デッキは前回と同じエスパー。
参加者52人6回戦+SE。
ニッサレッド ×◯◯ (1Gダブマリ)
エスパーミッド ×◯◯ (1Gダブマリ)
マルドゥグリーン ×× (1G勝ち確盤面を落とすなど)
マルドゥグリーン ×◯◯
ニッサレッド ◯◯ (1G遅刻ゲーロスの上マナフラの元締めさん相手に非常に消極的なプレイで無駄にワンチャンを与え続ける等)
ゴミID (この時点で8位)

ジュンペコニキの盛大なお叱りと巻き巻きさんの冷静な解説と国王の根拠の無い励ましを受けながら10位の人を全力で応援して勝利確認後に全力で呪い殺してたら6位抜け。

SE
カマキリカンパニー ◯◯ (2G致命的になりうるマナ払いミス)
マルドゥグリーン ◯◯ (2G割とどうでもいいミス)
ダークジェスカイ ◯◯ (1Gうまぶりっぽいことをしようとしてミス)

2回目の抜け。酷いミスばかりだったけど。

なんやかんやで春から就職のため東京に移ります(引っ越しは今週末)。最後の仙台大会で結果を残せて良かった。本当に運が良かった。
プレイヤーとしてもちょっとしたジャッジ業務でも様々な方のお世話になりました。
今後もグランプリ等のイベントで出会った時はよろしくお願いします。多分プレイヤーとして。
【レポ】(3/12)GPT@シングルスター
デッキはエスパーミッドレンジ。
空中生成+ロックブンがしたかっただけ。

36人6回戦+SE。
赤緑ランプ ◯◯
ラリー ×◯◯
ラリー ◯◯
ラリー ◯××
赤黒アグロ ◯◯
ID

4-1-1の5位抜け。

SE
バントCoCo ×◯×
対カンパニー系へのサイドボーディングが曖昧だった。次週まで煮詰めたい。
【レポ】(2/27)GPT@シングルスター
久々更新。
デッキは元々はバントカンパニーだったところにラリーや同型ダメージレースを見越して黒いやつを詰め込んだもの。

34人6回戦+SE。
赤黒ドラゴン ◯◯
グリーンマルドゥ ◯×◯
エスパードラゴン ×◯×
緑ランプ ◯◯
アブザンアグロ ×◯◯
ID

4-1-1の3位抜け。

SE
グリーンマルドゥ ×◯×

エスドラ戦も除去コン戦もやっぱデスミストの方が強いなと。一没botu。
TEMPO & CARD ADVANTAGE: A DELICATE BALANCE
Posted in Level One on November 17, 2014

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/tempo-card-advantage-delicate-balance-2014-11-17

http://nanonium.diarynote.jp/201603241701082532/
http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/


テンポとカードアドバンテージ。Level Oneで扱ったこれらの概念はゲームで最も直接的に影響を及ぼすものだ。マジックのセオリーを議論する中でも最も話題にされ、特に面白い部分でもある。しかしこの『暗号』……これら二つのリソースを扱うガイドラインは未だに誰にも明らかにされていない。プレイヤーにも、ライターにも、研究者にも。

テンポとカードアドバンテージは互いに拮抗しあうものだ。テンポを犠牲にしてカードアドバンテージを取ることもあれば、カードアドバンテージ(またはカードの質)を犠牲にしてテンポを取りにいくこともある。これらの交換はデッキ構築やプレイングに起因する。

この二つのリソース差を書き表し、あらゆる状況全てに適応できる方程式は無い。「ここのテンポはここのアドバンテージと等価交換云々」なんて言えたものではない!どちらがより大事であるか、ゲームの敗北を招きやすいのはどちらの不足かを明確にする事もできない。あなたがすべきことは、1つ1つのマッチアップでテンポとカードアドバンテージの価値がどのように変わっており、どちらに焦点を置くべきかを見極めることである。

さて、マジックの試合段階は2つに区分できる。『ゲーム前半』『ゲーム後半』だ。(語彙不足だけど)

ゲーム前半では、プレイヤーは手札は十分だがマナに限りがあり、盤面を取り合いながら優勢を競うことになる。テンポは確かなアドバンテージとなり、それがもたらすリターンは大きい。

ゲーム後半では状況は整理される。呪文や土地はプレイされ、どちらか一方の優位が築かれているか、対等のままでスローゲームになっているだろう。使えるマナはいくらでもあるがその消費手段は少ない。ゲーム後半にテンポアドバンテージを得ることは難しくなってくるんだ。

この二つの段階の期間と重要性は非常に流動的である。これを見極めるんだ!例えば、遅いことで有名な青白コントロール同型戦だと、ゲーム前半とはどちらかが一早くプレインズウォーカーをプレイすることに成功して、わずかながらのアドバンテージを得ることである。一方で超高速ウィニーミラーでは『ゲーム後半』になる前に勝負そのものがつく!このゲーム段階を見極め、どうプレイすればいいか把握することでカードの上手い使い方が出来ることだろう。



前半戦

前半は前に出るチャンスだ。素早く動いて相手を撹乱し、得たテンポアドバンテージを押し通す事ができれば勝利は簡単だ。大抵はクリーチャーやプレインズウォーカーがこの役目を担うだろう。

デッキが十分に早ければ前半だけでゲームを取りに行くことは容易だ。最も美しい終わり方は相手が持てるカードを全てプレイし切る前に削り切ることだが、前半に得たテンポアドバンテージは別の形となって後半戦でのアドバンテージに変わる。典型的な例はライフ総量だろう。

赤単は速いものだ。相手の初動を待たずして軽いクリーチャーを先に何体も展開する。このテンポアドバンテージは速やかに相手へのダメージに切り替わる。相手(あなたより遅いがカードパワーは高いデッキ)が《対立の終結》や《太陽の勇者、エルズペス》を展開出来るころになったら、ゲームは後半戦だ。相手のあらゆるカードはアドバンテージ源ではあるが、赤単が先に稼いだテンポアドバンテージは14-16点ものダメージに還元済みだろう。そうなったらあとはバーン呪文で相手を焼き切るだけである(いわゆる『リーチ』だ)。

ゲーム前半のテンポアドバンテージは適切な状況下ではカードアドバンテージに還元されることもある。例えば《歓楽者、ゼナゴス》のようなプレインズウォーカー。唱えるのが早ければ早いほど、それは毎ターン2/2サテュロスという形の確固たるカードアドバンテージをもたらしてくれる。後半になるころにはそのプレインズウォーカーは倒されてしまっているかもしれないが、彼はもう大量のダメージを与える形で仕事をこなしており、あなたは残りのライフを他のクリーチャーで削るだけで良い。クリーチャーにも似たような仕事をするものがある。トークンを出せる《ゴブリンの熟練扇動者》や手札を整える《ジェスカイの古老》などだ。

相手より早いデッキのゴールは、前半でテンポを得た後にそのアドバンテージを押し通すことだ。遅いデッキのゴールはペースを保ちつつ、ダメージ(ライフでも、ゲーム展開に関わることなら何でも)を抑え、早めにゲームを『後半戦』に移すことである。

同じ速度同士なら、先に動いた側が後々にアドバンテージを得ることになるだろう。後手で相手のプレイをただ真似るとまず負ける……劣勢で始まり劣勢に終わる。『サーブブレイク(※)』のためには、後手側ではリソースを交換し、ゲーム速度を落とし、相手と(出来るだけ)対等な状況で後半戦に移らなければならない。

※テニスにおいてレシーブをする側がゲームに勝つこと



後半戦

前半戦はマナの制限が焦点だった。手札はあっても場の土地は少なかったわけだが、後半戦ではその縛りが薄れると共に、より広い選択肢が取れるようになる。制限されるものはマナ(とテンポ)に代わってカードアドバンテージやライフ残量などへシフトしていく。

《時を越えた探索》や《苦々しい天啓》はとても質の良いアドバンテージをもたらしてくれる。前半戦ではボードを取るためにクリーチャーや除去のプレイに集中し、後半になってゲーム速度が落ちてからそういったアドバンテージ源となるカードを使うことで、それから得たリソースを思うがままに使うことが出来る。

大抵のデッキは後半になると手札を消費し、トップに頼らざるを得なくなる。自分の速度を落としてでも、持ちうるリソースを効率良く使いきらなければならない。前半では占術で土地や軽いカードをトップに置いてきたとしても、後半ではより持久力のあるカードを求めて同様に速度を落としてでも探しに行くだろう。

それではある2種類の呪文についてその特徴と、それらの使い方は前半戦と後半戦でどう変わってくるのかを見てみよう。



パーミッション呪文

《解消》のようなパーミッション呪文はテンポと大きな関係がある。あなたが盤面で対等かそれ以上に優勢である場合、パーミッション呪文は非常に有効な働きをする。一方、盤面を取られている時は状況を好転させる働きは中々してはくれない。

それにパーミッション呪文は何時でも使えるわけではない。《解消》を撃ちたいときはマナを構えなければならないし、相手が動いてきた時のみそのマナを《解消》へ注ぎ込む事ができる。

前半戦では一度《解消》を構えたら何が来てもカウンターするべきだ。それが想定より低い脅威であったとしても。そうしなければ、構えたマナは無駄になり、明確なテンポロスになってしまう。

逆の立場で、もし相手がカウンターを構えているようなマナの立たせ方をしてきた時は弱めのカードから使っていくのが良いだろう。相手にテンポロスとカウンター消費の2択を迫ることで、続けて強力なカードを通しに行くことが出来る。より良い手段としては、手札からカードを使う代わりに《ラクシャーサの死与え》のような起動型能力や長久・怪物化といった能力にマナを使うことで、相手にカウンター呪文自体を撃たせないというプレイングがある。

後半戦でのパーミッション呪文は少々違ったものになる。最もカウンターしたいカードがプレイされるまで他のカードをわざと通す選択肢が出てくるんだ。もちろんそれが最良であればの話だが。《火口の爪》X=10を回避するために《荒野の後継者》等を1度は通すといった具合だ。

ジェスカイ・ウィンズ - Ben Stark
プロツアー『タルキール覇王譚』

4 《溢れかえる岸辺》
4 《神秘の僧院》
4 《シヴの浅瀬》
2 《戦場の鍛冶場》
2 《島》
2 《平地》
2 《啓蒙の神殿》
2 《天啓の神殿》
1 《マナの合流点》
1 《山》

4 《道の探求者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《カマキリの乗り手》

4 《稲妻の一撃》
4 《マグマの噴流》
3 《無効化》
4 《ジェスカイの魔除け》
4 《かき立てる炎》
2 《龍語りのサルカン》
3 《時を越えた探索》

サイドボード
2 《無効》
2 《消去》
4 《停止の場》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《否認》
3 《オレスコスの王、ブリマーズ》

さて、Ben Starkのこのデッキは2つの異なる用途でパーミッション呪文を使うデッキの例だ。メインに《無効化》と、サイドに《軽蔑的な一撃》が積まれている。どちらも2マナのカウンターであるが、その役割は大きく異なっている。

《無効化》はジェスカイの弱点である2ターン目の動きを埋めるカードだ。Stark氏のプランは2枚目の土地を置き相手のあらゆるカードを《無効化》するというものなんだね。序盤に盤面を取られないためのテンポプレイであると言えるだろう。

サイドに取られた《軽蔑的な一撃》はその逆だ。ジェスカイは往々にして《包囲サイ》や《太陽の勇者、エルズペス》のようなダメージソースに対処しなければならないが、それらを消す《軽蔑的な一撃》は序盤を耐え忍んだ後の後半戦になってからようやく機能するカードだ。



バウンス呪文

バウンス呪文は強力なテンポカードである。前半戦のマナが制限されている状況において、クリーチャーをバウンスすることは相手のターンをスキップさせるようなものだ!

