※元記事の掲載順に対し前後しています。

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PLAYING SAFE AND PLAYING SCARED
Posted in Level One on August 24, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-safe-and-playing-scared-2015-08-24

次 (未定)
http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/


このLevel Oneを購読し続けている皆さんは、もうマジックの基礎についてしっかり学んで来たことだろう。デッキ構築とゲームプレイの基本を理解し、初心者が陥りやすいミスとその防ぎ方も勉強済みだ。しかしより強いプレイヤーになりたいなら、まだ知っておかなければならないことがある。今日は『安全なプレイをする』ことと『考えすぎるプレイ』の違いについて講義をしよう。



安全なプレイをすることの恩恵

『安全なプレイ』とは危険を避け、自身に降りかかる脅威から身を守ることだ。

「ここで4体目のクリーチャーを展開することは避けよう。《衰滅》がくるかもしれない」
「さっきのゲームでは相手が《牢獄の管理人、ヒクサス》をプレイしてきた。今相手が平地5枚を立たせているのは凄く怪しいぞ。より警戒してアタックしなければ」
「このマッチアップは取ったも同然だが相手の速攻オールインには注意しないと。守りのために《サテュロスの道探し》はサイドアウトしないでおこう」


安全にプレイすることはゲーム状況が対等な時や有利な時に非常に重要となる技術だ。鉄板強者になるためにはあらゆるアドバンテージを得ていくと共に、相手にワンチャンを与えないようにしなければならない。

有利な状況にあるとき、勝率90%のプレイングをすることと80%のプレイングをすることには大きな差がある。迂闊なプレイをして相手に起死回生のチャンスを与えていると長期スパンでは悪影響を及ぼすに違いない。



考えすぎることのリスク

しかし安全にプレイすることには《邪悪な双子》がいる!『考えすぎている』人ほどよく自分が安全なプレイを心がけていると思っているものだ。この2つのプレイングの違いを学ぶことに努めよう。

「《森の女人像》でブロックはしたくないな。《タイタンの力》を撃たれるかも!」
「相手は《意思の激突》を持ってるかもしれない。タップアウトになるまでは動かないぞ!」
「ここで《鋳造所通りの住人》を温存しておけば、後で《対立の終結》を撃たれても持ち直せるかも……」


考えすぎるリスクの一つは、あなたが恐れるカードを相手が持っていなかった時にそのゲームを落としてしまうかもしれないことだ!

相手の持ちうるパーミッション呪文の全てを考慮することは良いことだが、カードをプレイせずにどうやって勝つと言うんだい?

赤単を使っている時は常に《衰滅》の危険は伴うが、そのためにクリーチャーを出し惜しみしていると代わりに《包囲サイ》にイカれたり相手の除去が間に合ったりしてしまう。

考えすぎるリスクのもう一つは、試合を長引かせて相手に追加のドローをさせてしまうことだ。「こっちがイカれるカードは《龍王アタルカ》だけだ。それだけケアすれば十分!」このような間違った考え方は多い。マジックは思っている以上に複雑なゲームであり、消極的なプレイで相手の手札を増やすと思いもよらぬコンボで死んでしまうこともある。



例題:紙一重な判断

先日、僕は青黒コントロールを握って赤黒ドラゴン相手にライフは低いながらも盤面は押さえていた。僕は《嵐の息吹のドラゴン》や《嵐の憤怒、コラガン》をケアして、2体目の飛行クリーチャーを引くまで《漂う死、シルムガル》をブロッカーのために立たせ続けた。

すると相手は速攻ドラゴンを引かない代わりに《雷破の執政》をブロッカーとして出し、僕はアタックするチャンスを失いその後も相手にドローをさせてしまった。最後はバーン呪文をトップされて負けてしまった!

