Standard Temur Energy Deck Guide
By Reid Duke // 12 Oct, 2017
https://www.channelfireball.com/articles/standard-temur-energy-deck-guide/


ティムール・エネルギーはスタンダードにおける最良のデッキと言えるだろう。
これはイクサラン導入以前でも言われていたことだね。そしてローテーションによって他のデッキが大きくパーツを失ったのに対し、このデッキはほぼそのままの形を維持していることがそれに拍車をかけている。

ティムールは名実ともに今世界選手権を席巻したデッキだ。William “Huey” Jensenこと彼がこれを手に大会を独走したのは記憶に新しいだろう。
今回は世界選手権に彼とOwen Turtenwald、そして僕が持ち込んだティムールのリストを解説しようと思う。まあ、リストには特に大きく変わったところは無いけど、ティムールというアーキタイプの強みを最大限に引き出しつつ、環境にいる一部の厄介なカードに対する解答を付け加えた感じの仕上がりだよ。
4:《牙長獣の仔/Longtusk Cub》
4:《導路の召使い/Servant of the Conduit》
4:《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》
4:《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》
3:《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》
3:《栄光をもたらすもの/Glorybringer》

2:《マグマのしぶき/Magma Spray》
2:《本質の散乱/Essence Scatter》
1:《削剥/Abrade》
4:《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》
1:《暗記+記憶/Commit+Memory》
4:《霊気との調和/Attune with Aether》
2:《慮外な押収/Confiscation Coup》

1:《島/Island》
2:《山/Mountain》
4:《森/Forest》
4:《霊気拠点/Aether Hub》
4:《植物の聖域/Botanical Sanctum》
3:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
1:《隠れた茂み/Sheltered Thicket》
3:《根縛りの岩山/Rootbound Crag》

サイドボード
2:《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》
1:《チャンドラの敗北/Chandra’s Defeat》
4:《否認/Negate》
1:《削剥/Abrade》
2:《人工物への興味/Appetite for the Unnatural》
1:《至高の意志/Supreme Will》
1:《天才の片鱗/Glimmer of Genius》
1:《慮外な押収/Confiscation Coup》
1:《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》
1:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》


ティムールを最強たらしめているものとは

・まず《霊気との調和》は多色マナベースを適切に機能させるために不可欠なカードだ。そしてそこから得られるエネルギーは、他のエネルギー・カードをより有効に機能するようにしてくれる。

・ティムールは、赤単に有利なデッキの中でも特に広く使用されているデッキでもある(これはこれまでの僕の主張の中で初めて論争の的になるだろう)。赤単は絶対に無視することが出来ない存在だけど、スタンダードという狭いカードプールにおいては満足のいく対策はし辛いものだよね。そんな中でティムールが有する《つむじ風の巨匠》と軽量火力の束は最高の対策と言える!

要約:
・ティムールのマナベースは2色以上のデッキの中でも最良だ。
・環境随一のパワーカードが集約されたデッキである。
・環境2番手の様々なデッキに対し有利が取れる。
・パーツの取捨選択が多様なミッドレンジデッキであるため、容易に対策することは難しく、サイドボーディング後には更に相性を改善してくるデッキだ。


黒はタッチすべきか?

世界選手権の結果を見るに、世間の解答は「イエス」のようだね。
MOやSCGにおいては、入賞したティムールの半数以上が黒タッチを選択しており、《スカラベの神》と人によってはサイドボードにも黒いカードを潜ませている。

両方のバージョンを試した僕の答えは「ノー」だ。
確かに《スカラベの神》が無かったら勝てなかった試合も多いだろうね。ミラーマッチにおいては尚更だ。
僕はこの議題に対して初めて明言するが、多くのプレイヤーが《霊気との調和》と《霊気拠点》があるから「タッチはし得」であると考えているけど、実際には相応のリスクを背負っていると考えているよ。

より具体的には、タッチ黒バージョンは若干数の試合を色事故によって落としていると思われるんだ。《スカラベの神》ではなく別の5マナカードであったなら勝てたであろう試合を。
赤単がTier1な現環境においては特に顕著だろうね。赤単がティムールに勝つには、ティムール側が重要な局面で色事故を起こしたり、《逆毛ハイドラ》のダブルシンボルに手こずることに大きく依存しているから。

では何故「タッチはし得」と思われているのか?それは《霊気との調和》と《霊気拠点》が5色地形と換算されてしまっているからだけど、実際はそうではないんだ。

まず《霊気との調和》は唱えた時点で1色地形になる。
序盤に沼を探す余裕はあまりないだろう。ともあれあなたは序盤の多色カードのプレイのために2色ないし3色を揃えられはする。《根縛りの岩山》もアンタップイン出来るだろう。うん、それは問題ない。手元に《スカラベの神》がない時はあくまで必要な土地を探せばいいからね。
だけどゲーム後半、トップしてきたそのボムをプレイ出来ないという事態に直面したら……?