KTKリミテッドでよくある展開はこんなものだ。あなたは2マナ、3マナとクリーチャーをプレイし相手の初動は3マナクリーチャー。あなたはそれを《引き剥がし》でバウンスし、空の相手にダメージを叩き込む。相手は手札は一杯だが土地は3枚のみであり1アクションしか取れない。あなたの後続がしっかり来てくれれば、ゲームを取るのは容易だろう。

盤面を取ることで序盤に得たテンポアドバンテージを押し通す方法は、(他にやることがなければ)バウンスを撃つのが良い。つまり、まずクリーチャーをプレイし、他にプレイするクリーチャーが無くなった(あるいは2アクションとれる)ところで《引き剥がし》を撃つんだ。相手の初動クリーチャーをバウンスすることはゲームの終盤まで影響力を持つ。相手はカードをプレイする手順が1順ズレるからね。

してはいけないのは、相手の後続に対し《引き剥がし》を撃つことだ。相手は他にプレイするカードがなければバウンスされたクリーチャーを出し直すだけであり、あなたはほんの一瞬のテンポアドバンテージを得るだけだ。もちろんそのバウンスによる総攻撃で相手に致命打を与えられるならOKだが、通常は後半にバウンスを撃つことは悪手になりがちである。

殆どのバウンスはディスアドバンテージになるものだ。あなたは手札を消費するが相手のリソースを取り除いているわけではない。後半戦ではよりカードの損失に直結するため、《引き剥がし》をディスアドバンテージすることなく使う方法を探さなければならない。

分かりやすい例だと、オーラのついたクリーチャーをバウンスすることだろう。クリーチャーは戻ってもオーラは戻ってこないからだ。トークンをバウンスすることも同様にロスが無い。

そんな状況でなければ、耐えることが肝心だ!《引き剥がし》を温存することで除去から自分のクリーチャーを守ることも出来る。あなたの《ジェスカイの風物見》に相手が《大蛇の儀式》を撃ってきたのに対応して《引き剥がし》を撃つことで、少々のテンポロスと引き換えに相手の除去とバウンスを交換出来るわけだ。後半戦ではテンポよりもカードディスアドバンテージを如何にして避けるかがより重要となってくる。

《引き剥がし》は戦闘中でも有意な交換をしてくれる。相手の《熊の覚醒》に対応して《引き剥がし》を撃てれば、1:1交換に加えてライフを守ることにもなる!あなたの《氷河の忍び寄り》を相手が2体ブロックしてきたら、片方をバウンスすることで忍び寄りを守るどころかそのままブロッカーを排除できる!

まとめると、後半戦は『耐え』が焦点になる。前半戦は如何に速く展開して相手を追い詰めるかであったが、後半戦になると速度が落ち、耐えながらカードのベストな使い方を模索していくんだ。

マジックの試合は時に後半戦になる前から既に長期戦になることが運命付けられる。そのような試合ではカードアドバンテージを考えることは殆ど問題にはならないかもしれない。だがそうした試合の変化を見極めなければリソースを最大限に使うことは出来ないだろう。相手が辛抱強く、カードアドバンテージを入念に考慮してくる者だった時、あなたはよりディスアドバンテージをしやすくなってしまう。

マジックとは『順応』である。カードのベストな使い方は状況によって変わる。試合毎に何が重要になっているかを定め、それに沿ったプレイをしよう。
TEMPO
Posted in Level One on July 20, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/tempo-2015-07-20

http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/

今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。

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マジック以外で、僕の人生最大の楽しみの一つは音楽だ。小さい時から音楽を習っては来たけど、演奏するよりも聞くことに身を任せることが何より好きだ。

そんな僕が未だに習得していないスキルとはテンポ……どれくらいの速さで演奏するか、ということだ。僕は楽譜や先生、バンド仲間に一々注意を払うたちでは無くてね。ただマイペースに演奏したかったんだ。結局最後には自分の作る雑音自体に耐えられなくなって、音楽のプレイを諦めてマジックのプレイに再び勤しむことにしたわけだ。

僕はそんな過ちを二度と犯したくはない。だからマジックではテンポというものに深く敬意を払っている。マナやカードアドバンテージのように、テンポもまたリソースの一つだ。ただし、それら2つと違って簡単に「数えられる」ものではない。

テンポとはすなわち、盤面への参加状態である。あなたが相手と比較してどれくらいクリーチャー、土地、プレインズウォーカー、アーティファクト、エンチャントをコントロールしており、それらをどのようにして出したか。プレイヤー両者のペース差を表す概念だ。

リソースの面でテンポはマナと深い関係にあり、同様にライフ総量とも(常にではないが)関連する。カードアドバンテージの面では、時にアドバンテージを犠牲にしてテンポを得るか、或いはその逆かの選択をすることになる。例えば《運命編み》を唱えるとカードアドバンテージを得ることが出来るが、盤面の状況には干渉せずにターンを終えることになる。それはすなわちテンポを捨てたということだ。だがテンポアドバンテージを利用してカードアドバンテージを得ることも出来る。十分に盤面を制圧した状態で相手にチャンプブロックを強制させ、ライフを失う代わりにクリーチャーを失わせるようにね。

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マナを効率良く使おう

2週前はマナカーブの概念、様々なコストのカードをバランスよく入れることについて講義したね。マナカーブはテンポの点で重要となる。5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまい、1-4ターン目までのマナは無駄になる。相手が効率よくマナを使ってきたら盤面も、テンポも、ゲームそのものも落としてしまうだろう。

マナはリソースだ。だからそれを無駄にしてテンポを損なってはいけない。各ターンにマナを全て使わないことが多いようなら、それはデッキ構築とプレイングの両方に対する危険信号だ!

さて、相手が《前線の僧侶》を出してきたとする。あなたは2枚目の土地を置くが、プレイできるのは僧侶に対する《魂裂き》のみ……果たしてプレイすべきだろうか?

まあ、複雑な問題ではある。飛行クリーチャーに備えて《魂裂き》をキープしておくだとか、考えられる要素は様々だ。とはいえ、ここで最もテンポを得るプレイングは《魂裂き》をプレイすることだ。マナを効率よく消費し、盤面を取り戻せる。

もし手札に《骨読み》があって次のターンに唱える予定ならどうだろう。《魂裂き》を今プレイしなければ、次にプレイできるチャンスはずっと後になるか、はたまた《骨読み》自体のプレイを先送りする羽目になるかもしれない。呪文のプレイや展開が遅れれば遅れるほど、テンポはどんどん損なわれることになるんだ。それに《骨読み》をプレイした後は、引いてきたクリーチャーや呪文をプレイしに行くだろう。こんな時の《魂裂き》を唱えるチャンスはまさに今なんだ!



あなたの土地

テンポとは盤面を作ることであり、土地を置くことはその一環だ。土地を置くたびに、毎ターン使えるマナが1増える。だからゲームが進むほど各ターンの動きはよりパワフルになるし、テンポも一層激しくなる。同じ理由から、土地を1回置きそびれると大変悲惨なことにもなる。直近のテンポを失うばかりでなく、続くターンでテンポを取り戻す手段も厳しくなるわけだ。

《進化する未開地》で探す土地のように、タップインする土地もある。それらはプレイしたターンにはマナを供給せず、潜在的なテンポロスを抱えている。その代わり、例えば《進化する未開地》は普通に基本土地をプレイするよりも多様な動きができる。ちょうど足りてない色を探したりね。マナを使う必要が無い時の《進化する未開地》のような土地は長期的『投資』になるだろう。タップインランドを使うか否かはあなたのデッキプラン、すなわち最初のターンでのテンポロスに目をつぶれるかの問題になる。

では《葉光らせ》のようなカードはどうだろう?

《葉光らせ》は一旦プレイされれば土地として見ることが出来る。土地のように毎ターンマナを供給し、盤面に残ればそのまま相手にテンポ差を付けられる。ただし土地とは違って、それをプレイするためには予め別のマナが必要になる。繰り返しになるが、マナクリーチャーが噛み合うデッキもあればそうでないデッキもあることを忘れずに。



クリーチャーと主導権(イニシアチブ)

プレイヤーは常に2択を迫られる。能動的に動く(展開し、攻撃したりプランを進めたりする)か、受動的に動く(守り、相手の脅威に解答する)かだ。一番良いのは可能な限り能動的に動くことである。

能動的に動くプレイヤーが主導権を握る。ゲームのペースを自分のものにし、相手に受動的に動くことを強いる。

主導権を握ることは多くのアドバンテージをもたらすだろう。例えば相手に強烈なアタックを仕掛けることは、相手に反撃のチャンスを与えないことにつながる。守りに立つ必要が無いときは、ライフを気にすることもプレインズウォーカーを守る必要も無い。攻撃は最大の防御だ!

相手を守らせることは相手を追い込むことになる。例えば相手の重要なブロッカーを排除できれば大きなテンポとダメージを稼ぐ事ができるだろう。ブロッカーが生きていたとしても、アタックする側は大抵マナを戦闘中自由に使えるが、ブロックする側はブロッカーの展開等でタップアウトしているものだ。《剛力化》や《力強い跳躍》のようなコンバットトリックを最も上手く使えるだろうね。

クリーチャーは出たターンには攻撃できないから、攻撃したいプレイヤーにとっての初動は大事になる。逆に守りに重きをおく(相手と同等のテンポであれば良い)プレイヤーによってクリーチャーは場に出るだけでテンポを作る。なので戦場に出た時の誘発型能力や速攻のような能力はテンポの面で大変素晴らしい働きをすることになる。

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除去と除去(仮)

除去呪文はテンポアドバンテージを得る素晴らしい手段だ。相手のブロッカーを排除して攻撃を続行したり、アタッカーを排除してミスの要因を減らしつつ自身を守ったり出来る。

《不浄な飢え》はシンプルでまごうことなき除去呪文だ。相手がクリーチャーを出し、あなたが返しの自分のターンでそのまま《不浄な飢え》を撃ったなら、テンポアドバンテージを得ることはおそらく出来ないだろう(もちろん1:1交換なのでカードアドバンテージも得てはいない)。

《不浄な飢え》の欠点はそのコストの重さにある。

軽いクリーチャーを大量に展開し、相手がその全てに解答する前に勝利することは完璧なテンポ重視戦略と言える。《不浄な飢え》は5マナであり、そんな戦略相手には2マナ3マナのクリーチャーと交換したところでどうしようもないだろう。

軽めのクリーチャーを積むことはカードパワーの低下を招き、相手と対等な勝負が出来なくなるが、そんな勝負をする必要はない!もし5ターン目までに4,5体ものクリーチャーを展開し、相手がその1体に《不浄な飢え》を撃ってきたとしても、既にテンポは十分取っているからそのまま押しきれるだろう。一旦テンポを取ってしまえば、状況が一変しないかぎりアドバンテージを別な形で得ることが出来るんだ。この例では残りのクリーチャーによる膨大なダメージでね。

より除去が効果的な場面を考えてみよう。あなたはテンポを確立し《不浄な飢え》を持っているとする。早めに展開した軽量クリーチャー達で盤面も十分だ。崖っぷちの相手は《永遠警備の歩哨》をプレイし、盤面とライフの両方を守りに来た。あなたは返しでそれを除去し、全てのクリーチャーでフルアタック出来る。

これはテンポアドバンテージを守る(押し通す)完璧な例だ。言い換えると、先に得たテンポを確実なアドバンテージへつなげるということだ。相手が守りに入っている時はいかに自分のテンポアドバンテージを利用するかが鍵となる。除去呪文はテンポアドバンテージを押し通す素晴らしい方法だ。クリーチャーと違って速やかに盤面に効果を発揮してくれる。

《不浄な飢え》は1:1交換のためカードアドバンテージはもたらさない。《分散》のようなバウンス呪文はディスアドバンテージにすらなる。バウンスはカードを消費する一方、相手に戻ったクリーチャーはゲーム内で再び使えるリソースであり続けるのだ。しかし《分散》も《不浄な飢え》も時に全く同じ効果を盤面に与える。《分散》は2マナと軽く、テンポ重視のプランならより強力なツールになるだろう……もちろんカードアドバンテージと引き換えに。

あなたには4体のクリーチャー、相手には《永遠警備の歩哨》1体の時に《不浄な飢え》と《分散》がもたらす効果は同じだ。どちらも勝利につながる!《永遠警備の歩哨》が相手の墓地ではなく手札にあろうと、勝ってしまえば関係ない。そうでなければ相手は再び6マナ(多分そのターン使える全てのマナ)を使って歩哨を出し、それ以外のカードを負ける前に使い切れるか次第になるだろう。

今はもう廃れたが、昔のカードアドバンテージの基準は、敗北したプレイヤーの手札に残っているカード枚数だったくらいだ!

バウンス呪文が効果を発揮する状況は3つだ。1つ、既に取ったテンポアドバンテージを押し通すとき(テンポアドバンテージを利用して相手のライフを攻めることでアドバンテージを確立する)。2つ、相手の(例えば)6マナクリーチャーをバウンスし、相手にもう一度《永遠警備の歩哨》を出させることでこちらが使ったマナ以上のマナを相手に費やさせるとき(こちらは余ったマナで追加のクリーチャーを展開し更にテンポアドバンテージを取れる)。3つ、相手が手札を大量に抱えながらもマナが足りなくて全て消化しきれていない時(相手は更にマナを必要とするカードを抱えることになる)。

テンポの価値がゲーム展開に及ぼす影響を理解するのは難しい。故にテンポはマジックにおける重要な概念の一つになっている。プレイヤーが両者ともテンポアドバンテージを押し通す事ができない状況はいくらでもある。例えばお互いにクリーチャーが並んでどちらも有効なアタックがしにくい時。あるいはロングゲームになってどちらもマナが大量にあり、テンポアドの意味が薄れている時だ。相手の《永遠警備の歩哨》に《分散》を撃ってもアタックに行けなかったら?相手は返しに十分なマナから歩哨を出し直す。バウンスした瞬間は一時的なテンポアドバンテージを取りはするが、あなたはそのアドバンテージを押し通すことが出来ない。最終的に状況は元に戻る……あなたが《分散》を失ったことを除いて。

このような状況の時はテンポの面から一旦離れて、カードアドバンテージ等へ目を向けたほうがいいだろう。

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テンポはたった1ターン後でさえもゲーム展開を左右する。テンポを得ることは素晴らしいアドバンテージをもたらしうるが、時にはそれ以外の側面に目を向けることも必要となる。この両方を覚えておこう。
ATTACKING AND BLOCKING
Posted in Level One on July 27, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/attacking-and-blocking-2015-07-27

http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/

今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。

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読者諸君、この数週は基礎的でつまらない記事によく耐えてきた!だがマナベースの構築を覚えただけでは、あなたはまだマジックというものを完全に学んではいない。『ターミネーター』をラブストーリーとしては見に行かないだろう?さあ、ここからはアクションシーンの時間だ。この記事がLevel Oneにとっての銃撃戦であり、カーチェイスであり、爆発シーンとなる!

