学Ⅰ:戦闘概論
2015年12月22日 翻訳 コメント (4)ATTACKING AND BLOCKING
Posted in Level One on July 27, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/attacking-and-blocking-2015-07-27
次 http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
前 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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読者諸君、この数週は基礎的でつまらない記事によく耐えてきた!だがマナベースの構築を覚えただけでは、あなたはまだマジックというものを完全に学んではいない。『ターミネーター』をラブストーリーとしては見に行かないだろう?さあ、ここからはアクションシーンの時間だ。この記事がLevel Oneにとっての銃撃戦であり、カーチェイスであり、爆発シーンとなる!
戦闘だ!
安っぽいアクション映画は時間の無駄に思うかな?(僕は好きだ!) 戦いや追跡シーンは映画の本筋には関わらない?だけど同じことをマジックに言ってはいけないよ。確かに基礎をマスターするのは重要だ。だが時には戦闘をしなければならず、それを完遂しなければ何にもならない。マジックとは結局、目の前にいる対戦相手を蹴散らすのが全てなんだ。
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クリーチャーで戦おう
最初に覚えておきたいのは、常に受けよりも攻めに回るべしということだ。
戦闘で極端に受動的になってしまうのはよくあるミスだ。今戦闘に参加すべきでないのはどのクリーチャーか?戦闘には常にある種の恐怖がつきまとう。アタックしたらクリーチャーを失ってしまうのではないか?ブロックして相手がコンバットトリックを持っていたら?でもブロックしないとライフが危険水域になってしまう……こんな感じでね。
だが勝つためには大胆に行かなければならない。クリーチャーを戦闘に参加させていかないと彼らの価値はまさに《垂直落下》してしまう。
よくある例を出そう。あなたが《絡み爪のイトグモ》をコントロールしているにもかかわらず相手は《前線の僧侶》でアタックしてきた。もしかしたら相手は《力強い跳躍》を構えているかもしれないし、ブロックされた後に《焦熱の衝動》を撃ちこんでくるかもしれない。だけど防御的なカードである《絡み爪のイトグモ》をデッキに入れているのは何のためだろう?もちろんブロックするためだ!ブロックしてクリーチャーを失う羽目にはなるかもしれないが、それを恐れていつまでもブロックしなかったら元も子もない!本当に特別な理由がない限りは、こんなシチュエーションではブロックしに行った方が良いんだ。
極端に受けに回ることは適当にプレイすることと同様にしてはいけない!
お互いに1体づつのクリーチャーがいるなら、まずはアタックしよう。そしてそうされたら、可能な限りブロックしよう。
相手が《ドゥイネンの精鋭》でアタックしてきて、その時あなたも《ドゥイネンの精鋭》をコントロールしていたとする。これはブロックしに行くべきであり、そうすることで平等な交換をしつつ2点のライフを守ることが出来る。返しに反撃するためにブロックしない事もできるが、相手がより大きいクリーチャーを出してきたらどうする?何事も無く交換が終わっても攻撃される側であるかぎりあなたはビハインドを背負っていることになるんだ。
クリーチャーは、『毎ターン』戦闘に参加できるという事自体に価値があると言える。もしあなたが《ドゥイネンの精鋭》をアタックにもブロックにも回さなかったら各ターン毎にその価値を捨ててしまっていることになるんだ。ブロックせずに反撃しようとすることも、それは半ターン分の価値を無駄にしている。(マジックにおいてプレイヤーは互いにターン数を共有してはおらず、後手の時に相手の行動と同じことをするのは大抵負けに繋がる)
相手の《ドゥイネンの精鋭》がアタックしてきたら《ドゥイネンの精鋭》でブロックが板だ。
では逆の状況の時、どうしてアタックしに行くべきだと思う?それはつまりね……相手はブロックしないかもしれないからだ。相手は《大群の力》を怖がるかもしれないし、単純にミスるかもしれない。例え10回中9回はブロックされるとしても、残りの1回はタダでダメージを与えられるわけだ。こうした『殴り得』な機会を常に逃さないようにすることで、長期スパンでは勝つ試合をきっと増やせるだろう。
より現実的な話をすると、《ドゥイネンの精鋭》といったカードは試合の何処かで結局交換材料にされる。そういった交換は早めにやっておかないと、後々ミスの素になってしまう。アタックせずにターンを返したら、きっと相手はアタックしてくるからそれをブロックする……ブロックすること自体は正解だが、その前がミスそのものだ。それこそもし相手が《大群の力》を持っていたらどうする?あるいは除去によってそのブロッカーが排除されてしまったら?