僕は安全にプレイしたのだろうか?考えすぎた?難しいことだが少なくとも言えることは、あらゆる可能性を考慮していても相手に追加のドローをさせることは大きな……非常に大きな危険になるということだ。



考えすぎずに安全にプレイする方法

まずは今自分が安全にプレイ出来る状況か考えよう。試合がどのように動いているか、このままの状況なら勝てるかどうかを見極めるんだ。

相手は《龍王オジュタイ》に対してダメージレースを挑んでいる?それなら《命運の核心》を撃つのをためらってはいけない。

バーン相手にライフが1?ならば可能な限りアグレッシブに動いて少しでも相手のドローステップを減らそう。

一般的にコントロール相手にスローダウンするのは良くない。皮肉にもパーミッション呪文や全体除去といった考慮しなくてはならないカードをプレイしてくるのはそういったコントロールデッキなのだけど。だがしかし《対立の終結》の被害を抑えようとすることは敗北に繋がる。それこそが『考えすぎなプレイ』であり、『安全にプレイする』こととは異なる。

コントロールデッキはゲームがもつれ込むほど強力なプレイをしてくる。5ターン目に盤面をリセット出来れば返しに再展開されようとも勝ってしまうデッキだ。あなたがラスの返しに《鋳造所通りの住人》と《ゴブリンの群衆追い》を出しても相手が《太陽の勇者、エルズペス》をプレイしてしまえばそれらはもう無意味だ!

もちろんこれらは全て限定的な状況の話だ。場合によってはクリーチャーを1、2体残しておくべき時もある。しかし迷った時はゲームを速やかに終わらせ得る道を取ったほうが良いだろう。プレイが後ろ向きになるほど相手は強力な重いカードを何枚もプレイ出来るのだから。

ではどんな時に安全にプレイすれば良いのだろうか?それは自分が有利な状況で、且つゲームが長引いて欲しい時である。

状況を加味し、安全にプレイしてもいいと分かったら、次にあなたがすべきことは最悪のケースを想定することだ。或いは現状を一変させるであろうより有り得そうなシナリオでもいい。

「相手に除去を引かれてブロッカーを倒されるとダメージレースがマズいな」

そうしたらその危険を最小限に抑えるプレイを考えよう。

「ここはアタックせずにクリーチャーを立てておこう!」

そのプレイのメリット・デメリットも考慮しよう。

「ここでブロッカーを立てておけばひとまず次のターンは何が来ようとも生き延びられる。けど相手には余計な2ターンを与えてしまう。それに一番強いブロッカーが除去されてしまえばチャンプしかできなくなってどの道負けじゃないか……」

プランが決まったら後は実行に移すだけだ。ただし何かが変わったらその都度プレイを考えなおすこと。



直感と向きあおう

安全にプレイすべき状況でついアグレッシブに動いてしまうプレイヤーもいれば、無駄に考えすぎなプレイをついしてしまうプレイヤーもいる。殿堂のZvi Mowshowitzが話してた大事な考えをここに書いておこう。

「あなたの直感と向きあおう。それがアタリかハズレかという問題ではない。『それ』があなたの傾向なんだ。あなたがどの方向に転がりやすいかを知ろう。あなたがコントロールに動く傾向があるなら、選択に迷った時はコントロールでない方法を取ろう。滅茶苦茶アグレッシブに動きがちならひとまず我慢するんだ。そうすることで自分自身から身を守れるだろう」

自分自身を知ることは重要だ。ミスを減らしプレイヤーとしての成長にも繋がる。

これには僕も思い当たることがある。何年か前だったかな……僕は自分が直感的に守備的な判断をしがちであることに気づいたんだ。まあそれ自体は悪いことではなかった。当時も上手くプレイ出来ていたと思う。ただ、自分がミスをする時はそれがアグレッシブすぎるプレイングよりも後ろ向きなプレイングに起因するものであったことのほうが多かった気がするね。つまるところ、僕はしばしば考え過ぎであったんだ。