戦闘だ!

安っぽいアクション映画は時間の無駄に思うかな?(僕は好きだ!) 戦いや追跡シーンは映画の本筋には関わらない?だけど同じことをマジックに言ってはいけないよ。確かに基礎をマスターするのは重要だ。だが時には戦闘をしなければならず、それを完遂しなければ何にもならない。マジックとは結局、目の前にいる対戦相手を蹴散らすのが全てなんだ。

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クリーチャーで戦おう

最初に覚えておきたいのは、常に受けよりも攻めに回るべしということだ。

戦闘で極端に受動的になってしまうのはよくあるミスだ。今戦闘に参加すべきでないのはどのクリーチャーか?戦闘には常にある種の恐怖がつきまとう。アタックしたらクリーチャーを失ってしまうのではないか?ブロックして相手がコンバットトリックを持っていたら?でもブロックしないとライフが危険水域になってしまう……こんな感じでね。
だが勝つためには大胆に行かなければならない。クリーチャーを戦闘に参加させていかないと彼らの価値はまさに《垂直落下》してしまう。

よくある例を出そう。あなたが《絡み爪のイトグモ》をコントロールしているにもかかわらず相手は《前線の僧侶》でアタックしてきた。もしかしたら相手は《力強い跳躍》を構えているかもしれないし、ブロックされた後に《焦熱の衝動》を撃ちこんでくるかもしれない。だけど防御的なカードである《絡み爪のイトグモ》をデッキに入れているのは何のためだろう?もちろんブロックするためだ!ブロックしてクリーチャーを失う羽目にはなるかもしれないが、それを恐れていつまでもブロックしなかったら元も子もない!本当に特別な理由がない限りは、こんなシチュエーションではブロックしに行った方が良いんだ。

極端に受けに回ることは適当にプレイすることと同様にしてはいけない!

お互いに1体づつのクリーチャーがいるなら、まずはアタックしよう。そしてそうされたら、可能な限りブロックしよう。

相手が《ドゥイネンの精鋭》でアタックしてきて、その時あなたも《ドゥイネンの精鋭》をコントロールしていたとする。これはブロックしに行くべきであり、そうすることで平等な交換をしつつ2点のライフを守ることが出来る。返しに反撃するためにブロックしない事もできるが、相手がより大きいクリーチャーを出してきたらどうする?何事も無く交換が終わっても攻撃される側であるかぎりあなたはビハインドを背負っていることになるんだ。

クリーチャーは、『毎ターン』戦闘に参加できるという事自体に価値があると言える。もしあなたが《ドゥイネンの精鋭》をアタックにもブロックにも回さなかったら各ターン毎にその価値を捨ててしまっていることになるんだ。ブロックせずに反撃しようとすることも、それは半ターン分の価値を無駄にしている。(マジックにおいてプレイヤーは互いにターン数を共有してはおらず、後手の時に相手の行動と同じことをするのは大抵負けに繋がる)
相手の《ドゥイネンの精鋭》がアタックしてきたら《ドゥイネンの精鋭》でブロックが板だ。

では逆の状況の時、どうしてアタックしに行くべきだと思う?それはつまりね……相手はブロックしないかもしれないからだ。相手は《大群の力》を怖がるかもしれないし、単純にミスるかもしれない。例え10回中9回はブロックされるとしても、残りの1回はタダでダメージを与えられるわけだ。こうした『殴り得』な機会を常に逃さないようにすることで、長期スパンでは勝つ試合をきっと増やせるだろう。

より現実的な話をすると、《ドゥイネンの精鋭》といったカードは試合の何処かで結局交換材料にされる。そういった交換は早めにやっておかないと、後々ミスの素になってしまう。アタックせずにターンを返したら、きっと相手はアタックしてくるからそれをブロックする……ブロックすること自体は正解だが、その前がミスそのものだ。それこそもし相手が《大群の力》を持っていたらどうする?あるいは除去によってそのブロッカーが排除されてしまったら?

時には交換を行わないシチュエーションもある。《ジョラーガの祈祷》を持っているからそれに備えて残しておくといった具合だ。そうでなければ、相手にいいようにされない内にこうした交換を行っていこう。

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ブラフ

ブラフがマジックに占める割合はそう多くはない。ただカードを実直にプレイし相手を誤魔化さなくても上手くいくものだ。とはいえ、出来るときにしない理由はないよね?

最もよくあるブラフは、ゲームの序盤に自分の小さいクリーチャーで相手の大きなクリーチャーにアタックしに行くというものだ。僕が《森林群れの狼》で《キテオンの不正規軍》めがけてアタックしてきたらさてどうしよう?まあ僕は《剛力化》を持ってない限りそんなアタックはしないだろう。だが或いは……?

このシチュエーションにおける明確な答えは無い。それこそがポイントだ。どちらのプレイヤーもリスクとリターンを考えると共に、相手がいかに大胆不敵かを見極めようとする。

では手札には何もコンバットトリックを抱えていない時の僕の立場で考えてみよう。ブラフが失敗して《森林群れの狼》を失うことの損失はどれくらいだろう?果たしてそのアタックは成功して2点のダメージを与える価値に見合っているだろうか?あなたがブロックしてくる確率は?

今度はあなたの立場で考えよう。《キテオンの不正規軍》という強力なカードが今後のゲーム展開でもたらす恩恵はどれだけあるだろう?この戦闘でそれが倒されても問題ないのだろうか?それともそれを見越してのブラフなのか?

簡単な答えはない。僕からアドバイスできることは経験に基づくセオリーの断片だけだ。

大抵そのアタックはブラフではないし、大抵はブロックしないほうがいい。

僕が初対面の対戦相手と同じシチュエーションに出くわしたとしたら、《剛力化》を見越して《キテオンの不正規軍》でブロックはしないだろう。問題となるのは逆の立場の時だ。もしリスクを取らずとも勝利できそうな強力なカードを持っていたら、多分ブラフ攻撃はしない。逆に試合が僅差になりそうで、何処かでダメージを稼いでおく必要があるならアタックしに行くだろう。そしてもし相手がブロックしてきたら「マジかー」ってぼやくだろうね。


セミブラフ

プレッシャーのかかる試合では、サイズの小さいクリーチャーで大きなクリーチャーにアタックしに行くなんてあからさまなブラフは憚られる。しかしプレイヤーがよくやるのはセミブラフだ。相手がブロックしないことを願ってアタックし、ブロックされても大きな痛手にはならないこと、それがセミブラフである。

《ドゥイネンの精鋭》で相手のそれにアタックしに行くのもセミブラフだ。相手がブロックせず2点を受けてくれれば良し。もしブロックしてきたら……ふーんなるほど、互いにパワーの同じクリーチャーを交換することになった。遅かれ早かれいずれは行うであろう交換を。

あるいは止めの火力でブロッカーを除去できるかもしれない。《森林群れの狼》で《勇者の守護神》めがけてアタックし相手がブロックしてきたら、天に召される哀れな狼への慰めに《焦熱の衝動》で《勇者の守護神》も道連れにさせてやろう。あまり良い交換ではないが、負けに直結する程ではないだろうしね。

時にはコンバットトリックでバックアップすることもできる。他にマナを使う予定があってもね。本当は《ロウクスのやっかいもの》を展開しに行きたいけど、相手が《勇者の守護神》で《森林群れの狼》をブロックしてきたなら《剛力化》で守ると同時に除去することが出来る!……《ロウクスのやっかいもの》は1ターン待つ必要があるけど。付け加えておくと、相手が展開よりもコンバットトリックを最優先に使おうとしている状況とはすなわち、あなたは受けの側にいるということになる。

具体的な例は置いておくとして、ブラフとセミブラフの概念を知っておくことでクリーチャーをよりアグレッシブに使っていけるだろう。アグレッシブにアタックするたび、相手がブロックしないチャンスが生まれる。そしてアグレッシブにブロックするたび、相手のブラフやセミブラフを看破するチャンスが出来る。


戦闘フェイズ

《剛力化》《力強い跳躍》《大群の力》……コンバットトリックは撃つタイミングが非常に重要だ。タイミングを見誤ることは致命的にもなりうる。逆にここぞという時まで隠し通すことが出来た時のリターンは計り知れない。この点を中心に、戦闘フェイズで起こることについて話そう。

この記事まで読み進めてくれているということは、もう基礎に関する部分は受講済みだろう。だが『悪魔は細部に宿る』。まずはその点について触れていこう。

優先権を持っているということはすなわち行動できるということだ……何かしてもいいし、しなくてもいい。簡単に説明すると、何か(呪文キャスト、能力起動、アタック指定、ブロック指定、ターンステップの移行)が起こった時、それぞれのプレイヤーは優先権を得る。両者とも(スタックが空になるまで)何もしなければ、ターンステップは進み再び同じ流れとなる。優先権を持っている時の殆どは何もしないだろうし、特に優先権のパスを事細かに行わなければゲームはテンポよく進行する。自分がいつ優先権を得るのか、そしてスタックが混雑している時にそれがどう解決されていくのか、これらを覚えておくことは単純に役立つだろう。

ここで重要な事は、相手がドローし、土地を置き、「ゴー」と言ったら、相手は残りのそのターンをスキップしたことになるが、厳密にはアップキープ・戦闘フェイズ・終了フェイズはそれぞれ発生しているので、あなたは好きなタイミングで行動を起こせるということだ。最も簡潔にターンが終了しても、その間では優先権が何回も何回も発生している。それ自体はどちらかが行動を起こすまで問題にならないけど。

現在のターンプレイヤーを『アクティブプレイヤー』と呼ぶ。各ステップやフェイズの最初にアクティブプレイヤーは優先権を得る。アクティブプレイヤーが何もしなければノンアクティブプレイヤーに優先権が回り、ノンアクティブプレイヤーも何もしなければターンは次のステップやフェイズに移行する。(呪文や能力を起動した直後でも、そのプレイヤーがまず初めに優先権を得る。そのため特殊なケースではあるが、例えあなたがアクティブプレイヤーで無くても自分自身の行動に対しまず先に『対応』することが出来る。)

戦闘フェイズの各ステップは次のとおりだ。
戦闘開始ステップ

アクティブプレイヤーはメインフェイズを終え、土地はもう置けないしインスタント以外のカードのプレイも出来ない。《眠りへの誘い》のようなスペルで相手のクリーチャーをタップさせられるタイミングはここまでである。

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攻撃クリーチャー指定ステップ

まずアクティブプレイヤーが攻撃クリーチャーを指定し、タップする。優先権はまだ発生せず、相手の攻撃を止めることは出来ない。《跳ねる混成体》のような瞬速クリーチャーで突然のブロッカーを用意するのはこのステップになる。

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ブロック・クリーチャー指定ステップ

まずノンアクティブプレイヤーがブロッカーを指定する。指定が終わるとアクティブプレイヤーが優先権を先に得るので、ここが《剛力化》のようなコンバットトリックを撃てるタイミングになる。アクティブプレイヤーが何らかの行動を起こすなりして、解決のために優先権をパスしたら、ノンアクティブプレイヤーは『対応』してコンバットトリックや《迅速な報い》などの除去を撃てるようになる。ノンアクティブプレイヤーが『対応』した場合は、再びアクティブプレイヤーに優先権が回り更に『対応』でき、どちらかが何もしなくなるまでこの応酬は続く。

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戦闘ダメージステップ

戦闘ダメージが与えられる。ライフも増減し、死亡するクリーチャーは墓地に置かれる。その後で、与ダメージや死亡によって誘発する能力がスタックに置かれる。

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戦闘終了ステップ

戦闘が終わる前に行動できる最後のチャンスがここである。まあここで何かをするのは滅多にないだろうが。

各ステップをまともに全て消化していくなんてことをしていては、ゲームは遅延するし退屈極まりないが、その代わりに各ステップの流れを押さえておけばその都度応用をきかせる事ができるだろう。戦闘が複雑になっている時は速度を落として、プレイヤーそれぞれにいつ・何が起こるのか把握するよう努めよう。