時には交換を行わないシチュエーションもある。《ジョラーガの祈祷》を持っているからそれに備えて残しておくといった具合だ。そうでなければ、相手にいいようにされない内にこうした交換を行っていこう。
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ブラフ
ブラフがマジックに占める割合はそう多くはない。ただカードを実直にプレイし相手を誤魔化さなくても上手くいくものだ。とはいえ、出来るときにしない理由はないよね?
最もよくあるブラフは、ゲームの序盤に自分の小さいクリーチャーで相手の大きなクリーチャーにアタックしに行くというものだ。僕が《森林群れの狼》で《キテオンの不正規軍》めがけてアタックしてきたらさてどうしよう?まあ僕は《剛力化》を持ってない限りそんなアタックはしないだろう。だが或いは……?
このシチュエーションにおける明確な答えは無い。それこそがポイントだ。どちらのプレイヤーもリスクとリターンを考えると共に、相手がいかに大胆不敵かを見極めようとする。
では手札には何もコンバットトリックを抱えていない時の僕の立場で考えてみよう。ブラフが失敗して《森林群れの狼》を失うことの損失はどれくらいだろう?果たしてそのアタックは成功して2点のダメージを与える価値に見合っているだろうか?あなたがブロックしてくる確率は?
今度はあなたの立場で考えよう。《キテオンの不正規軍》という強力なカードが今後のゲーム展開でもたらす恩恵はどれだけあるだろう?この戦闘でそれが倒されても問題ないのだろうか?それともそれを見越してのブラフなのか?
簡単な答えはない。僕からアドバイスできることは経験に基づくセオリーの断片だけだ。
大抵そのアタックはブラフではないし、大抵はブロックしないほうがいい。
僕が初対面の対戦相手と同じシチュエーションに出くわしたとしたら、《剛力化》を見越して《キテオンの不正規軍》でブロックはしないだろう。問題となるのは逆の立場の時だ。もしリスクを取らずとも勝利できそうな強力なカードを持っていたら、多分ブラフ攻撃はしない。逆に試合が僅差になりそうで、何処かでダメージを稼いでおく必要があるならアタックしに行くだろう。そしてもし相手がブロックしてきたら「マジかー」ってぼやくだろうね。
セミブラフ
プレッシャーのかかる試合では、サイズの小さいクリーチャーで大きなクリーチャーにアタックしに行くなんてあからさまなブラフは憚られる。しかしプレイヤーがよくやるのはセミブラフだ。相手がブロックしないことを願ってアタックし、ブロックされても大きな痛手にはならないこと、それがセミブラフである。
《ドゥイネンの精鋭》で相手のそれにアタックしに行くのもセミブラフだ。相手がブロックせず2点を受けてくれれば良し。もしブロックしてきたら……ふーんなるほど、互いにパワーの同じクリーチャーを交換することになった。遅かれ早かれいずれは行うであろう交換を。
あるいは止めの火力でブロッカーを除去できるかもしれない。《森林群れの狼》で《勇者の守護神》めがけてアタックし相手がブロックしてきたら、天に召される哀れな狼への慰めに《焦熱の衝動》で《勇者の守護神》も道連れにさせてやろう。あまり良い交換ではないが、負けに直結する程ではないだろうしね。
時にはコンバットトリックでバックアップすることもできる。他にマナを使う予定があってもね。本当は《ロウクスのやっかいもの》を展開しに行きたいけど、相手が《勇者の守護神》で《森林群れの狼》をブロックしてきたなら《剛力化》で守ると同時に除去することが出来る!……《ロウクスのやっかいもの》は1ターン待つ必要があるけど。付け加えておくと、相手が展開よりもコンバットトリックを最優先に使おうとしている状況とはすなわち、あなたは受けの側にいるということになる。