《霊気拠点》はずっと直接的な5色地形と見なせる。それでもこの土地に大きく依存するのは良い考えとはいえないね。
霊気拠点に費やす必要のなかったエネルギーが将来的にどう役立つかなんて分かることではないけど、それがソプターであれ+1/+1カウンターであれ、僅差のゲームを決定づける材料には十分成りうるんだ。

また、もし黒にタッチするのであれば1~2枚の《花盛りの湿地》などを付け加えることは悪くない構築と言える。けれども《スカラベの神》を引くまでは沼や《花盛りの湿地》は下位互換地形だ。《根縛りの岩山》はアンタップインし辛くなるし、《つむじ風の巨匠》も唱え辛くなる。

総じて僕は純正ティムールの方が好きだね。ただ、これが4Cバージョンの使用者全体に対する反論というわけではなく、あくまで一つの意見ってことで受け取って欲しいな。僕が確実に正しいなんてことはないからね。
もしあなたがティムールを愛用しているプレイヤーであるならば、是非両方のバージョンを試して検討して欲しいよ。《スカラベの神》は勝利をもたらし、一方で色事故のリスクも抱えていることを十分に加味してね。


メインボード

よくプレイされているエネルギー・カードの殆どは素晴らしく、その中でも4種――《導路の召使い》、《牙長獣の子》、《精製屋のならず者》、そして《蓄霊稲妻》はそのどれもが単体で強力だ。《つむじ風の巨匠》は赤単に対するベストカードであり、赤単が環境の大部分を占めている限り4積みでいいだろうね。《逆毛ハイドラ》も同様に強力であることに変わりなく、可能なら4枚入れておきたい所だったけど、世界選手権ではマナカーブを低めにするために3枚に抑えたんだ。

マナカーブの頂点に何を何枚積むかは個人の好みや黒タッチによるよ。僕はメインボードでは5枚、サイドボードに1、2枚がベストだと思う。僕のリストでは《栄光をもたらすもの》4枚と《慮外な押収》1枚だけど、他の二人は《栄光をもたらすもの》3枚に《慮外な押収》2枚だ。

《慮外な押収》は僕がスタンダードで一番好きなカードの一つだ。ティムールミラーのベストカードであり、《スカラベの神》よりも優れている(ああ、これも論争の的2つ目だね)。2枚入れることは赤単の《熱烈の神、ハゾレト》に対する解答が増えることにもなる。《栄光をもたらすもの》はあらゆるマッチアップで強力な必需品だ。

また殆どのティムールには火力8枚が標準装備だけど、《本質の散乱》という今世界選手権における最良のピースを2枚入れるために7枚へ減らしてある(偉大なるデッキビルダー・Ben Rubinへ敬意を)。
《本質の散乱》はこれまで長きに渡って収録されてきたカードだけど、それほど強いものではなかった。だけど現スタンダードではクリーチャーが主戦力であり、除去よりも打ち消しのほうが有効に効く場合の方が多い。《精製屋のならず者》や《奔流の機械巨人》の強さの源はそのCIP能力にあり、《逆毛ハイドラ》や《ハゾレト》は一度着地してしまえば処理するのは殆ど不可能だ。
《本質の散乱》はこれら全ての脅威に対する解答となり、またティムールの主要な弱点を幾つか補ってくれるカードなんだ。

さらに最終スロットとして、僕達は《ハゾレト》や《スカラベの神》へのワイルドカードとして《暗記+記憶》を選んだ。
練習の中では青白コントロールの《燻蒸》に対して《暗記》モードが勝負を決定づけることもあり(世界選手権ではそもそも白いデッキはいなかったけど)、このカードを選んでみたわけだ。と言っても一番重要なのは、《暗記+記憶》や《本質の散乱》といったインスタント呪文を入れることで、サイド後の《奔流の機械巨人》を有用に使用できるようになっていることかもしれないね。