ここで大事なポイントは、アクティブプレイヤーがまず先に動かなければならないということだ。もしアクティブプレイヤーが優先権をパスし、ノンアクティブプレイヤーもパスしたら、アクティブプレイヤーが《剛力化》を唱えるチャンスはもう無いんだ。故に最後に行動できるというのはノンアクティブプレイヤーが持つアドバンテージの一つだ。相手が何をしたいのか知り得た状態で行動できるんだからね。

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コンバットトリック

コンバットトリックは非常に有用なツールになりうるが、使い所を間違えないことだ。上手く使えた時のアドバンテージは莫大なものになるが、間違えた時のリスクも甚だしい。

相手の土地がたくさん立っている時はコンバットトリックを使うことは最小限にとどめよう。《闇の試み》を唱えようとしたら対応して《不浄な飢え》を撃たれた場合、状況は一気に暗転することになる。相手は1:2交換に加えて、除去をしながらあなたのマナを無駄にさせるというテンポアドバンテージも得るのだ。

自分の目的を達成させた時のコンバットトリックは優秀だが、使うことを相手に強制された時のリスクは計り知れない。

そのため、コンバットトリックを使うことを前提にしたブロックは控えるべきだろう。相手のマナは立っているだろうからね。相手がタップアウト(土地が全てタップ状態)ならば《剛力化》は素晴らしい仕事をするだろうが、そうでない時は相手の除去がないことを祈りながら撃つ羽目になる……それは大変好ましくはない。

お互いの土地が立っておりいつでもコンバットトリックを撃てる状況にあるときは最も慎重に戦闘を行わなければならない。今一度、最初に行動しなければならないのはアクティブプレイヤーであることを確認しておこう。最も行動前に情報を把握できるノンアクティブプレイヤーが有利にある。

コンバットトリックが内包するもう一つのリスクは、あなたがそれを撃つクリーチャーを持っていない時だ。デッキには常に十分なクリーチャーを入れよう。クリーチャーは引き過ぎるなんてことはないが、逆に引けない時の恐ろしさは分かるだろう?クリーチャーを引けなかったり、引いても相手に処理されてしまった時のコンバットトリックカードはただただ腐ってしまう。

良い手札に1枚のコンバットトリックというのはまさに完璧な使い方ができるだろう。しかし微妙な手札に何枚もコンバットトリックがあるときは、あまり良くない状況であってもそれを使わざるを得なくなる。

そうしたシチュエーションを避けるためにもコンバットトリックを積む際はよく検討しよう。コンバットトリックは積めば積むほど、それを微妙な時に使わざるを得ない機会も増えることになる。オリジンのコンバットトリックには強力なものも多いね。ドラフトでアグレッシブ緑白を組めた時はコンバットトリックを4枚くらい積んでもいいかもしれない。但し殆どのリミテッドデッキにおいては、コンバットトリックを3枚以上積むことには注意が必要だ。

戦闘ではクリーチャーをアグレッシブに使っていこう。クリーチャーはまさにそのために存在するのだ!コンバットトリックは安全かつ効果的に使おう。そして相手には使うことを強制させてやろう。《迅速な報い》や《不浄な飢え》を構えながらね。戦闘をマスターすることの恩恵とはすなわち、相手よりもクリーチャーや呪文の価値を高めることだ。戦闘で気持よく勝負を決めに行こう!
THE BASICS OF CARD ADVANTAGE
Posted in Level One on July 13, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/basics-card-advantage-2015-07-13

http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/

今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。


スペルのコスト

先週の講義で、マナとはマジックの根本的なリソースだと表現したのを覚えているかな。ゲーム内である効果を必要としたら、そのために必要なマナを揃え、望みのスペルを唱えることが必要だ。これは全くもって単純なことだが、それは呪文のキャストに限った話ではない。
ここでちょっと次のカードを考えてみよう。

絡み爪のイトグモ (2)(緑)
クリーチャー — 蜘蛛(Spider)
到達(このクリーチャーは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)
1/4

蜘蛛の網のマントル (1)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+1/+3の修整を受けるとともに到達を持つ。(それは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)

ふいごトカゲ (赤)
クリーチャー — トカゲ(Lizard)
(1)(赤):ふいごトカゲはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
1/1

あなたは相手の飛行をブロックしたい。そこで《絡み爪のイトグモ》を出してもいいし、《蜘蛛の網のマントル》を例えば《ふいごトカゲ》に付けて同じ役割のクリーチャーを作ってもいい。両方とも3マナを払い、タフネス4で到達持ちのクリーチャーを出している。《ふいごトカゲ》に至っては2マナのパンプアップ能力も備えている!支払ったマナの観点のみで見ると、《絡み爪のイトグモ》を出す方は非常に見劣りするだろう。

だが、実際は《絡み爪のイトグモ》を出す方がより効率が良い。そもそも《ふいごトカゲ》や《蜘蛛の網のマントル》はマジックでは弱い部類のカードにあたる。確かにマナ(マジックの根本的リソースである)の観点では、この2つの選択はどちらも同じコストだ。それでも他の根本的リソースの点では、これらの選択肢は大いに異なるんだ。

すなわち、《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイすることは手札から2枚のカードを消費する。一方で《絡み爪のイトグモ》のプレイで消費する手札は1枚にすぎない。

マジックは7枚の初手からスタートし、カードを毎ターン1枚引く。これはマジックであなたが為すべきプレイングに大きな制約をかける。もし僕が《ふいごトカゲ》と《蜘蛛の網のマントル》をプレイし、あなたが《絡み爪のイトグモ》をプレイしたなら、同じ3マナでもあなたの方が僕よりも有利に立つだろう。どちらも効果的なブロッカーを出しているものの、あなたの方が1枚多く手札を温存出来ており、そのおかげで後のゲームでより多くの選択肢をもたらしてくれるだろうからね。



カード・アドバンテージ

カードをリソースとして捉えられないのは軽率だ。それでは呪文を浪費し、すぐに使い果たしてしまうだろう。そうなると後はトップに祈ることしか出来なくなる。逆にカードをリソースとして丁寧に使用すれば、カード1枚1枚の力を最大限に発揮させ、勝利をつかむことが出来るだろう。

カードアドバンテージとはおそらく競技マジックにおける唯一無二にして最も重要な概念だ。試合中のあらゆるプレイングはその思考の過程の中でこのカードアドバンテージの下に決定されている。

この言葉はほぼマジックの誕生と同時に生まれてきたものだ。生みの親であるEric Taylorはこう定義している。「カードアドバンテージとは、プレイヤーがより多くの効果的なカードを対戦相手よりも得ることである」

この定義ではいまいちピンとこないかもしれない……それはカードアドバンテージが様々な形態を取り得るためだ。
では簡単な例から見てみよう。

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追加のカードを引く

これはカードアドバンテージが取る一つの単純な形だ。あなたが《運命編み》を唱えれば2枚のカードを引く。忘れてはならないのが、そのドロー呪文自体は手札から1枚カードを消費しているということだ。《運命編み》がもたらす追加のカードは1枚分である。《ジェイムデ―秘本》は毎ターン追加のカードをくれるが、これもその本体として1枚のカードを必要としている。これを4回起動した時、あなたが得るアドバンテージは3枚分である。これらのカードは確固たるカードアドバンテージを生み出す典型だ。

もし呪文があなたにカードを1枚引かせること以外に何もしなかった場合、それはすなわちカードアドバンテージをもたらしてはいないことに注意しておこう。例えば《闇の試み》でクリーチャーを守ることが出来なくてもそれは1枚のカードを引かせてはくれるが、あなたはカードを1枚消費し1枚引いたことになる。つまりアドバンテージを得てはいないのだ。

《骨読み》は《運命編み》と似た効果だが、2点のライフコストと占術2が付いている。ライフを失うことと占術はどちらも重要な要素だが、これらを直接比較することは難しい。カードアドバンテージの点では《骨読み》は同じく1枚分のアドバンテージをもたらすが、それまでの過程は個別に考えるべきだろう。

それにカードアドバンテージとはあなたの手札枚数だけに留まらない。盤面にパーマネントを追加することもカードアドバンテージと言える。

ただカードを1枚引くだけではアドバンテージになっていないが、例えば《塔の霊》では話が変わってくる。1枚の追加のカードに加えて盤面にクリーチャーを展開できている。すなわち《運命編み》のように1枚分のカードアドバンテージを得ているんだ。2/2飛行を展開するとともに手札の枚数はそのままを維持できているなんて!

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対戦相手のカードを減らす

定義上、アドバンテージという言葉は対戦相手と比較した時のあなたの状態に働きかける。すなわち対戦相手と比較した際のアドバンテージというものもあるんだ。

《精神腐敗》で対戦相手の手札を2枚落としたとする。呪文を唱える常として、あなたは1枚分の手札を消費した。しかしそのおかげで相手は2枚の手札を失った。あなたと相手は両者とも手札を減らしたが、カードアドバンテージはその比較になる。相手はあなたよりも1枚多くカードを失っており、すなわちあなたは1枚分のカードアドバンテージを『得た』のだ。

アドバンテージの点では相手のパーマネントを攻めることは手札を攻めることに等しい。例えば《衰滅》は相手のクリーチャーを複数同時に処理する効果を持っている。もし相手が3体のクリーチャーを失いあなたもまた1体失ったならば、あなたは2枚分のカード(《衰滅》とそのクリーチャー)を消費し、相手は3枚を失ったことになる。やはりここであなたは1枚分のアドバンテージを得ている。

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質的アドバンテージ

上記のようなカードアドバンテージの数え方はシンプルであると同時に役立ち、すぐにでも活用できる。しかしながら、これだけではマジックの試合の成り行きを語り尽くすことはまず出来ない。

厳密な定義で考えてみよう。《ドラゴンの餌》は2体のクリーチャーを産み出してくれるから、1:2のアドバンテージと見なせるかもしれない。確かに僕が2体の《ふいごトカゲ》でアタックし、あなたがそのゴブリントークン2体でブロックしたならば、僕がカードを2枚消費したことでそれは明確にアドバンテージと見なせるだろう。

だが、この考え方の欠陥は《ドラゴンの餌》と《血の儀式の司祭》を同じアドバンテージとしてカウントできてしまうことにある。

どちらも2体のクリーチャーを生み出すから1枚で2枚分と数えられる。しかし対戦相手である僕が《血の儀式の司祭》を出した瞬間、2/2のクリーチャー1体だけであなたのゴブリントークン達はもはやアタックできなくなっていることが分かるだろうか?そして僕が5/5飛行デーモンだけでゲームを決めるであろうことも。

実戦では、あるカードが効果的に働く一方で別のカードはそうはならない。上記のように《ドラゴンの餌》のような(あるいは不幸にも結果的に試合結果を変えてしまう)カードをカードアドバンテージとしてカウントすることは間違いになることがある。その代わり、価値を定めることが難しいこの『質的アドバンテージ』を考えることは、マジックのカードがどれも同じ価値ではないこと、あるいは時に同じであることを理解するのに繋がる。

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死に札・腐らせるということ

マナフラにイカれたことのある人なら誰でも分かっていることだが、マジックではそれ以上土地を引くことに意味が無くなる状況が起こり得る。必要なプレイをするために十分な土地が揃っている時に引いてくる追加の土地はもはやゲームには全く影響を及ぼさない。

質的アドバンテージを得る方法の一つに、相手のカードを腐らせる、死に札にさせるということがある。これは難しそうに思えるかもしれないが、この記事を読んでいるあなたはきっと既にそれをやったことがあるだろう。デカいクリーチャーを出して相手の小さなクリーチャーを止めること、それだ!

ひとたび《ファリカの信奉者》を出してしまえば相手は1/1や2/2ではアタックできなくなってしまう。つまり《ファリカの信奉者》が相手の小粒を全て腐らせているということになる。これは質的アドバンテージとも見れる。

相手が《精神腐敗》や《夜の罠》をデッキに入れているなら、手札を使い切るという戦略が有効に働く。そうしてしまえば相手がそのうち引いてきたそれらのカードを腐らせられるだろう。

デッキ構築中にも同じことが出来る。《粉々》を警戒したいならデッキからアーティファクトを全部抜いてしまえばいい。それだけで途端に《粉々》は死に札だ!