具体的な例は置いておくとして、ブラフとセミブラフの概念を知っておくことでクリーチャーをよりアグレッシブに使っていけるだろう。アグレッシブにアタックするたび、相手がブロックしないチャンスが生まれる。そしてアグレッシブにブロックするたび、相手のブラフやセミブラフを看破するチャンスが出来る。
戦闘フェイズ
《剛力化》《力強い跳躍》《大群の力》……コンバットトリックは撃つタイミングが非常に重要だ。タイミングを見誤ることは致命的にもなりうる。逆にここぞという時まで隠し通すことが出来た時のリターンは計り知れない。この点を中心に、戦闘フェイズで起こることについて話そう。
この記事まで読み進めてくれているということは、もう基礎に関する部分は受講済みだろう。だが『悪魔は細部に宿る』。まずはその点について触れていこう。
優先権を持っているということはすなわち行動できるということだ……何かしてもいいし、しなくてもいい。簡単に説明すると、何か(呪文キャスト、能力起動、アタック指定、ブロック指定、ターンステップの移行)が起こった時、それぞれのプレイヤーは優先権を得る。両者とも(スタックが空になるまで)何もしなければ、ターンステップは進み再び同じ流れとなる。優先権を持っている時の殆どは何もしないだろうし、特に優先権のパスを事細かに行わなければゲームはテンポよく進行する。自分がいつ優先権を得るのか、そしてスタックが混雑している時にそれがどう解決されていくのか、これらを覚えておくことは単純に役立つだろう。
ここで重要な事は、相手がドローし、土地を置き、「ゴー」と言ったら、相手は残りのそのターンをスキップしたことになるが、厳密にはアップキープ・戦闘フェイズ・終了フェイズはそれぞれ発生しているので、あなたは好きなタイミングで行動を起こせるということだ。最も簡潔にターンが終了しても、その間では優先権が何回も何回も発生している。それ自体はどちらかが行動を起こすまで問題にならないけど。
現在のターンプレイヤーを『アクティブプレイヤー』と呼ぶ。各ステップやフェイズの最初にアクティブプレイヤーは優先権を得る。アクティブプレイヤーが何もしなければノンアクティブプレイヤーに優先権が回り、ノンアクティブプレイヤーも何もしなければターンは次のステップやフェイズに移行する。(呪文や能力を起動した直後でも、そのプレイヤーがまず初めに優先権を得る。そのため特殊なケースではあるが、例えあなたがアクティブプレイヤーで無くても自分自身の行動に対しまず先に『対応』することが出来る。)
戦闘フェイズの各ステップは次のとおりだ。
各ステップをまともに全て消化していくなんてことをしていては、ゲームは遅延するし退屈極まりないが、その代わりに各ステップの流れを押さえておけばその都度応用をきかせる事ができるだろう。戦闘が複雑になっている時は速度を落として、プレイヤーそれぞれにいつ・何が起こるのか把握するよう努めよう。
ここで大事なポイントは、アクティブプレイヤーがまず先に動かなければならないということだ。もしアクティブプレイヤーが優先権をパスし、ノンアクティブプレイヤーもパスしたら、アクティブプレイヤーが《剛力化》を唱えるチャンスはもう無いんだ。故に最後に行動できるというのはノンアクティブプレイヤーが持つアドバンテージの一つだ。相手が何をしたいのか知り得た状態で行動できるんだからね。
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コンバットトリック
コンバットトリックは非常に有用なツールになりうるが、使い所を間違えないことだ。上手く使えた時のアドバンテージは莫大なものになるが、間違えた時のリスクも甚だしい。