それ以降、僕はそのことを常に念頭に置いてプレイするようになった。微妙な選択を迫られた時は自分にこう言い聞かせた。「Reid、お前は考え過ぎなことがよくあるんだから今回のもそれなんじゃないか?」ってね。そうすることがプレイングに別段大きな変化をもたらしたわけではないけど、少しながらもより正しい判断が出来るようになったと思うよ。攻撃に転じるべきだと思ったら後ろ向きな考えを捨てて攻撃に、アドバンテージのチャンスは絶対に逃さないようにしよう、とね。



考え過ぎてしまう状況

プレイヤーが考え過ぎなプレイをしてしまうようなシチュエーションはいくつかある。

一つはゲーム状況が変化した時。有利なときと不利な時とでは求められる考え方は異なるものであり、その2つを入れ替えることは容易ではない。

有利だったプレイヤーが突如不利な状況に追い込まれると、考え過ぎるプレイをしてしまうかもしれない。元々有利だったプレイヤーは安全なプレイをする思考であったが、状況が変わると最早その考えで行動は出来ないのだから。

逆の状況ではより顕著となる。あなたがアグロデッキを使い相手をとにかく速く倒したいと急いでいる状況を想像して欲しい。それ自体は殆どのゲームにおいて正しいプランではあるが、ゲームを掌握出来る時もあり、そんな時は安全なプレイをし始めなければならない。例えば相手のライフをギリギリまで追い詰め、手札には相手を焼き切れるバーン呪文があるとき。あなたは勝ちを急ぐあまり、安全にプレイすべきなのにその呪文をすぐさま投げつけてしまうかもしれない……相手は打ち消しのマナを立たせているのに。

他のシチュエーションは、プレイヤーが初めて競技レベルの大会に出た時。僕も同じ経験をしている。

例えばFNMで素晴らしい成績を残しているプレイヤー。彼らは地元のショップで数ヶ月あるいは数年に渡ってプレイし、そこでは最強のプレイヤーになっているだろう。彼らは長期戦では注意深くプレイし相手の隙を伺うことで相手を打ち負かせることを技術と経験から知っている。

そんな草の根プレイヤーがPTQやGPのような場に出た時、彼らの中には自身のプレイスタイルをその場に合わせることが困難な者もいるだろう。今、彼らの目の前に座っている相手は自分と同格か、格上のプレイヤーであり、それに打ち勝つのは今まで通り簡単なことではない。そんな時に考え過ぎなプレイになってしまってチャンスを取りこぼしていると、同格の相手にすらハンデを背負ってしまう。

同じように、相手を自分より上のプレイヤーだと思うことは考え過ぎに繋がる。例えばプロプレイヤーとGPで当たった時、地元の強者と当たった時、あるいは先週のFNMで優勝していた人と当たった時。

そんな時あなたは当たった相手を少々『買い被りすぎ』るかもしれない。相手には一切の隙が無いと思ってしまう。
「相手は絶対《意思の激突》を持ってるに決まってる!」
「相手はあの強者だ……返しに《衰滅》が来ないわけがない!」

現実は違う。どのプレイヤーも等しくただの人間だ。同じデッキでも強者だけがトップの10枚から《衰滅》を確実に引けるわけではないんだ。実際に強者と対戦することになったら、多少なりリスクのある強気な選択をしてみるといいかもしれない。あなたは相手を強者と認知し、状況が移り変わってもミスをしにくいプレイヤーであると考えているだろうから。

安全なプレイと考え過ぎなプレイのバランスを保つことは、ゲーム状況や他の要素に対する率直な評価をすることと同じだ。それでも一番大事なことは僕達は人間であり、時には曖昧な選択もするということである。いつでもブレない思考を持ち、ベストな判断をする方法を学ぼう。ゲームを掌握し続けるために安全なプレイをし、考え過ぎなプレイで相手にチャンスを与え過ぎないことだ。

コメント

ジュンペコ
2016年3月24日19:21

すごく…勉強になります。
しかしホントにデュークばっかりやな^^;

いとだ
2016年3月26日1:51

Level Oneはデュークの記事だからね、仕方ないね

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