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死に札のリスクを減らす

一方で、死に札を避けたり、死にそうなカードの使い道を見つけることで質的アドバンテージを得ることも可能だ。

ゲームがズルズルと長引いている時。そうだね、例えば15ターン目でも20ターン目でもいい。どちらのプレイヤーも土地を並ぶに並べ、最早完全に死に札になっている。Johnnyはその後も引き込む土地に頭を抱えているが、Jennyは《印章持ちのヒトデ》の占術によっていらない土地や弱いカードをボトムに送り、より効果的なカードを引こうとしている。

この例では《印章持ちのヒトデ》は定義的にはJennyに何のカードアドバンテージももたらしてはおらず、単に次に引くカードを変えているだけだ。それでもこれは死に札を避けることで質的アドバンテージをもたらしていると見れる。

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弱いカード・強烈なカード

あるカードがあるカードよりも格上である、と言っただけではマジックの試合というものをチラッと覗いただけに過ぎない。《ふいごトカゲ》は殆どあらゆるカードの下位に属する一例だ。すなわち《ふいごトカゲ》は『弱いカード』にあたる。マナコストは安いが、大抵は横に追いやられてしまうからだ。

定義的な観点では《ドラゴンの餌》は2枚分の効果だ。しかし一方が《ドラゴンの餌》をプレイしもう一方が《シヴ山のドラゴン》をプレイしたら、果たしてどちらが勝つだろうかな?この例で《シヴ山のドラゴン》は『強烈なカード』と言える。ゲームの流れが不明瞭なところに登場することで速やかにゲームを決めてしまえるカードだ。

強烈なカードに重きを置くこともまた、質的アドバンテージを稼ぐ手段になる。

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カードアドバンテージを稼ぐのが上手いプレイヤーが常に勝利するわけではない。相手の場に《シヴ山のドラゴン》がいる状況で《運命編み》をひたすらプレイし続けるプレイヤーが《ふいごトカゲ》と《ドラゴンの餌》しか引かなかったら、アドバンテージなんてものは全く意味を成さない。

重要なのは、カードアドバンテージの裏に隠れた論理を理解し、単純な交換を行う中でアドバンテージを数えられるようになることだ。しかし時には枚数より質的アドバンテージがより重要になっていることを認識することも必要となる。

競技マジックは大抵余裕の無い鮮烈な試合となる。2:1交換によるアドバンテージや相手のカードを腐らせることで得た僅かなリソースが勝敗を簡単に分けたりする。カードアドバンテージは試合プランや論理を考える核に位置づけられるものだ。今後、このLevel Oneを読む際にはこの概念に何度も出会うことだろう。ひとまず今日の所は、これがあなたにとって有益なイントロになることを……復習組の人にはより深い概念になることを……願うとしよう。
THE BASICS OF MANA
Posted in Level One on July 6, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/basics-mana-2015-07-06

http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/
http://nanonium.diarynote.jp/201512070659241659/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/

今後数週間に渡って、Reidが以前書かれたマジックの基礎に関わる記事をマジックオリジンに合わせて改訂したものを公開します。これらの記事はマジックを学ぶ重要な内容となっており、マジックプレイヤーに新たなウェーブをもたらしてくれることでしょう。ご堪能ください。

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どのマジックプレイヤーも試合は同じ流れでスタートする。土地を置くことからだ。マナとはマジックの根本的なリソースの一つであり、これが無ければゲームを始めることなどできない。

マナは試合の中心に位置するが、その重要性は試合を始める前から既に影響し始めている。すなわち、マナはデッキ構築の重要な鍵でもある。適切なマナが無ければ呪文を唱えることはできないし、デッキのマナベースが適切であって初めてクリーチャーや呪文を積むことが出来るんだ。



マナベース

マナベースとは土地と、マナを生み出すカード(《葉光らせ》や《ニッサの巡礼》)のことだ。マナベースはシンプルに(リミテッドの白単なら平地17枚で)作ることもできれば、非常に複雑にもなる。多色のカードを使う場合、様々な多色土地に加えてアーティファクトやクリーチャー、呪文等で間接的にマナを出したりする。

簡単且つ完璧なマナベースを構築する方法は残念ながら無い。僕が教えられることは各自で調整する必要もあれば、全く役に立たないかもしれない……。それでも出発点を示すことは出来ると思うよ。



何枚の土地を入れるか

一般的に土地はデッキ枚数の40%をちょっと超える程度が良いと言われている。すなわち40枚デッキなら17-18枚、60枚なら24-25枚だ。この理論は多くのプレイヤー達によって実践的に確かめられてきたことだ。これに従っておけばひとまず構築で大きな間違いを犯すことはないだろう。細かい調整を必要とする要素はたくさんあるが。

土地以外でマナを出す手段について考えよう。《葉光らせ》のようなマナクリーチャーはデッキの必要土地枚数に大きく貢献してくれそうだね?

しかしその変換……《葉光らせ》を土地1枚分と考えること……は、諸処の理由から1:1対応するものではない。まず1つに、あなたは必要な土地を確保出来てないかぎりそれをプレイすることはできない。2つ目、《葉光らせ》は土地と違って簡単に除去されてしまう。3つ目、あなたはマナ加速のために何の気なしにマナクリーチャーを入れるけど、それでも最初の数ターンは確実に土地をプレイする必要がある。なのでそれらのカードは直接土地にカウントされるべきではないが、例えばリミテッドで2枚の《葉光らせ》を持って土地18枚の代わりに17枚にすることは適切であると言えるだろうね。

同様に重要な問題となるのは、簡単な話、あなたのデッキの平均コストはどの程度かということだ。もしあなたのデッキの呪文が4マナ以下であれば、7マナや8マナを必要とするプレイヤーと同じ枚数の土地を入れるべきではないよね。



色マナ

より難しい問題となるのは、必要な色マナの配分をどうするかである。単色デッキなら全く考えることはないが、3色やそれ以上の色をプレイするとなると事は単純ではなくなる。

大抵、マジックではパワーと安定性の小さな駆け引きが求められる。色を増やせばその分対応できる範囲は広がるし、土地が順調であればドローの質はより高まる。だが多色デッキでは色事故による安定性(もしくは安心度)の低下が付き物だ。

このパワーと安定性のバランスは中々に複雑だ。そのマナベースを考える際に重要な問題はこれである。「どのようにして揃えるか?」

簡単のため基本土地のみのケースで考えてみよう。

基本土地のみの場合、一般的には2色にするのが最もパワーと安定性のバランスが取れる。単色は全くもって素晴らしい選択だが、使いたい2色目のカードがあったら是非2色にすべきだろう。2色なら大抵は(常にではない。それでも殆どのプレイヤーが納得できる割合で)事故ることなくカードをプレイできる。2色以上となると、ここで問題に直面することになる。

もっとも、これは一番シンプルなケースである。デッキビルダーとは大工のような者だ。より良い道具が使えれば、大工はより複雑な設計をこなせる。非基本地形や土地以外のマナカードの大きな恩恵よって、あなたは多色デッキをプレイできる。

《隕石》《進化する未開地》《コイロスの洞窟》《シヴの浅瀬》など、複数の色マナを出せるこれらのカードを使えるならば、3色デッキを選択することも可能だ。4色以上となるとより熟練した構築が求められる。2色や3色のマナベースを十分に構築出来る腕が無ければお勧めはしないよ。

多色デッキをプレイするときでも、安定性を求めるにあたって主要な色は1色ないし2色に絞るべきだ。例えばシールドで赤黒の構築に《取り憑かれたスカーブ》を2枚入れたい時、デッキの青色源は3~4枚程度にして良い。毎回《取り憑かれたスカーブ》を引くわけではないからね。もし青マナが出ない事故が起きたとしても、その手札1枚だけならそこまで絶望的にはならないだろうさ。こういった構築は俗に『色をタッチする』と言われる。

均等3色のデッキをプレイすることは不可能ではないが難しい。一度事故ってしまうと持ち直すのは容易ではない。ここで出発点となる指針をまとめよう。

40枚デッキで初手に確実に欲しい色の土地は最低でも9~10枚は入れよう。(11枚なら十分)
60枚デッキなら最低15~16枚だ。(17~18枚なら十分)



マナカーブ

マナの問題は土地の枚数や種類を決めただけでは終わらない。使うカードやデッキ全体の構築が関わってくる問題だ。

マナカーブとは各カードのマナコストのバランスである。軽いカードや重いカードの。重いカードを多く入れると『高いマナカーブ』になり、軽いカードだらけなら『低いマナカーブ』となる。

5マナのカードだけで構築してしまうと最初の4ターン目までは何もプレイできないことになってしまう!逆に1マナの弱いカードだけでは1ターン目以降のプレイはベストなものとは言えなくなってしまうだろう。各マナコストのカードをそれぞれ入れることには大きな意味があるんだ。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/LO20150706_ManaCurve.png

他と同様に、マナカーブは厳密な計算から作られるものではない。各マナコストの最適枚数を計算する完璧な法則は無く、いずれもデッキ次第である。どんなカードが入っているか?勝つためのゲームプランは?各ターンに相手がしてくるであろう動きは?

マナカーブの概念はどんなデッキ構築にも関わってくるが、最も明確にイメージ出来るのは高速ビートデッキだろう。素早くクリーチャーを展開し一気にダメージを与えるというゲームプランを取るならば、初めの1-2ターン目が肝になる。デッキによっては1マナのクリーチャーを12枚や14枚、時にはそれ以上入れたりもする!

繰り返すが、マナカーブはどのような戦略を取るか次第だ。高速ビートをしないのであれば、大量の1-2マナクリーチャーは逆に強力なカードの枚数が減ることでデッキ全体のパワーを落としてしまう。ゲームの初めに何らかのアクションは取る必要があるが、そのために必要な明確な枚数は分からない。そんな時は相手の速さを検討しよう。1ターン目から防御に回る必要がある?それとも初動3ターン目からでも間に合う?



マナスクリューとマナフラッド

マジックを始めたプレイヤーの全員がこの悲しい概念を知ることになる。『マナスクリュー』とは必要な分の土地を引けないことであり、『マナフラッド』は逆に引き過ぎることである。これはどんなデッキにも……競技プレイヤーでも起こることだ。マジックの宿命である。

だけどそう気に病まないことだ!確かにあるゲームでマナスクリューを起こした時は腹が立つし楽しくもないけど、その分ほかのゲームではしっかり土地を引いているものだ。

マナスクリューやマナフラッドを起こした時の対処法は構築と実際のプレイングの両方に存在する。マナカーブを整えることからそれは始まるが、他にも使える小技がある。

マナフラッドのダメージを和らげるためには『マナシンク』を入れることだ。マナシンクとは、そのカード自体のコストは高くなく、ゲーム後半にマナを費やせる能力を持っているカードのことだ。

ゲームが長引くと土地を8枚や9枚、それ以上引くことになる。他に呪文を引けたらそれをプレイした方がいいが、土地を引き続けた場合でもマナシンクがあればそこにマナを使えるんだ。

もしゲームプランがマナスクリューを出来るだけしないことであれば、相手の重いカードと交換出来る能力を内蔵した軽いカードを採用するのが良いだろう。

土地事故の問題はゲーム上よくある問題であることはしっかり認識しておこう。事故に一々振り回されないことだ。初心者が陥りやすい問題として、土地事故を起こすたびに本来の適切な土地枚数に更に土地を追加したり減らしたりする。短期の土地不調に惑わされず、理性的な判断をしよう。幾つもの試合を経て構造上の欠点に気づいて初めて、調整に移るべきだ。



実戦例

(※出典元のデッキリストが消失しているため割愛します。)


マナベースとマナカーブを整えることで、マジックで最も危険な罠に嵌まらずに済むだろう。マナの問題を解決すれば、土地と喧嘩する代わりに成功への一歩になる!
WHAT IS MAGIC?
Posted in Level One on August 11, 2014

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11

http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
目次 http://nanonium.diarynote.jp/201512070654077632/


「で、マジックって何?」みんなこう聞いてくる。

『みんな』とはあなたがよくご存知の人々だ。親、祖父母、伯母さん、伯父さん、姪、甥、彼女、彼氏、同僚、赤の他人……みんなだ。

まあそう聞かれるのも当たり前で、何故ならマジック・ザ・ギャザリングは率直に言って他のあらゆるものと異なっているからだ。みんなはチェスを知っているけど、マジックはチェスとは全く違う。みんなはブリッジのようなカードゲームを知っているけど、やはりマジックはそれらとは相異なる。ゲーマーにとっても、マジックの端々を理解することは難しい。大多数の『みんな』にとって、マジックは全く違う世界なのだ。


「で、マジックって何?」オーケー。今回と、そして今後連載していく記事に渡ってこの質問に答えていこうと思う。

では思い切って言おう。マジックはこの地球で最も偉大なゲームだ!何故ならマジック・ザ・ギャザリングはあらゆる側面で人々のニーズに答えられるからだ。コレクター、デッキビルダー、ゲーム理論派、芸術……そしてもちろんプレイヤー。特にこのプレイヤーにはとてもマッチしたゲームだ。僕のような毎日プレイする者にとっても、僕の知人達のような1-2年に1回プレイする程度の人にとっても。

おっと、この流れだと僕自身の紹介をしなきゃね。僕の名前はReid Duke。5歳の頃からかれこれ19年マジックをしている。さっきのあらゆるニーズのタイプ――プレイヤーであり、デッキビルダーであり、コレクターであり、そしてマジックの世界を愛する者だ。今はプレイヤー及びライターを専門にしているよ。

断っておくと、この記事ではマジックの背景ストーリーやイラスト、収集に関することについてはあまり触れない。けれども僕の記事は、いつか競技レベルの大会に出ることを視野に入れている人も含む初心者から上級者、あらゆる人に役立つと思っている。あなたのLevelをマジックの基礎的な部分からPTQのような競技レベルにまで到達させることが目標だ。さあ、ここから始めよう。

ひとまず面倒な話は抜きにして、マジックをプレイすることについて話そうか。



マジックをマジックたらしめているものとは?