相手の土地がたくさん立っている時はコンバットトリックを使うことは最小限にとどめよう。《闇の試み》を唱えようとしたら対応して《不浄な飢え》を撃たれた場合、状況は一気に暗転することになる。相手は1:2交換に加えて、除去をしながらあなたのマナを無駄にさせるというテンポアドバンテージも得るのだ。
自分の目的を達成させた時のコンバットトリックは優秀だが、使うことを相手に強制された時のリスクは計り知れない。
そのため、コンバットトリックを使うことを前提にしたブロックは控えるべきだろう。相手のマナは立っているだろうからね。相手がタップアウト(土地が全てタップ状態)ならば《剛力化》は素晴らしい仕事をするだろうが、そうでない時は相手の除去がないことを祈りながら撃つ羽目になる……それは大変好ましくはない。
お互いの土地が立っておりいつでもコンバットトリックを撃てる状況にあるときは最も慎重に戦闘を行わなければならない。今一度、最初に行動しなければならないのはアクティブプレイヤーであることを確認しておこう。最も行動前に情報を把握できるノンアクティブプレイヤーが有利にある。
コンバットトリックが内包するもう一つのリスクは、あなたがそれを撃つクリーチャーを持っていない時だ。デッキには常に十分なクリーチャーを入れよう。クリーチャーは引き過ぎるなんてことはないが、逆に引けない時の恐ろしさは分かるだろう?クリーチャーを引けなかったり、引いても相手に処理されてしまった時のコンバットトリックカードはただただ腐ってしまう。
良い手札に1枚のコンバットトリックというのはまさに完璧な使い方ができるだろう。しかし微妙な手札に何枚もコンバットトリックがあるときは、あまり良くない状況であってもそれを使わざるを得なくなる。
そうしたシチュエーションを避けるためにもコンバットトリックを積む際はよく検討しよう。コンバットトリックは積めば積むほど、それを微妙な時に使わざるを得ない機会も増えることになる。オリジンのコンバットトリックには強力なものも多いね。ドラフトでアグレッシブ緑白を組めた時はコンバットトリックを4枚くらい積んでもいいかもしれない。但し殆どのリミテッドデッキにおいては、コンバットトリックを3枚以上積むことには注意が必要だ。
戦闘ではクリーチャーをアグレッシブに使っていこう。クリーチャーはまさにそのために存在するのだ!コンバットトリックは安全かつ効果的に使おう。そして相手には使うことを強制させてやろう。《迅速な報い》や《不浄な飢え》を構えながらね。戦闘をマスターすることの恩恵とはすなわち、相手よりもクリーチャーや呪文の価値を高めることだ。戦闘で気持よく勝負を決めに行こう!
Posted in Level One on July 27, 2015
By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/attacking-and-blocking-2015-07-27
次 http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
前 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/
今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。
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読者諸君、この数週は基礎的でつまらない記事によく耐えてきた!だがマナベースの構築を覚えただけでは、あなたはまだマジックというものを完全に学んではいない。『ターミネーター』をラブストーリーとしては見に行かないだろう?さあ、ここからはアクションシーンの時間だ。この記事がLevel Oneにとっての銃撃戦であり、カーチェイスであり、爆発シーンとなる!
戦闘だ!
