TEMPO
Posted in Level One on July 20, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/tempo-2015-07-20

http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/

今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。

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マジック以外で、僕の人生最大の楽しみの一つは音楽だ。小さい時から音楽を習っては来たけど、演奏するよりも聞くことに身を任せることが何より好きだ。

そんな僕が未だに習得していないスキルとはテンポ……どれくらいの速さで演奏するか、ということだ。僕は楽譜や先生、バンド仲間に一々注意を払うたちでは無くてね。ただマイペースに演奏したかったんだ。結局最後には自分の作る雑音自体に耐えられなくなって、音楽のプレイを諦めてマジックのプレイに再び勤しむことにしたわけだ。

僕はそんな過ちを二度と犯したくはない。だからマジックではテンポというものに深く敬意を払っている。マナやカードアドバンテージのように、テンポもまたリソースの一つだ。ただし、それら2つと違って簡単に「数えられる」ものではない。

テンポとはすなわち、盤面への参加状態である。あなたが相手と比較してどれくらいクリーチャー、土地、プレインズウォーカー、アーティファクト、エンチャントをコントロールしており、それらをどのようにして出したか。プレイヤー両者のペース差を表す概念だ。

リソースの面でテンポはマナと深い関係にあり、同様にライフ総量とも(常にではないが)関連する。カードアドバンテージの面では、時にアドバンテージを犠牲にしてテンポを得るか、或いはその逆かの選択をすることになる。例えば《運命編み》を唱えるとカードアドバンテージを得ることが出来るが、盤面の状況には干渉せずにターンを終えることになる。それはすなわちテンポを捨てたということだ。だがテンポアドバンテージを利用してカードアドバンテージを得ることも出来る。十分に盤面を制圧した状態で相手にチャンプブロックを強制させ、ライフを失う代わりにクリーチャーを失わせるようにね。

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マナを効率良く使おう

2週前はマナカーブの概念、様々なコストのカードをバランスよく入れることについて講義したね。マナカーブはテンポの点で重要となる。5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまい、1-4ターン目までのマナは無駄になる。相手が効率よくマナを使ってきたら盤面も、テンポも、ゲームそのものも落としてしまうだろう。

マナはリソースだ。だからそれを無駄にしてテンポを損なってはいけない。各ターンにマナを全て使わないことが多いようなら、それはデッキ構築とプレイングの両方に対する危険信号だ!

さて、相手が《前線の僧侶》を出してきたとする。あなたは2枚目の土地を置くが、プレイできるのは僧侶に対する《魂裂き》のみ……果たしてプレイすべきだろうか?

まあ、複雑な問題ではある。飛行クリーチャーに備えて《魂裂き》をキープしておくだとか、考えられる要素は様々だ。とはいえ、ここで最もテンポを得るプレイングは《魂裂き》をプレイすることだ。マナを効率よく消費し、盤面を取り戻せる。

もし手札に《骨読み》があって次のターンに唱える予定ならどうだろう。《魂裂き》を今プレイしなければ、次にプレイできるチャンスはずっと後になるか、はたまた《骨読み》自体のプレイを先送りする羽目になるかもしれない。呪文のプレイや展開が遅れれば遅れるほど、テンポはどんどん損なわれることになるんだ。それに《骨読み》をプレイした後は、引いてきたクリーチャーや呪文をプレイしに行くだろう。こんな時の《魂裂き》を唱えるチャンスはまさに今なんだ!



あなたの土地

テンポとは盤面を作ることであり、土地を置くことはその一環だ。土地を置くたびに、毎ターン使えるマナが1増える。だからゲームが進むほど各ターンの動きはよりパワフルになるし、テンポも一層激しくなる。同じ理由から、土地を1回置きそびれると大変悲惨なことにもなる。直近のテンポを失うばかりでなく、続くターンでテンポを取り戻す手段も厳しくなるわけだ。

《進化する未開地》で探す土地のように、タップインする土地もある。それらはプレイしたターンにはマナを供給せず、潜在的なテンポロスを抱えている。その代わり、例えば《進化する未開地》は普通に基本土地をプレイするよりも多様な動きができる。ちょうど足りてない色を探したりね。マナを使う必要が無い時の《進化する未開地》のような土地は長期的『投資』になるだろう。タップインランドを使うか否かはあなたのデッキプラン、すなわち最初のターンでのテンポロスに目をつぶれるかの問題になる。

では《葉光らせ》のようなカードはどうだろう?