厳密な回答ではないけど、もし立食パーティーとかでこう聞かれてそれに一言で答えるとしたら、こう言うだろう。「そうだね、チェスとカードゲームの中間って感じかな」

マジックにはチェスと共通する点があり、またマジック自身を特徴づける相違点もある。両者とも1対1の対人戦略ゲームだ。クリーチャーはチェスの駒にあたり、呪文は駒をサポートするもう一つの道具として見れる。そして両方とも戦略的思考や長い目で見たプランニング、オープニング(序盤の定石的プレイ)への意識を必要とする。しかし、チェスは盤面の情報が全て明らかなのに対し、マジックには不確定な部分が含まれている。


非同一性

マジックの試合は大変変化に富んでいるが、中でも最も顕著な要素はすなわち、自分や相手が次に引くカードが分からないということだ。

チェスでは何手も先の動きを読む。マジックでもそれは同じだが、加えて何種類もの可能性を考慮しなければならない。次に土地を引いた時はどうしよう?それがクリーチャーだったら?相手があなたのブロッカーを除去するカードを引いた時は?正確に先を読むことが出来ないゲームには更なる複雑性が加わってくる。

たとえ1人プレイヤーが分身して2人になり同じデッキを使って対戦したとしても、試合内容は毎回異なることになるだろう。そのためマジックにおけるオープニングを覚えることは困難だ。ゲームが始まるまで、序盤にすべきことは正確には分からない。僕はチェスなら第1手目で必ずナイトを動かすが、マジックでは毎回初手に『ナイト』が来るわけではない!それにナイトをどう動かすかは相手の駒次第だが、マジックでは相手がどんな『駒』を持っているかも分からない。


不完全情報

マジックにはこの非同一性に加えて、相手が手札やライブラリーにどんなカードを持っているか分からないという不確定性もある。相手が除去を持っている時とそうでない時とでプレイングの是非は変わるものだ。あなたは手札で最もパワフルな呪文を唱えてもいいが、相手が《雲散霧消》を持っているなら控えたほうが良いだろう。こう聞くと運要素だらけの類推ゲームのようだけど、実際のところ最良のプレイングをするための手段はいくつもある。



マジックをするのに必要なスキルは?

『カードゲームをする』スキル

非同一性や不完全情報性の側面では、マジック(スタンダードのデッキ)はブリッジのようなカードゲームと共通する点がある。映画のWild Bill Hickokなら他のカウボーイのまつ毛がほんのちょっと動いたのを見て、手にスペードのエースと8のツーペアを抱えていることをピタリと察知出来るかもしれない。(※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89)そんな読みは(少なくとも僕が知るかぎりは)空想の産物だ。まあ現実でも相手の手札を動作などの様々な要素から精密に読むことは出来るかもしれないが、そんな超能力はマジックや他の不完全情報ゲームで上手くなるために必要とはされないよ。

僕の経験上、マジックのプレイヤーが重要な局面でのブラフの後に命を奪い合うような対立が起こったことはない。同様に、特定のカードを引く確率を電卓を出して正確に計算しようと思うこともめったに無い。もしあなたが相手の心を読めるウィザードならそれは最高だろう!もしあなたがフォン・ノイマンばりに超スピードで正確な暗算ができる数学者ならそれは試合で大変役立つものだ!たまたまそんなスキルが備わっていたら、確かにそれはプレイヤーとしての資質を高めてくれるだろう。けれども、マジックでもっとも重要なスキルとはそういったものではないと思うよ。

マジックにおいて不確定要素を予測しようとすることは厳密な科学をするとかではなく、あくまで可能性の存在を意識できるかという問題なんだ。そう、必要な分の土地を引けないゲームもある。必要以上に引くときもある。相手が《肉は塵に》をデッキの根幹にあたるクリーチャーに撃ってくる試合もあれば撃ってこない時もある。そういった不確定性はマジックの背景として常につきまとうものだ。それがポイントだ!あなたがやるべきは、全てをコントロールすることは出来ないということを認識するだけで良いんだ。


『チェスをする』スキル

マジックで真っ先に習得すべきスキルとは、ただ自分のカードを上手くプレイすることだけだ。確かに真にマジックをマスターするためには相手を読むことやあらゆる可能性を考慮することも重要だけど、それらのスキルは後から……より後から付いてくるものさ。まずは自分の手札を最大限に使い果たすことを覚えよう。すなわち、『カードゲームの部分(試合の非同一性、不完全性)』は取り敢えず意識しておくだけで、まずは『チェスの部分(盤面や公開情報)』に集中しよう。

この連載記事では上手にカードをプレイする方法の中でも、より実践的なものを記していく予定だ。ただ今回だけは、マジックのプレイングで最も、第一番に重要なスキルについて話させて欲しい。


集中

別の言葉だと『熟慮』や『ゲームへの参加』になるかな。これは生まれつきの才能とは違うものだ。この記事を読んだなら、あなたはきっと次にマジックをプレイする時にこう心がけられるようになる。ちょっとだけ速度を落とし、動揺を抑え、相手のターン中にもボーっとせずに思考を止めないこと。

マジックが上手くなりたいなら、集中こそが最も重要だ。馬鹿みたいなミスを減らし、勝利の可能性を高めてくれる。そして相手がどんなカードを読むヒントも与えてくれる。何より、プレイングを学ぶ速度がグンと上昇するだろう。集中していれば何が起こっているのかすぐに理解できるようになり、何が正解で何が間違いなのかを正しく認識できるんだ。


まとめとして、マジック上達のために養うべきスキルをもう一度リストアップしよう。

『チェススキル』

基本的戦略思考。どうすれば勝てる?どうやって負けないようにする?
チャンスを探す。今の相手はアタックされると厳しそう?今こそダメージを与えておくべき?
耐え。今はまだアタックしてはいけない?我慢することが時には最良となる。大きく動きたいから大きく動くなんてことはしないように。
複数の筋道で考える。この曲面はダメージレース向きだろうか?それならそのレースを制するにはどうしようか?


『カードゲームスキル』

非同一という要素。あなたは天才数学者である必要はない。数を数えることが出来れば十分だ。トップを上手い具合にコントロールすることは出来ない。あらゆるトップに即したプレイをするんだ。
非公開情報を考えよう。あなたはマインドリーダーでなくて良い。相手のハンドを全て読めなくてもいいんだ。その代わりそこにはいくつかのヒントがあるだろう。最も有り得そうなシチュエーションはなんだろう?そしてそれに対応した最もベストなプレイングはなんだろう?
集中!常にゲームに参加しよう。盤面で見えているものを全て頭に入れておこう。そして少し落ち着いて、適当にプレイしないこと。


「で、マジックって何?」以上がこの質問に対する簡単な回答だ。来週は今回からより発展的な内容を扱おうと思うから、要チェックだ!ではその時まで。ちょっとだけ落ち着いて、ちょっとだけ深く考えて、集中を忘れずにね!
LEVEL ONE: THE FULL COURSE
Posted in Level One on October 5, 2015

By Wizards of the Coast
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/level-one-full-course-2015-10-05


Duke教授の授業はこれにて終了となります。講義『Level One』は、マジック上達の秘訣を教えるというシラバスの通りこれまでDukeによって教えられてきましたが、休止されます。

しかしながら、Duke教授が2014年8月から教えてきたことを全ての生徒が聴講してきたわけではないことは分かっています。あれから丁度1年、多くの方がプレイヤーとして更なる向上を望んでいることでしょう。

それを受けて、これまでのシラバスの各講義を全てまとめました。皆さんはReidが調整した各コンセプトの講義を見直すことが出来ます。あなたは既に上級者ですか?それならご自身がブラッシュアップしたい項目をどうぞ。この星で最も優れたプレイヤーの一人から学べることに限りはありません!

また来週には、これら全ての記事をマジック小説と同様にeBookでも閲覧できるようにします。それまでは下記の記事からどうぞ。

Ⅰ. 基礎
a. マジックとは? http://nanonium.diarynote.jp/201512070659241659/
b. マナ概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512091133589326/
c. カードアドバンテージ概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512170007074021/

Ⅱ. プレイング学Ⅰ
a. 戦闘概論 http://nanonium.diarynote.jp/201512220419146317/
b. テンポ http://nanonium.diarynote.jp/201512291113533969/
c. テンポかカードアドバンテージか http://nanonium.diarynote.jp/201601111407383806/
d. 一貫戦術

Ⅲ. デッキ・アーキタイプ
a. アグロデッキ
b. コントロールデッキ
c. ミッドレンジデッキ

Ⅳ. プレイング学Ⅱ
a. 全体除去
b. パーミッション呪文
c. クリーチャー土地
d. 対称的効果
e. 脅威と回答
f. 必然性
g. 役割割当
h. ダメージレース
i. マリガン学Ⅰ
j. 優先順位
k. 先手・後手

Ⅴ. プレイング学Ⅲ
a. 投資学
b. 準備論
c. 優勢時、劣勢時のプレイング http://nanonium.diarynote.jp/201510280025305956/
d. 何が起こるか把握せよ
e. マリガン学Ⅲ - 構築編
f. 『ケア』の仕方 http://nanonium.diarynote.jp/201603241701082532/
g. 唱えるタイミング
h. 柔軟性

Ⅵ. リミテッド
a. シールド
b. ドラフト学Ⅰ - 基礎
c. リミテッドのサイドボード
d. ドラフト学Ⅱ - シグナル
e. ドラフト学Ⅲ
f. ドラフト学Ⅳ - 実戦
g. マリガン学Ⅱ - リミテッド編

Ⅶ. デッキ構築
a. マナ基盤の構築
b. フォーマット概論
c. サイドボード
d. サイドプラン
e. デッキ選択のすゝめ http://nanonium.diarynote.jp/201511071355567330/
f. メタゲーム

Ⅷ. その他
a. グランプリ学Ⅰ
b. グランプリ学II
c. 優れたプレイヤーになるために

Ⅸ. 用語集
アブアグでCSQ。
アブザンアグロ ○○
アブザンアグロ ×○○
アタルカレッド ×○○
赤緑上陸 ×× (下手くそ)
エスパータップアウト ○○

青タッチして本戦9回戦。
ダークジェスカイ ×× (オジュコマに突っ込むと死ぬ)
アブザンアグロ ×○× (地主)
ダークティムール ×○○
アタルカレッド ○○
No-Show
エスパートークン ○○
赤単トークン ○×× (疫病引きたい人生だった)

4-3ドロップの5パックで終わり。
青入り研究。
CHOOSING YOUR DECK
Posted in Level One on June 8, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/choosing-your-deck-2015-06-08

皆がマジックについて僕に最も質問してくることは何だと思う?

「来週のデッキは何を選んだらいいですか?」

ああ、これにもっとシンプルで上手い回答が出来たら!

実際のところ、デッキ選択というものは非常に難しい。僕達を最も悩まし、夜通し苦労させてくれるものだ。良い回答は未だ見つかってないけども、今回はこの問題について考えていこう。



完コピか自作か

『ネットデッキング(WEBで見たリストをコピーすること)』への忌避は晴れないものだ。もしあなたがカジュアル勢なら、どんなデッキ選択をするのも自由だ。

しかし競技マジックの世界ではネットデッキングが当たり前であり、例えそれが受け入れられずとも備える必要がある。一から新しいデッキを作ることは十分称賛に値することだが、ネットデッキングは決して侮れるものではない。

結果を残したデッキをコピーすることにはたくさんのメリットがある。まず初めに、当たり前のことだろうけど、コピー元のデッキが既に結果を残していることが保証されている。それにネットから得たデッキには、それを調整した数多の人の努力が詰まっているんだ。

例えばスタンの赤単。非常に多くの人がプレイしているそれには、その人数だけの経験や考えが集まっている。最も調度良いと思われる土地の枚数、最も勝利をもたらすであろう個々のカード選択、最もメタにあっているであろうサイドボードとなっているわけだ。その中のどれかに正解が一つだけあるわけではないが、良いレシピはそれだけ良い結果を残すと共に、その強さの特徴は次の赤単へと受け継がれる。まさにダーウィンの《適者生存》だ!