安っぽいアクション映画は時間の無駄に思うかな?(僕は好きだ!) 戦いや追跡シーンは映画の本筋には関わらない?だけど同じことをマジックに言ってはいけないよ。確かに基礎をマスターするのは重要だ。だが時には戦闘をしなければならず、それを完遂しなければ何にもならない。マジックとは結局、目の前にいる対戦相手を蹴散らすのが全てなんだ。
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クリーチャーで戦おう
最初に覚えておきたいのは、常に受けよりも攻めに回るべしということだ。
戦闘で極端に受動的になってしまうのはよくあるミスだ。今戦闘に参加すべきでないのはどのクリーチャーか?戦闘には常にある種の恐怖がつきまとう。アタックしたらクリーチャーを失ってしまうのではないか?ブロックして相手がコンバットトリックを持っていたら?でもブロックしないとライフが危険水域になってしまう……こんな感じでね。
だが勝つためには大胆に行かなければならない。クリーチャーを戦闘に参加させていかないと彼らの価値はまさに《垂直落下》してしまう。
よくある例を出そう。あなたが《絡み爪のイトグモ》をコントロールしているにもかかわらず相手は《前線の僧侶》でアタックしてきた。もしかしたら相手は《力強い跳躍》を構えているかもしれないし、ブロックされた後に《焦熱の衝動》を撃ちこんでくるかもしれない。だけど防御的なカードである《絡み爪のイトグモ》をデッキに入れているのは何のためだろう?もちろんブロックするためだ!ブロックしてクリーチャーを失う羽目にはなるかもしれないが、それを恐れていつまでもブロックしなかったら元も子もない!本当に特別な理由がない限りは、こんなシチュエーションではブロックしに行った方が良いんだ。
極端に受けに回ることは適当にプレイすることと同様にしてはいけない!
お互いに1体づつのクリーチャーがいるなら、まずはアタックしよう。そしてそうされたら、可能な限りブロックしよう。
相手が《ドゥイネンの精鋭》でアタックしてきて、その時あなたも《ドゥイネンの精鋭》をコントロールしていたとする。これはブロックしに行くべきであり、そうすることで平等な交換をしつつ2点のライフを守ることが出来る。返しに反撃するためにブロックしない事もできるが、相手がより大きいクリーチャーを出してきたらどうする?何事も無く交換が終わっても攻撃される側であるかぎりあなたはビハインドを背負っていることになるんだ。
クリーチャーは、『毎ターン』戦闘に参加できるという事自体に価値があると言える。もしあなたが《ドゥイネンの精鋭》をアタックにもブロックにも回さなかったら各ターン毎にその価値を捨ててしまっていることになるんだ。ブロックせずに反撃しようとすることも、それは半ターン分の価値を無駄にしている。(マジックにおいてプレイヤーは互いにターン数を共有してはおらず、後手の時に相手の行動と同じことをするのは大抵負けに繋がる)
相手の《ドゥイネンの精鋭》がアタックしてきたら《ドゥイネンの精鋭》でブロックが板だ。
では逆の状況の時、どうしてアタックしに行くべきだと思う?それはつまりね……相手はブロックしないかもしれないからだ。相手は《大群の力》を怖がるかもしれないし、単純にミスるかもしれない。例え10回中9回はブロックされるとしても、残りの1回はタダでダメージを与えられるわけだ。こうした『殴り得』な機会を常に逃さないようにすることで、長期スパンでは勝つ試合をきっと増やせるだろう。
より現実的な話をすると、《ドゥイネンの精鋭》といったカードは試合の何処かで結局交換材料にされる。そういった交換は早めにやっておかないと、後々ミスの素になってしまう。アタックせずにターンを返したら、きっと相手はアタックしてくるからそれをブロックする……ブロックすること自体は正解だが、その前がミスそのものだ。それこそもし相手が《大群の力》を持っていたらどうする?あるいは除去によってそのブロッカーが排除されてしまったら?
時には交換を行わないシチュエーションもある。《ジョラーガの祈祷》を持っているからそれに備えて残しておくといった具合だ。そうでなければ、相手にいいようにされない内にこうした交換を行っていこう。
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ブラフ
ブラフがマジックに占める割合はそう多くはない。ただカードを実直にプレイし相手を誤魔化さなくても上手くいくものだ。とはいえ、出来るときにしない理由はないよね?