サイドボード

Ben RubinとHuey(ジェンセン)が《奔流の機械巨人》を使うことを持ちかけてきた時は正直懐疑的だったよ。
だけどプレイしてみたその日から絶大にそれを支持するようになったんだ。世界選手権ではコントロールデッキに対して五分以上の勝負にしてくれたし、何よりも青白副陽デッキに対してはインスタントスピードの強力なカードであり、ミラーマッチにおいては強力かつ重要な6マナ域となってくれる。相手がデッキリストを知らない環境下ではより価値が高くなるだろうね。

一部の独特なサイドボードは青巨人との兼ね合いさ。《天才の片鱗》と《奔流の機械巨人》の組み合わせが強力であることは言うまでもないよね。素撃ちの《片鱗》で6枚目の土地を確保し、その後の機械巨人はその価値を最大限に発揮する(そもそも青巨人を解決できる事自体がいつでも素晴らしい!)。《至高の意思》もまた、青巨人を積極的にプレイ出来るようにする柔軟なカウンターだ。

2枚の《自然への興味》と青巨人を組み合わせることでエンチャントデッキとも戦うことが出来る。本来であればティムールを食うデッキと!一番の仮想的はイクサランリリース後に隆盛した白黒ベースの《選定された行進》デッキだろう。これらのデッキは置物が除去されない限りはやりたい放題となるけど、キーカードを狙い撃ちで除去することが出来れば崩れ始めるんだ。もし今後もこれらのトークンデッキが環境に存在し続けるならば、2枚目の《自然への興味》は《真っ二つ》に変えてより一層メタっていこうと思うよ。

後のサイドボードの役割は単純だ。赤単用の軽量カードにコントロール用の《否認》セット。
他に試そうと思っているのは《魔術遠眼鏡》だ。《真髄の針》カードには多くの用途があるけど、中でも止めることが有用な相手は《キランの真意号》《来世への門》《水没遺跡、アズカンタ》だね。


各マッチアップ

僕はスタンダードにおけるサイドボーディングは単純なものではないと考えているよ。
ほぼ全てのマッチアップで、僕たちは相手が処理しきれない脅威を用意し、逆に相手の脅威に対しても処理できるように解答を用意しようとするものだ。ならば、相手の脅威と解答を正確に知っておくことでサイドボーディングを柔軟に変えていくのは当然だろう?

ここで提示するサイドボーディングの例は、相手のデッキ情報が全くないときに僕が行うサイドボーディングだ。
もし相手の赤単に《栄光をもたらすもの》が3、4枚入っていることが予想されるならば《慮外な押収》の3枚目を入れてもいいし、ミラーマッチで相手がプレインズウォーカーを多数用意しているならば《つむじ風の巨匠》をもっと残すことも出来るだろう。


ミラーマッチ

ティムールvsティムールは典型的なミッドレンジミラーと言えるね。そして典型的なミッドレンジミラーの鍵は、相手より少し太くすることだ。例えば相手のマナカーブの頂点が5枚ならば、こちらは6枚あればいいってことだ。強調しておくけど、あくまで『少し』太くだ。あまり大胆に低速化すると《牙長獣の子》ビートにイカれてしまったり、後手後手に回って結局テンポ負けしてしまうこともある。ティムールのカードを引く手段は決して多くはなく、このマッチアップではテンポが重要な要素となっていることに注意だ。
6マナや7マナのカードを何枚も入れる際にはそのリスクを承知で行って欲しいよ。
Out
-4 《牙長獣の子》
-2 《つむじ風の巨匠》

In
+2 《奔流の機械巨人》
+1 《天才の片鱗》
+1 《慮外な押収》
+1 《至高の意思》
+1 《削剥》

《牙長獣の子》は問題なく使用できるカードだけど、簡単に1:1交換されうる、デッキの中で唯一の直接アドバンテージをもたらさないカードだ。なので先手と後手で柔軟に変えられる可変スロットと見なせる。先手で 《牙長獣の子》を抜く人は殆どいないだろうけど、「太く」なるためにはより防御的なプランを取ることは理にかなっている行為でもあるんだ。


赤単

赤単との相性は微差ではあるけど、僕はティムール側が有利だと自信を持って言うよ。
《つむじ風の巨匠》に《逆毛ハイドラ》、そして軽量火力は序盤の猛攻を凌ぐのに素晴らしい働きぶりをする。問題となるのは《熱烈の神、ハゾレト》への解答だ。そもそもこれに解答することは非常に困難だから、《ハゾレト》と《ラムナプの遺跡》に焼き尽くされる前にダメージレースを仕掛けなければならなくなる。すれ違いのダメージレースによって相手に引かせるカードを減らすことが根本的な対抗策と言えるだろうね。課題となるのは攻撃に回すクリーチャーと防御に回すクリーチャーのバランスだろう。
Out
-1 《暗記+記憶》
-2 《栄光をもたらすもの》