あるアーキタイプを一度コピーした瞬間、あなたは調整に費やすであろう膨大な量の時間と体力を抑え、別の準備に充てることができる。例えばもし既に赤単を選んでいるなら、デッキ調整の時間をデッキ回しの方に向けられるだろう。

一からデッキを作ることは非常に難しい試みだ。世界クラスのプレイヤーでさえ、完全にデッキ構築を理解している者は限られる。1つの良いデッキまでには9つの糞デッキがあるとは良く言うものだが、構築には創造力、直観、粘り強さ、労力、そしてこれらの下で成功する訓練が必要だ。端的に言って、新しくデッキを作ろうとした時点で、あなたはディスアドバンテージを背負うことになる。

あ、でもこれは決してデッキを自作するなと言ってるわけではないよ!素晴らしいデッキを作ることが出来れば、それは誰にも知られず、対策もされていないという大きなアドバンテージとなる。あなたが何をプレイしてくるのか相手には全く分からないだろうさ。

それに何と言っても、デッキ構築は優れたプレイヤーに近づく方法の1つでもある。試合展開を見越してあらゆる観点の下でデッキを作ることが出来れば、試合中の状況分析力は上がり、何が勝利を導き、何のために敗北してしまったかということへの理解が深まることだろう。

くれぐれもデッキを自作することに固執しないように。特に調整時間が限られている時にはね。と言っても、デッキ構築は本当に良い練習になり、価値のある経験になる。時間が空いたらトライすることをお勧めするよ。



メタに合ったデッキ

先週はメタゲームというものに関する記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/metagame-2015-06-01)を書いた。もしあなたが『正しく』メタゲームを読むことが出来れば、最大の脅威に備えた最も鋭いデッキを選び、作り、調整出来るだろうね。

青黒コンがトップメタと踏んだ時に相手の初動が《欺瞞の神殿》だったらまさに最高のシチュエーションだろう。あなたは相手に備え、相手は備えていない時の優位性は中々覆されるものではない。

但し、メタを読むことの不確定さについて思い出しておこう。通常、メタというものは非常に変化に富む。そして大抵、あなたのメタ読みは(ほんの少しでも)外れるものだ。仮にピタリと読めたとしても、実際のペアリングでそれら仮想敵と丁度良く当たるかなんてことは全くわからない!



実力のあるデッキ

相手をとにかく成すがままにしたい?オーケー、それなら『実力』のあるデッキを使おう。『実力』とはまた不明瞭な言葉だけど、つまりはフォーマットやメタを度外視してそのデッキ(またはカード)がどれだけ強いかということだ。僕の考えでは、デッキの実力とはすなわち「異なるフォーマットで、無数の異なる相手の異なるデッキにそのデッキはどれだけ活躍できるか?」という言葉に集約できる。

例えば緑信心はとても高い実力を持っている。速く、爆発力があり、自分の土俵を持ち、普通のデッキのプランとは郡を抜いている。しかしメタに《対立の終結》や《命運の核心》、《危険な櫃》が溢れているようならそのデッキ選択は間違いとなる。

状況によって『実力』によるデッキ選択は正解となるし、時には考えない事のほうが良い。ここは加減がモノを言う。

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積極的なゲームプラン

『積極的に動く』とはすなわち、相手の動きに合わせるのではなく自分のゴールに向けて行動するということだ。とにかくアグレッシブに動き、ゲームを速やかに終わらせに行くという意味だね。

メタというものは複雑で分かりにくいから、自分自身のゲームプランに集中することは大きなアドバンテージであり、そのプランを押し通すことが出来ればまず勝てる。存在する全ての相手に対する回答を用意しておくほうがずっと難しいものだよ。試合が長引くほど、間違いを犯す可能性も増える。

あなたのデッキがどんなにゆっくりでコントロールなデッキであったとしても、積極的に動いていこう。《龍王オジュタイ》はその好例だ。小さなアドバンテージを元に勝利の盤面を作り上げていくそれは、一度動き出してしまえば止まることはない!

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必然性(いずれ勝つ)

一方、必然性(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/inevitability-2014-12-08)もまた見逃すことは出来ない。必然性とは、勝負は時間の問題になっているという概念だ。

あなたに必然性があるとき、あなたがすべきことはとにかく長く生き残ることになる。大抵は防御に回るほうが攻撃するよりも簡単だ。

しかし最も怖いシチュエーションは、自分に必然性があると勘違いすることだ。それを避けるためにも積極的なプランを取ることは大事になる。

エスパードラゴンは他のどのデッキよりも必然性に優れた点で非常に完成されたデッキだ。それでいてドラゴン達によって積極的なプランを取りにいくことも出来る。



サイドボードの本質

構築初心者がよく陥りやすいミスは、サイドボードを軽視してしまうことだ。例えば赤単は、メイン戦を極めて取りやすいためにとても乗りやすいデッキだ。しかし相手のアブザンやエスパーが《悲哀まみれ》や《ファリカの療法》をサイドインしてきて初めて全容を把握することになる。

サイド後の試合をどれだけ持ち直せるかは、デッキの売りの1つになるだろう。ミッドレンジデッキは往々にしてサイド後に本領を発揮する。サイドボードの選択は多岐に渡り、柔軟さに富むため、対戦相手の攻撃を困難にさせる。通常、自分の戦略をより突き通す(スーサイドにアグロする、コントロールに徹する、一貫した戦術を取る)と、サイドボードを作るのも容易になるものだ。



そのデッキ、楽しんでる?

こういう真面目な戦術記事でこんなことを言うのもおかしな話かもしれないけど、とても大事なことだと僕は考えているよ。デッキを楽しみ、情熱を注いでいるなら、きっとそのデッキで上手なプレイングが出来るようになる。逆に好きになれないデッキや信用出来ないものを無理に使っていくと……想像に難くはない。

好きなデッキは簡単に集中できるし、ひたむきに調整できる。それに伴いデッキをより理解し、改良にも繋がる。

もしデッキが気に入らないと、やる気も出ないし腕は停滞してしまう。あまりデッキをいじろうとはしないし、信用も置けないから無理にマリガンしたりミスプレイをしてしまう。



同じデッキを使おう

デッキ選択における真に重要な要素はこれだろう。「どれだけ上手く使える?」

これはデッキを楽しむこととは切っても切れない関係にあるけど、楽しむことよりも大事だ。今までそのデッキを使ったことがあるかい?なら上手く使える?練習はしてきた?似たデッキを他のフォーマットで使ったことは?

どのデッキを選択するかよりも、そのデッキを上手く使えるかの方が大抵は重要だ。僕は強いデッキを下手に扱うよりも、弱くても上手く使える方を選ぶね。

僕が思うに、構築力を付けるための最大の秘訣は、同じデッキを何回も大会で使うことだ。あなたはデッキにより親しみ、より熟練し、勝敗の分析が出来るようになり、より良いサイドボードを作ることで、洗練されたデッキを構築できる。

これらの大部分は家で練習することでも十分賄えるが、大会に出て様々な相手と対戦することは、実際にそうするしか無い。メタを読むことと同じくらい、様々な相手を想定して備えることも大切だよ。デッキをマスターした暁には、不慮の相手に遭遇してもより素早くそれに対応していくことが出来るだろう。

デッキをマスターすることは、一からデッキを作ることのようにプレイヤースキルを磨く最高の手段だ。一つのデッキをマスター出来れば、他のデッキやフォーマットへの理解に役立つだろうさ。

長年の僕のキャリアで、最も成功を収めることが出来た時は、幾重ものトーナメントで1つのデッキを使い続けた時だった。あなたがこれまでずっと使ってきたデッキに致命的な欠陥があることに気づいてしまったとしても、デッキをみだりに変えるよりはそのデッキを使い続けることを是非とも勧めるよ!

大会で結果を残すには、ベストなデッキを選択する必要は無いんだ。その代わり、あなたに合った、あなたのプレイヤーとしてのポテンシャルを引き出してくれる相棒を見つけよう。自分の選択についてよく考え、断固とした信念を持ってそのデッキに取り組もう。そして何時でも、そのデッキを楽しもう!
PLAYING FROM AHEAD, PLAYING FROM BEHIND
Posted in Level One on March 30, 2015

By Reid Duke
http://magic.wizards.com/en/articles/archive/level-one/playing-ahead-playing-behind-2015-03-30

僅差の試合こそ皆ベストを尽くすものだ。僕も、皆も、マジックも、人生のあらゆる側面でも。激しい競争こそ僕達にベストを尽くさせる。人間がこの地球上で長らく生き残ってきた鍵だ!人類の熱い歴史だ!そうだろう!

……そうだろうか?

よし、別の視点で考えよう。大抵の人は僅差でない試合でこそ最悪を犯す。ダメそうなときほど簡単に諦める。すべてが上手く行っている時ほど人は舐めプに走る。そう、差し迫った事態でベストを尽くすことは(洞窟でサーベルタイガーと命の駆け引きをするような)人にとっては相応しいことだが、マジックプレイヤーにとっては自滅の素なのである。

あなたが劣勢であるとき、あなたはあらゆる勝利のチャンスを掴みに行かなければならない。
あなたが優勢であるとき、堅実にプレイし相手のチャンスを潰さなければならない。

数ある敗北濃厚な試合の内、1つでも逆転が出来るなら、あなたは優れたマジックプレイヤーになる。逆に勝利の可能性を1つでも取りこぼすようなら、大会を勝ち抜くことは出来なくなるだろう。

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劣勢時のプレイ


まず1つ、これまでのプロツアーで最もエキサイティングだったプレイを紹介しよう。


Topdeck of the Century
https://www.youtube.com/watch?v=4t0pzLnSWw0

(解説付き)
【MTG】プロツアー・ホノルル06 Craig Jones 劇的なトップデッキ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4587269


Olivier Ruelと対峙し、バーンも出来るアグレッシブデッキを駆るCraig Jonesは敗北が迫っているのを感じていた。Craigが《黒焦げ》を引いた時の実況を聞いてみよう。一人は相手のクリーチャーを除去すべきと言った。逆にもう一人は本体に撃ちこむという大胆なプランを挙げた。そして王者Jonesは後者を選択し、後の展開は歴史に残った――。


アウツに賭ける

《黒焦げ》をトップしたこの時点では、相手のクリーチャーを焼く方が適切なプレイに見える。しかしCraig Jonesの置かれた状況は非常に悪く、除去したところで状況は改善されない。何ターンかの延命をしても、敗北の道は避けられない。


かの海賊黒髭があなたに船から突き出た板を歩くよう命じてきたら……板の長さなんてどうでもいいだろう?

そしてCraigは残された勝利への道を模索した結果、この瞬間が分水嶺だと踏んだ。勝つ確率は低かったが、確実な敗北よりはマシだ。彼は《黒焦げ》を相手に撃ちこむと、ファイナルドローで《稲妻のらせん》をトップした。これが、自分の『アウツに賭けた』ということだ。


アウツとは勝つために必要なカードまたは状況のことだ。自分が敗北の流れにある時は、思考の焦点をただ正しいプレイをすることから、アウツを考えることへ移さなければならない。自分のアウツが何であるか把握し、それを引くことを前提としたプレイをするんだ。それを引いた時、負けを勝ちにするという最高のアドバンテージを得られる。引けなかったとしても、アウツに賭けなかった時と同じ結果になるだけだ。

別の例で考えてみよう。次のターンに《対立の終結》を引かない限り負けてしまう時、考えられるプレイは4つだ。

A. 普通にプレイする。《対立の終結》は引けなかった。敗北。
B. 次のターンに《対立の終結》を引くと仮定する。そのために必要な最も「正しい」プレイをする。クリーチャーは出さず、相手の4/4をチャンプブロックする。結局《対立の終結》は引けず敗北。
C. 普通にプレイする。《対立の終結》を引く。盤面は対等になるが、ディスアドをしライフも失う。結果は不確定だが、おそらく敗北する。
D. 次のターンに《対立の終結》を引く仮定でプレイする。《対立の終結》を引く。盤面は対等になり、ライフは持ち、手札には後続のクリーチャー。きっと勝利する。

これら4つのプレイを検討すると、アウツ、すなわち《対立の終結》を引くために必要なコストは何もない。引かなければ、どの道敗北する。引けば勝つ。問題なのはデッキに入ってる《対立の終結》が4枚か1枚かではなく、それが唯一の勝ち筋ならば、それに沿ったプレイをするべきだということだ。


ゲームを複雑にしよう

アウツに賭けるとは言葉では単純だが、実戦では複雑なものになりがちだ。大抵、勝ち筋がたった1つとは限らない。アウツが複数あるなら、どのアウツが引きやすく、また全てのアウツに賭けるための最良のプレイングをどうすればいいか考えなければならない。

大抵は全てのアウツを考慮することは出来ないくらいゲームが複雑だ。そんなケースでは、特定の勝ち筋を追うことも出来なければ普通にプレイすることもない。僕からのアドバイスは、可能な限り状況をより複雑にすることだ。

複雑化された状況からは更なる選択肢や可能性が生まれる。自分のクリーチャーが0体、相手には2体なら、そこから導かれるのは敗北のみだが、相手が4体、自分が2体なら反撃の余地がある。もしかしたら相手が不用意なフルパンをしてきて、返しで《強大化》や《戦場での猛進》を引くかもしれない。あるいは相手がアタックせず受けに回ったことで幾分かの時間を得た結果、《凍氷破》や《飛鶴の技》をトップ出来るかもしれない。

優勢な時や対等な時、僕は殆どの場合クリーチャーを交換しに行く。一方で劣勢の時は、予期せぬ変化をもたらす複雑な状況を作り出すために、ある程度のダメージをスルーしてでも盤面のクリーチャーを温存する。


相手のミスを誘おう

アウツはただトップしたいカードという意味ではない。対戦相手のプレイングもその1つだ。

あなたは今劣勢にあるが手札には《ラッパの一吹き》がある。ターンを渡し、チャンプブロックで敗北までに僅かな延命を図ることも出来るが……逆に潔くフルアタックするという手もある。相手が的確にブロックしてきたらそれまでだ。返しの攻撃であなたは負ける。しかしもし相手がブロックをミスったならば、《ラッパの一吹き》で脅威を排除しゲームを続行できるだろう。


諦めないこと!