《葉光らせ》は一旦プレイされれば土地として見ることが出来る。土地のように毎ターンマナを供給し、盤面に残ればそのまま相手にテンポ差を付けられる。ただし土地とは違って、それをプレイするためには予め別のマナが必要になる。繰り返しになるが、マナクリーチャーが噛み合うデッキもあればそうでないデッキもあることを忘れずに。



クリーチャーと主導権(イニシアチブ)

プレイヤーは常に2択を迫られる。能動的に動く(展開し、攻撃したりプランを進めたりする)か、受動的に動く(守り、相手の脅威に解答する)かだ。一番良いのは可能な限り能動的に動くことである。

能動的に動くプレイヤーが主導権を握る。ゲームのペースを自分のものにし、相手に受動的に動くことを強いる。

主導権を握ることは多くのアドバンテージをもたらすだろう。例えば相手に強烈なアタックを仕掛けることは、相手に反撃のチャンスを与えないことにつながる。守りに立つ必要が無いときは、ライフを気にすることもプレインズウォーカーを守る必要も無い。攻撃は最大の防御だ!

相手を守らせることは相手を追い込むことになる。例えば相手の重要なブロッカーを排除できれば大きなテンポとダメージを稼ぐ事ができるだろう。ブロッカーが生きていたとしても、アタックする側は大抵マナを戦闘中自由に使えるが、ブロックする側はブロッカーの展開等でタップアウトしているものだ。《剛力化》や《力強い跳躍》のようなコンバットトリックを最も上手く使えるだろうね。

クリーチャーは出たターンには攻撃できないから、攻撃したいプレイヤーにとっての初動は大事になる。逆に守りに重きをおく(相手と同等のテンポであれば良い)プレイヤーによってクリーチャーは場に出るだけでテンポを作る。なので戦場に出た時の誘発型能力や速攻のような能力はテンポの面で大変素晴らしい働きをすることになる。

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除去と除去(仮)

除去呪文はテンポアドバンテージを得る素晴らしい手段だ。相手のブロッカーを排除して攻撃を続行したり、アタッカーを排除してミスの要因を減らしつつ自身を守ったり出来る。

《不浄な飢え》はシンプルでまごうことなき除去呪文だ。相手がクリーチャーを出し、あなたが返しの自分のターンでそのまま《不浄な飢え》を撃ったなら、テンポアドバンテージを得ることはおそらく出来ないだろう(もちろん1:1交換なのでカードアドバンテージも得てはいない)。

《不浄な飢え》の欠点はそのコストの重さにある。

軽いクリーチャーを大量に展開し、相手がその全てに解答する前に勝利することは完璧なテンポ重視戦略と言える。《不浄な飢え》は5マナであり、そんな戦略相手には2マナ3マナのクリーチャーと交換したところでどうしようもないだろう。

軽めのクリーチャーを積むことはカードパワーの低下を招き、相手と対等な勝負が出来なくなるが、そんな勝負をする必要はない!もし5ターン目までに4,5体ものクリーチャーを展開し、相手がその1体に《不浄な飢え》を撃ってきたとしても、既にテンポは十分取っているからそのまま押しきれるだろう。一旦テンポを取ってしまえば、状況が一変しないかぎりアドバンテージを別な形で得ることが出来るんだ。この例では残りのクリーチャーによる膨大なダメージでね。

より除去が効果的な場面を考えてみよう。あなたはテンポを確立し《不浄な飢え》を持っているとする。早めに展開した軽量クリーチャー達で盤面も十分だ。崖っぷちの相手は《永遠警備の歩哨》をプレイし、盤面とライフの両方を守りに来た。あなたは返しでそれを除去し、全てのクリーチャーでフルアタック出来る。