最もよくあるブラフは、ゲームの序盤に自分の小さいクリーチャーで相手の大きなクリーチャーにアタックしに行くというものだ。僕が《森林群れの狼》で《キテオンの不正規軍》めがけてアタックしてきたらさてどうしよう?まあ僕は《剛力化》を持ってない限りそんなアタックはしないだろう。だが或いは……?
このシチュエーションにおける明確な答えは無い。それこそがポイントだ。どちらのプレイヤーもリスクとリターンを考えると共に、相手がいかに大胆不敵かを見極めようとする。
では手札には何もコンバットトリックを抱えていない時の僕の立場で考えてみよう。ブラフが失敗して《森林群れの狼》を失うことの損失はどれくらいだろう?果たしてそのアタックは成功して2点のダメージを与える価値に見合っているだろうか?あなたがブロックしてくる確率は?
今度はあなたの立場で考えよう。《キテオンの不正規軍》という強力なカードが今後のゲーム展開でもたらす恩恵はどれだけあるだろう?この戦闘でそれが倒されても問題ないのだろうか?それともそれを見越してのブラフなのか?
簡単な答えはない。僕からアドバイスできることは経験に基づくセオリーの断片だけだ。
大抵そのアタックはブラフではないし、大抵はブロックしないほうがいい。
僕が初対面の対戦相手と同じシチュエーションに出くわしたとしたら、《剛力化》を見越して《キテオンの不正規軍》でブロックはしないだろう。問題となるのは逆の立場の時だ。もしリスクを取らずとも勝利できそうな強力なカードを持っていたら、多分ブラフ攻撃はしない。逆に試合が僅差になりそうで、何処かでダメージを稼いでおく必要があるならアタックしに行くだろう。そしてもし相手がブロックしてきたら「マジかー」ってぼやくだろうね。
セミブラフ
プレッシャーのかかる試合では、サイズの小さいクリーチャーで大きなクリーチャーにアタックしに行くなんてあからさまなブラフは憚られる。しかしプレイヤーがよくやるのはセミブラフだ。相手がブロックしないことを願ってアタックし、ブロックされても大きな痛手にはならないこと、それがセミブラフである。
《ドゥイネンの精鋭》で相手のそれにアタックしに行くのもセミブラフだ。相手がブロックせず2点を受けてくれれば良し。もしブロックしてきたら……ふーんなるほど、互いにパワーの同じクリーチャーを交換することになった。遅かれ早かれいずれは行うであろう交換を。
あるいは止めの火力でブロッカーを除去できるかもしれない。《森林群れの狼》で《勇者の守護神》めがけてアタックし相手がブロックしてきたら、天に召される哀れな狼への慰めに《焦熱の衝動》で《勇者の守護神》も道連れにさせてやろう。あまり良い交換ではないが、負けに直結する程ではないだろうしね。
時にはコンバットトリックでバックアップすることもできる。他にマナを使う予定があってもね。本当は《ロウクスのやっかいもの》を展開しに行きたいけど、相手が《勇者の守護神》で《森林群れの狼》をブロックしてきたなら《剛力化》で守ると同時に除去することが出来る!……《ロウクスのやっかいもの》は1ターン待つ必要があるけど。付け加えておくと、相手が展開よりもコンバットトリックを最優先に使おうとしている状況とはすなわち、あなたは受けの側にいるということになる。
具体的な例は置いておくとして、ブラフとセミブラフの概念を知っておくことでクリーチャーをよりアグレッシブに使っていけるだろう。アグレッシブにアタックするたび、相手がブロックしないチャンスが生まれる。そしてアグレッシブにブロックするたび、相手のブラフやセミブラフを看破するチャンスが出来る。
戦闘フェイズ
《剛力化》《力強い跳躍》《大群の力》……コンバットトリックは撃つタイミングが非常に重要だ。タイミングを見誤ることは致命的にもなりうる。逆にここぞという時まで隠し通すことが出来た時のリターンは計り知れない。この点を中心に、戦闘フェイズで起こることについて話そう。
この記事まで読み進めてくれているということは、もう基礎に関する部分は受講済みだろう。だが『悪魔は細部に宿る』。まずはその点について触れていこう。