In
+1 《チャンドラの敗北》
+1 《削剥》
+1 《霊気圏の収集艇》

メインボードを過剰に抜きすぎないようにね。赤単は長期戦においても強く、デッキを軽量カードで固めてしまうと相手よりも勝ち筋が細くなって負けてしまうことがある。僕のルールとしては、5マナ域は最低3枚は確保しておくようにしているよ。


青黒コントロール

こちらが上手く噛み合っている時の青黒コンとのマッチアップはミッドレンジ対決のようなものだろうね。相手が《スカラベの神》を探すためにメインでタップアウトするくらいに相手を追い詰められれば何とかなるけど、《アズカンタの探索》がそれを容易に阻んでくる。早期に《アズカンタの探索》を貼られてしまうと、相手はゆったりとコントロールするだけで良くなり、ティムール側はお祈りしながらクリーチャーを出し続けるしかない。
取り敢えず相手には全体除去がほぼ無いので、《つむじ風の巨匠》は非常に頼もしい相棒となるよ。
Out
-4 《蓄霊稲妻》
-2 《マグマのしぶき》
-1 《削剥》
-1 《栄光をもたらすもの》

In
+1 《至高の意思》
+1 《天才の片鱗》
+1 《奔流の機械巨人》
+1 《慮外な押収》
+1 《反逆の先導者、チャンドラ》
+3 《否認》

僕達のデッキリストではこのマッチアップにおいて2つのアプローチがある。
一つ(恐らくこれが良い)はマーフォークやデルバーのように動くこと。最速でクリーチャーを着地させ、後はそれをカウンターで守っていくことだ。
もう一つはコントロールミラーマッチを挑むこと。この場合は《アズカンタの探索》対策として《自然への興味》も入れることになる。このプランを取る場合、出来る限りインスタントを構えられるようにし、相手の《天才の片鱗》はなんとしても打ち消すようにしたい。


青白副陽

このマッチアップのメイン戦を取ることは青黒コントロールのときよりも難しい。だけどサイド後は相性がかなり改善されるよ。相手の除去やフィニッシャーはどれも重く、カウンターが非常に刺さりやすいからね。
Out
-4 《蓄霊稲妻》
-2 《マグマのしぶき》
-1 《削剥》
-2 《慮外な押収》
-1 《つむじ風の巨匠》
-1 《本質の散乱》

In
+1 《至高の意思》
+1 《天才の片鱗》
+2 《奔流の機械巨人》
+2 《自然への興味》
+1 《反逆の先導者、チャンドラ》
+4 《否認》

《本質の散乱》をどうするかは中々興味深い判断となる。僕の経験では、青白副陽の全てとは言わないけど半数以上がサイド後に《奔流の機械巨人》を入れてくるんだ。《本質の散乱》を1枚は残しておくことが良いリスクヘッジになると思うね。

ここでの《つむじ風の巨匠》は《燻蒸》に対してとても弱い。
《残骸の漂着》を食らうことも念頭に置いておいたほうがよく、その場合は少ないリスクでより多くの基本土地を得られるようにしたい。サイド後なら土地が伸びることはこちらとしても美味しいことだからね。出来るだけ2番手のクリーチャー+ソプタートークン数体で殴るというアタックを仕掛けられると、相手は頭を抱えることになるだろう。


まだまだ先へ

ティムールがスタンダードのベストデッキであることは将来的にも疑う余地は無く、それは同時に最もメタられるデッキになるということだ。
だけどティムールが持つパーツ選択の柔軟さはその波に対しても一歩先を行くことが出来る。このイクサラン環境で勝ち抜きたいならば、ティムールをマスターすることをお薦めするよ!

コメント

かーむ
2017年10月16日10:37

翻訳ありがとうございます!!
いまティムール使ってるのでとても参考になりました!

先週末でまたメタが動き始めてるようですが、この記事を参考にもう少しいじってみようと思います。

ジュンペコ
2017年10月16日16:38

お金を払ってもいいレベルの仕事だな!
めっちゃ参考になったは^ - ^

いとだ
2017年10月17日22:12

ありがとうございます。
デュークとPGOメンバーに感謝!

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