これはテンポアドバンテージを守る(押し通す)完璧な例だ。言い換えると、先に得たテンポを確実なアドバンテージへつなげるということだ。相手が守りに入っている時はいかに自分のテンポアドバンテージを利用するかが鍵となる。除去呪文はテンポアドバンテージを押し通す素晴らしい方法だ。クリーチャーと違って速やかに盤面に効果を発揮してくれる。

《不浄な飢え》は1:1交換のためカードアドバンテージはもたらさない。《分散》のようなバウンス呪文はディスアドバンテージにすらなる。バウンスはカードを消費する一方、相手に戻ったクリーチャーはゲーム内で再び使えるリソースであり続けるのだ。しかし《分散》も《不浄な飢え》も時に全く同じ効果を盤面に与える。《分散》は2マナと軽く、テンポ重視のプランならより強力なツールになるだろう……もちろんカードアドバンテージと引き換えに。

あなたには4体のクリーチャー、相手には《永遠警備の歩哨》1体の時に《不浄な飢え》と《分散》がもたらす効果は同じだ。どちらも勝利につながる!《永遠警備の歩哨》が相手の墓地ではなく手札にあろうと、勝ってしまえば関係ない。そうでなければ相手は再び6マナ(多分そのターン使える全てのマナ)を使って歩哨を出し、それ以外のカードを負ける前に使い切れるか次第になるだろう。

今はもう廃れたが、昔のカードアドバンテージの基準は、敗北したプレイヤーの手札に残っているカード枚数だったくらいだ!

バウンス呪文が効果を発揮する状況は3つだ。1つ、既に取ったテンポアドバンテージを押し通すとき(テンポアドバンテージを利用して相手のライフを攻めることでアドバンテージを確立する)。2つ、相手の(例えば)6マナクリーチャーをバウンスし、相手にもう一度《永遠警備の歩哨》を出させることでこちらが使ったマナ以上のマナを相手に費やさせるとき(こちらは余ったマナで追加のクリーチャーを展開し更にテンポアドバンテージを取れる)。3つ、相手が手札を大量に抱えながらもマナが足りなくて全て消化しきれていない時(相手は更にマナを必要とするカードを抱えることになる)。

テンポの価値がゲーム展開に及ぼす影響を理解するのは難しい。故にテンポはマジックにおける重要な概念の一つになっている。プレイヤーが両者ともテンポアドバンテージを押し通す事ができない状況はいくらでもある。例えばお互いにクリーチャーが並んでどちらも有効なアタックがしにくい時。あるいはロングゲームになってどちらもマナが大量にあり、テンポアドの意味が薄れている時だ。相手の《永遠警備の歩哨》に《分散》を撃ってもアタックに行けなかったら?相手は返しに十分なマナから歩哨を出し直す。バウンスした瞬間は一時的なテンポアドバンテージを取りはするが、あなたはそのアドバンテージを押し通すことが出来ない。最終的に状況は元に戻る……あなたが《分散》を失ったことを除いて。

このような状況の時はテンポの面から一旦離れて、カードアドバンテージ等へ目を向けたほうがいいだろう。

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テンポはたった1ターン後でさえもゲーム展開を左右する。テンポを得ることは素晴らしいアドバンテージをもたらしうるが、時にはそれ以外の側面に目を向けることも必要となる。この両方を覚えておこう。

コメント

REN
2015年12月29日14:57

翻訳記事とてもありがたく見させてもらってます!
リンクさせていただきました!

ポニョ焼き
2015年12月29日23:13

ひ 仲間と上位にいけるのって嬉しいよね! 最近俺一人旅でMTGしてるからちょっとさみしいww

いとだ
2015年12月30日20:10

>RENさん
ありがとうございます!今後も続けていきますのでよろしくお願いします~。

>ポニョさん
普通は中高生時代の部活等で経験することなんでしょうけど、嬉しいものは嬉しいですねw

AKKA
2016年1月1日3:06

何時も素晴らしい記事の翻訳をありがとうございます。今度自分のエントリーにてテンポについて書こうと思うのですが、そのときにこちらの記事を転載させていただいても宜しいでしょうか?よろしく御願いします。

いとだ
2016年1月1日4:06

いえいえーコメントありがとうございます。
転載はご自由に構いません!今年もよろしくお願いします。

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