優先権を持っているということはすなわち行動できるということだ……何かしてもいいし、しなくてもいい。簡単に説明すると、何か(呪文キャスト、能力起動、アタック指定、ブロック指定、ターンステップの移行)が起こった時、それぞれのプレイヤーは優先権を得る。両者とも(スタックが空になるまで)何もしなければ、ターンステップは進み再び同じ流れとなる。優先権を持っている時の殆どは何もしないだろうし、特に優先権のパスを事細かに行わなければゲームはテンポよく進行する。自分がいつ優先権を得るのか、そしてスタックが混雑している時にそれがどう解決されていくのか、これらを覚えておくことは単純に役立つだろう。
ここで重要な事は、相手がドローし、土地を置き、「ゴー」と言ったら、相手は残りのそのターンをスキップしたことになるが、厳密にはアップキープ・戦闘フェイズ・終了フェイズはそれぞれ発生しているので、あなたは好きなタイミングで行動を起こせるということだ。最も簡潔にターンが終了しても、その間では優先権が何回も何回も発生している。それ自体はどちらかが行動を起こすまで問題にならないけど。
現在のターンプレイヤーを『アクティブプレイヤー』と呼ぶ。各ステップやフェイズの最初にアクティブプレイヤーは優先権を得る。アクティブプレイヤーが何もしなければノンアクティブプレイヤーに優先権が回り、ノンアクティブプレイヤーも何もしなければターンは次のステップやフェイズに移行する。(呪文や能力を起動した直後でも、そのプレイヤーがまず初めに優先権を得る。そのため特殊なケースではあるが、例えあなたがアクティブプレイヤーで無くても自分自身の行動に対しまず先に『対応』することが出来る。)
戦闘フェイズの各ステップは次のとおりだ。
戦闘開始ステップ
アクティブプレイヤーはメインフェイズを終え、土地はもう置けないしインスタント以外のカードのプレイも出来ない。《眠りへの誘い》のようなスペルで相手のクリーチャーをタップさせられるタイミングはここまでである。
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攻撃クリーチャー指定ステップ
まずアクティブプレイヤーが攻撃クリーチャーを指定し、タップする。優先権はまだ発生せず、相手の攻撃を止めることは出来ない。《跳ねる混成体》のような瞬速クリーチャーで突然のブロッカーを用意するのはこのステップになる。
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ブロック・クリーチャー指定ステップ
まずノンアクティブプレイヤーがブロッカーを指定する。指定が終わるとアクティブプレイヤーが優先権を先に得るので、ここが《剛力化》のようなコンバットトリックを撃てるタイミングになる。アクティブプレイヤーが何らかの行動を起こすなりして、解決のために優先権をパスしたら、ノンアクティブプレイヤーは『対応』してコンバットトリックや《迅速な報い》などの除去を撃てるようになる。ノンアクティブプレイヤーが『対応』した場合は、再びアクティブプレイヤーに優先権が回り更に『対応』でき、どちらかが何もしなくなるまでこの応酬は続く。
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戦闘ダメージステップ
戦闘ダメージが与えられる。ライフも増減し、死亡するクリーチャーは墓地に置かれる。その後で、与ダメージや死亡によって誘発する能力がスタックに置かれる。
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戦闘終了ステップ
戦闘が終わる前に行動できる最後のチャンスがここである。まあここで何かをするのは滅多にないだろうが。