以上を活かすためにも、ライフが0になるまではゲームを投了しないことだ。最後のドローが思っても見なかったソリューションであるかもしれない!相手が半端なプレイをしてしまい盛り返すことだってある。

たとえそれがラストターン、相手のクリーチャーに対し壁もない状況であったとしても、しっかりターンを返して相手に攻撃を宣言させることだ。相手が《必殺の一射》をケアするかもしれないし、ダメージ計算を勘違いして攻撃を止めるかもしれない。なんだって起こりうる!

投了する理由は次の試合に備えて時間をケアするか、まだ見せてない情報を隠したい時だけだ。ゲームが続く限り、何時でも逆転のチャンスは訪れる。投了した瞬間、それらは消え去るのみだ――。

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優勢時のプレイング

さて、劣勢な時の勝算を捨てたプレイは敗北への一途を辿るだけだ。同様に、勝ちパターンに入っている時の舐めプも命取りになる。

優勢時のプレイングについて僕が言えることは、劣勢時の逆と言える。と、言ってもそう単純な話ではないけどね。


相手の思惑を探ろう

自分が勝ちそうなときに考えるべきことは、自分の負け筋だ。劣勢時はアウツを考える一方、優勢時はその状況を覆されかねないカードやプレイングを考えるんだ。そのためには相手の立場に立ち、どんなアウツを望んでいるか検討しよう。相手が投了しないかぎり、相手はあなたを逆転しようとしていることを忘れずに!相手の一歩先を行くんだ。

では、相手は具体的にどう逆転しようとしているのだろう?とにかくダメージを稼ぎ、ラストターンで火力を引きたいのかもしれない。もしそうならば、あなたがすべきことはライフを確実に守ることだ。優勢な時はリソースにも余裕があるだろうから、多少は不利な交換をしてでも相手の勝ち筋を潰しにいくべきだろう。

同様に、相手の切り札が《対立の終結》といった全体除去でありそうなら、先述した自分がアウツに賭けていた時とは全く逆の状況だ。あなたは相手のアウツから身を守らなければならない。相手が《対立の終結》を引かないかぎりは勝てるのだから、相手がそれを引くことを同じように前提とするんだ。クリーチャーの展開は避け、万が一相手にアウツをトップされても再展開出来るようにしよう。


ゲームを単純にしよう

さっきも言ったけど、僕は優勢なときはクリーチャーやリソースを交換しに行く。単純な試合とは対処しやすく、先の展開も読みやすいものだ。そのような状況下では、アドバンテージはアドバンテージとして残りやすい。

具体的に互いのリソースが少ない状況で、アドバンテージがどう広がっていくのか考えよう。相手はマリガンして5枚スタートとする。ゲームの5ターン目、相手は9枚に対しあなたは11枚。一見これは大差ではない。しかし戦闘で1体、除去でもう1体、さらに《思考囲い》でもう1枚を交換すると、互いのリソースは減りに減り、あなたは8枚、相手は6枚だ。こうなるとあなたのアドバンテージは確固たるものになり、試合結果により影響することになるだろう。


“スロー・ローリング”を恐れない

『スロー・ローリング』とはマジックの奇妙な考えの一つだ。すなわちスロー・ロールするというのは、ゲームを決めるカードをすぐ使わずに、必要以上に保持したままにすることだ。例えばあなたのライフが3の時に僕が《稲妻の一撃》を引いた時、僕はあなたにそれをすぐ撃ちこむことも出来るし、『スロー・ローリング』することも出来る。

もし勝者がスロー・ロールすると、相手をより痛めつけることになるという考えがある。スローロールした相手を不快に思う人もいる。僕にとってそれはおかしな話であり、マジック・コミュニティに蔓延る癌だと思う。

もちろん、スローロールには相手を怒らせようなんていう意図は全くない。スローロールされて怒っているプレイヤーが1万人いたとしても、その対戦相手の内たった一人でも果たして実際に怒らせようとしてスローロールしていたのか怪しいくらいだ。

スローロールを不快に思うのは実に馬鹿らしいし、スローロールすることで相手を不快にさせる可能性を考えるのもナンセンスだ。率直に言って、ゲームを速やかに終わらせること自体が間違っている!

オーケー、僕は《稲妻の一撃》を引き、あなたのライフは3。ふむ、僕は今すぐゲームを決められそうだね。だけどそう上手くいくだろうか?あなたはカウンターを持っているかも?ライフゲインしてくるかも?実はあなたの場にある2体の《クルフィックスの狩猟者》と《吹きさらしの荒野》を僕は失念しているかも?相手の逆転は絶対に許せることではない。ゲームを決められる時でもあなたは常に時間をかけながら最良のプレイをするべきだ。

『スロー・ロール』なんて言葉は忘れよう。最終ターンのプランニングに時間を掛けることをためらわないことだ。僕だってためらったことはないよ。それで相手が怒ってきても、あなたに落ち度はない。マジックのゴールはベストを尽くすことであり、勝つためのあらゆる手段を講じるべきだ。相手に敬意を払い、紳士的なプレイを心がければ、相手がスローロールなんかに怒る道理はないさ。

スロー・ロールに否定的な人を目一杯思いやったらこんな言葉になるだろう。「僕は勝ちそうだけど、入念に考えているんだ」と。言うまでもないことだけどね。自分のゲームだけに集中し、必要なことを行うんだ。

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集中を切らさない

『集中』とはマジックの上達に最も重要なスキルであると、僕の最初のLevel One記事(http://magic.wizards.com/en/articles/archive/lo/what-magic-2014-08-11)で書いていたね。集中は現状を把握し、ミスを最小限に抑え、勝利に必要なものを導くものだ。

有利になりすぎたり、不利になりすぎたりするとプレイヤーは集中を切らしやすい。集中が切れそうになってたら、何とかして取り戻すんだ。集中しアウツを考えることはマジックの重要なスキルであり、ゲームを安全かつ効率的に終わらせる事ができる。

ああ、誰でも大逆転は好きだ。そのためのスキルを駆使し、大逆転を目指そう!
【雑記】エクセルで土地基盤
完全手計算よりはやっぱり速く出来るなあと。
久々に行ってきました。
ジュンさん・エージさん・番長さん・山田さん一行の車に同乗。ありがたや。
芸能人・女性関係の話題では1人だけアウェーイ!

デッキは5C白日。カマキリとか入れてビート寄り。
参加者34人6回戦+SE。
R1:「ジェスカイブラック」 ××
G1:何も引かなかった。相手が軽蔑的な一撃をインしないくらい何も引かなかった。
G2:サイ1体だけでキツいダメージレースになるけどジェイスのルーターで捨てるものを多分間違えて負け。

R2:「赤黒ドラゴンアグロ」 ××
G1:除去ハンドキープから白日もサイも引けずにのけ者がコラコマで戻ってきて負け。
G2:1マリ1ランドをティルトキープして《龍の大嵐》貼られたりして当然の負け。

糞雑魚の死にたみ全開で帰りたくなるけどジュンさんの励ましを受けて続行。

R3:「赤黒アグロ」 ○×○
G1:ここからしっかりサイと白日が引けるようになった。
G2:疾駆コラガンつよい
G3:赤包囲を放置してサイを探しに行くというnoobかましたけど汚いトップサイで勝ち。

R4:「5Cコントロール」 ○○
G1:相手土地お詰まり。
G2:強迫強くて色々通せて勝ち。

R5:「赤アブザン」 ○○
G1:オジュタイ除去られなくて勝ち。
G2:フルタップ覚醒ラスを頑固に避妊したりして勝ち。

R6:「緑白青ミッドレンジ」 ○○
G1:隔離されたサイを白日シルコマバウンスで戻したりで勝ち。
G2:白日お得意サイ連打

4-2の9/34位。耐え(てない
TOP8の殆どが遠征勢、優勝も番長さんで遠征勢大勝利!
お疲れ様でした。
http://blogs.magicjudges.org/telliott/2015/09/28/bfz-policy-changes/

日訳
http://blog.mtg.ne.jp/judge_tome/2015/09/bfz-policy-chg.html

幾つかのポリシーチェンジに加えて、レガシー・ヴィンテージは「公式に発売されたカードセット及びプロモ」「ブックプロモ」のみを制限・禁止リストに則って使用できるフォーマットと定められました。それに基づきヴィンテージで《1996 World Champion》は使用出来なくなりました。



     _人人人人人人人人人人人人人人人_
     >      わりとどうでもいい       <
      ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

               ヘ(^o^)ヘ 
                  |∧   
                 /
ちゅ、ちゅよいぃ……
【スタン】プレイング難しいあるね?
PT上位に全く居なかったけど今日もウィップを回す。

さてパクトを貼られた返し。土地が止まって苦しい。
墓地には《スゥルタイの魔除け》があるが。管理人はまだ3/3のみ。

攻める盤面を作りに行きたいけど、パクトがあるとゾンビが確定していないシディシは出しづらい。
管理人はジェイスプラスで凌げる。

……

実戦では思考囲いで覗いたらアブザンチャーム&パクト。
パクトディスカードの後にスルチャフラッシュバックでパクトを割った。
その後魔除けドロー→魔除けドローからのサイ&サイ&ドロコマで鞭が生きること無く無事死亡。
ハンドにドロコマが無いことが分かったなら「スルチャを管理人に撃つ」「ファリカを出して土地を待つ」「そもそも囲わず土地を待つ、耐え」な選択はあったのかも。

マッチは勝利。
(7/19)TMC6th
デッキは新ジェイス4投ラプターウィップ。
参加者23人5回戦+SE。
R1:「青黒コン」 ××
G1:パクト+シルコマつよない?
G2:ラプターは裏向きでも櫃で吹き飛ぶんじゃ。

R2:「B Y E」 ○○
G1:暇なのでスリップを配ったり
G2:スコアを入力したりしてました。

R3:「アブザンアグロ@こくおー」 ××
G1:なんでそのデッキなんやねん!アナフェンザいるやん!
G2:カットの対象を多分ミスってライオンが残っちゃって負け。

R4:「マルドゥドラゴン」 ○××
G1:ジェイスでガチャガチャしてFB厨になる。
G2:コラコマつよすぎンゴ
G3:包囲つよすぎンゴ

R5:「アブザンコン@まちょさん」 ○×-
G1:もう一度FB厨になる。
G2:ジェイス不在の中で地主
G3:時間切れだけど多分あのままやってたら負けてた気がするぞい?

0-3-1!解体!
主催のまぁー君は運営と決勝没とで色々お疲れ様でした。

ラプターちょっと弱すぎやしませんか?櫃で飛ばされドラゴンは触れずエルズペスは越えられない。よし売ろう。

(7/20)BOX争奪戦@アメドリ仙台店
というわけでデッキは新ジェイス4投奔流ウィップ。
参加者30人くらいの5回戦。
R1:「アブザンコン@Dr.ktgw」 ○○
G1:互いにランド止まった後トップにナムナムしたらランドがあったので精霊でPON
G2:精霊と鞭が揃うと勝ちなんじゃ。

R2:「アブザンコン@ひるぎちゃん」 ○×○
G1:相手が地主すぎ。
G2:僕が地主すぎ。
G3:ジェイスの強さを分からせてFB厨へ。

R3:「赤単@ダイチさん」 ○○
G1:シディシ3枚と鞭で耐え。
G2:こいついつも鞭引いてんな

R4:「青黒コン」 ××
G1:狩猟者だけでは勝てないんじゃ。
G2:サイドボード入れたっけってくらい狩猟者しか引かなくてPON

R5:「バントヒロイック」 ×○○
G1:ジェイスでひたすら土地を引き込んでる間に大量に肉展開されてBON
G2:初動ハンデスで肉を落として鞭ガチャガチャ
G3:忠誠度3のジェイスを自害させ除去FB!鞭で即釣ってルーターし不要牌を捨てる!更にもう1回除去FB!全軍突撃!(この間1ターン)

4-1の2位。使い心地は上々。
賞品5パックからはサリアが飛んで終わり。

ジェイスは神ジェイス(確信)

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