各ステップをまともに全て消化していくなんてことをしていては、ゲームは遅延するし退屈極まりないが、その代わりに各ステップの流れを押さえておけばその都度応用をきかせる事ができるだろう。戦闘が複雑になっている時は速度を落として、プレイヤーそれぞれにいつ・何が起こるのか把握するよう努めよう。
ここで大事なポイントは、アクティブプレイヤーがまず先に動かなければならないということだ。もしアクティブプレイヤーが優先権をパスし、ノンアクティブプレイヤーもパスしたら、アクティブプレイヤーが《剛力化》を唱えるチャンスはもう無いんだ。故に最後に行動できるというのはノンアクティブプレイヤーが持つアドバンテージの一つだ。相手が何をしたいのか知り得た状態で行動できるんだからね。
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コンバットトリック
コンバットトリックは非常に有用なツールになりうるが、使い所を間違えないことだ。上手く使えた時のアドバンテージは莫大なものになるが、間違えた時のリスクも甚だしい。
相手の土地がたくさん立っている時はコンバットトリックを使うことは最小限にとどめよう。《闇の試み》を唱えようとしたら対応して《不浄な飢え》を撃たれた場合、状況は一気に暗転することになる。相手は1:2交換に加えて、除去をしながらあなたのマナを無駄にさせるというテンポアドバンテージも得るのだ。
自分の目的を達成させた時のコンバットトリックは優秀だが、使うことを相手に強制された時のリスクは計り知れない。
そのため、コンバットトリックを使うことを前提にしたブロックは控えるべきだろう。相手のマナは立っているだろうからね。相手がタップアウト(土地が全てタップ状態)ならば《剛力化》は素晴らしい仕事をするだろうが、そうでない時は相手の除去がないことを祈りながら撃つ羽目になる……それは大変好ましくはない。
お互いの土地が立っておりいつでもコンバットトリックを撃てる状況にあるときは最も慎重に戦闘を行わなければならない。今一度、最初に行動しなければならないのはアクティブプレイヤーであることを確認しておこう。最も行動前に情報を把握できるノンアクティブプレイヤーが有利にある。
コンバットトリックが内包するもう一つのリスクは、あなたがそれを撃つクリーチャーを持っていない時だ。デッキには常に十分なクリーチャーを入れよう。クリーチャーは引き過ぎるなんてことはないが、逆に引けない時の恐ろしさは分かるだろう?クリーチャーを引けなかったり、引いても相手に処理されてしまった時のコンバットトリックカードはただただ腐ってしまう。
良い手札に1枚のコンバットトリックというのはまさに完璧な使い方ができるだろう。しかし微妙な手札に何枚もコンバットトリックがあるときは、あまり良くない状況であってもそれを使わざるを得なくなる。
そうしたシチュエーションを避けるためにもコンバットトリックを積む際はよく検討しよう。コンバットトリックは積めば積むほど、それを微妙な時に使わざるを得ない機会も増えることになる。オリジンのコンバットトリックには強力なものも多いね。ドラフトでアグレッシブ緑白を組めた時はコンバットトリックを4枚くらい積んでもいいかもしれない。但し殆どのリミテッドデッキにおいては、コンバットトリックを3枚以上積むことには注意が必要だ。
戦闘ではクリーチャーをアグレッシブに使っていこう。クリーチャーはまさにそのために存在するのだ!コンバットトリックは安全かつ効果的に使おう。そして相手には使うことを強制させてやろう。《迅速な報い》や《不浄な飢え》を構えながらね。戦闘をマスターすることの恩恵とはすなわち、相手よりもクリーチャーや呪文の価値を高めることだ。戦闘で気持よく勝負を決めに行こう!
コメント
◯:(Beginning of Combat) Step / 戦闘開始のステップ
×:Beginning (of Combat Step) / 戦闘ステップの開始
後者で読んだ結果、ステップではなくフェイズとした方が自然ということで、原著者はうっかりしてしまったようですね。
普通に違和感なく訳してましたw